『被災地支援競輪防府競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:11月3日
 平成28年熊本地震被災地支援・防府競輪開設67周年記念「周防国府杯争奪戦」が今日から開幕。33バンクを舞台にオープニングレースからスピードバトルが展開された。メーンの特選3個レースは武田豊樹、園田匠、村上義弘のSS班3人が貫禄の勝利。明日は優秀「天神杯」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 明日2日目も吉岡稔真氏、山口幸二氏によるトークショーやスピーチーズライブなど場内イベントは満載。ぜひ防府競輪場でお楽しみください。
<1R>
 注目のオープニングレースは圧倒的な人気を集めた吉田拓矢が豪快なまくりで圧勝した。残り2周半で斬った松田大を八谷誠賢が押さえて前に出る。別線の動きを警戒しながら打鐘でピッチを上げた八谷に対し、7番手から吉田が強引に巻き返していく。最終ホーム過ぎに八谷を抜き去った吉田が後続との差を広げて一人旅。勢いそのままにゴールを先頭で駆け抜けた。
 「誘導を斬るか斬らないかのところで内から行けば良かった。後ろに迷惑をかけてしまいました。警戒されすぎて仕掛けにくかった。風が強かったけど、そのなかでも踏めたし、コンディションは問題ないですね」
 吉田に大きく離されてしまった八谷誠賢だが、最後まで踏み続けて2着に踏ん張った。
 「松田君が斬ったところで叩く作戦でした。吉田君のスピードが違いすぎましたね。2着でもガッツポーズしていいでしょう」
 八谷マークの山口貴弘がきっちり続いて3着をキープした。
 「出脚で遅れたし、終始いっぱい。付いていけてよかったし、八谷さんのおかげです。吉田君はスピードが違いました」

<2R>
一戸康宏選手
一戸康宏選手
 赤板過ぎに先頭に立った一戸康宏(写真)が打鐘前から全開で逃げていく。藤岡隆治が3番手を確保し、伊藤成紀、佐藤朋也は後方に置かれる。軽快に逃げる一戸に対し、最終バックから藤岡がまくるが、木村貴宏のブロックで失速。そのまま一戸が押し切った。
 「(打鐘で)あそこはもういかないと、と思って。全開です。今日は最後まで踏み切れました。(前からいい状態が)続いてます。力もついてきたと思います。(バンクは)特に何も。コーナーがごつごつしているなってくらいです。風もそんなに感じなかったです」
 3番手の好位を確保した藤岡隆治は木村に仕掛けを止められはしたが、3着で二次予選へ。
 「うれしいね、初日をクリアできて。今日は作戦どおりです。でも(一戸が)強かった。余裕できたらいこうと思ったけど、余裕がなくて。仕掛けてはみたけど止められました。でも初日をクリアできたし、気持ちが全然違う。また明日、特選の強い選手と戦えるように」
 伊藤成紀は4着でなんとか勝ち上がりを決めたものの、後方になってしまったことを反省した。
 「遠かったですね。ちょっと無理でした。正直感触もわからないです。岩本(純)さんが下がってきちゃいましたし。でもあの位置になった自分が悪いです」

<3R>
荻原尚人選手
荻原尚人選手
 飯塚隼人が赤板から飛び出してハイペースで逃げていく。西村光太との中団争いを制した荻原尚人(写真)が最終2コーナーから力強くまくって快勝した。
 「外併走ならホームから行くつもりだったけど、(西村が)引いてくれたんで、バックでもいいかなって。風はけっこうあったんですが、最後は前がタレてくれました。33はちょっと苦手なんですけど、ダメもとで行ったのがよかったです」
 西村に粘られて苦しくなった佐藤愼太郎だが、懸命に荻原を追って2着に流れ込んだ。
 「もう必死でした。(西村に)負けちゃったので、あの辺がまだまだですね。そのあとは荻原君を追っかけていった感じ。荻原君が強かった。脚は軽かったです」
 単騎の黒木誠一が最後方から外を踏み上げて3着に食い込んだ。
 「3(着)までにはと思っていた。3番(西村)の子が点数を持っているから、その3番手でとりあえず様子を見た。上りタイムは9秒7くらいかな?フレームとか全然気にしないんだけど、今回は元に戻してみたら伸びたね」

