『防府競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:11月2日

 防府競輪開設68周年記念「周防国府杯争奪戦」が開幕した。オープニングレースで鈴木竜士が逃げ切ると、竹内翼、太田竜馬も1着と予選では年末のヤンググランプリ出場メンバーが大活躍した。メーンの特選は中川誠一郎、吉澤純平に村上義弘が快勝。明日は優秀の「天神杯」をメーンに二次予選6個レースが行われる。
 2日目も吉岡稔真氏、久保田浩章氏による予想会(10~12R発売中)や吉岡稔真氏、山口幸二氏によるトークショー(4R発売中)。山口県住みます芸人「どさけん」による爆笑ステージ(7R、9R発売中)やボートレーサーの末永祐輝選手のトークショー(6R発売中)などのイベントを予定しています。明日、3日もぜひ防府競輪場へご来場ください。

<1R>

鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 オープニングレースは年末のヤンググランプリ出場を決めている鈴木竜士(写真)が会心のレースで別線を圧倒した。後ろ攻めから上昇した才迫開が切ったうえを赤板から叩いて先頭に踊り出ると、曾澤龍のカマシも封じる。ゴール前もしっかり踏み直して兵藤一也を振り切った。
 「初手は後ろか中団が良かったので(才迫が)切った上を叩いて。曾澤さんが来るのが見えたけど出させる位置ではないと思ったので突っ張りました。合わせ切ったあとに流せたので最後までしっかり踏めました。久々に逃げの決まり手が付いて良かった。今回も4日間最終バックを取れるように」
 絶好の展開かに思われた兵藤一也だったが詰め寄ることもできずに2着で入線。
 「無理(苦笑)無理っしょ。ダッシュが半端ないからそこで脚を使ってしまう。最後も抜くとかじゃなくて(内にこられるのが)怖くて締め気味でしたね」
 目標の曾澤が不発の窮地にも冷静に4番手を確保した鹿内翔であったが一車も交わせず4着に。
 「バックは余裕もあったけど、仕掛けたら合わされると思って。名前に負けてしまった。朝だったから体も動かなかった」

<2R>

 久島尚樹が切った上を赤板で踏み込んだ工藤文彦が出て主導権。巴直也が叩きに出るが、工藤は突っ張って駆ける。荻野哲の援護もあって3番手で立て直した巴は、久島との併走からまくりで岡山コンビを仕留めた。
 「前が早駆けになったんで、最後はタレてくれるかなと。なんとかでしたね。(2場所前の千葉の)エボリューションで、自分が7番手でボス(オランダ)の後ろに付いて離れちゃった。離れない自信があったんですけど…。それでやっぱり位置にこだわっていかないとって、キッカケになりました。位置にこだわって勝負しているのが、最近の結果につながっている」
 逃げる工藤を利した石丸寛之は巴を止められずの2着も、後輩との二次予選進出には納得の顔。頑張りを称える。
 「工藤がよく踏んでくれた。工藤はパワーアップしているのも知っているし、工藤が強いから。あれで(まくりが)来るならひとりだと思った。また、準決あたりで一緒に走りたいですね。1番(巴)を張ったら、6番(久島)が内に見えた。あれが地元の桑原(大志)だったら、(まくりを)止めてましたね」

<3R>

竹内翼選手
竹内翼選手
 後ろ攻めから動いた小埜正義が青板バックで誘導員を下ろすと、そこを竹内翼が叩いて前に出る。前受けから下げた不破将登は赤板ホームから仕掛けるが、これをダッシュよく合わせた竹内翼(写真)がそのまま押し切った。
 「不破さんが前でいい展開になりましたね。小埜さんがすぐ切りに来たんで、切って見ながら不破さんが来たとこで踏んだ。合わせ切れてるし、調子はいいのかもしれないですね。12月は地元記念にヤンググランプリがある。広島記念で結果を残して、ヤングにつなげるにはここからしっかりやらないと間に合わない。今回は負けても内容にこだわってやっていきたい」
 番手絶好の内村泰三だったが逆転はならず。それでも竹内とワンツーだったレースを笑顔で振り返った。
 「余裕はあったけど、(競走得点)102点は違う。出だしで(不破をけん制したり)色々やったんで、いらんことしたっすね。でも(竹内は)中国の宝だから残さないと。2日目からも必死に食らいつきます」
 中団を取った小埜が4コーナーで内から坂本修一を飛ばすと、空いたインコースを突いた山田和巧が3着に。生まれ故郷(山口県美祢市出身)の記念で二次予選に勝ち上がった。
 「中国ワンツースリーですね(笑)。山口の人の声援がありがたかった。外行こうかと思ったけど、小埜君が内から(坂本を持ち上げて)外に行ったので付いて行こうと思った。気をつかってもらいました」

