『玉野競輪開設63周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月3日
 2月28日から始まった玉野競輪開設63周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦」(G3)は本日、4日間の全日程を終了した。金子貴志、村上義弘のSS班が準決勝で脱落する波乱となった今節。サバイバルレースを勝ち抜いた9名による決勝は、石丸寛之の番手まくりに乗り、岩津裕介が優勝。通算3度目の地元記念制覇を果たした。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると根田空史がゆっくりと誘導を追いかけて、根田―宗景祐樹で前受け。以下の隊列は、菅原晃―合志正臣―渡邊健、三ツ石康洋―石丸寛之―岩津裕介―豊田知之で周回を重ねる。
 後方で待機した三ツ石が地元勢を連れて上昇を始めると、中団の菅原も合わせて出る。菅原の上を三ツ石が赤板過ぎに押さえて、石丸―岩津―豊田まで出切る。菅原―合志―渡邊が中団まで下げて、根田は8番手。三ツ石が打鐘を目がけてペースアップ。逃げる三ツ石はグングンと加速。5番手の菅原、8番手の根田はそれぞれ車間が空いた一本棒。最終回を迎えても、後続との差は詰まらず三ツ石が飛ばして風を切る。
 番手の石丸は逃げる三ツ石との車間を空けながら、別線を引きつけて2コーナーからまくって出る。石丸に岩津―豊田が追走して、菅原ラインも続く。バックでようやく後方の根田がまくり追い込みをかけるが不発。菅原が外を踏んで直線へ。
 番手まくりの石丸を直線半ばで、岩津が楽に交わし抜け出して優勝。石丸が2着に入り地元ワンツー。続いた豊田はいっぱいで、菅原に乗った合志が3着。


岩津裕介選手
岩津裕介選手
 「相手に気持ちで勝ったことが結果につながった」と勝利した岩津裕介(写真)は振り返る。最大の敵である王者・金子貴志を、ラインの総合力で破って準決勝を突破。岩津はこの一戦を今節1番のキーポイントと話す。
 「勝ち上がりの段階で山形(一気)君と三ツ石君が頑張ってくれた。あれで流れができたのが1番大きかったですね。今日は相手が僕たち以上に来たらどうなってたか分からなかったけど。でも、気持ちで上回ったので。もし僕が誰かにからまれてたら石丸さんの優勝だったかもしれないけど、すんなりだったので」
 昨年1月の静岡記念で落車し、頸椎を痛める重傷を負うことに。それが原因で昨年は優勝ゼロ。通算3度目の地元記念優勝とはいえ、前回までとは違って感慨深いものがある。
 「顔からいって頸椎を痛めて、そのあとは半年間(はまともに)乗れなかったんで。選手になって初めて優勝ゼロだったんでね。一年前はまさか優勝できるとは思わなかったし、今日みたいな展開になるなんて想像もできなかった。それだけに嬉しいですね。次はダービーに照準を絞って。予選スタートなんで厳しいと思うけど、しっかり調整して頑張ります」

 石丸寛之は最後に交わされたものの、地元の牙城を守り納得の様子。
 「チャンスはあったけどね。今日は風が強かったし、(番手から)出る前にすでにキツかった。そんななかで良く粘ったと思う。納得のいくレースでした。でも、悔しいと思ってダービーまでまたしっかり練習します」

 「すんなりでも脚にきてた」と話すのは豊田知之。最後は1車交わされ表彰台入りならず。
 「もうずっと踏みっ放しだったんでね。俺は一杯だった」

 合志正臣は直線で懸命に踏むも3着が精一杯。
 「行けるタイミングがあったのに」と振り返る。

 すると菅原晃は「打鐘のところで失敗した。油断して離れてしまい、追い付くのに脚を使ってしまった。ホームで1回緩んだから行こうと思ったら、三ツ石君がもう1回踏み返したんで行けなかった」と話す。

 根田空史は打つ手なく終わり「仕掛けるところが1回もなかった」。悔しさのあまり吐き捨てるように話す。
 「スタートで誰も出ないと思ったし、あそこから全開で行かれたらどうしようもない。最終日になったら落車の影響が出てきて身体が痛かった。怪我をしっかり直してダービーでまた頑張ります」

 「絆の勝利でしたね」と宗景祐樹は勝者を称える。
 「三ツ石君が頑張ってたし、掛かってた。あれでは僕たちもどうしようもないですよ」


ゴール
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