『玉野競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:3月5日
 大盛況のうちに幕を閉じた名古屋記念に続き、大阪・関西万博協賛・玉野競輪開設74周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦(GIII)」が、3月6日から始まる。今シリーズは、取鳥雄吾、河端朋之、岩津裕介ら総勢10名の地元勢、清水裕友、松浦悠士の中国地区を代表する自力型に加えて、4月からS班に追加昇格する犬伏湧也も参戦。結束して強敵を迎え撃つ。対する別線勢も眞杉匠、平原康多、吉田拓矢らの関東勢をはじめ一線級がそろっていて、明日からの熱戦が楽しみだ。
 記念シリーズは開催中の毎日、先着来場者に粒チョコレート「アポロ」(6、7日は100名様)をプレゼント。キッチンカーの出店、西谷康彦さん、本田晴美さん、木三原さくらさん、知香里さん、赤澤佳美さんによる予想会が実施されます。玉野競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 オープニングの1レース1番車には一丸尚伍が登場。ナショナルチームの中長距離でも活躍していた実力者が、近況好調の要因をこう分析する。
 「(1R1番車は)いままでないですね。(好調の要因は)休みをうまく入れられるようになったことですね。練習をしないと、しないとってやっていて、8月から12月の別府で体調を崩すまでは疲れていました。休みの日も晴れていると、自転車に乗ってしまっていたので。休みを入れるようになって強度の高い練習ができるようになってきたことですね。ちゃんと自分の力を出し切りたい」
 吉澤純平は前回の全日本選抜初日に落車。再乗してゴールはしたものの、2日目以降は欠場となっており、状態が気がかりだ。
 「前回の落車で体は大丈夫だったんですけど、自転車が壊れてしまった。今回は別の自転車を持ってきて、寸法は同じなんですけどパイプとかは違うので。練習で乗った感じは悪くなかったんですけど、あとは体で合わせてという感じですかね。ここまでは時間が空いたので、バンクは使えなかったんですけど基礎的な練習を一人でやってきました」


<2R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 佐々木豪(写真)は前回の全日本選抜で4637着だったが、瞬発力を生かした攻めを披露しており、着順以上に動けていると手応えを得ていた。今回はさらに上積みもありそう。
 「(前回は)着は別として、特別優秀を走ることができて、少しは良かったかなと。二次予選よりも3日目、4日目の方が良くて、それがもっと早く出て欲しかった。(自転車の)セッティングは良くて、シューズのサンのセッティングが出ていなかった。(今回は)得意パターンのまくり一撃が決まるようなセッティングでやってみようかなと。前回が終わってから次の日に沖縄の支部合宿に行ってリフレッシュになった」
 佐藤友和は前々回の奈良記念の二次予選で最後方から目の覚めるような強襲劇を見せていたが、前回のGIでは思うような状態ではなかったようだが、今回はどうか。
 「GIの前に体調を崩してしまって、前回はそこまで感じは良くなかったですね。今回はそこよりはいいと思いますし、練習もいつも通りやってこれたので後は走ってみてですね。照井(拓成)君とは連係もありますし、好きなように走ってもらいます」


<3R>

 当地のバンクレコードを保持している太田竜馬。前回の小松島ミッドナイトGIIIでは地元で積極策を貫いていたが454着と結果はついてこなかった。前回から上積みはあるようで巻き返しに期待したい。
 「前回はレースができたけど、天候もあって思うような着ではなかった。変わらずに悪くはないと思います。普通に空いていたので、しっかり練習ができたので、前回より良くなっていると思う。(寒いコンディションだと)風を切った時にきつさを感じますね。力を出せれば」
 鈴木薫は7車立てのレースはコンスタントに決勝に進出しているが、2月奈良記念の5764着など、9車立てのレースが課題だということは自覚もあるようだ。
 「7車はなんとなく流れをつかめてきたけど、9車はGIIIより上でないと走れないし、課題がありますね。点数も伸び悩んでいるので、この壁を乗り越えていきたい。練習の感じは悪くなかったです」


<4R>

 今期の町田太我は競走得点を落としてしまっているが、2月の奈良記念で2821着、全日本選抜でも最終日に積極的に仕掛けた結果、番手にはまってから交わして勝利を手にした。自身では調子に波があると感じている。
 「豊橋は全然ダメでしたね。最終日は勝てましたけど内容も良くなかったですし。腰の状態はそこまで良くなくて、中々踏めない感じでした。今回は体の感じもいいですし、練習もしっかりやって来られました。(前々回の)奈良ぐらいの仕上がりだと思います」
 志智俊夫はこのレースの競走得点最上位者。52歳でもS級1班の選手として活躍しており、前回のGIでも7382着と、2回確定板入りした。
 「前回はみんなが脚を使っている中で、自分が伸びた部分もあると思うんですけど、感覚は悪くなかったです。練習方法とかセッティングはいろいろ試しながらですけど、変えたり変えなかったりです。今回は前回の調子から変わっていないと思います。まだまだ自分も頑張りたいですね」


