『小松島国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)レポート』 初日編

配信日:3月23日

 小松島競輪場で第6回「国際自転車トラック支援競輪(GIII)」が開幕した。「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」は竹内公亮、須永優太が快勝。国際自転車トラック競技支援の特選は最終ホームからカマした山田英明が制した。2着権利の予選では根田空史、阿竹智史がともに3着に敗れる波乱もあったが、地元勢からは木村隆弘、北村信明が1着で準決勝進出を決めた。
 2日目は北京オリンピックにも出場した元バドミントン選手の小椋久美子さんのトークショーが。選手会徳島支部のトークショーや井上薫氏、山口幸二氏による解説者トークショーも引き続き行われます。2日目もぜひ小松島競輪場へご来場ください。

<1R>

竹内公亮選手
竹内公亮選手
 周回中の隊列から動きがないまま打鐘で誘導員が退避すると、前受けの吉川誠がそのまま主導権を握る。4番手の根本哲吏は2コーナーからまくり。粘る吉川を直線で飲み込むと、この動きに続いた竹内公亮(写真)が抜け出した。
 「根本君が前受けなら後ろの後ろになりそうだったけど、やった根本君が前だと思った。絶対カマシかまくりがあるだろうから、そこからと。地区プロにも出たことない一番の素人だと思うけど、よかったです。脚にも余裕があったし、勝てて嬉しいです」
 まくった根本哲吏は2着に。
 「緩んだら行こうと思ったけど、吉川さんは結果、俺待ちかもと思った。それに緩まなかったんで。長い距離はいいけど、やっぱり立ち上がりに不安がある。2走目も頑張ります」
 逃げる吉川の番手になった福島武士だったが、大事に行きすぎて根本の仕掛けにかぶってしまった。
 「自力を出したかったですけどね。バックで緩んだけど、吉川さんは流しよんかなと思った。合わせて出て行っても、その動きが持って行ってると見られたら失格だし…。自力を出してればアタマもあったかも。もったいない」

<2R>

須永優太選手
須永優太選手
 7番手から関貴之が動くと、この動きに乗った白岩大助が打鐘過ぎ4コーナーから前に出て主導権を握る。白岩の後ろから山田庸平が2コーナーまくりを打って、この2人で踏み合いになると、3コーナーでようやく視界が開けた須永優太(写真)がコースを縫って突き抜けた。
 「車番外やしヤバいと思ったけどね。2コーナーからかぶってたけど、(山田が月森亮輔に)合わせて出て行くのが見えて、そこからは上手く判断できた。(2月小田原の落車で)左の肩鎖関節を脱臼して、ちゃんとモガけたのは1週間ぐらい。よかったですね。これで2日目は気楽になりますね」
 何とか白岩を飲み込んだ山田庸平だが、ゴール寸前で須永に1着をさらわれた。
 「打鐘のところの反応が遅かったですね。セッティングが合っていないのかスカスカする感じで綺麗に回せていないですね。でもその中でも力勝負ができたので。しっかりと修正して頑張りたい」
 先行策に出た白岩大助は3着に粘った。
 「先行は10年ぶりぐらいですね。しかも意外に残れたんで。競技は好きだし、初日も前々にと思ってた。前がすんなり駆けたらまくるのは厳しいし、関君が先に切ってくれて楽になりました。(3着は)デキすぎですね」

<3R>

藤木裕選手
藤木裕選手
 小林申太が赤板ホームから動くと、前受けから下げた栗山俊介は小原太樹をドカして打鐘から主導権を握る。番手の藤木裕(写真)は小林に飛びつかれたが、これをしのぐと小原の巻き返しもきっちりけん制。直線鋭く抜け出し、節目の300勝を飾った。
 「栗山のおかげです。全部任せてた。小原君がまくって来るのも分かってたんで。でも、そこから自分を信じられず、食われてしまうと思って早めに抜きに行き過ぎた。そこが失敗ですね。もう少し残せた気がします」
 水谷良和を飛ばして早い段階で3番手単独になっていた木村貴宏が2着に突っ込んだ。
 「申太も4番手に引いて小原と併走なら(粘って)と思ったんじゃないですか。申太も気持ちが入ってたけど、藤木が強かった。僕は悪くないと思う。悪くないというかいつもどおりですね」
 惜しくも3着の渡辺正光は「脚は余裕あったけど、ずっと併走だったんで。2着まで行きたかったけどね」と悔しがった。