<4R>
 地元トップバッターとして登場した山下一輝が赤板から先行。7番手となった人気の新山将史は打鐘前の2コーナーで踏み上げると、村上直久が口が空いた隙を見逃さず巧みに中団をキープ。最終2コーナーから鮮やかにまくって完勝した。
 「打鐘のところでそのまま仕掛けていければよかったが、口も空いていたし、行ったら合わせられると思った。ラインで決まらなくて残念だけど、車の出はよかったし、まくった感じもいいですね」
 打鐘過ぎ4コーナーで新山後位をさばいた村上直久が懸命にまくり上げて2着に食い込んだ。
 「調子が悪いですね。体が反応していない。踏み遅れたし、状態はあんまり…」
 逃げた山下一輝は惜しくも勝ち上がりを逃したが、清々しい表情を見せた。
 「勝つレースをした結果です。力勝負で負けました。新山君が1車でまくってきたと思って頑張って踏んだけどダメでしたね」

<5R>
天田裕輝選手
天田裕輝選手
 赤板過ぎの2コーナーで松山桂輔が坂本周作を叩き打鐘を迎えるも、その上を叩いた久米康平が全開で逃げていく。対して天田裕輝(写真)は最終ホームから仕掛けると、スピードの違いをみせてバックで前団をまとめてまくり切る。そのまま3番手以下を大きく引き離した天田が白星発進を決めた。
 「行けるか分からなかったけど、あそこでいかないと無理だと思って。出切れてよかったです。風と寒さがきつかったです。重くて止まっちゃいそうな雰囲気でした。でも動けてるし、明日になれば多少よくなると思います」
 中村淳が天田にしっかりと続き関東ワンツー。
 「33(バンク)で仕掛けも早くて前の方は削られちゃってましたね。気温も低くて、風もあるからほんとに冬のバンクみたい。重かったです。とりあえずよかったです」
 逃げた久米康平は3着に踏みとどまり、二次予選進出を決めた。
 「思ったよりしっかりと動けました。ここに来る前に腰をやっちゃてしっかりもがき切れずにきて。久しぶりにがっつりもがいたらきつかったです。それに脚を使ってたから後半落ちるのはしょうがないです。原(誠宏)さんも4着で、とりあえず自分だけにならずによかったです」

<6R>
 赤板前に斬った加賀山淳を水谷好宏が叩いて先行策に出る。中団を確保した加賀山は最終2コーナーからまくる。7番手から反撃してきた矢野との踏み合いを制して1着をさらった。
 「後ろになったら1回前に出て、(別線の)2人が中団で意識するようなら駆けて、どっちか来たら中団は絶対に取るつもりでした。走る前からこの辺で行こうっていうのは決めていたし、そこで仕掛けてちょうど矢野さんと合った感じですね。車の出はよかったです」
 飯田辰哉がしぶとく食い下がって2着に入り、千葉ワンツー決着となった。
 「一番いい形になりました。加賀山君は最近、まくりの練習もしているみたいですからね。(矢野に)行かれたと思ったけど、あいつも怯まずにすごい踏んでましたから。あれで2着ならいいでしょう。感じもよかったです」
 矢野昌彦は外、外をしぶとく踏み上げてなんとか3着に食い込んだ。
 「水谷さんはダッシュがいいし、何度も合わされてしまったことがあるので、見てしまいました。もうちょっと早めに前まで行ければよかったけど、(加賀山に)合わされる感じになってしまった。でも、ホームから仕掛けて3着に入れているので悪くないと思います」

