『小松島競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月5日

 小松島競輪開設68周年記念「阿波おどり杯争覇戦」が開幕した。あいにくの雨走路で迎えた初日だったが、オープニングレースから好ラップを連発。メーンの特選は原田研太朗、高原仁志に池田勇人が1着でシリーズの好スタートを切った。2日目は優秀の「よしこの賞」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出を争う。
 2日目も豪華解説者陣によるトークショーや人工知能AIと競輪小僧の競輪予想対決。笑える?よしもと「住みます芸人」ライブには中山女子短期大学が出演します。ぜひ小松島競輪場で迫力あるレースをお楽しみください。

<1R>

富弥昭選手
富弥昭選手
 正攻法から引いて立て直した中井太祐が打鐘で叩いて出ると、山下一輝が番手に飛び付く形に。富弥昭(写真)は後藤彰仁をさばいて3番手に山下を迎え入れる。番手を死守した鷲田佳史が車間を空けながら抜け出したが、山下に乗った富が直線で突き抜けて高配当を演出した。
 「4、5、6(着)かなって思ったけどアタマやったね(笑)。余裕はなかったけどホームじゃまだ山下も脚は残っていると思うし、入れてあげて。最後も仕掛けてくれたから空いたね(笑)。緊張したけどよかった」
 絶好展開に思われた鷲田佳史であったが伸び負けて2着に。
 「もう少しうまく援護できればよかったけど…。今泉(薫)君も遠かったし、来られても内かなって思ってたら外をいかれてしまった。中井君も頑張っていたし、うまく走れればワンツーだったと思う。悔しい」
 山下に粘られて焦り気味に踏んでしまった中井太祐は末を欠いた。
 「あそこで(今泉に)叩かれたら見栄えが悪いと思って。ちょっと焦って踏んでしまった。バンクも重かったしかかりはよくなかった。でも勝ち上がれているので。修正しながら勝ち上がっていきたい」


<2R>

 坂本周輝が赤板で泉谷元樹を押さえると、誘導との車間を大きく空けて打鐘を迎える。泉谷は4番手の内で月森亮輔と併走していたが、打鐘の2センターで安部貴之の内までもぐり込んで番手を奪い取る。最終ホームで安部と上田国広が接触して上田国が落車。泉谷が2コーナーから番手まくりに出るが、後方から勢いよく襲い掛かった村上直久が前団を飲み込んだ。
 「月森君が切ると思ったら、併走していて…。落車もあったし、後方からの仕掛けになったけど前団とはそんなに遠くは感じなかった。流れのなかで仕掛けて行っただけなので、感触はまだよく分からないです」
 坂本周輝が直線で差し返す勢いで泉谷に迫り結果は2着同着。
 「後ろに申し訳なかったです。今回から新車なんですけど、もうちょっと煮詰めます。変に小細工しようとしていて、積極性が欠けているので、2日目はしっかり仕掛けたい」
 懸命に粘り込んだ泉谷元樹も2着で二次予選に駒を進めた。
 「月森君が切って、自分にも仕掛ける順番がくるかと思ったが、思った展開と違いました。併走するなら一車でも前にって思っていたら、安部さんの内が空いていい形になりました。番手に入ってからはバックだけは取ろうと思って早めに仕掛けました。重たかったので微調整します」


<3R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 後ろ攻めから動いて末木浩二を受けた窓場千加頼(写真)は4番手を確保。2コーナーまくりで前団を飲み込んだ。
 「末木次第ですね。ジャンでゆっくり来れば腹をくくって先行勝負するつもりだったけど、いいピッチで来たので。磯田(旭)さんに前輪をはらわれるかと思って危なかったですね。最近は踏み込むところでちゅうちょなく踏めてる。体も調子がよくて、しっかりパワーが出てますね」
 窓場の仕掛けに乗った野田源一が直線鋭く伸びて2着に食い込んだ。
 「窓場君が強かったし、末木君のペースもいい感じだった。(連戦で)疲れてないとは言えない。3Rっていうのもあるけど、少し体も重いです。初日はとりあえずしのげたって感じ」
 野田の強襲にあった神田紘輔は惜しくも窓場とワンツーならず。
 「千加頼が強かったですね。磯田を乗り越えたのを見て、ヨシと思って付いて行った。差し込んでたら危なかったですね。千加頼が1着でよかった。僕の感じもいいんで、まだまだイケます」


<4R>

 長尾拳太の上昇に菅原裕太も合わせて踏んで、前受けの黒田淳は一本棒の7番手に置かれる。苦しい流れになった黒田だったが、長尾がペースを落とすと菅原がカマして主導権を奪取して急転。菅原ラインを追った黒田が、最終2コーナーからまくって前団をとらえた。
 「踏み出しでスカっとしたからヤバいかなって思ったけど、そのあとはしっかりと進んでくれたので良かった。鈴木君のブロックが怖かった。でも、乗り越えられたんで。長い距離を踏めたし、2日目にアタリが出てくれるといいですね」
 中国両者のゴール勝負は、中村昌弘が黒田に1輪差まで詰め寄っての2着。
 「(前々回の落車で)自転車が壊れてしまったのは、本当に痛かった。前回は違うフレームでひどかったし、どうしようかなって。でも、足回りのセッティングを修正したら良くなった。前を抜ける感じはしないけど、遅れることはないと思います」
 逃げた菅原を利した鈴木裕は、黒田を止められず3着が精いっぱい。
 「(最終)ホームで長尾君に粘られるかなって思ったので、車間を空けられなかった。そのあとで空けようと思ったけど、黒田君が来ているのが見えて焦ってしまいましたね。まだまだ勉強と技術が足りない。でも、番手回りも増えてくると思うので、しっかりと身につけていきたい」


