『防府競輪開設74周年記念in玉野(GIII)レポート』 2日目編

配信日:11月3日

 玉野競輪場で開催されている防府競輪開設74周年記念「周防国府杯争奪戦(GIII)」は、11月3日に2日目が行われた。二次予選では、初日特選を制した清水裕友が連勝。松浦悠士は犬伏湧也とのタッグで人気に応えて、古性優作も白星で準決に進んだ。11月4日のシリーズ3日目には、準決の3個レースで熾烈なバトルが展開される。
 記念シリーズは開催中の毎日、場内予想会、こども縁日、ふわふわドーム、キッチンカーの出店などが予定されています。また、11月4日の3日目には、大道芸人のれもんによるマルチパフォーマンス、ディズニーペアチケットや40型液晶テレビなどが当たるくじ引き大会、未確定車券抽選会なども行われます。玉野競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

高久保雄介選手
高久保雄介選手
 赤板過ぎに磯島成介が押さえて先頭に立つが、その上を高久保雄介(写真)が叩いて打鐘手前で主導権を握る。そこをすかさず後藤大輝が巻き返す。後藤のスピードがいいが、高久保も踏み上げて突っ張る。後藤は最終2コーナー手前で、稲川翔に張られて不発。空いた内を吸い込まれるように磯島が踏んで稲川の横まで進出。さらに稲川後位ももつれて、山本健也が落車。近畿両者のゴール勝負は、タイヤ差で高久保が押し切った。
 「オジサンなのに先行させられて、しんどかったです(笑)。(周回中が)あの並びだったら先行か、それでも後藤君が来るんだったら、思い切り踏んで考えようと。叩く時に結構、踏まされたんで、(出てから)流すよりもそのまま(別線が)来にくいスピードで先行かなと。先行で逃げ切れているんで、状態はいいと思います」
 高久保の先行に番手の稲川翔も、猛ブロックで応える。最終2センターでは内の磯島も抜かりなくキメたが、高久保を交わすまでには至らなかった。
 「あそこまで立ち上げてくれたので、あとは高久保が走りやすいようにサポートできればと。後藤君には行かれるかと思ったんですけど、(高久保が)すごい強かったです。踏み直しがすごかったし、ゴール前でももう1回、踏み返された。もう1個上(のレベル)にいくのに(3.92か3.93の)どっちのギアを使っていくのが正解かなと。それをレースで判断している最中です」


<7R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 末木浩二が押さえて出て、7番手になった取鳥雄吾は赤板2コーナー手前から仕掛ける。取鳥が合わせてペースを上げる末木を、スピードの違いで叩いて主導権を奪う。中国勢の3車が出切った最終ホームで、瀬戸栄作が反撃に出る。清水裕友(写真)のけん制もあり、瀬戸のまくりは3番手付近でスピードが鈍る。瀬戸が後退して、2センターから山口敦也が踏み込むが、清水が余裕をもって追い込んだ。
 「順番が来てしっかり(取鳥)雄吾が頑張ってくれました。雄吾のダッシュがあれば、ホームカマシで決まると思ったんですけど、雄吾の気持ちが入っていた。雄吾が強くて勝手に残ってくれました。けん制しないとなって思ったら、踏み直してくれた。瀬戸さんには行かれないなって思っていたんですけど、ちょっと山口君は見えていなかった。誰か来るなら外かなって。ちょっと山下(一輝)さんには迷惑を掛けてしまった。自転車を戻して初日よりも良かったです」
 1周半以上を駆けた取鳥雄吾は、清水、山下の地元コンビを連れて果敢に風を切って別線を完封した。
 「誰が切っても、(そこを)行こうと思っていました。キツかったですね。(清水)裕友はホームカマシでも決まったんじゃないって言ってましたけど、リスクがあるんで。僕がキツくてもしっかりあそこから勝負した方がと。裕友と山下さんのおかげです。出切ってからは裕友に任せていた。来たら合わせようと思ってためていて、(最終バック付近から)踏み上げました。昨日(初日)より今日の方がいいですね」


<8R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 前受けの寺沼拓摩、5番手の伊藤颯馬も合わせて踏み上げるが、野口裕史が力ずくで叩いて赤板2コーナーで主導権を握る。野口ライン3車が出切り、4番手が寺沼と伊藤の併走になる。後方の上杉嘉槻は仕掛けられず、野口の先行で最終周回へ。寺沼が伊藤を外に振ると、空いたインをすくった久保田泰弘が2コーナーでまくる。守澤太志(写真)が、久保田をけん制してきっちり抜け出した。
 「(野口は)2周行くっていう感じだったんですけど、残り2周でかなり踏んでいた。それで(野口は)厳しいかと思ったけど、強かったですね。自分は余裕はあったんで、内に来られても、外に来られてもいいと思った。でも、まくって来たのが久保田君じゃなくて、伊藤君だと思って振った。そこがヘタクソだったし、反省しないとダメですね。ここ最近よりだいぶ良くなったかなと。でも、イマイチしっくりきていないところもある」
 一次予選に続いて消耗戦に持ち込んだ野口裕史は、別線をアテにすることなく力を出し切る先行策で2着に粘った。
 「どこか1個(のライン)が切ってくれて、その上をいけたら楽だなとは思った。それを望んでも仕方ないので、自分で2周をって思ってました。後ろが守澤君と櫻井(正孝)君なんで信頼してました。普段、バンクに入ってないのがあるのか、昨日(初日)よりも今日の方が朝の感じが良かった。それでイケるかなっていうのがありました」