<4R>

 後ろ攻めにこだわった伊早坂駿一が別線の動向を見極めて赤板から一気のスパート。打鐘手前に先頭に踊り出ると番手の内藤宣彦が車間を空けて松岡孔明のまくりをけん制しつつゴール寸前で交わして久々の白星を手にした。
 「最近はずっと後方になっていたからこんなにいい展開は久々ですね。(伊早坂が)青板で動きだしたときにはちょっと早いかなって思ったけど、冷静でしたね。誰も先行争いはしないだろうって感じで、動きを見ながら落ち着いて仕掛けてくれました。いい意味で若者らしからぬ落ち着きがありましたね」
 前回向日町は9着2回と不甲斐なかった伊早坂駿一だったが、その不安を一掃する逃走劇を披露した。
 「今回からフレームを戻して正解でした。体とかは問題なかったので修正できて良かった。自分が焦って登りで仕掛けても後ろもキツいかなって思ったので、下りで出切れるように仕掛けました。最後は少し(末脚が)甘くなってしまったけど、脚に刺激が入ったので明日以降はもう少し良くなると思います」
 狙い通りの位置を確保してまくりを繰り出した松岡孔明だったが、車の進みはいまいちで不発に終わってしまった。
 「脚を使ってしまったけどやるべきことはできたので。痛みもなくなったし前回よりは良くなっている」

<5R>

 赤板手前から主導権を握った地元の山下一輝が、そのまま駆ける。佐々木孝司と4番手を併走した小嶋敬二だったが結局下げて、佐々木にすんなり中団が転がり込む。最終1センターからのまくりで前団をのみ込んだ佐々木を、大崎和也が楽に交わして青森ワンツー。
 「(佐々木が)いいタイミングで行ってくれました。もっと構えるかと思ったら、ロングで行ってくれた。よかった、自分は恵まれました」
 「(準決が)A、B、Cの時はありますけど、(最近の)記念で勝ち上がりは初めてなんで」とは、佐々木孝司。近況の悪い流れをまくりで断ち切った。
 「前になったんで、引いて中団で併走と思ってました。あとはそこだけは踏み遅れないようにと。小嶋さんにかぶってしまうよりはと思って、とりあえず(仕掛けて)行きました。出ないかなと思ったんですけど、(まくり切れて)良かったです」

<6R>

 前受けから下げた取鳥雄吾は赤板ホームから何度も仕掛けをためらったが、打鐘過ぎ3コーナーからカマして一気に大矢崇弘を叩き切る。ホームの接触で佐々木則幸が離れ、大矢に番手に入られたが、大矢の追撃を力強く振り切った。
 「どこでも行けたけど、できるだけ距離を短くしたいと思った。(大矢が)行ったうえでも行けると思ってたので。1着取れたんで良いと思う。(ギックリ腰で熊本記念を欠場し)久々だけど勘は大丈夫でしたね。後ろには悪かったけど、得意パターンで行く感じでした」
 打鐘から内をすくって大矢の番手に飛びついた渡部幸訓が大矢を交わして2着に入った。
 「あの展開なら大矢に駆けさせて先まくりと思ったけど、(前後の緩急を)我慢できなくて内に行ってしまった。全部すくって(取鳥の)番手狙いでもよかったけど、そこの判断が中途半端でしたね。でも、とりあえず初日のノルマはクリアしたので」
 3着の大矢崇弘はレース内容を反省する。
 「雄吾ばっかり見ちゃって…。ちょっと見すぎましたね。安部(達也)さんに申し訳ない。(取鳥が)来そうなのも追い出しだとわかったので、引っ張れるだろうと思って欲が出ちゃいました。不完全燃焼でしたね」

