『防府競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:11月5日

 防府競輪開設68周年記念「周防国府杯争奪戦」は11月5日に最終日を迎えた。12レースに行われた決勝戦は新山響平、猪俣康一が単騎で戦う超細切れ戦。青板2コーナーからハイペースで逃げる稲毛健太を打鐘過ぎ2センターから新山がまくるとうまくこの動きに切り替えた和田真久留が直線鋭く抜け出して嬉しい記念初優勝を飾った。
 なお、9RのS級ブロックセブンは日当泰之の逃げに乗った高橋大作が好展開を生かして快勝した。

決勝戦 レース経過

 号砲で単騎の猪俣康一がスタートを取って正攻法に構える。以下は単騎の新山響平、太田竜馬-松浦悠士、和田真久留-和田健太郎、稲毛健太-松岡健介-村上義弘の並びで落ち着く。
 後ろ攻めの稲毛が、青板前から上昇。先に動いた和田真を青板の1センターで押さえて先行策に出た。そのまま別線を警戒しながら、ハイペースで風を切る。最後方で戦況を見ていた新山は、打鐘の2センターからスパート。軽快なスピードで前団に迫ると、番手から踏み上げた松岡を最終バックでねじ伏せる。和田真は最終2コーナーから新山後位にスイッチ。2センターから車を外に持ち出すと、直線で追い込んでV。2着には村上。目標がまくられる苦しい展開も、直線で鋭く伸びた。単騎で力勝負を挑んだ新山だったが、あと一歩及ばず3着。

和田真久留選手
和田真久留選手

 「嬉しいです。よかったです」。表彰式を終えて検車場に戻ってきた和田真久留(写真)は笑顔で記念初優勝の感想を口にした。主導権を握る近畿勢の後ろを取れた時点で優勝の確率はかなり高くなったはず。それでも「稲毛さんもハイペースでキツかった。いつ単騎の選手が飛んでくるかわからないし、余裕はなかった」。先に動いて位置を取った和田真も脚力を消耗していた。そこに打鐘過ぎ2センターから仕掛けてきた新山が迫って来たが、和田真は俊敏に新山を追いかけた。
 「新山(のスピード)と松岡さんが出て行くのか。そこを見極めて和田(健太郎)さんとゴール前勝負と思った。来なかったら松岡さんより前に仕掛けるつもりだったので、すぐ反応できました」
 9月青森記念の落車で鎖骨骨折。今回は1カ月ぶりの実戦だったが、「1カ月充実していた。休養や見つめ直すこともできたし、それが大きく影響した」と初日からブランクを感じさせない走りを見せていた。さらに過去4走で2度の優勝実績がある防府競輪場との相性も和田真に味方した。
 「これからは競技でも競輪でも結果を出せれば。そこは追い求めていきたい。(記念初優勝で)気持ちのなかでひと区切り。これから新しい一歩を踏み出せると思います」
 記念優勝を足がかりに、次はビッグレースでも。これからも和田真は一段ずつステップアップしていく。

 松岡健介が新山、和田真を合わせ切れずに後退すると、村上義弘は和田健をさばきながら踏み込み2着に食い込んだ。
 「健太が気合いを入れて頑張ってくれた。ただ(新山が)強かったです。うまく健介が新山の後ろに入れればと思ったんですけどね。そこからは健介を見ての判断になりました」

 打鐘過ぎ2センター、9番手から仕掛けた新山響平は3着。単騎でも十分に見せ場を作ったが、惜しくも優勝はならなかった。
 「座り直さなければ…。出切って2センターで座り直さなければタレなかった。あれでそれまで骨盤が入っていたのがおかしくなったので。今日は詰まったら行こうと思ったけど、なかなか詰まらなくて。太田が内に行って戻ってきたので、ここしかないなと思って行ったら意外と伸びた。自力を出せてよかったです」

 和田真マークの和田健太郎は一瞬の判断ミスを悔やんだ。
 「一瞬迷っちゃった、内に行こうか。地味に締めてもいたし。ミスった。新山がまくっていって、真久留が付いて行ったのにもったいなかった。2(着)か3(着)にはなれた」

 新山の仕掛けを追いかけられれば、太田竜馬にも記念初優勝のチャンスはあった。
 「(新山が)来るとは思わなかった。もったいなかった。また次頑張ります。焦ったわけじゃないので」

 松岡健介は「何とかしたかったですけど…」。稲毛の頑張りに応えることができず肩を落とした。