<4R>

 赤板の1センターでインを切った佐藤幸治が山口智弘ラインを出させて中団をキープ。仕掛け所を見極めて2コーナーから踏み出した佐藤が一気に前団を捕らえると、最後は地元の木村隆弘が差し切った。
 「佐藤君が中団を取ってくれて2コーナーから仕掛けてくれたおかげです。付いていくぶんには余裕があったし、今までの地元戦の中で一番の仕上がりですね。お客さんの声援も力になりました」
 まくった佐藤幸治は2着で準決勝へ。
 「なるべく後手は踏まないようにと考えて、うまく中団は取れましたね。中団を取ってから良い踏み応えだったし、変わらず良い状態はキープできていますね。ラインで決まって良かったし、この勝ち上がりは大きいです」
 一方、相川永伍は後手を踏みまくれずに凡走。
 「中団取りも視野に考えていたけど…。ジャン過ぎのところで行くことはできたけど、見てしまい行くことができずに反省ですね」

<5R>

 後ろ攻めから押さえて駆けた日当泰之が別線に睨みを利かせながら主導権。最終周回、後方8番手から巻き返しを狙った谷口遼平は、竹村勇祐に弾かれて不発に。その隙を逃さず3コーナーで内へ斬り込んだ柴崎俊光が竹村を掬ってそのまま抜け出すが、態勢を立て直した竹村が再び踏み込んで直線外を一気に突き抜けた。
 「谷口君が前を取ることを想定していなくて。本当は後ろ攻めから斬って中部を受けて中団を取る作戦でした。展開は違ったけど日当君が頑張ってくれた。(柴崎に)掬われて終わったと思ったけど、もう一度踏んで伸びたのでデキは良いと思う。番手回りにも慣れてきて余裕がでてきた」
 煽りを受けて外に浮いた吉本卓仁を見切り、コースを探して突っ込んだ新井秀明が2着に強襲。
 「危なかったですね。(2センターで)谷口君があのまま降りてきていたら…。バックを踏んでからでも伸びているし調子は良いと思います」
 不発に終わった吉本卓仁は悔しそうにレースを振り返る。
 「体の反応とか調子は凄く良かった。中団を取ったあともまくりに行く準備はできていましたし、あとは気持ちだけですね。最後は煽りがあって苦しかったけど、その上を行くくらいのつもりで仕掛けないとダメ」 

<6R>

北村信明選手
北村信明選手
 柴田竜史、川口公太朗の順で動いたところを打鐘で戸田康平が叩いて主導権を握る。4番手は川口、阿部大樹で併走になったが、内をすくって川口が1車上げる。戸田マークの北村信明(写真)は後続をけん制しながら直線で抜け出した。
 「めっちゃ嬉しい。泣きそうです。戸田のおかげですね。あんだけ早く行ってくれて。それだけ。(柴田の)まくりもあんまり進んでないように見えたけど、不安だし内も空けてたんで来られる前に踏んでしまえと思った。人の後ろだったら違和感なくいけてるんで、(落車の影響は)問題ないと思う」
 北村後位を奪った川口公太朗が粘り強く外を踏んだ阿部との2着争いを制した。
 「どうせあそこでかぶるなら、6番(小川巧)をホーム前でドカして、5番(北村)までしゃくって行ければよかった。判断が遅れた分、あんなレースになってしまった。ダメなレースでしたね。内でずっと重かったので、道中も苦しかったです」
 阿部大樹は8分の1輪差の3着で勝ち上がりを逃した。
 「前回(3月前橋)の準決勝も3着同着で決勝に乗れなかったし、こういうのばっかり。体も動いてるし、悪くはないんですけどね…。でも本当に調子がよければ、外併走せずにあのまま叩いてる。最後も行くべきコースもタイミングも間違ってしまった」

