『小松島競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月6日

 小松島競輪場で開催の開設73周年記念「阿波おどり杯争覇戦(GIII)」が7月6日に始まった。初日特選はカマした犬伏湧也の番手に飛び付いた郡司浩平が有利に抜け出して勝利とS班の貫禄を示したが、一次予選は川口雄太が1着を取ったのを皮切りに地元勢が大暴れ。6、9、11レースでは地元ワンツーが決まるなど参加11選手のうち、10名が二次予選へと駒を進めた。7日は二次予選7個レースをメインに準決への勝ち上がりを競う。
 記念シリーズは開催中の毎日、場内でのYouTubeLIVE「公開放送&予想会」、選手会徳島支部の物販ブース、キッチンカーなどのイベントが予定されています。小松島競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 赤板で三浦貴大が切り、すかさず金ヶ江勇気が押さえる。中島詩音はワンテンポ置いてから勢いよく仕掛けて打鐘手前で九州勢を叩く。ライン3車で出切った関東勢のペースで、宿口陽一(写真)が展開有利に中島を差し切った。
 「中島君はS級初戦で良いレースを見せることが大事だったと思うし、良いレースをしてくれましたね。僕はできる限り仕事をしようと思っていたし、(ラインの)3人でいい形になったと思う。彼(中島)はオーバーペースだったのでタレてきていましたね。自転車はセッティングをいじったので、いい方向に向いてくれれば。(競走間隔が詰まり)体にきつさは感じるけど、気力で頑張る」
 直線で中島と宿口の間を踏んだ中田健太が2着に突っ込み、宿口にタイヤ差まで迫った。
 「(中島)詩音君が先行で組み立ててくれたけど、(単発レースを除く)初の9車でオーバーペースでしたね。ラインでワンツースリーが決まるように内をこられないようにしていた。思いのほか、自分の調子が良くて、自転車もあそこまで進んだ。あれだけ進んで脚色はいい。高知から使っている自転車がしっくりきていますね」


<2R>

河端朋之選手
河端朋之選手
 スタートで前を取った近畿勢が赤板で木村弘を突っ張る。周回中に4番手の位置取りだった河端朋之(写真)は踏み遅れることなく近畿勢を追って中団をキープ。谷和也がハイペースで駆けて隊列は一本棒のまま最終周回に入る。山本伸一が車間を切って態勢を整えようとしたタイミングで、河端は最終2コーナーからまくり上げる。スピードの違う河端に山本は対応できない。あっという間にまくり切った河端が押し切った。
 「本当は前からと思ってたけど、(スタート争いで)山本さんが内に差してたんで中団からになった。様子を見ながらだったんですけど、(谷が)残り3周くらいから突っ張る素振りを見せていたので、そうなったら4番手は死守しないとなって思ってました。自分だけアクションを起こさずに4番手を取れたのが大きかった。山本さんが車間を切った時に詰まったんで、その勢いのまま行きました。脚を使ってないんでなんとも言えないですけど、1着を取れてるんで悪くないです」
 河端の踏み出しに一瞬口が空いた池田良だが、山本のけん制をこらえて2着に続いた。
 「河端さんに全部任せて、自分は付いて行っただけです。谷君が前を取って突っ張るとは想定してなかったし、想像以上にやる気でしたね。(河端の仕掛けに)ちょっと口が空いて苦しかったけど、しのいだ形ですね。(調子は)前回よりは良いかな。久留米が終わってから、今までと全く違う方法で練習をやってきた」


<3R>

 田川翔琉が赤板で切って、晝田宗一郎は山岸佳太にフタをしてから打鐘で叩く。田川は車を下げ切らず、晝田の番手でイン粘りに出る。これで隊列が短くなると、山岸が最終ホーム目がけて一気にカマシ先行。ライン3車できれいに出切ると、4番手以降は車間が空いて別線に勝機はない。杉本正隆が山岸をゴール前で差し切った。
 「イメージ通りの走りをしてくれたし、ベストのレースでしたね。追走も大丈夫ですし、風も気にならなかった。自分の状態も問題ないです。(山岸が)強かったし、いいタイムも出ていると思います」
 混戦をカマした山岸佳太が2着も、レース後は苦しそう。
 「先行していないツケがでましたね。バックは練習のイメージ通り踏めた。杉本さんは脚があるし、抜かれると思いました。僕は200勝がかかっていたんですけどね。あの展開も考えていたけど、無理やりでも行こうと思っていました。(状態は)悪くはないけど、もうちょっと刺激が欲しいです」


