『高知競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月2日

 高知競輪場開設70周年記念「よさこい賞争覇戦」が4月2日に幕を開けた。初日メインの特選は渡邉雄太が力強いまくりで快勝。一次予選は中四国勢の活躍が目立った。2日目は二次予選A、Bの7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 なお、今シリーズも新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、無観客での開催になっています。どうぞご了承ください。

<1R>

藤田昌宏選手
藤田昌宏選手
 オープニングレースを制したのは藤田昌宏(写真)。伊藤裕貴、小橋秀幸の順で切ったうえを今岡徹二がタイミング良く踏み込んで最終ホーム前から主導権を取る。中団4番手を小橋と内をすくった鈴木謙二で取り合う。これで完全に中国勢のペース。最後はライン3番手の藤田が外を鋭く伸び切った。
 「かぶったら(池田)良の内。そうじゃなかったら外を踏むイメージでした。前回の落車は自分の不注意みたいなもの。その影響はなかった。今岡君と良が人気になっていたけど、まさか自分が1着を取れるとは思ってなかった。オープニングレースでの1着は初めてです。今年から弟子を取ってマンツーマンで練習しているので、練習の質が上がっています」
 2着は番手の池田良。逃げた今岡徹二が3着に粘り、中国勢での上位独占が決まった。
 「最後はちょっと踏めてなかったですね。後がかりのような感じで仕掛けたんですけど。綺麗なゴール前勝負になったけど、ハンドル投げが下手くそでした。ラインで決まったのは良かったです」

<2R>

 後ろ攻めの加賀山淳は中団の中西大にフタをしてから打鐘過ぎ4コーナーで先頭に立つが、すかさず巻き返した中西が踏み合いを制して2コーナーで加賀山を飲み込む。好回転でまくった八谷誠賢だったが、2センターで失速。西川親幸は中西ライン3番手に降りたが、八谷ライン3番手の牧剛央はそのまま外を踏むと直線で和歌山コンビをとらえた。
 「昔の高知はイエローライン付近は伸びずに内が伸びるはずだけど、最近のレースを見ていると外が伸びていることが多かったので、レース前のシミュレーションでは頭のなかにあった。八谷君が行き切れなかったときは内に行こうかと思ったけど、そのイメージがあったので外を踏んだ。久しぶりに出し切ったのでキツいですね」
 中西マークの西岡正一は和歌山ワンツーの展開が一転。牧の強襲に屈した。
 「(中西)大は絶対に出てくれると信じていた。もし合わされたら考えようと思っていた。でも今の大のデキならいけるなと。(牧さんは)スピードが違うかったですね。大のおかげ。大を差せているし牧さんに差されたのは見過ぎたからですね」

<3R>

中本匠栄選手
中本匠栄選手
 後ろ攻めから動いて切った中本匠栄(写真)を中田雄喜が打鐘の4コーナーで押さえる。前受けから7番手まで下げた宗崎世連はすかさず反撃。中田と宗崎で踏み合ってもつれたところを中本が2コーナーから豪快にまくって人気に応えた。
 「後ろから押さえるのは苦じゃないんで。宗崎君が行って、中田君も踏んでくれたんで、展開が向きました。2コーナーから行って、ちょっとふくれたんですけど、しっかり出切れて、柳詰(正宏)にも差されてないですからね。ここに向けて、ちゃんと練習はできていたので、状態はいいです」
 好マークから迫った柳詰正宏が2着。逆転はならなかったが、九州同期でワンツーが決まった。
 「(中本)匠栄が強かった。やっぱりGIクラスの選手ですね。最後に踏んだ手応えはあんまり良くなかったけど、綺麗に付いていけてるんで悪くないと思います」

<4R>

 片折亮太が打鐘過ぎに先頭に立つ。正攻法の早坂秀悟は6番手まで下げると、最終ホームからダッシュ良く仕掛ける。早坂がバックで逃げる片折をとらえると、踏み出しに離れながらも早坂をマークした佐藤和也が直線で差し切った。
 「(早坂の)ダッシュがすごく良くて、追いつけないかもって思った。片折も(早坂と)空いていたし、小林(潤二)さんも口が空いていたので、そうじゃなかったら張られて終わっていた。付け切ってからは楽だったので、なんとか援護したいと思った」
 早坂秀悟が2着に入って北日本ワンツーが決まった。
 「めちゃくちゃ重たい。片折の後ろが離れてくれたから、吸い込まれるように行った分バックでも(スピードが)持ちました。(レースは)畑段君とからむよりはって思っていましたね。いいレースができたと思う。自分は今までと変わらないことをやっているが、見る人が見て状態が戻っているって感じるなら、自分もそう思ってもいいかもしれませんね」


