『小松島競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月3日

 小松島競輪場開設75周年記念「阿波おどり杯争覇戦(GIII)」は、7月3日に初日が行なわれた。メインの特選レースはやり合う前団を一気にまくった森田優弥が勝利。3連単12万円のビッグ配当が飛び出した。また、地元勢は小倉竜二、阿竹智史の師弟コンビと久米良が一次予選を1着でクリアした。4日は二次予選7個レースで準決への勝ち上がりを競う。
 記念開催中は毎日、「YouTube Live」公開放送・予想会、選手会徳島支部物販ブースなどが予定されています。小松島競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 1番車の道場晃規が最内枠を生かして前受けから組み立てる。赤板前からじわじわと上昇した片桐善也が1センターで先頭に立つと、佐伯亮輔は4番手に追い上げて中団を確保。道場は7番手まで下げたが、打鐘の2センターからすかさず巻き返す。浦川尊明のけん制を乗り越えて1コーナーで先頭に立った道場を、番手で絶好の展開になった東龍之介が交わす。
 「けん制が入るようなら前からの組み立てでした。佐伯君が内に切り込む形でそこは誤算だったんですけど、道場君が落ち着いていたし、しっかり立て直してすかさず仕掛けてくれました。さすがでしたし、脚があるなと。1回目の煽りと、その後、浦川さんも持ってきて、そこは追走に集中していましたね。バックはあまり来ていない感じでしたし、そこは自分も落ち着いていたかなと。1レースで遠征もあったので体は硬い感じがしましたけど、幸先いいスタートを切れたかなと思います」
 道場晃規はバック数が減少し、逃げの決まり手がなくなっていたが、積極的な走りで2着に逃げ粘る。前検日に語っていた通り、前回のGIで番手回りを経験したことがレースで生きているか。
 「佐伯さんが切った上を行こうと思っていたんですけど、片桐さんもペースを上げて(中団を佐伯に)入られてしまった。煽りもあって脚を使ってしまったんですけど、出切ってからは後ろを信頼して踏みました。人気になるのも分かっていたので悔しいですけど、ある程度踏めていたし、レース内容としては良かったかなと思います」


<2R>

山岸佳太選手
山岸佳太選手
 正攻法からレースを進めた山岸佳太(写真)。後ろ攻めの半田誠に、川口雄太の順番で動いた所を土生敦弘が打鐘過ぎに叩いて先行態勢へ。山岸は中近勢の動きを追って3番手を確保すると、巻き返してきた半田を張ってからその勢いのままタテに踏む。伊藤裕貴のけん制も乗り越えた山岸は恩田淳平を振り切って好発進を決めた。
 「理想とは違う形でしたけど、行くところをしっかりと思っていました。ホームで半田君が来てけん制をしてから、詰まったところから行きました。今回は右に持ち出してダメでも仕掛けるっていうのをやりたい。6月はできなかったので。次のサマーナイトもありますから。組み立てはへっぽこでしたけど、車は出ている。久しぶりに踏めていますね」
 恩田淳平は山岸の動きにぴったり続いて追走技術の高さを見せた。
 「(伊藤のけん制があり)2コーナーは登らされながらでしたけど、山岸さんなら乗り越えると思って追走していました。3コーナーは持ってこられない位置を回って力のない自分は苦しかったです。(GIでは)足りないことだらけだったし、追い込んで練習してきて筋肉痛はあるけど、しっかりと勝ち上がらないといけないと思っていました」


<3R>

稲川翔選手
稲川翔選手
 後ろ攻めの渡口勝成が赤板過ぎに勢い良く前に出る。福永大智が中四国勢を追い4番手を確保し、菅野航基は前受けから下げて7番手で打鐘を迎える。渡口が徐々にペース上げていくが中団を確保した福永は2コーナー付近から抜群のスピードで前団をのみ込む。追走した稲川翔(写真)は約2カ月ぶりの実戦だったが、決め脚は健在でしっかりと交わした。
 「中団を取れたので、あとは全て任せていました。(久しぶりのレースで)もうレース勘というような年齢でもないですけど、思ったよりも緊張しましたね。ただ、同県の後輩と走れたし、集中はできました。(二次予選に向けて)久々なのでレースの疲れが出ると思うし、クールダウンをして見直すところは見直したいですね」
 福永大智は中団確保の動きと、仕掛け所を逃さずにまくりにいき、隙のない立ち回りを見せたが、求めているレベルは高く満足していない。
 「流れを見て仕掛けようと。渡口さんが切った時に(菅野が)下げたので中団でいいかなと。道中のペダリングは思った感じにならなかったし、なかなかうまくいっていないですね。前は仕掛けるポイントが明確に持てていたんですけど、なくなっているし、今日(初日)もバックを取れていないので内容的には満足いっていないですね。少し自転車をいじりたいところが見つかったので修正してみます」