<4R>

林大悟選手
林大悟選手
 赤板で川越勇星が切って、近藤翔馬が2コーナー過ぎに叩いて先制する。出切った近藤がそのままペースを上げるが、林大悟(写真)は打鐘で仕掛ける。林がスピード良く前に迫っていくと、番手の瓜生崇智は離れてしまう。最終ホーム過ぎに先頭に立った林がそのまま後続をぶっ千切って圧勝した。
 「いつも通りのレースをしようと思ってたけど、前からになっていきなり展開が狂いましたね。近藤君がどんなレースをするのか分からなかったけど、その中で自分のレースをしようと。(仕掛けてから中団に入るか)迷ったんですけど、そこでいつもモタモタしちゃうんで、ここ最近の反省を生かしてそのまま行きました。前回は点数を下げられないとか意識をしてしまってたけど、今回は力を出し切ることだけに集中できた」
 後方に置かれた川越は最終2コーナー過ぎからまくり上げる。3コーナーで川越の外を踏んだ嶋津拓弥に、内から伸び勝った柿沼信也が2着に入って3連単は15万円オーバーの高配当となった。
 「嶋津君と、川越君を信じて3番手で付いてました。もう千切れないようにとか、動きに離れないようにってことだけ集中してたし、前の2人のおかげ。いつもより伸びたけど、内に行ったからだと思う。前回よりも感じは良かったけど、3番手の仕事とか、自分はまだまだなんで」


<5R>

 渡邉豪大が赤板で坂本貴史を押さえるが、坂本はすんなりと引かずに2番手内で併走する。その上を横関裕樹が切って、すかさず打鐘過ぎに叩いた林昌幸の先行。最終2コーナー過ぎに7番手から仕掛けた坂本や、3角から外を踏んだ横関が前に迫っていくが、林マークから4コーナーで前に踏み込んだ川口雄太が直線で抜け出して地元記念で白星発進を決めた。
 「林君は初連係だったけど、良いレースをしているのは知っていたので、すべてお任せでした。ホームの向かい風を突っ切るくらい掛かっていて、バックでは(ラインの)3人で決まると思いました。横関さんが来るか、来ないかで、ワンテンポ、ツーテンポ待ったけど、のみ込まれてしまうと思って前に踏んだ。ここに向けて準備してきたけど、思った以上に仕上がっている。昨年は二次予選で敗退したので、明日(2日目)が勝負ですね」
 勝負所で切って好位を確保した横関裕樹は、最終3コーナーから外を踏んで2着。
 「車番とメンバーで難しい並びになってしまいました。(最終)2コーナーで行けると思ったけど、行けなかったですね。川口君は余裕がありそうだったので、(ブロックに)捕まってしまいそうだったので。最近だと、弥彦が一番良くて、久留米も1日目、2日目は良かったけど、3日目、4日目は良くなかった」


<6R>

久田裕也選手
久田裕也選手
 前受けの川口聖二は、赤板前に早めに上昇してきた久田裕也(写真)を受けて誘導を残したまま車を下げる。すかさず伊東翔貴が押さえ、北日本勢に切り替えた川口は中団外で四国勢と併走になる。中団のもつれを見た伊東が徐々にペースアップして北日本勢の主導権。4番手内に封じ込められた久田は、最終1コーナーで川口をどかすと、2コーナー過ぎに仕掛ける。2センターで伊東をとらえた久田が押し切った。
 「ジャンで川口さんが叩きにいくと思ったけど、4番手を取りに来たんで、ここだけは引いちゃだめだと思った。高市(訓但)さんまで決められなかったのが悔しいですね。まくれると思ったんで、番手の人にヨコに当たられないようにだけ気を付けた。前半のレースだったし、ここで1着なら後の先輩方も良い着を取れると思って走ったし、良かった」
 久田マークの木村隆弘だが、呼吸が合わずに仕掛けに離れてしまう。それでも冷静に態勢を立て直すと、直線で追い込んで2着にリカバリーした。
 「(久田が)中団を取ってくれたんですけど、併走になった時に1コーナー、2コーナーでバックを入れてしまってハグれた。自分の追走技術のなさが出たし、反省点ですね。脚の調子自体は戻ってきてて余裕もあったので、2着まで来れたと思う。感じ自体は去年の良かった頃に戻ってます」