<5R>

 赤板の2コーナーで押さえて出た櫻井正孝が、先行態勢を取る。別線の動向を確認しながらペースを上げた櫻井は、最終的に中国コンビを受けて3番手。まくりで迫る利根正明を弾いて追い込んだ櫻井が1着。
 「めちゃくちゃ重たくて、切って脚がいっぱいになってしまった。余裕がなかったです。本当は自分が西村(光太)さんみたいに先に動いてってことをやりたかった。西村さんに苦しい展開にさせられた。ここまで3日間、自転車で地面を乗れていなかったので、不安はあったけど勝てて良かった」
 守澤太志のけん制で大きく外に振られた利根との連係を外した久島尚樹は、落ち着いてコースを探して2着に強襲した。
 「利根さんが前々に踏んでくれたおかげです。重たかったし、口も空いたけど、なんとか2着まで入れてうれしい」


<6R>

谷田泰平選手
谷田泰平選手
 打鐘で谷田泰平(写真)が切ったうえを久米康平が叩いて主導権を握る。久米のペースの前に別線は動けず、四国3車で上位を独占するかに見えたが、4番手の谷田がまくり追い込みを決めた。
 「展開ですね。久米君がもう一個のラインを出させるとキツかったけど。スピードがよくて後ろも来なかったし、あとは4コーナー勝負かなと。久しぶりの1着ですね。前期はあまりよくなかったんで、ちょっと楽になりました。これを機にまた頑張りたい」
 番手絶好の小川圭二だったが、ゴール寸前で谷田に1着をさらわれた。
 「バックが追い風だし、まくられることはないなと思ってた。溪(飛雄馬)が律義に内を締め過ぎてて、(谷田は)エアポケットになったね。でも四国みんなで上がれたんでよかった。ノルマ達成やね」
 3着には敗れたが逃げた久米康平も力強かった。
 「決まったかと思ったけど、谷田さんもタテ脚あるし、しょうがない。ラインで勝ち上がれたのでよかったです。来てもひとつのラインぐらいだろうって感じで踏んだけど、誰も来なかったのでペースで。まだ新車で先行してなかったので、色々収穫ですね。自信を持って2日目以降も頑張ります」


<7R>

 打鐘で出た藤田大輔に宗崎世連が襲い掛かるが、藤田も突っ張り気味に踏み上げる。内藤敦が連結を外して、宗崎が叩き切ると松本は藤田のけん制で外に浮いて後退。8番手になった人気の佐藤幸治だったが、踏み出すと目の覚めるようなまくりで宗崎をとらえて後続をちぎった。
 「8番手になったけど、みんなそれなりに脚を使っていましたね。自分は極力、脚を溜めようと思っていました。優勝したあとの1走目なので、緊張しましたけど勝ててよかったです。やっぱり勝ったあとが大事だと思うし、手応えも良かった」
 逃げる宗崎の番手から踏んだ藤田は一息で、藤田マークの須藤誠が2着に伸びた。
 「佐藤君はスピードが違ったし、あれは止められないですね。でも、余裕はあったんで、1回外に張ってからコースを探した。踏み込んだ感じも良かったです」


<8R>

 鈴木謙太郎を押さえた成松春樹は、近畿3車をすんなり受けて中団をキープ。酒井拳蔵が腹を固めてそのまま駆ける。最終ホームから反撃に出た鈴木にいつものスピードがなく不発。酒井を利した松村友和が、後続との間合いを計って抜け出した。
 「酒井君を残したかったけど、鈴木君が強すぎるから一気にまくられてしまうと思って…。酒井君を残せるかどうか微妙だったし、判断も難しかったです。脚の感じは良くないですね、ナイター疲れがあるのかもしれない」
 目標の鈴木が不発で、山田義彦は最終3コーナーからコースを探してシャープに追い込んだ。
 「リカバリーできてよかった。鈴木さんが仕掛けてくれたので、展開一本ですね。(鈴木は)タイミングを相当狂わされたし、自分も(最終)1コーナーで1回バックを踏んだ。でも、最後もしっかり踏めているので、脚の感じは戻ってきています」
 中団からまくりを打った成松に乗って、さらに外を踏んだ松岡孔明が3着。
 「人の後ろだったので余裕はありました。鈴木君を合わせながら踏むことができました。成松君はもう少し4コーナーのところで我慢していれば、まくり切ったと思うんですけどね」