<4R>

 赤板過ぎに誘導を切りにいった松本京太。そこを内藤久文が押さえて出ていくが、中団に入った松本は打鐘からすかさず巻き返して主導権を奪う。前受けから下げた島川将貴はホーム前から仕掛けていくが、吉田健市のけん制や、白戸淳太郎にもからまれてなかなか前に出切れない。松本のスピードが落ちてくると、マークの松坂洋平が自らまくり出て1着をつかんだ。
 「松本君は中団にはまってからもジャンから行ってくれましたね。脚を使っていたし、一杯そうな感じもあって、島川君が見えてちょっと振りながら前に踏ませてもらった。松本君の先行を無駄にしたくないし、白戸さんとワンツーで良かった。最近は自分で動くようなレースもあったし、そういう準備もしています」
 ベテランの白戸淳太郎はS級復帰初戦にも、島川を張りながら松坂をぴったりと追走して経験値の高さを見せる。
 「3コーナーから2センターは被っていたけど、4コーナーを回ってホッとしました。2着で御の字ですね。(状態は)いい感じではないんですけど、いいと言ってもそれも知れているので。味方に迷惑をかけないように頑張ります」


<5R>

久米良選手
久米良選手
 後ろ攻めから上昇した小松崎大地は佐藤壮志を制してしっかりと前に出切る。佐藤が中団に収まると片岡迪之は打鐘前2コーナーから一気のスパート。佐藤の巻き返しは久米良(写真)が外に振って勢いを止める。バックからまくってきた小松崎も前に迫るまでには至らず、ゴール前は久米が余裕をもって交わした。
 「最初から最後まで片岡さんに任せっきり。スタートもそうですし、ジャンのところで仕掛けてもらってありがたいですね。ひと仕事しなきゃいけないなと思いましたし、ちょっとはできたのかなと。地元記念に向けてやってきて、いい形にもってこられたのかなと思います。新車も練習の時と違和感もなかったですし、伸びも良かったですね」
 片岡迪之は今期から初S級の佐藤壮志らがいる中でも打鐘前から仕掛ける積極的な競走を披露した。最後まで力強く踏んで2着に粘り、状態は良さそう。
 「行くタイミング的には良かったのかなと。最近、行けてない距離でしたけど、2着に残れたし、最近の中ではいい方かなと思います。地元勢も連れていけたし、それも良かったですね。疲れがある感じはしましたけど、戦える状態まで持ってこられているとは思います」


<6R>

尾方祐仁選手
尾方祐仁選手
 前受けの鈴木薫が先頭員との車間を空けると、小川丈太が上昇して後ろに入り、そのまま先頭に立つ。松本秀之介は打鐘をめがけて前を切りに行くが、尾方祐仁(写真)が松本の勢いをもらってスピードを乗せ、一気に主導権を奪う。鈴木が3番手に追い上げてきて、岐阜勢の後ろで松本と併走。位置取り争いは松本が制したが、軽快に踏んだ尾方が逃げ切りS級初戦で初勝利を挙げた。
 「先に走っていた同期が9着とか、8着だったので、それよりは数字をと思っていて、ダメでもしっかりした走りをと思っていた。(仕掛け所は)ここしかないと、自信をもって行って出切るまでは完璧だったけど、出切ってからは自信がなかった。長い距離を踏む練習はしていたんですけど、A級でも自信がなくて出せなかったが、(今日で)自信になりました。この1着はむちゃくちゃうれしいです。(S級に上がって)どれくらいで1着を取れるかなと思っていたんですけど、(昇級1走目の)初日に取れたのは大きいです。(今後は)自信をもって行けるタイミングでしっかり行くのを大切にしたい」
 松本秀之介は3番手の位置取り争いを制し、2センターからは内に潜って尾方の後位に入るが、交わすことはできなかった。
 「出てみてからでしたけど、ジャンの切り方が変になって踏むタイミングも半端で(3番手を)一旦(鈴木に)入られた。そこはしっかり3番手に飛び付かないといけなかったです。(中団争いで岐阜勢に)楽なレースをさせてしまった。先月、感じが悪かったので、今回から新フレームです。セッティングがしっくりきていないので、乗りやすくしたい。(フレームの)軽さはあるのでしっかり対応したい」


