『和歌山競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:1月11日

 和歌山競輪場で開催されている開設75周年記念「和歌山グランプリ(GIII)」は1月11日に大会2日目を迎えた。前日より穏やかな天候の下で行なわれた一日だったがレースは波乱も。V候補と目されたS班の新山響平、窓場千加頼が二次予選を乗り切れなかった。一方、地元から椎木尾拓哉、東口善朋が1着で二次予選をクリア。12日はシリーズ佳境の3日目。準決3個レースでファイナリスト9名が決まる。
 記念シリーズは開催中の毎日、豪華解説陣によるスペシャル予想会、ケータリングカーの出店等を実施。また、12日は「キンタロー。」ものまねライブ、タカシェンカジャグリングショー、ガールズケイリン選手トークショーと多数のイベントが予定されています。和歌山競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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吉澤純平選手
吉澤純平選手
 前受けの中近勢を赤板過ぎに田村大-角令央奈で押さえると、その後位が中近勢、南関勢、関東勢の3ラインで併走になる大渋滞。内の2ラインをけん制した小林泰正は打鐘3コーナーからスパート。最終ホーム手前で前団を叩き切った小林には、踏み出しで呼吸が合わずやや口が空きながら吉澤純平(写真)、そして機敏に乗り換えてきた南関勢が続く。一方、後方となった南潤は2コーナーから反撃を開始。好スピードで上がってきた南を止めた吉澤は、番手絶好の展開をしっかり生かして勝利した。
 「初手は予想通りだったけど、渡邉(雅也)君が先に入って来ちゃって、3車併走になったんで、(小林)泰正はどうすんのかなと思って見てたんですけど。自分は内を見て、3番手が入れそうだったんで、キメようとしたところで泰正が踏んでいって、連結を外しちゃった。踏み合ってたし、(出切るか)分かんなくて、キメといた方がいいかなと思ったんですけど。付き直して、車間を空けた時に南君が来ちゃって、対応が下手くそだったけど、泰正が踏み直してくれてた。連日、人の後ろなんで、前のおかげ。状態は(前回と)変わらないとは思う」
 ゴール前で中割りを狙った渡邉雅也は、吉澤に踏むコースを潰されながらも2着に入った。
 「取れた位置から、作戦は特になかったけど、ジャンのところはもう引けないんで。先に南さんをキメるしかなかったし、当たってからすぐに(小林)泰正さんが仕掛けて、そこに付いていけば3番手だと思った。すかさずも行けたけど、見ちゃいました。内が空くと思ってたけど、そこもワンテンポ見ちゃった。今回は風を一回も切っていないけど、感じは悪くない。佐世保記念はもっと積極的に動いて位置が取れたけど、今回はダサいレースになっている。納得はいっていないです」


<7R>

山田英明選手
山田英明選手
 赤板から坂本紘規、日高裕太の順で切った上を打鐘手前で叩いて岩谷拓磨が先制。日高は3番手となるも、4コーナーから巻き返しに出る。だが、察知した岩谷は一気にペースを上げて出させない。浮いた日高が渡邉雄太に入れられて3番手に戻る一方、山田英明(写真)が大きく車間を切って岩谷援護の態勢に入る。坂本のまくりは3番手の外までで後方に置かれた中釜章成は仕掛けられない。日高も再度まくりにいく余力はなく、渡邉は九州勢に切り替える。後続の動きを見極めた山田はゴール寸前できっちり岩谷を交わして勝利。
 「順番が来たら、切って、先行と思ってたし、岩谷君にお任せでした。今日(2日目)は意外と楽でしたね。岩谷君がタレるかと思ってたら、思ったよりもタレなくて、その分しっかり踏んで、抜けました。しっかり踏んだ割に岩谷君も残ってくれたし、良かったです。感じは昨日よりも良いけど、もうちょっとって感じですね。足回りのセッティングを戻して、いつも通りに戻った感じです」
 大きく車間を切る山田の援護にも助けられ、2着にも岩谷拓磨が残って九州ワンツー。岩谷はまくり不発に終わった前日の鬱憤を晴らした。
 「誰が前でも、前中団から、順番で前に出てと。自分ももう踏み切ってたし、ジャンでは誰も出させないようにしようと、先行の腹を決めていました。思い通りの展開で、ヒデさん(山田英明)を信じて駆けられた。昨日(初日)が不甲斐なかったけど、先行してしまえば大丈夫ですね」