<7R>

 人気を背負った中部勢が正攻法に構え、別線の動きを見極めながら打鐘手前から伊藤裕貴が一気にスパート。3番手に嵌った荻原尚人に動きはなくそのまま中部両者で決着するかに、大西祐が後方8番手から大まくりを披露して前団を一気に飲み込んだ。
 「スタートで荻原さんだけ見てたら志智(俊夫)さんに出られて。後ろ攻めは考えていなかったから焦りました。自分が一番ビックリですよ。ダメもとで(まくりを)出したら思った以上に出ましたね。嬉しくて3回くらいガッツポーズをしてしまった(笑)」
 大西を懸命に追いかけた森安崇之が2着に入線し検車場で笑顔を振りまく。
 「また作戦と違いましたよ。初手は中団だって作戦だったのに。いつもの9番手になってホームでも仕掛けないから終わったと思いました。自分はどちらかと言えばこういうスピードレースは得意なほう。踏んだり止めたりするほうが脚にくるので。来期はA級なので少しでも点数を上げておかないと特選漏れしますからね」
 伊藤を利して絶好の展開かに思われた志智俊夫であったが3着まで。
 「バックでオギ(荻原)が仕掛けてこなかったからもう決まったと思って油断してたら凄いスピードで来て対応できなかった。道中のかかりも良かったと思いますけど」
 4着に沈んだ伊藤裕貴は検車場に引き揚げてくるなりその場に倒れ込む。
 「荻原さんの飛び付きが怖かったので前受けから引いてドカンって作戦でした。良いタイミングで仕掛けられたし残り一周までは良かったけど2コーナーからバックで止まってしまった。今日はアップから少し重いなって気がしていたけど脚が動かなくなった。踏み方の問題だと思うのでしっかり修正したい」

<8R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 前受けの野原雅也(写真)は7番手まで下げると、赤板の1センターから巻き返す。力の違いであっさり谷口明正を叩いて主導権を奪取した野原が、小気味よく風を切って断然の人気に応えた。
 「めっちゃ長かった気がします。でもワンツーを決められたし、とりあえずは。(谷口が)駆けていくのかと思ったら、もう緩んで詰まっちゃったんで行きました。(前受けから)車輪を掛けて突っ張りも考えていたけど、(谷口が)切っちゃったんで…。そこからも中団で粘るか引くか迷った。そのぶんしんどくなりました」
 野原のダッシュに付け切った國村洋は、4分の1輪まで差を詰めたところがゴール。ホッと一息ついて、口を開く。
 「前回の防府(9月77欠)のことがあったんで失敗できなかった。(付いていけたんで)自信になりました。あれが前のセッティングだったら離れてたと思います。最後は地元の意地と109点(の野原)の意地でした。強いし野原君は本当にありがたいですよ」
 野原に主導権を奪われた谷口明正は、遅れて来た野原ラインの蓮井祐輝まで受けて4番手。最終2コーナーから蓮井を交わして踏み込むも前が遠く3着。
 「もうちょっと張っておけばよかった。(野原に)行かれたんで、緩めてしまった。(蓮井が)遅れてきて、迷ったけど入れた」

<9R>

山形一気選手
山形一気選手
 人気の太田竜馬は打鐘過ぎ4コーナーからのまくり。2コーナーの下りで一気に加速すると、鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「後ろを気にしながら行ったけど、打鐘で(接触して)僕もピクッとなったんで。一人だと思ったので、さばかれんようにポイント、ポイントで焦らず行った感じ。ちょっと喉が痛いけど、走り自体はいつもと変わらないんで大丈夫だと思う」
 梶原恵介に締め込まれ、打鐘で太田と接触した山形一気(写真)は太田の仕掛けに離れてしまったが、1センターからまくりに出ると何とか太田とワンツーを決めた。
 「打鐘で前輪にペダルが入って、コケたと思った。できればあそこ(打鐘)で行ってほしかったけど、太田も出だしが悪かったね。千切れたわりにはリカバリーしたでしょ。余裕はあったけど、(接触して)ガシャンが効いたね。人気だったし、4コーナー回ってホッとしました」
 太田、山形の徳島コンビに時間差で行かれてしまった森川大輔だったが、何とか猪俣康一を4着に残すと自らも確定板にあがった。
 「太田一人だと思ったんですけどね。3番手に稲吉(悠大)さんが見えたので、持って行ったらすくわれると思って行けなかった。後ろがいれば車間を切りながらやれたけど。2人に行かれてからは猪俣さんを残せるようにと思ってました」