<7R>
五十嵐力選手
五十嵐力選手
 赤板前に先頭に立った野原雅也がすかさず後方から巻き返してきた山本直に合わせてペースアップ。打鐘前の2コーナーで稲川翔が山本をブロックすると、野原が打鐘を先頭で通過。山本ラインは中団、南関勢は後方で最終ホームを一本棒で通過する。最終2コーナーから鋭くまくり上げた小林則之が最終4コーナーで稲川のけん制を乗り越えると惰性をもらった五十嵐力(写真)が直線外を鋭く伸び切った。
 「鐘でかぶっていたので、ヤバいと思ったけど、脚を使ってなかったし、小林さんがいいスピードで仕掛けてくれました。バンクが重い分、野原君もタレたんでしょうね。久々の1着でうれしい」
 7番手から好回転でまくった小林則之が2着で南関ワンツーが決まった。
 「やっとまくれるようになったし、疲れを抜いたのが一番大きい。ここのバンクはまくりが効きますね」
 絶好の番手回りを生かした稲川翔が3着に食い込み、復帰戦で勝ち上がりを決めた。
 「ラインのみんなに助けられた復帰戦でした。体には余裕があったけど、気持ちに余裕がなかった。良い緊張感を持って走れました」

<8R>
 赤板で先頭に立った松岡孝高を打鐘で山口智弘が叩いて先制。坂本貴史もこの動きに乗っていくようにして3番手へ追い上げると、一旦休んだのち最終2コーナーから再度加速。愛知コンビを力でまくり切ると1着でゴール線を駆け抜けた。
 「しっかりと前を追っていけました。理想は休まずに叩ければよかったんですけど。脚は問題なかったし、風も走る前は強いって聞いてて、脚見せのときも感じたんですけど、走ったら気にならなかったです。久々の1着なんでうれしいです。(後ろを連れ込めず)そこは残念でした」
 松岡の仕掛けに乗った安東宏高が外を伸びて2着に突っ込んだ。
 「前後のおかげ、今日はそれがすべてです。展開にも恵まれましたし。状態も問題ないですね。(松岡)孝高が体格いいんで風も感じることもなかったですし。明日も恵まれます(笑)」
 3着の三浦稔希は前を任せた山口智弘の走りを称えた。
 「山口(智弘)が頑張ってくれました。本当に頼もしい後輩ですね。抜けないと思うくらい山口はよかったですよ。まずは4着権利だと思ってたしよかった」

<9R>
 清水裕友が初の地元記念で躍動した。レースは前受けの宿口陽一が赤板で齋藤友幸を突っ張る。前団がもつれたところを清水が豪快にスパート。そのまま3番手以下を大きく離した清水が番手の濱田浩司の追撃を振り切り、最高のスタートを切った。
 「気合が入りました。もがき合ってくれてラッキーでした。展開が向きましたね。あそこで構えたらないし、タイミングよく仕掛けられたと思います。出切ってから長かったですね。かかっている感じはしました。ホームバンクで練習どおりいけました。明日、またしっかり気を引き締めて準決勝に乗りたいですね」
 番手絶好の濱田浩司は前を交わせず2着。レース後は清水の強さを称えた。
 「清水君が強かったです。ダッシュが半端なかったですね。風があたって脚がたまらなかった。きつかったですね」

<10R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 後ろ攻めの武田豊樹(写真)が赤板で郡司浩平を押さえると、すかさず仕掛けた原田研太朗が打鐘過ぎに武田豊を叩いて先制。中団で態勢を立て直した武田豊は後方8番手から巻き返してきた郡司に合わせて最終2コーナーからまくる。3コーナーで桑原大志のけん制を乗り越えると力強く押し切った。
 「後ろ攻めになったんで、まずは先行しようという気持ちでした。突っ張りきれれば面白かったけど、勝つことを前提に考えて、あのレースになりました。後ろに2人付いていたし、早めに仕掛けようと。とにかく一戦一戦頑張るだけですね」
 地元の桑原大志が2着に食い込み、優秀戦へと駒を進めた。
 「打鐘から早いペースになって原田君が踏まされて出させられた感じですね。武田(豊)さんの巻き返しが早かったし、僕の力では止められなかった。今日は原田君のおかげです」
 地元を連れて積極果敢に逃げた原田研太朗がしぶとく3着に粘り込んだ。
 「新フレームはダッシュはいいけど、重たいですね。最後まで我慢して、残してもらいました。だんだんとバックを増やせば、まくりが生きてくると思います」