<7R>

 城戸俊潔が前受けで、中団に窓場千加頼、野口裕史が後ろ攻めで周回中の隊列が整う。野口が動き出すと、中団から窓場も合わせて上昇を開始。だが、城戸も切らせまいと踏み上げる。赤板から3車で踏み合いになりペースが上がるが、最終的には野口が叩き切って主導権を奪う。一旦6番手に下げて態勢を整えた窓場は、最終2コーナーから仕掛ける。合わせてまくって出ようとした城戸の上を乗り越え、南関勢もまくり切る。最後はマークした椎木尾拓哉が差し切った。
 「信頼して付いていたし、みんなが脚を削っていてきつい所を行ってくれました。自分も対応できていますね。前回が不甲斐なかった分、気合いを入れて頑張る。今回から新車なんです。練習でも良かったので、それで来ました」
 一旦は突っ張られた窓場千加頼だが、その後しっかりとリカバリー。最近の好調ぶりを強く印象付けた。
 「赤板から消耗戦だったけど、(体が)反応した所で踏んでいった。城戸君が苦しいと思う所を先に仕掛けられた。二の脚、三の脚がついてきたと思う。苦しい時でも振り絞って出し惜しみしないっていうのをやっています」


<8R>

 松岡篤哉が嵯峨昇喜郎を切り、打鐘目がけて踏んだ蒋野翔太が勢いよく先制する。蒋野がハイペースで飛ばして、中団の松岡は車間が空いてしまう。最終ホームで仕掛けた嵯峨がどんどんと前との距離を詰めていき、山本奨のけん制も乗り越える。嵯峨が2センターで出切ると、マークの横山尚則は惰性をもらったまま前に踏み込んで直線で抜け出した。
 「前(と車間)が空いてるのは分かったんですけど、嵯峨君がホーム目掛けて踏んでくれたので。嵯峨君はタイミングを見ながら、自分の踏む場所を見極めながら踏んだり流したりしていて、自分はその技術で付いていて一杯です。ジャン過ぎくらいがかなりきつくて、まくり切ってからは余裕がなくて(嵯峨を)残し切れなかった。嵯峨君の強さが光ったレースだと思います」
 松岡篤哉は中団で口が空き、嵯峨に上を行かれてしまう。だが、嵯峨ライン3番手の江連和洋が離れたのを見ると、横山にスイッチ。外を伸びて2着を確保した。
 「蒋野君が予想外に踏んだんできつかったですね。嵯峨君が仕掛けてきた時に江連さんが離れてるのが見えて、そこにスイッチしてなんとかって感じです。脚はたまってたし、感じは悪くない。街道練習を増やして、それが自分に合っている」


<9R>

久米良選手
久米良選手
 じわりと押さえた内山雅貴に対して、前受けの島川将貴は誘導を残して車を下げ切る。太田龍希は仕掛けたかと思いきや、一旦車間の空いた3番手に降りる。関東勢を追った島川は、太田が休んだ上を躊躇せずに打鐘で仕掛ける。最終ホームでライン3車で出切った島川が別線を封じて、番手の久米良(写真)がゴール前で差し切った。
 「前からは想定内だったけど、赤板の動きで島川君は自分で踏みあげないといけなくなった。でも、よく行ってくれましたね。ためらうポイントだった。島川将貴に尽きる。後輩だけど、アイツの背中を見てやってきた。点数は関係なく、島川将貴なんですよ。緊張で脚に張りがある感じはあったけど、抜きにいく時は大丈夫でした。失敗できないっていうところの緊張感でしたね」
 タイミングを逃さず仕掛けた島川将貴が粘って地元ワンツー。3着にも佐々木則幸が入ってライン上位独占が決まった。
 「太田君の動きを見てからでした。引いてからいつもなら迷ってしまう所を思い切って行けた。そこは良かったです。自分で立ち上げる感じだったので、流れる感じもないし、重く感じました。良くないですね。自転車との一体感がない感じなので、そこはセッティングを含めて修正したい」


