『防府競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月31日

 防府競輪場で開設72周年記念「周防国府杯争奪戦(GIII)」が、10月31日に幕を開けた。初日の一次予選から熱戦が展開され、地元勢では山下一輝が白星を挙げた。メインの特選では、新田祐大がさすがの爆発力とスピードを披露して好スタートを切った。11月1日の2日目には、初日特選組も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 なお、防府競輪場では、4250人の入場制限を行ったうえで有観客を予定しています。今後の新型コロナウイルス感染症拡大状況などによっては、無観客に変更する場合もあります。「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。検温、手指の消毒、マスク着用などのご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 赤板目がけて踏んだ岡崎智哉が、合わせて踏んだ前田義和を制して主導権。3番手に佐藤龍二が入り、前田は5番手。三登誉哲が後方の一本棒でレースは流れる。最終ホームをリズムよく通過した岡崎の掛かりがいい。バックを通過しても、佐藤、前田は仕掛けられない。岡崎が後続をシャットアウトして逃げ切った。
 「今日(初日)は読みづらいレースでしたけど、取れた位置からしっかり仕掛けられれば、あとは南さんがやってくれると思った。走りやすいコンディションでしたね。とにかく自転車も流れてくれたので、気持ち良く。前回よりもいいですね。練習でフォームを修正して、ゴールまで力が入るように走れたと思います」
 岡崎に続いた南修二は、直線でも並ぶまでには至らず4分の3車身差の2着。
 「すごく強かったですね。(岡崎の調子がいいのと自分の調子がイマイチなのと)両方ですね。前回に引き続き良くないので、可能な限り修正したいと思います」


<2R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 皿屋豊が中団の兼本将太にフタをしてから叩きにいくと、先頭の久保田泰弘は、皿屋に合わせて踏み上げて番手に飛び付く。前のもつれを見た兼本が赤板2コーナーから一気にカマすが、それに反応した久保田は今度は九州勢後位にスイッチ。さらに、久保田が最終2コーナーからまくると、勢いをもらった渡部哲男(写真)が外を突き抜けた。
 「久保田君がすべてやってくれた。(久保田は)皿屋君が来るのが遅かったら粘るし、早かったら引くと思っていた。予想よりも兼本君が早く来たから、あのままかぶっていたら厳しかった。ちょうどさばいた時くらいだったので助かった。(久保田が)まくってくれるとは思わなかったし、そのおかげです。道中でスピードの緩急が結構あったので脚を使っていたのもあるけど、重かった。オーバーワーク気味で入ったし、その疲れが抜けてくれれば」
 タイミングを逃さずカマした兼本将太が、2着に逃げ粘った。
 「前で踏み合っていたし、落ち着いたところでいこうと思っていたけど、落ち着かなければ強引にでもいこうと。いいタイミングでいけました。ホームとバックを取りたかったし、先行できて良かった。ラインのおかげで2着に残れた」


<3R>

和田圭選手
和田圭選手
 赤板2コーナー手前で山本直が、先頭に立ちペースを握る。7番手に置かれた雨谷一樹は打鐘から巻き返して、最終ホームで主導権を奪う。和田圭(写真)が続いて3番手に山本が飛び付くが、その上を松岡篤哉がまくる。松岡のスピードもいいが2センターでいっぱい。雨谷を利した和田が追い込んで1着。
 「(ラインが)2車だったし、もっと(雨谷との)車間を空けられてば良かったんですけどね。後ろを確認したら、もう松岡さんが来ていたので気持ち的に余裕がなかった。2車だったって言うのもあって、しゃくられるのも怖かった。昨日(前検日)セッティングを見直して、プラスに向いてくれてるかなって感じです」
 松岡のまくりに乗って直線で中のコースを伸びた三宅裕武が2着。
 「ペースも上がっていましたし、もう(山本が)駆けるかなって思ったんですけどね。でも、松岡君が(最終)ホームで行ってくれた。97点の自分が言うのもあれですけど、余裕はありました。最近良くなってきていると思う」


<4R>

山下一輝選手選手
山下一輝選手
 前受けから6番手まで車を下げた宮本隼輔は、赤板1コーナーから一気に踏み上げて前団に襲い掛かる。曽我圭佑を叩き切った宮本は最終ホームではきれいにライン3車で出切る。ハイペースの宮本に対して久木原洋は仕掛けられず、絶好の態勢の山下一輝(写真)が、ゴール寸前で宮本を差し切った。
 「(宮本は)勇気をもって仕掛けてくれました。(踏み出しは)タイミングを取れていたので大丈夫だと思っていたけど、シュン(宮本)は途中から加速するので最後まで気は緩めずにいました。落ち着きたかったと思うけど、力でねじ伏せてくれた。自分は久木原さんだけ見ながら、来たら合わせるつもりでいたんですけど、最終バックではもう大丈夫な感じでした。シュンはなかなか抜かせてくれないので、(差せて)言うことないですね」
 宮本隼輔は持ち味のスピードで別線を一網打尽にし、地元ワンツーを決めた。
 「前から引いて、いけるタイミングでいこうと思っていた。曽我君が結構踏んでいて、1回詰まったタイミングが赤板だったので、そのまま仕掛けました。久木原さんを越えてから自分のペースで踏もうと心掛けたけど、気持ちが入り過ぎて踏み過ぎましたね。逃げてダメなら仕方ないと割り切っていました」


