『開設57周年記念玉野競輪(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:3月11日


 4日間をとおして春到来を思わせる暖かな陽気に恵まれた玉野競輪場開設57周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦」もいよいよクライマックス。今日は最終11レースの決勝戦でシリーズの頂点を争った。
  優勝は愛知の伊藤正樹。名古屋記念から中2日での追加参戦だったが、初日から無傷の4連勝で見事に記念初優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると各車出渋る中、阿部康雄のグリップバンドが外れるアクシデントで再発走になる。二度目の号砲も各車出渋るも、三宅伸が前に出てスタートを決める。隊列は守谷陽介-三宅-米澤大輔、伊藤正樹-中井護、松岡貴久-合志正臣-紫原政文-阿部で落ち着く。
  青板3コーナーから後方の松岡が徐々に上昇し、正攻法の守谷にフタをする。赤板2コーナー過ぎで外の松岡が踏み込むと伊藤は松岡ラインに切り替え、守谷は後方まで車を引く。打鐘を迎え4コーナーで後方に置かれた守谷が仕掛けるが、その動きに合わせ松岡はホームで全開に踏む。守谷が阿部の横で一杯になると、三宅は中団に割り込んだ。2コーナーで自らまくりを放つも合志の強烈なブロックを受ける。それでも力で乗り越えたが、更に伊藤がそのスピードに乗り3角まくりを放ち大外を伸び切って記念初優勝を完全で決めた。2着は伊藤マークから迫った中井。四角手前で外に持ち出した阿部が3着に入った。


伊藤正樹選手
伊藤正樹選手

 前走の名古屋記念とは別人だった。あれよ、あれよという間に勝ち星を重ねると、最終的には無傷の完全V。「今期100点の選手がやることじゃないですよね」。まるで他人事のように伊藤正樹はレースを振り返った。
  レースはスタートけん制で再発走。それでも「今日は前を取ったら終わり、どうなっても(周回は)前以外と思ってた」と、周回中は中団位置を確保した。守谷陽介のカマシが不発と見るや、2コーナーからまくり上げる三宅伸。その外を3コーナーで一気に飲み込んだ。
  「三宅さんに(中団に)降りられたけど、そこで詰まるよりは引いて1着か9着の勝負がしたかった。3コーナーの波がキツくて抜かれるかな? と思ったけど、何とか踏み切れたので。それでも最後は抜かれたと思いましたよ」
  次は静岡ダービー。記念4連勝の男は否が応でも注目される。
  「記念を獲ったので、次はもうひとつ上のレースで頑張りたい。ダービーでも今の調子を維持できてればいいですね。変に期待されても困るし、ダービーも気負わずに走りたい」

 どちらが勝っても記念初優勝というゴール前の一騎打ち。懸命に迫った中井護だったが、1/8輪届かなかった。
  「2センターで取れちゃうと思って意識しすぎましたね。3コーナーで内に差してバック踏んだし、すんなりだったら面白かったかも。伊藤さんみたいな脚質の選手は得意だし、ギアも上げてチャンスはあるかなと思ってたけど甘くなかった。伊藤さんが強かったです」

 3着には九州ライン四番手から直線外を回した阿部康雄が強襲した。
  「3コーナーで内には自分のコースがなかったので外だなと思った。でも8番(伊藤)、2番(中井)が行ってたし、どこまでいけるかなと思ったけど、けっこう伸びましたね」

 人気を集めた九州勢。合志正臣は予想外だった三宅のまくりに対応が遅れた。
  「番手から出ることも考えてたけど、なんで三宅さんが来てるの? と思った。気付くのが遅かったですね。あれを止めてれば伊藤さんの邪魔になったし、面白かったんだけど」

 地元で悲願の優勝を狙った三宅伸だったが、2コーナーから見せた精一杯の反撃も実らなかった。
  「展開は良いんだから負けて悔いなし。守谷が早めに行っても、僕がきれいにまくっても伊藤に食われてると思う。でも、4連勝なんてすごいね。名古屋ではあんなにボロボロだったのに」

 「前になった時点でどうしようかと思った」と話す守谷陽介。引いて早めの巻き返しも不発に終わり、悔しさを隠せない。
  「打鐘で突っ張ろうと思ったけど誘導にハウスしそうになったので、引いてすかさずと思ってました。伸さんと初めて一緒だったのに、情けない…。今までで一番悔しいです」

決勝戦ゴール





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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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