<5R>

近藤龍徳選手
近藤龍徳選手
 掛水泰範、藤田竜矢の順で前に出ると、前受けから下げた小森貴大もすかさず仕掛けて最終ホームから主導権を握る。車間を切って後ろの反撃に備えた近藤龍徳(写真)がゴール前で小森を逆転した。
 「計ったように抜けた。しっかりと差せていいスタートが切れましたね。状態はいい。小森さんの状態もいいし、周りにいい波がきている。今回は前検日から言ってるように絶対に決勝に乗るという気持ちで来た。状態がいいからこそあえて(高い目標を)口に出して自分を高めている。心身ともに充実していますね」
 ペース駆けで別線を完封した小森貴大が2着に粘り、ラインでの上位独占に貢献した。
 「誘導が少し速かった感じがしますね。きつかった。自分のペースでいけましたね。風とかは気にならず、自分の距離と踏み上げ方とかを計算していたけど、少し長かったですね。逃げ切ったと思ったんだけど」

<6R>

小川祐司選手
小川祐司選手
 後ろ攻めから動いて切った堀内俊介を水谷好宏が打鐘の2センターで叩いて逃げる。堀内が中団に収まり、前受けから下げた小川祐司(写真)は7番手に。車間を詰める勢いで堀内が一気にまくり切るが、このラインを追いかける形から小川がまくり追い込んで今年初勝利を飾った。
 「順番が来たら仕掛けるつもりだったんですが、水谷君のやる気がすごくて…。踏んでも踏んでも追いつかない感じでした。まくりのうえをまくりに行く感じになりました。風が強くて重かったし、みんなはもっと重かったんだと思います。これが今期初1着。ありがたいです」
 中団先まくりの堀内俊介は2着に敗れた。
 「風が強くて、後ろから押さえに行くのもキツかったです。落ち着いて、詰まったところから仕掛けました。中村(一将)さんが番手から出る可能性もあるので、全開で踏んだんですが、持たなかったです。全然、ダメですね」

<7R>

 中団外併走の態勢から今野大輔が打鐘の4コーナーで山本健也を押さえて出る。外に持ち出した山田諒がすかさず反撃。2コーナーで出切るが、マークの山口富生は離れて、今野が後位にはまる。徐々に山田との車間を詰めた今野が直線で鋭く抜け出した。
 「上手く場所も取れたし、狙い通りの組み立てでした。(中部ラインの)3人で出切られたらしんどいので、とりあえず前に出てと。予想していた通りの展開。(番手に入ってから)気持ち的にも余裕があった」
 今野マークの中村昌弘がしっかり2着に続いた。
 「ちょっと重たかったです。僕はいっぱいでした。ホームで少し離れましたよ。前のおかげ。自分自身の余裕はないかな」

<8R>

佐伯亮輔選手
佐伯亮輔選手
 後ろ攻めの鈴木謙太郎が中団の佐伯亮輔(写真)にフタすると打鐘4コーナーから踏み上げて先制。しかし正攻法の阿部拓真が合わせて踏み番手に飛び付く。前団がもつれて隊列が短くなったところを佐伯が2コーナーからまくり上げて瞬く間に前団を飲み込んだ。
 「絶対に地元の坂田(章)さんは連れていかないとって思ってました。中四国の流れになっていたので、その流れに乗れました。フタはされると思っていたし、もつれたところをまくりで一発で行けたので良かったです」
 地元の坂田章が2着に流れ込み、中四国ワンツー決着となった。
 「(勝ち上がれて)良かったし、緊張した。佐伯君が強かったですね。詰める勢いで仕掛けてくれた。出切ってから佐伯君が緩めて自分もバックを2センター辺りで踏んでしまいその影響で最後は伸びなかったですね」