<9R>

荻原尚人選手
荻原尚人選手
 打鐘手前で出た太田龍希が、先行態勢を取る。7番手の郡司浩平は3コーナーから内を押し上げて、5番手まで進出する。太田が、そのまま徐々にペースを上げて駆けて最終周回へ。山本直と5番手で併走していた郡司は、単騎の横関裕樹をすくう。が、3番手からまくった村田雅一が、神山拓弥のけん制で落車。郡司も乗り上げる。郡司ライン3番手の荻原尚人(写真)は、内に避けて関東勢後位の3番手に収まる。荻原がゴール前で、関東2人を交わした。
 「郡司君がまくっていく時に、永澤(剛)君も外に差し込みながら上がっていた。自分はちょっと踏み遅れ気味だったので、内に避ける時間はありましたね。しっかり付いていかないといけないんですけど。最後は意外と伸びました」
 2位入線の神山は失格。先行策から踏ん張った太田龍希が、2着に繰り上がった。
 「郡司さんが(打鐘過ぎに)内に入って行ったのが見えた。山本さんもあそこからは来ないだろうと思ったので、(最終)ホームで流せましたね。余裕はありました。感触は良くもなく、悪くもなくでした」


<10R>

新山響平選手
新山響平選手
 新山響平(写真)が後ろになる意外な周回中の並び。赤板で中団の上野雅彦が先に動くが、川口聖二も出させない。両者で踏み合いも、川口が突っ張りペースを落とす。新山は6番手で山形一気と接触したが、打鐘2センターからスパート。川口を置き去りにして、新山が最終1センターで出切る。息が合わずに佐々木雄一が離れ気味に追いかけて、新山が後続をちぎって押し切った。
 「(スタートは)取りにいったんですけど、上野君が早かったので負けちゃいました。展開が向きました。(川口と上野が)踏み合ってやめたところをすかさず行ければ良かった。けど、内か外か迷ってしまった。それでタイムラグが出た。(結果的には)普通に外でしたね。(川口)聖二も脚を使ってたし、僕は脚をためていた分、一気に行けました」
 4車身差で2着に入った佐々木雄一は、息を整えながらこう振り返る。
 「(新山は)内か外か迷ってたみたいで、(新山が)山形(一気)君と接触したんで、内に逃げたところで前が駆けちゃった。あれだと(しっかりとは)付けられない。今日(2日目)は自分が先行みたいで余裕がなかったんで、なんとかあと2日間もつかですね」


<11R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 周回中は3番手にいた犬伏湧也は、簗田一輝の上昇にすんなりと6番手まで下げる。簗田が3番手で前との車間を大きく空ける。犬伏は打鐘手前から踏み込んで、前団に襲い掛かる。簗田は詰め切れず、犬伏があっさりとのみ込んで、松浦悠士(写真)に3番手の石丸寛之まで懸命に食らいつく。最終2コーナー手前で後方の野田源一は、東龍之介と接触して落車。別線は動けず、松浦が計ったように差し切った。
 「(犬伏が)いい感じで行ってくれましたね。(3番手だった)昨日(初日)よりも今日の方が付けやすかったですね。簗田君が一瞬、僕のところを狙ってきそうな感じもあったので、(最終)ホームで石丸さんを確認した。しっかり(ラインで)決まるように。(犬伏は)掛かりも良かったですし、踏み直しもすごかったです。間合いを取って詰める勢いで行ったんですけど、それじゃ抜けないなって感じだったので直線は全開で抜きにいきました」
 エンジンの違いで別線をとらえた犬伏湧也は、ペース配分を考えながら駆けた。
 「松浦さんと石丸さんが付いていたので、ラインで決まるように意識しながら走りました。徐々に上げて行ってハイペースにもっていければと。しっかりと距離もいけた。最後に抜かれたのは悔しいですけど。(状態は)いつも通りですね」


<12R>

古性優作選手
古性優作選手
 蕗澤鴻太郎が切った上を渡口勝成が迷わず駆けて、古性優作(写真)は7番手に置かれる。最終ホーム手前でアクションを起こしたかに見えた古性だが、4番手の蕗澤も仕掛けて様子をうかがう。蕗澤が外に浮くと、古性は最終2コーナー手前で再度踏み込んで、自力に転じた吉澤純平をねじ伏せて1着。村上博幸と断然の人気に応えたが、厳しい表情で振り返る。
 「早めに(仕掛けて)行きたかったけど、中団も(先に)行ってしまった。体調的にも思っている以上にしんどい。(最終)ホーム前の4コーナーで1回踏み出したけど、スピードが中団と合ってしまった。そのあとも吉澤さんはタテがある選手なんで、乗り越えるのがかなり厳しかった。(前回の)寬仁親王牌の決勝に比べたら、自分の状態がかなりしんどい。初日もそうだったし、今日(2日目)も話にならなかった」
 古性の内から吉澤がまくって、最終3コーナーでは中四国勢を含めて、3、4車が重なる。村上博幸は、冷静に外めのコースから古性に付け切った。
 「僕はしっかりと(古性に)追走するだけだった。きれいに追走できれば、(中村)一将さんも付きやすいし、そこに集中してました。(最終)3コーナーからはずっと内がバリバリって音がしていた。締めすぎると危ないなっていうのもあって、余裕があったから締めすぎずにいった。3コーナーは内を気にする余裕があったけど、そこからの(古性の)加速がすごかった。4コーナーからは必死でした」