<5R>

阿部拓真選手
阿部拓真選手
 鈴木薫ラインにフタをした佐伯亮輔が、外併走から再度踏み込んで赤板手前で先頭に立つ。岡山3車が出切り、阿部拓真(写真)は4番手。2コーナーから鈴木が反撃に出る。柏野智典が鈴木を大きく外にけん制すると、小林令が佐伯の番手を奪取するが、阿部もインを押し上げる。逃げる佐伯後位が小林と阿部の併走。阿部は佐伯が一瞬、空けたインを突いて直線で抜け出した。
 「(中団でかぶってしまい)1個でも前に行かないとなって、一瞬、一瞬の判断は良かったですけど。その前に外のコースをつくれていればもっと良かったですね。最後も紙一重だったと思う。空かなければ詰まっていた。状態は変わらずいいですね」
 最終2センターでインをすくわれた佐伯亮輔だったが、直線で踏ん張って2着に粘り込んだ。
 「もう少し(鈴木を)フタをしても良かったのかなって。最後、外線を外して阿部さんにいかれてしまいました。いつも通りの走りはできたけど、もう少しトップスピードを上げた先行でいけるように心掛けたい」


<6R>

蕗澤鴻太郎選手
蕗澤鴻太郎選手
 後ろ攻めの蕗澤鴻太郎は、青板から動き出して谷和也にフタをする。市橋司優人が後方から切った動きに乗った蕗澤は、赤板で市橋を叩いて先行態勢に。4番手を確保した市橋は最終2コーナーからまくるが、それをけん制した蕗澤マークの柿澤大貴が、直線で鋭く抜け出した。
 「(蕗澤とは)連係も多いんですけど、いつも積極的にいってくれるし、いつも通りにいってくれて良かった。掛かっていたけど、(踏んだ)距離が長かったぶん(最終)バックでタレてきて市橋君がいいスピードで来た。感じは悪くないけど、体で止めるブロックがしたかったですね。引きつける感じとか、相手とのスピード差とかをうまく感じられていない。1回で止めないと3番手の人はキツいので。父も空から見守ってくれていると思うし、来たからにはいいレースがしたかった。強い気持ちで走れています」
 2周先行の蕗澤鴻太郎(写真)は、力強い踏み直しで2着に逃げ粘った。
 「後ろ攻めの作戦がなかったんですけど、谷君にフタをして出させないようにしようと思った。市橋さんは切りにくるかなと思っていたし、落ち着いて走れた。バンクが重く感じるけど、長い距離を踏んで2着なので良かった」


<7R>

 赤板で出た神奈川コンビの上を林慶次郎が叩いで先行策。園田匠は小原太樹にからまれるも、林に続いて打鐘を通過する。8番手の日野博幸は、最終ホームからスパート。日野が抜群の加速力で前団に迫る。3番手の松坂洋平は仕掛けられず、日野が逃げる林をとらえて1着。
 「いける気はしなかったけど、思いのほか出ましたね。あとは力まないように、園田さんを越えられればって。体調を崩すことなく、練習ができていた。組み立てを失敗して室井(竜二)さんに迷惑を掛けたので、明日(2日目)は積極的に動けるようにしたいです」
 日野の踏み出しに遅れ気味の室井は、最終3コーナーで追い切れない。2センターでは松坂が落車して、逃げた林慶次郎が2着に残った。
 「出切るまでは落ち着いていましたけど、切った上を叩くのに結構、踏まされたのでキツかったですね。最後の半周は踏めていなかったと思います。バックの向かい風がキツかったですね。園田さんのおかげです」


<8R>

 切った松尾勇吾を、酒井雄多が押さえる。6番手に置かれた小川真太郎が打鐘手前から仕掛けるが、それに合わせて酒井もペースを上げる。酒井マークの東龍之介が小川を再三ブロックすると、その内をすくった香川雄介が東を押し上げて、最終3コーナー過ぎで大量5車が落車。先頭を走っていた酒井がそのまま逃げ切った。
 「元砂(勇雪)さんが前中団だったので何をするかと思ったら何もせず、小川さんとモガき合いになってしまった。それが予想外の展開でした。東さんがすごい仕事をしてくれている影が見えました。東さんと33に助けられた感じです。ここに来る前に腰を痛めてどうかなと思っていたけど、やれない感じではない」
 落車をまぬがれた飯田辰哉が2着に入るも、レース後は反省の弁。
 「(酒井は)1回出て、2車なら出させるかと思ったけど先行する感じで踏んでいた。自分はきれいに踏めていたんですけど、香川君が降りてくるのがわかっていたのに入られてしまった。脚を使っていないぶん、最後は踏めていたけど、入られてしまったところの動きとかは修正したい」