<5R>

根田空史選手
根田空史選手
 根田空史(写真)は前回のGIで力不足を痛感した。師匠の中村浩士が主宰する中村道場でともに汗を流す岩本俊介がS級S班になったことに刺激を受けており、パワーアップに励んでいく。
 「GIを終わって、ただただ力不足でした。課題は多く見つかったかなと。点数がなくて車番も悪くなるし、車番が悪い時の対応も考えないといけないですね。あとはパワーが足りないのも感じました。自転車のトレーニングだけじゃなくてウエイトトレーニングを本格的に始めました。岩本(俊介)さんが40歳でSSになっているし、自分はあと4年あるので。初日は3車のアドバンテージを活かせるように」
 川津悠揮は直近3場所ですべて確定板入り。9走して1着6回と鋭い決め脚で白星を量産している。
 「(GIの)裏開催というのもあってたまたまですよ。前の選手のおかげですし、自分は変わらずにやることをやっているだけです。ただ、安定はしてきたと思います。流れに乗れていますね。ここ3~4年は冬期移動をしていないし、室内でもズイフト、ワットバイク、ウエイトをしっかりできている」


<6R>

 椎木尾拓哉は1月の和歌山記念以来の記念参戦。直近は5場所連続で初日に1着を手にしており、決め脚が冴えている。
 「(初日の連続1着は)予選っていうのもあるし、番組にも恵まれています。でも伸びてはきていると思う。(記念は和歌山以来で)あの時はデキが良かったですね。(前回の後は)支部で沖縄合宿に行ってウエイトだったり、しっかりと練習ができた」
 高久保雄介は23年11月の防府記念in玉野以来で当地参戦。その時は1119着で決勝に進出しており、今回も好結果を出したい。
 「前回はあんまり動けていなかったですね。その前のミッドナイトを引きずっていて、松戸に入るまで朝も眠くて、それのせいにしようかなと。ここまではいつも通りの練習をして、良くなっていると思います。9車は好きですし、車番もいいので、チャンスを逃さずにいきたい」


<7R>

 青野将大は全日本選抜が2日目からの補充参戦だったが、補193着。最終日は先行して神奈川ラインを上位独占に導く機動力が光った。今回も師匠の小原太樹(8R出走)と同じあっせんで気合十分。
 「豊橋は補充の一番手でしたし、準備はしていました。風が強くてタイムはイマイチだったけど、脚の感じは悪くなかったですね。ただ、いつも通り積極的に走った中で、1回しかバックが取れなかったのは結果としては良くなかったかなと。ここまではいつも通り郡司(浩平)さんや師匠の小原(太樹)さんたちと練習してきました」
 真鍋智寛は昨年末のヤンググランプリを出走した後に約50日の期間を経て、前回の小倉から復帰。すべてバックを取る競走で233着で戦える手応えを得た。
 「急な腎臓の病気で1月は休んでいて、前回が復帰戦だったんですけど、思ったよりは走れたかなと。末脚は甘かったですけど、踏み出しの感じは良かったですね。前回に比べても脚は上がっていると思います。ただ、9車が久々なので、しっかり考えて走りたいですね」


<8R>

佐々木眞也選手
佐々木眞也選手
 佐々木眞也(写真)は昨年の12月に行われた広島記念in玉野のファイナリスト。GIでは上位陣と脚力差を感じたが、当地では好成績を残しており、ここも神奈川勢が人気を集める。
 「(前回の全日本選抜は)感覚が良かったけど、上位との力の差を感じましたし、まだまだです。(2日目はまくったが)最後に差されているし、末を強化したいです。体調は問題なかったですし、いつも通りに練習をしてきた」
 今年のグレードレースでは郡司浩平が2V、深谷知広が2V、松井宏佑が1回の優勝で南関東勢が大活躍。昨年の寬仁親王牌で準Vの小原太樹も、好循環の仲間入りをしたいところだ。
 「(昨年)肩鎖関節に入っていた金具を取る手術をして、可動域が広がった。それで思うようにウエイトができるようになったし、調子も上がってくれれば。(今の南関の勢いに)自分も入っていければチャンスはあると思うので頑張っていきたい。状態は変わらないと思う」