<11R>
園田匠選手
園田匠選手
 後ろ攻めの竹内雄作が青板周回の1センターから上昇すると、合わせて中団から動いた守澤太志がイン粘りに出る。岩津裕介と守澤の競り合いは最終ホームで岩津に軍配が上がったが、竹内のスパートに離れてしまう。これで流れは九州勢に。打鍾の4コーナーから北津留翼が仕掛けると、最終バックで竹内をとらえる。直線で番手の園田匠(写真)がきっちりと抜け出した。
 「展開というより(北津留)翼のやる気次第(笑)。今日は上半身の力も抜けててよかった。竹内が早めにふかしてたし、あとは翼がいつ仕掛けるか。ジワーっていう感じでいってましたね。服部さんも後ろを固めてくれて。とりあえずワンツースリー、それに1着でよかったです。それが何よりです」
 九州ライン3番手を固めた服部克久が2着。うれしそうにレースを振り返る。
 「最後は内に誰かくるかなと思ったけど、単独だったし、外を踏まさせてもらいました。初日に3着までに入るのはでかいですね。本当に匠と翼のおかげ。前回は地元で気持ち入って。終わってしっかり気持ち切り替えて。九州で結束して決勝に乗れるように」
 北津留翼は園田、服部には交わされたが3着で優秀の切符をつかんだ。
 「展開がよかったです。展開に助けられましたね。今回みたいな展開ならいいんですけどね。最後はきつかったです。先輩にいかれ、同期の服部さんにもいかれてしまいました」
 イン粘りに出た守澤太志だったが、7着に沈んでしまい、悔しそうにレースを振り返った。
 「あの展開だったら粘ろうとは考えていました。重かったし、きつかったです。風も切っていないし、感じもわからないですね」

<12R>
松浦悠士選手
松浦悠士選手
 早めに斬った松谷秀幸を赤板で高橋陽介が押さえて前に出る。前受けから7番手まで下げた稲垣裕之は打鐘前の2コーナーから巻き返す。高橋がこれに抵抗して、両者で激しくもがき合う。最終2コーナーから松浦悠士がまくると、稲垣マークの村上義弘が自力に転じて踏み上げる。松浦の仕掛けに合わせきった村上が激戦を制した。
 「稲垣君が仕掛けてくれて不発になってしまったけど、そこからうまく対処できたと思います。感じは特に変わらないですね」
 松浦悠士(写真)は村上に合わされながらも外を踏み続けて2着に入った。
 「踏み合いになるのは予想していたんですけど、稲垣さんがあんなに早く巻き返して来るとは思わなかったですね。みんな脚を使っていたし、しっかり仕掛けることができました。行けたと思ったんですけどね。村上さんが強かったです。でも、いい感じで踏めました」
 前々に攻めた松谷秀幸との連結を外してしまった山賀雅仁だが、最終バック最後方から大外を踏んで3着に食い込んだ。
 「マークしきれてないので失敗ですね。なんだか分からなくなって、いろんなところを見すぎてしまった。あれじゃぁ前で頑張ってくれている選手に申しわけない。最後の伸びは見てもらったとおりですね。感じとしてはよかったと思います」
 まくられてシンガリ負けの高橋陽介だが、悲観はしていない。
 「合わせたかったけど、2車は難しいですね。まだ距離は踏める感じだったんですが、スピードの差で負けました。スカッと行かれたわけではないので、悪くないと思います」
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