<7R>

 5番手から上昇した藤井栄二が三浦翔大ラインを出させて4番手を確保。態勢を整えて最終2コーナーから仕掛けた藤井だったが、サラ脚で6番手にいた松浦悠士が、その上を軽々とまくり力の違いを示して快勝。
 「後ろの室井(健一)さんを連れていこうと思っていたのでしっかり仕掛けようとは思っていました。脚を使わないでの6番手だったし、藤井君が仕掛けなければ自分で仕掛けていこうと思っていました。普段ならまくりの上をまくれる力はないけど、上を越えられているし調子は良いと思います。ただ、ラインで(ワンツー)決めることができなかったのが残念ですね」
 室井健一は松浦に遅れ、藤井栄二に乗った畑段嵐士が2着。
 「主導権を取りにいくのが作戦でしたけど、8番(三浦)を出させてからも藤井君は落ち着いていましたよ。外から松浦君が来ているのは分かったけど、自分は内を締めていたのでそのぶん行かれてしまいましたね。それでも藤井君が頑張ってくれたので勝ち上がれました。感触的にはセッティングをいじる必要がありそうです」
 8番手に置かれた八谷誠賢は勝ち上がりに失敗して悔しい表情を浮かべる。
 「思ったより前がやり合ってくれなかったし、すんなり8番が駆けて自分にはキツい展開になりましたね。あの流れだとジャンの2センターで行くしかなかったけど、行けなかったです。修正して頑張ります」

<8R>

北野武史選手
北野武史選手
 前受けした永井清史の後ろは、北野武史(写真)と伊藤拓人で初手から競り。打鐘で叩いた大矢崇弘に対し、6番手となった永井だが、大矢が流すところを、打鐘3角から巻き返して主導権を奪い返す。踏み出しであっさり競りの決着を付けた北野が続き、3番手には伊藤健詞を捌いた大矢。このまま永井を先頭に直線に入ると、北野がゴール寸前で逆転。
 「脚を使わないように使わないようにって。あとは永井君のダッシュに集中するだけでした。永井も自分に気を使ったのか、風を計算してなのか付けやすい感じで仕掛けてくれた。もう抜けないと思ったけど、あれもしかしてって感じで1着を取れました。外に小林君がきていたからヤバいと思ったけど2人で決まって良かった」
 ゴール寸前で末を欠いた永井清史だが、北野とのワンツーに笑顔で答える。
 「大矢君も突っ張る感じでは踏んでいなかったし、今日の風を考えたら一周踏み切ったらきついと思ったのでペースで。2着権利なので緊張しましたけど、勝ち上がれて良かった」
 4番手から直線鋭い伸びを見せた小林圭介は3着まで。準決勝への切符獲得はならなかった。
 「変わらず車は出ているんですけどね。逃げているのが永井君ですからね。厳しかった。あとちょっとでしたけど、調子は引き続き良いと思います」

<9R>

國村洋選手
國村洋選手
 中団から石塚輪太郎に合わせて動いて誘導員を下ろした阿部力也は打鐘で押さえてきた石塚の番手に飛びつく。ホームで阿部をキメた中野彰人が番手を死守。大西祐のまくりをけん制して和歌山ワンツーかに、大西のスピードをもらった國村洋(写真)が外を鋭く突き抜けた。
 「よかったです。中野が仕事して自分のコースが空くのか、さらに外なのか。そういう展開を作ってくれたのは全部、大西だから。助かりました。自分も伸びましたね。2着上がりのところで1着もらえるのはラッキーです」
 逃げた石塚輪太郎が2着に粘った。
 「國村さんに食われてるんで、最後が甘いですね。もう少し上手く走れたけど、後ろに申し訳ない。僕が粘らせたような形にさせたんでね。最後は中野さんにも食われたと思ったけど、何とか残れてよかった」
 番手を守った時点で準決勝進出は決まったかに見えた中野彰人だっただけに、レース後は悔しがることしきり。
 「2着上がりは難しいですね。もうワンツーだと思ってたから。(大西が)止めたの見えてヨッシャーと思ったら。番手を守り切ってからもずっと余裕があった。油断したわけじゃないんだけど…」