<9R>

河端朋之選手
河端朋之選手
 地元の誇るスピードスター河端朋之(写真)。18年の世界選手権ケイリン銀メダルから7年経ったが、PIST6では60連勝と無双している。だが、持病の腰痛があり、状態に気をつかいながら調整してきた。
 「前回は仕掛ける展開で仕掛けて、それが結果につながらなかったなと。体は、めちゃくちゃいいわけではなかったですし、脚なりの走りでしたね。1月の高松記念あたりから腰の状態がそこまで良くなくて、しっかり練習できていないのが大きいですね。前回と比べても強くはなれていないかなと思いますし、体を整えてきた感じです。ただ、できることはしっかりやりたいですし、何とか地元勢で一人でも多く勝ち上がれるように頑張ります」
 柏野智典は一時の不振を脱却して状態は上向き。地元記念に向けて流れ良く参戦することができた。
 「昨年は膝が痛くて苦しかったけど、いい方向にいって、今は何もないですし、不安なく走れる状態になっています。いろいろやって、それがかみ合った。何にもやり残すことはなく、順調に準備ができた。1走してからですけど、(前回より)いいと思います」


<10R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 昨年ブレイクした窓場千加頼(写真)が今年はさらなる進化を求めて戦っていく。前回GIでは準決勝4着で惜しくも決勝進出を逃したが、ビッグレースでの存在感は高まっている。
 「前回は近畿の結束力をアピールできたかなと思います。大阪からも後輩が出てきましたし、中堅どころの僕とか寺崎(浩平)が頑張っていかないといけない時期ですね。ここまではクタクタになるまで練習してきました。後ろが村田(雅一)さんですし、心強いですね。隙のないレースを心掛けて走ります」
 村田雅一は前回の全日本選抜で初めてGI決勝の舞台に立った。05年の7月デビューから約20年、コツコツと積み重ねてきたことで確実に力をつけており、この経験を経てさらに上を目指す。
 「(GIが終わって)次の日から少し寂しい感じはありましたね。またあの舞台で走りたいなと思いましたし、決勝に上がってみんな喜んでくれました。感覚はすごくいい中で走れましたし、伸びも悪くなかったかなと。ここまではしっかり疲れを抜いて、この後のウィナーズカップに向けて調整している段階です」


<11R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 地元の自力選手といえば、取鳥雄吾(写真)だ。昨年の決勝は先行して、後ろの松浦悠士-岩津裕介をワンツーに導いた。記念初優勝に向けて機は熟しており、スタートラインと位置付ける決勝に立つべく、一戦、一戦、丁寧に勝ち上がっていく。
 「前回の豊橋はしっかり結果を出そうと思い、練習していったんですけ疲れがとり切れなくて。体の調子は最悪でしたね。ただ、玉野には間に合うかなとは思っていた。やる事はやってきたし、地元記念を楽しめたらなと。自分が、自分が、ではなく、中国地区から優勝者を出せるように」
 岩津裕介は27歳の地元記念初優勝から16年が経ち、今年は43歳での参戦になるが、S級のトップ選手として君臨し、地元勢の精神的な支柱でもある。調子に問題はなく歯がゆい状態が続くか、ここで一気に流れを変える。
 「(松阪の)落車の影響はない状態ですし、かみ合ってない感じ。調子は落ちていないけど、点数が落ちていて、うまくかみ合っていない。自力でどうこうできれば点数の波はないけど、いい時があれば悪い時もあって、今は良くないかなと。雨が多くてバンクには乗れていないけど、体は追い込んで練習をできた。自転車も試しながらですけど、いいようになっていければ」


<12R>

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 4月1日付けでS級S班の格付けになることが発表された犬伏湧也(写真)。上位と戦っていくためにパワーアップを誓い、初日はS班の眞杉匠と真っ向勝負だ。
 「全日本選抜のあとは疲労があって2日休んでから練習をしました。(状態は)いつも通りなのかなと。室内練習が多かったので、走ってみてからですね。(S班になることには)正直、複雑な気持ちはある。でもS班に選んでもらったからには胸を張って競走できるように。(S班のアドバンテージは)チャンスかなと思いますし、勢いをつけていって、タイトルを目指して頑張りたい。(清水)裕友さん、松浦(悠士)さんが後ろにいるのは心強い。自分の持ち味を出して思い切っていきたい」
 強力な布陣の中四国トリオ。番手を回る清水裕友は前回のGIが肺塞栓症からの復帰戦。そこから約1週間が空いて、現状の状態をこう語る。
 「豊橋は思った以上に動けなくて、きつかった印象。4日間の中では最終日が一番楽でした。練習をしていて、全日本選抜の前よりはいい感覚があって、直前まで(走るか)悩んだけど、これを休んでしまっても悪循環になりそうだったし、豊橋よりはいけると思って来ました」
 眞杉匠は全日本選抜を1319着で決勝に進出。初日特選で圧巻の逃げ切りを見せたかと思えば、準決勝は脇本雄太をさばいてからまくって1着をつかんでおり、オールマイティな攻めを披露した。初日は関東のS班の力を見せる。
 「(前回は)体の使い方とかはかなりいい方向に出たなと。ただ、脚力不足を感じましたね。(決勝は)4コーナーまでもてば良かったですけど、バックでいかれているので。あれが今の課題ですね。ここまでしっかり練習できましたし、前泊で休養を取りつつ来ました。走ってみてからですけど、悪くはないと思います」