<10R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 後ろ攻めから上昇した和田真久留が誘導員の後ろに収まり、中団は松岡健介と松浦悠士で併走。中川誠一郎が後方に構えた形で赤板周回を迎える。和田真がインを切ろうと動いた松浦を突っ張ると和田健太郎が踏み遅れてしまい和田真の番手に松浦が収まる展開に。戦況をうかがっていた中川誠一郎(写真)が最終ホームから一気に踏み込むと合わせてまくる松浦を一気に飲み込んだ。
 「松浦君が切ってくれたらその上を叩いて先行しようと思ってました。離れたのは分からなかったけど、合志さんが落車したので複雑な気持ちですね。スピードに乗ってからは良かったと思う」
 2着には思惑どおりに前々へと踏んだ松浦悠士が入線した。
 「思いっ切り踏めば内も遅れてくれるかなって。(和田健が)追い上げてこなかったのでスンナリ回れた。でも中川さんが強かったですね」
 3着に入線した和田健太郎だが、和田真との連係を外してしまいレース後は反省の弁ばかり。
 「分かっていたけど、踏み出しが凄くて離れてしまった。下手に追い上げて友定さんにこられたら面倒くさいかなって。本当に和田君にも武井さんにも申し訳ない。今日は反省しかないですね」
 今シリーズが復帰戦となった和田真久留は中川にまくられてしまい大敗も、悲観した様子はない。
 「和田さんが追い上げてくると思って待っていたのに来なくて。流しながらでかかり切らなかった。3車だったのにラインとして機能しなかったですね。でも力はそれなりに入っていたし(ケガの影響は)問題ないと思います」

<11R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 新山響平に併せ込んだ吉澤純平(写真)は、外併走から再び踏み込んで赤板手前で先行態勢。新山が強引に仕掛けて出ると守澤太志が連結を外して、叩き切った新山の番手に吉澤が入る。番手で態勢を整えた吉澤が、最終2コーナーからまくりを敢行。後続の強襲を抑えて、白星で幸先のいいスタートを切った。
 「(新山が)1車だったんで甘えちゃいました。出させないつもりだったんですけど…。(新山が)また踏み直したんで、(番手からまくって)キツかった。でも、(浅井康太のまくりが)来ているのは雰囲気でわかったんで」
 まくった浅井に付けた金子貴志が、直線で外を伸びて2着に入った。
 「浅井はよく行ってくれた。(浅井は)踏み込んだ瞬間、すごいいいスピードだった。でも、パッと見たら吉澤と諸橋がいたんで、これはキツいと思った。それでも浅井は2着まで届く感じだったんで、自分も3着までと。そしたら思った以上に伸びました」
 打鐘の3コーナーで齊藤竜也の1車を入れたロスが響いた浅井康太だったが、ロングまくりで最後は諸橋愛とからみながらも3着。
 「1車下げてからすぐにまくっていったんでキツかった。あそこまでいけたんで上デキでしょう」
 絶好の展開に思われた諸橋愛は、直線半ばで浅井とからんで僅差の4着に唇をかむ。
 「悔しい…。取りこぼした。(吉澤の番手まくりが)俺は行くと思ってなくて脚を使った。油断していた。失敗ですね」

<12R>

村上義弘選手
村上義弘選手
 青板バックからフタをされた稲毛健太だが、ホームで単独になるとすかさず打鐘前2コーナーから叩きに行く。一度は連係が外れた村上義弘が再度ドッキングして続くと、稲毛は前受けから抵抗する山田英明を4コーナーで叩き切る。最終ホームから山中秀将がまくるが、これを山田が大きくけん制。番手絶好の村上義弘(写真)がきっちりと稲毛をとらえてワンツーを決めた。
 「全部、健太が頑張ってくれた。1回連結外してるんだけど、そのあと上手くドッキングできてよかったです。展開のなかで自分もしっかりできた。全体的に動く選手が多いし、短走路なんで内も気になる。その辺をしっかり判断しながらできたと思います」
 簡単に車を下げず、前に前に攻めた稲毛健太が2着に逃げ粘った。
 「(山中は自分が)行くの分かってるのに、早く行ってくれと思いました。あれ以上待ってたら山田さんも駆けると思うので。前にいたら何とかなるかなと思ったし、それでまくられたら自分の脚がないだけなんで。よかったです、(ラインで)決まって」
 けん制した山田の内をすくう形になった桑原大志は3着入線にも硬い表情。
 「見てくれが一番でしょう。(内じゃなく)その外を回す…、うーん。全部、自分の技量のなさなんで。でも(山田の)おかげです。(新車やシューズの感触を判断するには)ちょっと余裕がなかった。(3着に入ったのは)完全に展開なんで」