<7R>

 後ろ攻めの才迫開が上昇するが、近藤夏樹が突っ張って前に出させない。一旦、ペースが落ちたところから棚瀬義大が打鐘の3コーナーをめがけて仕掛ける。この動きに反応した木村弘がすかさず巻き返して最終ホームでは棚瀬を叩き切って先行。番手の佐藤慎太郎は別線の動きを警戒しながら最後はきっちり交わした。
 「(木村)弘が頑張ってくれたし、いいレースをしてくれた。GIと比べればですけど、少しは余裕もありましたね。もう少し引き付けて抜きにいってもよかったけど、勝ちに飢えているし、キッチリ抜いてお客さんに喜んでもらおうと。しっかり疲れを抜きたいですね」
 木村弘は仕掛け所を逃さずに主導権を奪い返し、3番手の荒澤貴史までラインを上位独占に導いた。
 「棚瀬君が行ってくれたし、展開的には良かったですね。脚はたまっていなかったですけど、出切ってからは3人の勝負になるかなと。振り切りたかったし悔しいですけど、スピードの乗りは悪くなかったと思います。組み立てが甘すぎるので、隙を与えないような走りを二次予選はしたいですね」


<8R>

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 金澤竜二、荒木貴大の順番で動いたところを長屋秀明が打鐘で先頭に出るも、太田竜馬の巻き返しも早い。太田は抵抗する長屋を最終2コーナーではのみ込み、番手の阿竹智史(写真)が絶好の展開を生かした。
 「太田はタイミング良く仕掛けるから呼吸は合うし、さすがの仕掛け。ホームは(長屋に)踏まされたのかなと。自分の体調が良ければ、車間を空けてからワンツーができると思うけど、それができなかった。今日(初日)は太田が長い距離をいってくれたおかげです」
 掛水泰範は地元勢の後ろを追走。長屋にからまれそうにはなったが、併走をしのいで直線は外のコースを伸びた。
 「地元に迷惑かけないようにと思っていました。最後に長屋君にからまれたと思うけど、(長屋は)もう脚は残っていないような感じでしたから。反応は問題ないですね。でも軽く感じないですし、暑さが堪える。(自分の状態は)こんなもんですね」


<9R>

佐藤博紀選手
佐藤博紀選手
 梁島邦友が赤板の1コーナーで誘導を外しにいき、そこを中西大が打鐘前に押さえて先行態勢へ。近畿の後ろに久保田泰弘が追い上げると、中団は梁島と併走になる。久保田は外併走からまくっていくが、東口善朋のけん制で失速。前受けから後方まで引いた佐藤博紀(写真)は最終2コーナーからのスパートで大外を踏んでいきゴール前で近畿勢をとらえて通算300勝の勝利を飾った。
 「守澤君が付いてくれていたし、直前まで緊張してしまって。タイミングも一歩も二歩も遅くなってしまって、無理矢理踏んでいる感じでした。無我夢中でしたね。(木村)弘も(佐藤)慎太郎さんの前でいいレースをしていたし自分も頑張らないといけないって思っていました。300勝は全然意識をしていなかったですし、いつも1着を取れたらいいなという気持ち」
 守澤太志は後方になった佐藤の仕掛けに続いて直線では中のコースを踏み北日本ワンツーが決まった。
 「(佐藤は)脚もたまっているだろうし、一発いくんだろうなと。ただ、3コーナーの煽りもあったし博紀もだいぶ外を踏んでいたので、その外は厳しいですし自分のコースを確保して。セッティングはけっこういじったんですけど悪くなかったですし、また微調整してみます」