<9R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 阿部架惟都に合わせて動いた三谷竜生(写真)は赤板で4番手をキープするも、原口昌平がインを進出する。結果的に三谷は6番手まで下げて、打鐘から反撃に出る。佐々木龍のけん制を乗り越えて、三谷は逃げる阿部を最終1センターでつかまえる。ロングまくりで三谷が、そのまま押し切った。
 「ちょっと道中でミスもありましたけど、仕掛けられるところで仕掛けられている。積極的には行こうと思っていましたし、リカバリーはできたと思う。普段から33バンクで練習しているので走りやすいのかなって感じですね」
 山下渡まで流れ込んで三谷ライン3車で上位を独占。志智俊夫は半車輪差の2着。
 「三谷君がスピード勝負をしてくれた。(打鐘の)4コーナーのブロックをもらいながらでしたけど、あとの1周は掛かっていました。付いて行けたし問題ないですね。ポジションをいじったんですけど、悪くないと思います」


<10R>

 切った寺沼将彦を押さえて高久保雄介が先行。山田英明は5番手で反撃の機をうかがう。カマシを狙った菅田和宏は高久保に合わされ外に浮いて不発に終わり、番手の開坂秀明が内に降りようと山田に絡む。が、山田はこれを一発でさばいて最終2コーナーからまくり発進。あっさりと高久保をまくり切ると、小川勇介も振り切って1着スタートを決めた。
 「予選といえど、みんなポテンシャルをもっているし、自分のやるべきことをやろうと思っていた。ジャン前に2、3テンポくらい仕掛けるところがあったと思う。3車だったし、そこでいけなかったので納得はしていません。踏み応えはありました。しっかり踏めていた気はするし(前回と)感触は違った」
 山田をピタリと追走した小川勇介は、最後は山田に4分の1車輪迫ってゴールした。
 「自分は(山田と)連結を外さないようにだけ考えていた。車券も売れていたし、人気に応えられて良かった。(山田は)GIの決勝に自力で乗るような選手ですからね。抜く抜かないよりも付いていくことだけ考えていました」


<11R>

 7番手まで引いた町田太我が、構えることなく赤板から仕掛ける。が、児玉慎一郎は付け切れず、抵抗する後藤悠を町田、地元の桑原大志で叩く。3番手に切り替えた高橋雅之は、前2人を脅かすまでには至らない。直線で差を詰める桑原を町田が振り切って人気に応えた。
 「後藤さんが強かったですね。結構、踏んでいたので無理に踏まずペースでまくる感じで仕掛けました。自分のなかではちょっと微妙でしたけど、1着が取れたので。今日(初日)は朝の指定練習で乗らなかったら良くなかったので、2日目以降はしっかり乗るようにしたい」
 町田がつくり出すハイスピードにも対応した桑原大志は、僅差の2着。
 「前を取って突っ張るか、ダメなら今日の感じでって考えていました。自分のなかでは後藤君が強かった。後藤君がタレてくるのと町田君のあと掛かりが交錯する感じで最後は逆転できたのかなって。抜けるかなって思ったんですけど、自分のなかではあそこまで迫れているので、自信になりますね」


<12R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 単騎の村上義弘が4番手から動き出して中四国勢を切る。吉田拓矢が赤板で村上を押さえたところを、すかさず松浦悠士が叩いて先制する。中四国勢を追った新田祐大(写真)は、最終ホームから仕掛ける。清水裕友は新田に合わせて番手まくりに出るが、新田は力でねじ伏せてゴール線を先頭で駆け抜けた。
 「予想外の展開ではなかった。松浦君がすんなり下げると思っていたけど、全体的には思った通りだった。清水君が車間を切って、外に張り気味の番手まくりだったから苦しかったけど、乗り越えられたのでゴールまで必死に踏み切った。絶対踏み負けないようにと思っていた。まくりの展開で、決して楽ではなかったけど、自分の力を引き出しやすい展開をつくれた。体調は問題ない。コンディションを確認できて良かった」
 番手まくりに出た清水裕友だが、新田のスピードに屈して2着。
 「予想外の動きはあったけど、松浦さんに付いて行くことを考えていた。(松浦は)流れのなかでの仕掛けではなかったし、無理くりいった感じだったので後ろの僕らもキツかった。(新田が)見えて踏んだけど2コーナーの下りで負けた。すごかった。相手が強すぎた。防府だけは調子が良いとか悪いとかは、関係ないと思っている」
 松浦悠士は地元の清水の前で果敢に先制。自身の状態を冷静に分析する。
 「突っ張りたかったんですけど、村上さんがあんなに踏むとは。結果的に(新田を)引き出す形になってしまった。掛かり自体はいいですけど、モガける距離が短くなっている。そこは、こういうレースをして戻していくしかないですね」