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松本貴治選手
松本貴治選手
 青板バックから貴志修己率いる近畿勢が上昇すると、前中団に位置した松本貴治(写真)が合わせて動いて先に前を切る。その上を貴志修己が押さえるが、打鐘で青野将大がさらに叩いて先行態勢に入る。3番手は貴志がキープするも大川剛がすかさず追い上げてくる。大川は外併走からさらに踏み込んでモガき合いの末、青野をねじ伏せてしまう。だが、松本の反撃が早かった。最終2コーナーでは松本が大川を叩き切って主導権。これで勝負あり。小岩大介や3番手で立て直す青野の追撃を許さず松本が押し切った。
 「誰が先行してもおかしくないメンバーだったんで、できれば中団、中団を回りたかった。後方になったけど、一回は絶対に緩むところがあると思ってたし、そこで行けるようにと。出切ってからはペースで行けたし、ゴール前も踏み直せました。状態は良いと思うし、大丈夫ですね」
 2着にも小岩大介が危なげなく続いて本命サイドでの決着となった。
 「(松本に)防府記念の決勝で後ろに付いて、その時もピリピリしてしんどかったし、千切れないようにと、そこだけを意識してました。さすが(は松本)貴治なんで、すかさずに行ってくれて、出切って最後まで踏んでたし、強い選手だなと。自分が付いてて楽な感じだったし、回していたんでしょうね。最後は追い込んだけど、踏み直された。長くモガくと苦しいけど、体自体は初日も反応できてるんで悪くない」


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菅田壱道選手
菅田壱道選手
 赤板過ぎに前を切った菅田壱道(写真)を、片岡迪之がさらに切る。そこを中西大-石塚輪太郎の地元勢が叩いて打鐘から先行態勢に入る。後方となった纐纈洸翔が追って仕掛けるも、中団まででいっぱい。飛ばす中西を最終2コーナーで片岡がまくりにいくも、中西との車間を大きく切って備えていた石塚のけん制で苦しい。その間に5番手にいた菅田が内をすくって上がってくる。片岡を合わせ切った石塚の内までしゃくった菅田が1着で本命人気に応えた。
 「車番が悪かったんで、後ろ攻めかなと思ったけど、そうなったら流れで対応するしかなかった。纐纈君のカマシも見越して、けん制して遅らせようと思ったら、自分のところで止まってしまったのが誤算だった。それで被っちゃって内にいくしかなかった。石塚君も車間を空けてて、援護していたんで、そのタイミングで内に入っていければ、1着まであるかなっていう感触だった。頭で考えてたらあの動きは無理だし、とっさに反応した動きだった。瞬時の判断が間違ってなかった。重いところをずっと走って、2、3度バック踏んで、最後も当たり負けしてないんで、調子は悪くないと思う」
 年長の中西が駆けるレースに最大限の援護を見せた石塚輪太郎。最後は菅田に内をすくわれたが、柏野智典との踏み合いは制して2着に踏み止まった。
 「(ライン)2車だったんで、内も空けられないし、車間を切るしかできることはないかなと思った。(菅田を)内に締め込みたかったけど、あそこで締め込むと(中西)大さんが落車してしまうんで、締め込み切れなかった。3コーナーでは内に気配を感じてたんですけど。大さんがあそこまでいってくれたし、1着を取りたかった。申し訳ないです」