<10R>

 前受けの浮島知稀が赤板で藤井侑吾を突っ張り前に出させない。浮島はそのまま先行態勢に入るが、内から今野有樹が志村太賀の位置を狙いにいく。志村は番手を守りきるが脚力を消耗する。単騎の米嶋恵介は最終2コーナー前から藤井よりも前の位置から仕掛ける。米嶋はまくりきったが、追っていた藤井が外を伸びる。
 「前が取れなかった時はああいうレースになるかなというのはありましたし、突っ張られたら戻っていけるところからでした。今野が志村さんのところにいったので、その動きを見ていて反応が遅れて、後手後手になってしまった。(米嶋と)行くところが被ってしまって、ついていって最後に追い込みに。久しぶりに(決まり手に)差しがついた。暑いせいか、動きは悪いけど、あとは気持ちの問題だと思います」
 中四国の3人は連係せずにそれぞれが単騎のレースになったが、3人とも持ち味を発揮した。タテ脚勝負に出た米嶋恵介の動きは光っていた。
 「ワガママで(中四国)別線になって、単騎ですし、シビアなレースをしたかったんですけど、ホームで(藤井が)来ていなくて、もう、決め打ちで(まくりに)行きました。自分の感じはいいんですけど、(藤井に)サーっと行かれましたね。脚力差を感じました。前期のA級でも自力で思ったように走れずに見つめ直してS級で(自力を)できたのはよかった。鎖骨に入っていたピンを抜いて少し戻っている」


<11R>

 前受けの西田優大は上昇してきた鈴木謙太郎を突っ張ると、鈴木は8番手に戻り、隊列は初周と同じ形になる。西田がペースを上げていって最終バック前で一本棒。4番手から仕掛けた上遠野拓馬はなかなか車が前に進まない。地元の小倉竜二は番手で絶好の展開を生かした。
 「誰も出ないようなら前から突っ張る感じだったので、その通りやってくれましたね。ペースでしたし、来にくい感じのペース配分だったと思います。地元バンクなので走り慣れているのはあるし、その分、不安なく走れましたね。このままの感じでいければいいんですけど、ハイスピードのカマシとかになった時にどうかですね」
 西田優大は地元の2人を連れて前受けから別線を出させない圧巻の逃走劇でラインで上位を独占した。
 「最初は前中団が良かったんですけど、誰も出なかったので。あとは周りの動きを見ながら突っ張りました。(練習中の落車で)不安はありましたけど、思ったよりは動けたかなと思います。自分のペースでいけたのも良かったですね。明日(2日目)に向けてケア中心で備えたいですね」


<12R>

森田優弥選手
森田優弥選手
 青板のバックから上昇した森田優弥(写真)は赤板1センターで誘導を切り、そこを松井宏佑が出て先行態勢に。森田は南関勢を出す一方、追ってきた嘉永泰斗を張って好位を確保する。犬伏湧也が打鐘から勢い良く巻き返すと、松井も合わせて踏み、前団は激しい主導権争い。森田は中四国後位にいた古性優作を張ってから前に踏み、最終バックで前団をとらえる。追走した杉森輝大を振り切り激戦を制した。
 「まくれてよかったです。単騎勢に入られたら厳しいので、そこはできるだけこだわった。(脚は)たまっていないが、前2人が踏み合って消耗していたので、なんとかです。暑くて集中力がもたないけど、なんとか。(鎖骨骨折から)走るたびに動きは戻ってきているなと思います。痛みはないけど、あとはバランスの問題ですね」
 杉森輝大は森田の縦横無尽な立ち回りにしっかりと追走した。8分の1車輪差まで詰め寄ったが、森田に強さに舌を巻く。
 「(森田が)とにかく強かった。追走だけしっかり離れないようにと。今回からシューズをまったく違うものしてセッティングも試しているけど、力が伝わっていない感じがするので修正したい。体は問題ない」
 関東勢が出切って犬伏が後退していくと、松浦悠士は最終2センターから前に踏み3着に入った。
 「まさか、あんなに踏み合うと思わなかった。犬伏君が厳しくなった時に入れるか、どうかのイメージをもって追走することはできた。脚の感じはいいですね。(森田と)スピード差はあったけど、古性君は伊東のウィナーズカップであれ(眞杉のまくり)を止めているので、意識をしてしまいますよね。脚はモノ足りないが、余力はありました。お客さんに赤パンが似合っていると言われたし、気分も高揚します」