<10R>

 中団の根田空史に十分フタをして打鐘過ぎに前に出た酒井拳蔵は4コーナーから一気にペースを上げる。根田は離れた7番手に置かれてまくり届かず。前受けからうまく3番手に入った東矢昇太が車間を詰めた勢いで2コーナーからまくると、離れながらも続いた原田礼がゴール前で逆転した。
 「ホームでキツくて普通に千切れたけど、それでも(東矢が)いい目標になったので。詰まったところをまくり追い込み気味に踏んでいけましたね」
 東矢昇太はバックから好回転でまくった。
 「あまりにもスンナリいい位置を取れたのでびっくりしました。仕掛けるタイミングもよかったですね。前回の2日目から変えたシューズがいいのか、自分が思ったよりも感触はいいです」
 酒井の頑張りに応えられなかった伊代野貴照は反省の表情。
 「酒井君もやることはやっていたし、ライン2車で難しいところはあったけど、あの展開なら(番手から)出ることも考えて踏まなければいけなかった。その辺が中途半端になってしまい…」

<11R>

 中団から先に動いた小川賢人を打鐘から小林史也が叩く。前受けから7番手に下げた佐々木豪は2センターから巻き返すと、2コーナーで小林を飲み込む。これで阿竹智史に絶好の展開かと思われたが、中村昌弘が3番手から鋭く突き抜けた。
 「前2人のおかげですね。恵まれました。前(阿竹)は遠慮気味に踏んでいましたけど2着権利なので。風が強いのに佐々木君が頑張ってくれたおかげです」
 阿竹の援護を受けた佐々木豪が2着に逃げ粘ったが、阿竹と勝ち上がれず。「もう今日は何も言えないですね…。明日また頑張ります」と言葉をしぼり出すのが精いっぱいだった。
 絶好展開を生かせずに勝ち上がりを逃した阿竹智史はガックリと肩を落とす。
 「終わりました。2コーナーから突っかかりっぱなしだった。(佐々木を)完全に残せないようなら踏んだけど、残りそうだったので…。脚を余して終わった」

<12R>

山田英明選手
山田英明選手
 最終ホームで山崎芳仁、池田良に三谷将太の3名が落車。4コーナーで仕掛けていた山田英明(写真)は落車を避けてホームで出切ると、大塚健一郎の追撃を振り切った。
 「(2週間ぶりのレースだが)練習でもレースをイメージしてやってるので違和感はなかった。力が拮抗したメンバーなので失敗しないようにと思って走れました。山崎さんが行った時点で行こうと決めてたし、落車があったけど(大塚と)2車抜けられてラッキーでした。大塚さんから逃げ切れたのも自信になる。とりあえず1走目はマルですね。でも2日目以降もしっかり走らないとダメなんで」
 大塚健一郎は逆転ならず。レース後はローラーに乗りながら入念にセッティングを調整した。
 「サラ脚だったとはいえ、ヒデが強かった。(落車を避けた)あそこが一番キツかったですね。ついて行くのは全然問題ないけどね。抜けてないんで、ちょっといじります」
 落車を避けた郡司浩平だったが、はるか前を行く九州コンビには追いつかなかった。
 「とりあえず転ばなくてよかった。山崎さんが来るなって感じはあったけど、古性の動きが機敏だった。想定外のことをしてくるからね。余裕があったし、もう1回仕掛けられるような感じはあったけど、落車を避けていっぱいになっちゃった」
 ホームで接触したのが響いた古性優作は6着に敗れた。
 「内に反応してしまった。そこから先行しようと思って踏んだけど、(後ろの三谷が)コケてしまったから。2日目からはもうちょっと冷静に走りたい」