<10R>

椎木尾拓哉選手
椎木尾拓哉選手
 前受けの窓場千加頼を赤板過ぎに畝木努が押さえると、新村穣、幸田望夢の順で動いて打鐘2センターから幸田が主導権を奪取。そこを目掛けて窓場が勢い良く巻き返して出る。窓場は最終ホーム過ぎに番手の外まで上がってくるが、末木浩二のけん制を受けて雲行きが怪しくなる。さらに踏み込む窓場にぴったり車体を併せた末木はバックから番手まくり。両者の壮絶なモガき合いは決着が付かないまま最後の直線へ。末木が窓場に踏み勝つが、窓場の番手で脚を溜めていた椎木尾拓哉(写真)がゴール前で一気に伸びて1着。
 「(窓場が)すかさず行ってくれたんですけど、ホームの接触でスピードが落ちてしまってた。それがなければ完全に(ラインで)決まってたと思います。合わされたと思ったけど、まだ踏んでたし、判断は難しかった。藤田(勝也)を連れていけて良かったけど、(窓場)千加頼が残念です。自分はレースに集中できているし状態は悪くないです」
 2着にも窓場ライン3番手を固めていた藤田勝也が伸びて地元で連独占の結果となった。
 「千加頼が、早め早めに行ってくれた。行き切れない感じで、椎木尾さんがどうすんのかなと思ってた。最後は偶然伸びてくれました。外は無理かなと思ったんですけど。和歌山記念だけは成績が良いですね」


<11R>

松本秀之介選手
松本秀之介選手
 得意の突っ張り先行に持ち込もうと、新山響平が赤板で踏み込むが、久田裕也がその上を強引に押さえて前に出る。出切った久田が緩めると、浮島知稀が打鍾目掛けて勢いよくカマして出る。5番手に置かれた新山は、最終ホーム過ぎから巻き返す。どんどんと前との距離を詰めて行った新山であったが、堀江省吾のイエローラインを越えた大きな押上げを受けて、3コーナーで後退してしまう。空いた中のコースを、大槻寛徳が突っ込んで先頭へ。しかしながら、北日本勢を追っていた松本秀之介(写真)も、吸い込まれるようにして中のコースに入る。松本が大槻を直線で抜き去って先頭でゴールした。
 「(新山)響平さん達の後ろの位置が理想でした。一個は突っ張ると思ってたし、そこは遅れないように踏んでいました。でも、浮島君のスピードがかなり良くて、そこにスイッチはできなかった。響平さんが仕掛けた後に、チャンスがあればと思った。(堀江がブロックして)戻ってくるかなと思ったけど、大槻さんが切り替えてたし、まだ間が空いてたんでそこを目掛けて踏みました。スピードをころさずに行けたし、自分だけ動いてなくて余裕があった。前回の最終日にセッティングをいじったんですけど、それを今日(2日目)は戻したら良くなった」
 3コーナーのあおりで、吉本卓仁は松本と若干車間が空く。久田マークから切り替えた田中勇二が、直線で2着に強襲した。
 「スタートは後ろになると思ったけど、久田君がとりあえず前に出てくれた。出切れないかと思って、中団を確保したんですけど、そこで離れちゃったし、判断ミスでした。追い上げたけど、全然脚はたまってなかった。新山君が、意外とまくりが出てなくて、止められたら良かったんですけど、脚がたまり切ってなくて、その後ろのところでヨコに動いた。かなりきつかったし、状態は分からないです」


<12R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 根本哲吏、寺沼拓摩の順で切って、前受けからすんなりと下げた古性優作は、7番手で仕掛けのタイミングを取る。寺沼が徐々にペースを上げていくなか、古性は打鐘2センターから巻き返す。抵抗する寺沼を、2コーナー過ぎにあっさりとまくり切って、最後は古性と、東口善朋(写真)のゴール勝負。ギリギリで古性をとらえた東口が、地元記念で1着を手にした。
 「強い選手を後ろに置くのはセオリーですし、7番手になるのは想定通り。(古性)優作はいつも緩んだところですかさず行ってくれるんで、信頼して、背中しか見てなかったです。抜けるかどうかの勝負をしたかったし、その中で交わせて良かった。初日よりも動きが少なかった分、冷静に見えていたし、良かったです。(前回から)1カ月時間がありましたし、(大垣記念の落車の)ケガも気にならなかった」
 正攻法から、別線を力勝負で蹴散らした古性優作だが、求めるレベルは高く、レース後も口数は少なめ。
 「しんどかったですね。重かったです。初日も感じましたけど、脚力がないです。感触というよりも、力不足。自転車とかじゃなくて、僕の問題です」