<9R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 後ろ攻めから赤板ホームで前に出た松本貴治(写真)だったが、そこを打鐘で蒔田英彦に叩かれ、さらに4コーナーから宇佐見裕輝にカマされてしまう。それでも2コーナー、6番手からまくって松本が1着だったが、後ろを連れ込むことができず表情は硬い。
 「中途半端というか難しい。簡単なレースだと思ったけど、僕がバカすぎた。切ってから緩めすぎて、蒔田さんが行けると思うスピードで走ってしまった。出切られてからはバック踏んで、バック踏んでだったし…。脚に余裕はあったし、感じは悪くないんですけどね」
 宇佐見のカマシに乗った鈴木誠が2着で二次予選進出を決めた。
 「宇佐見がここだってタイミングで行ってくれたのでよかった。バッチリでしたね。1着取れなかったけど、あの展開じゃ仕方ない。競走が空いてて不安があったけど、走ってみた感触は悪くなかった」
 ドンピシャのタイミングで仕掛けた宇佐見裕輝も3着に粘った。
 「あそこ(打鐘過ぎ)で車間を詰める勢いでイケた。ピッタリ付いてたら出切れないと思ったんで車間を空けてました。今のフレームにしてからダッシュがいい。でも松本君も来ると思ったし、出てからも回せなかった。末脚がないですね」


<10R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 山本伸一が押さえた上を吉田拓矢が打鐘過ぎに飛び出して先行策。高橋陽介との併走から5番手を取り切った原田研太朗は、最終1センターから踏み上げる。吉田との車間を大きく空けた牛山貴広を乗り越えた原田が、そのまま押し切った。
 「雨が降っていたんで7番手に引いたら厳しいと思って、(あの位置を)主張しました。タイミング的にも(高橋に)合わせて踏み上げる感じになったわりには、車の出もよかったですね。感触もいいと思います」
 原田のまくりを危なげなく追走した小倉竜二(写真)が、別線に絡まれることなく続いて地元ワンツー。
 「ちょっと牛山君のところが気になったけどしのげている。最後もしっかり差し込めたし、不安はなくなりました。あとはどれだけ前が長い距離を踏んだ時に余裕があるかですね」
 最終3コーナー過ぎから山本と重なった柏野智典は、山本に何度か当たりながら踏み勝ち3着。
 「内にいたのが自力型だったから負けたと思ったけど。(前々回の函館記念から使っている新しい)フレームのおかげですね。3着と4着じゃ、えらい違いますからね」


<11R>

高原仁志選手
高原仁志選手
 赤板から郡司浩平が上昇すると、この動きに続いた太田竜馬は下がって来た浅井にフタをする。打鐘に合わせて太田が仕掛けると最終ホームを一本棒で通過する。2コーナーから郡司がまくり上げるが、3コーナーで高原仁志(写真)のブロックを受けて失速。後方の浅井も3コーナーから大外を踏み込むが、前団までは届かない。4コーナーを絶好の展開で迎えた高原がゴール前で太田を差し切った。
 「全然楽ではなかったですよ。前が気を使ってくれました。1着は後輩の頑張りのおかげです。脚自体は問題ないし、(郡司を止めて、太田を差してと)うまいこといきすぎました」
 軽快に風を切った太田竜馬が2着に粘り込んだ。
 「雨なので感覚は重たかったけど、踏み上がっていく感じがあった。ペースで駆けられました。直前の練習の感じがよかったので、それが出ましたね。明日は地元が多いので、しっかりしたレースをします」
 地元コンビを追走した大坪功一が3着に流れ込んだ。
 「余裕はあったけど、郡司君とからんでからはキツかったですね。絵に描いたような展開になったし、ラインのおかげです」


<12R>

池田勇人選手
池田勇人選手
 後ろ攻めから動いた山田英明が誘導後位に入ると、サッと車を下げた三谷竜生が打鐘から飛び出して主導権を握る。ホームから仕掛けた田中晴基がバックで三谷をとらえると、短くなった前団を2コーナーから天田裕輝がひとまくり。続いた池田勇人(写真)が抜け出した。
 「ホームでちょっと見ちゃって、前と口が空いてしまったのは反省点だけど、何とか上手く立て直せてよかった。(雨でバンクが)滑るのでそこも気になりました。ここ最近でも最高のスタートです。余裕もあったし、来る直前にかみ合った感じだった。あとは実戦でどうかと思ってたのでよかった」
 会心のまくりを決めた天田裕輝も笑顔でレースを振り返る。
 「(打鐘前に)晴基が引いてくれたんで展開も向いた。まあ流れに乗っただけなんでね。どっちかと言うと後手後手だったけど。ヒデ(山田英明)さんと併走になりそうなのを我慢できたのもよかった。でも警戒されてなかったからですよ」
 ホームで内を後退したときにはダメかと思われた山田英明だが、天田の仕掛けに反応して外に持ち出すと何とか3着に食い込んだ。
 「ホームで引くなり、粘るなり。どっちもしちゃいけないことをしてしまった。GIなら絶対アウトですよね。バックからは外も内もなかったので、中を行くしかなかった。コースはそこしかなかった。何とか最低限ですね。でも何もしてないんで」