<9R>

 後ろ攻めの取鳥雄吾が打鐘前から踏み上げる。前受けから突っ張り気味に踏んだ栗山俊介を取鳥が最終ホームで叩いて先行策に出る。出られた栗山は後位に飛び付いて佐々木則幸と併走に。軽快に駆けた取鳥がそのまま力強く押し切った。
 「とにかく風が強かったです。めちゃくちゃ距離が長かった。僕の距離じゃないですね。3コーナーから本当に長かった。サンをいじって失敗でした。アタリがなくてスカスカしたけど、修正できると思います。1着に行けて良かったです」
 地元の佐々木則幸は番手を死守したが、直線で木村直隆に交わされて3着に。
 「エラかったです。結果的にギアを上げたのが失敗でした。でも、こういう展開でもしっかり対応しないといけない。最後は僕の脚力不足です」

<10R>

 五日市誠、市橋司優人の順で前に出たところを前受けから後方まで下げた朝倉智仁がすかさず反撃に出る。最終1コーナーで出切った朝倉に岡光良が続き、市橋はこの3番手で粘って佐藤真一と併走に。しっかりスピードに乗せた朝倉が番手から詰め寄る岡を微差で振り切った。
 「落ち着いて走れたので良かったです。先行タイプもいなかったし、とりあえず前を取ってと。展開次第では突っ張ってもいいかと思ったけど、下げてから行こうと。ペースも落ちていたので、すかさず仕掛けていけました。出だしでスパンと仕掛けて、ラインを粘らせないように意識しました。長走路は長いなって思いました。脚は問題ないです」
 番手絶好態勢から迫った岡光良は写真判定の結果、2着となった。
 「ワンツーで良かったです。久しぶりの1着かと思った。明日(2日目)また頑張りますよ。差しに行けているし、調子は良いと思います」

<11R>

小川真太郎選手
小川真太郎選手
 後ろ攻めの菅原大也は中団の小川真太郎(写真)にフタをしてから打鐘過ぎに踏み上げて主導権を握る。7番手に置かれた小川だが、2コーナーからまくり上げると、じわじわと前団に迫り齊藤竜也のけん制を乗り越えた。
 「脚が入らなかったですね。久し振りの500バンクで隊列も整っていたのに変なところで仕掛けてしまった。相手と自分のラインの様子を見ながら3人で決めるにはこの仕掛けかなと。それに自分も脚があるわけではないので」
 地元の山中貴雄はピタリと続いてワンツーを決めた。
 「何とかですね。作戦通りだったけど、もっとスパッとまくってくれるのかなと思った。3コーナーで小川君の後輪がズルズルとなっていたので、行き切れないかなと思ったけど、見ながら仕掛けていた感じでしたね。今日(初日)は感じが良かった。昨年とそこまで変わらないけど、緊張していますね」

<12R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 後ろ攻めから動いた佐々木豪が打鐘の3コーナーで押さえて出る。中団が渡邉雄太(写真)と三谷竜生で併走となったところを菅田壱道が踏み込んで最終ホーム前から逃げるが、単騎の三谷がすかさず襲いかかる。これを追いかけた吉澤純平がまくり、さらに渡邉雄太も大外を踏み上げる。まくり合戦を制した渡邉が先頭でゴールを駆け抜けた。
 「車番が悪かったので、取れた位置から中団、中団を回って、抜け出せればなって思ってました。みんながすかさず行ってくれたんで、流れが向きました。(吉澤に)合わされた感じだったんですけど、何とか行けたんで良かったです。久しぶりのレースで自信はなかったんですが、これでちょっと自信を持って走れます」
 単騎でまくった吉澤純平が2着。しっかり見せ場を演出した。
 「(三谷)竜生が行ってくれたんで、流れは向きました。その外を踏んだけど、重かったです。すぐに渡邉君も来たんで、キツかったですね。でも、一気に行かれたわけじゃないし、最後まで粘れていたと思います」
 渡邉マークの岡村潤は3着で確定板に上がった。
 「(渡邉)雄太が仕掛けた時に体はしっかり反応しました。4コーナーで吉澤君の内を行こうとしてやめて、バックを踏んだぶん、最後は伸びなかったですね。でも、レースは見えていたし、余裕はありました」