<10R>

 赤板で伊藤颯馬を切った池野健太ラインに、山梨勢と単騎の早坂秀悟が続いて伊藤は7番手まで車を下げ切る。前と車間を切ってタイミングを取った伊藤は打鐘過ぎ2センターから一気に仕掛ける。合わせてペースを上げる池野を最終1コーナーであっさりととらえた伊藤が後ろを突き放し、そのまま悠々とゴール線を駆け抜けた。
 「前からと思ってたし、ジャンからホームぐらいのまくりを考えてました。ちょっとタイミングが遅かったかなとも思うけど、叩き切れたので。叩き切って、ちょっと(後ろが)離れてたんで自分のペースで踏みました。久留米と変わらず調子は良いと思います」
 小林令は伊藤の仕掛けに合わせて、中団から伊藤マークの園田匠に飛び付く。園田はさばかれて、小林も内山貴裕に絡まれて伊藤を追えない。逃げた池野健太は車間が空きながらも伊藤を追って2着に入った。
 「想定通りでした。すかさず(小林)令が切りに来るなら踏んでから出させて、飛び付かせるように誘導しようかと思ってました。来なかったんで、自分で踏んでいった感じです。僕と令で脚を削り合ってもしょうがないし、強い人を後方に置くレースができたと思う。しっかり前で踏んだ結果だと思います。前回は着を叩いたけど、今回はフレームを戻して感じが良い」


<11R>

小川真太郎選手
小川真太郎選手
 赤板で太田竜馬を切った青柳靖起が先頭に立つ。太田は7番手まで下げ切ると、打鐘2センターから仕掛ける。青柳もペースを上げるが、太田が最終バックで力ずくでねじ伏せる。太田マークの小川真太郎(写真)が好展開を生かして差し切った。
 「無理やり行ってくれたんで太田らしくなかった(笑)。あの辺から踏むのかなって思っていた。踏み出しを合わせればいけるのかなと。付いていけてよかった。感じはすごく良くて、抜きにいく時も楽にいけた。太田がブロックをもらってたのもありますけど。緊張はしていたけど、いつもより軽かったし集中ができていた。自転車もいいので、あとは体のケアをして」
 長い距離を踏み切った太田竜馬からは、仕上がりの良さがうかがえる。
 「シンプルに駆けた方がかたいのかなって。踏んだ感じのペース配分は良かった。スパーンといけてはいないけど、悪くないですね。〝もしかしたら〟とか、変な緊張はしましたね。最後もペダリングがぐちゃぐちゃにならなかったです」


<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 郡司浩平(写真)は周回中に6番手からレースを進める。郡司は4番手の犬伏湧也にフタをして赤板1センターから踏み上げて前に出る。外が開けた犬伏はすかさず巻き返すが、小倉竜二が離れて犬伏には郡司がハマる。犬伏に若干口の空いた郡司だったが、最終3コーナーから車間を詰めていくと、直線で抜き去って激戦を制した。
 「色々考えたなかであの位置からのスタートになりました。犬伏君中心のレースになると思ったし、三谷(竜生)さんと脚を使い合わないようにと思ってました。(切ってから犬伏が)すかさず来ると思ってたので、ムキにならずに、ハマってもそこから(仕掛けて)いけるようなペースにはしていました。一回脚を使ってるんで苦しかったけど、行くべき所で行けているので。苦しかったけど、良いタイムが出ていると思うし、あとは感覚だけ戻せれば」
 内藤秀久が郡司に続く。レース後は後輩の立ち回りに感心しきりだった。
 「絶対に前は取らずに、後ろからでも良いと思ってました。1番車でも位置は気にせずにああいうレースができるっていうのは心強いですよね。(郡司は)ああいう動きで勝ち切るのはさすがSSですよ。(自分は)余裕はあったけど、最後にもたつくのは課題ですね。若干のセッティングの修正が見えたので、日に日に良くなれば」
 単騎の松浦悠士は、赤板過ぎに切ろうと動いたところで郡司に仕掛けを合わされる。6番手から仕掛けて3着には入った。
 「郡司君が後ろ攻めだったので、(犬伏に)フタするのかなと思って切りに行ったけど、ちょうど(郡司が)踏んだので切れなかったですね。(犬伏の先行で)スピード的にあそこからガツンとは上げられないので、じわじわと踏んでいった感じです。アップの感触ほど良くなかったですね。アップは良かったけど、脚見せでダッシュした時にあれって感じだった。アップと同じくらいには感触を上げたい」