『高知競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月6日

 高知競輪場開設73周年記念「よさこい賞争覇戦(GIII)」が、4月6日に始まった。朝からの雨、風が午後なると強さを増すあいにくの天候となったが、稀に見る豪華メンバーがそろっただけに一次予選から熱戦の連続。S級S班が5名も参戦したメインの初日特選は脇本雄太が後方からの強烈まくりでライバルたちをねじ伏せた。7日は二次予選7個レースで準決への勝ち上がりを争うが、主力勢が概ね順当に初日をクリアしただけに、一層激しいレースとなることが予想される。
 高知競輪場では、様々なイベント等をご用意してお客様のご来場をお待ちしております。7日には、坂本勉さん、松村信定さんによる予想会のほか、大目真壱とロス・トマテスによるアンデス音楽演奏が予定されています。なお、高知競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

渡部幸訓選手
渡部幸訓選手
 前受けの小原佑太は、打鍾で突っ張り気味に踏んでから末木浩二を出させる。末木を佐伯辰哉が叩くが、すかさず小原が最終ホームで巻き返す。2コーナーでは渡部幸訓(写真)と2車で出切り、3番手以下は車間が空いて両者の争い。渡部が差し切ってオープニングレースを飾った。
 「(気を付けていた部分は)やっぱり踏み出しですね。ダッシュがいいので。そこだけ付け切れれば抜けなくてもラインで決まると思ったので。想定外の所もあったんですけど、いいタイミングで行ってくれました。前回から引き続きいいと思います。ウィナーズを走って、前回の前橋でセッティングをいじってそれがハマってくれた感じですね」
 機動力の違いを見せつけた小原佑太が2着。
 「(切りに来るのが)遅ければ突っ張りで、なるべく立ち遅れないようにって思っていました。すぐに前に踏める準備はしていたんですけど、もうちょっと早く判断できればライン(の3人)で決められたのかなって思うので。雨でバンクが重いかなって思ったんですけど感触は良かったので。高知は2年前に来て、1、1、4、1(着)で決勝に乗れなかったんですけど、良い印象なので。今回は決勝に乗れるように」


<2R>

 後ろ攻めから山口翼が打鍾過ぎに岩谷拓磨を切る。関東勢に続いた藤井栄二は、山口を叩かずに内の岩谷を封じて中団を確保する。岩谷が下げ切ったのを見た山口は最終ホーム手前で一気にペースアップ。藤井は2コーナー過ぎから先まくりを放つが、7番手から岩谷もまくりで迫っていく。まくり切った藤井を、ゴール寸前で岩谷がとらえた。
 「後ろから押さえても、500なんで隊列が回って後ろになると思った。引いて仕掛けようと思ってたけど失敗しました。中途半端で仕掛けが遅くなりました。スッと引けばカマすなり、まくりにしてももっと早く仕掛けられた。8番(山口翼)が切りに来るのが遅いのも想定外だったし、藤井さんも徹底先行なんですぐ行くかと思って引くのが遅れてしまった。高知は相性が良いけど、初日くらいはラインで決めたかった。結果的に1着なので調子は良い。ハイラップで回ったので、今日(初日)の刺激を明日につなげたい」
 藤井栄二は岩谷の隙を逃さず位置を取り、先まくりで2着。
 「岩谷君を後方に置いて、勝負所では彼より前から先に仕掛けたかった。誘導も思ったよりも上がっていたし、山口(翼)さんも切ってからのペースが良かった。岩谷君が遅れてるのが見えて、引くのかどうするのか見すぎちゃいました。1センターくらいで追い付く勢いで行ったけど、前も緩まなかったし脚がたまらなかった。正直きつかったけど、ラインも付いて下さってるので無理やり行った。ケアを多めにしてきたので、疲れは大丈夫」


<3R>

宗崎世連選手
宗崎世連選手
 佐藤一伸が切って、岡崎景介は中バンクに上がり、打鍾過ぎ2センターから山おろしを使って佐藤を叩く。前受けから下げた川口聖二は7番手で構えて最終周回。宗崎世連(写真)はバックで岡崎と車間を切って別線の反撃に備える。2センターから踏み込んだ宗崎が、前との車間を詰めた勢いのままに抜け出して地元記念で1着をつかんだ。
 「中団か、前からで一個切った所を(叩く)って感じで、基本的に岡崎さんに任せていました。岡崎さんもずっといいペースで踏み上げて行ってくれたので、カマシにはこれないだろうなって思っていました。地元の一番手で1着いけたのは嬉しいんですけど、番手の選手としては、(先行選手を)風よけに使って前に踏ませてもらっただけなので。車間切って振るなりできれば良かったんですけど。反省と申し訳なさはありますね」
 切って中団を確保した佐藤一伸は最終2センターから外を踏み、ゴール前は宗崎に迫って2着。
 「一回脚を使って勝負権のある位置を取って仕掛けようと思っていました。まだ岡崎さんが駆けていなかったので、行っても合わされるなって思ったので落ち着いていきました。最後は届くかなって思ったんですけど、伸びなかったですね。高知バンク特有の感じでしたね。2着ですけど勝負できる感じはするので」


<4R>

松岡辰泰選手
松岡辰泰選手
 中団から川越勇星が先に切って、小原唯志ライン受ける。松岡辰泰(写真)は関東勢に続いて仕掛けると、中団で口の空いた川越を決めて4番手を奪い取る。松岡は2コーナーからまくると、後続を突き放してゴールした。
 「前を取れたら前から、落ち着いてタイミングを見て仕掛けようと思ってました。先頭に気付かれないように仕掛けて、中団で車間が空いてるところを締めてから行こうと思ったんですけど、自分で思ったよりも緩めてしまった。そこは感覚のズレがありました。コーナーで回して、(バックの)直線で行けばラインで決まると思ったけど、その(仕掛けの)前を修正しないと。スカスカしたんで、もうちょい刺激を入れたい」
 松岡が中団に降りると、瓜生崇智は川越と位置がバッティング。絡んでまくりに離れてしまう。最終2センターで中のコースをこじ開けた武井大介が、最後は外を伸びて2着に突っ込んだ。
 「車番も良かったし、(川越)勇星も徹底先行じゃないんで、小原君を駆けさせて中団取りの作戦だったんですけど、一車遅れてましたね。松岡君も立ち回りはうまいし、追い上げてくるのは分かってたけどすかさず来るあたりうまいですよね。(川越と瓜生の併走の)決着が付いてから踏もうと思ったけど、1着を取るなら瓜生君に付いて行かないといけなかった。500なんで焦らなくてもと思ってたし、脚自体に余裕はあった。疲れはないし、レースに集中できている」


<5R>

阿部力也選手
阿部力也選手
 切った大谷靖茂を木村皆斗が押さえる。関東勢の動きに乗った石井洋輝は、最終ホームで木村を叩いて先行態勢に入る。5番手に追い上げた原田研太朗が3コーナーからまくりを狙うが、石井マークの阿部力也(写真)が2センターで外を張ってから踏み込んで抜け出した。
 「基本的に中団、中団で石井君に任せていました。何でもできるんで。まくりでも良かったですし、展開に応じて器用に出来るんで。(石井の先行になり)後ろから来にくい感じだったと思うんですけど、自分の力のなさで(石井と)決めることができなかったですね。真後ろからでも止められると思ったんですけど、いつも原田君に大外を行かれてしまうので。木村君ごと持って行ければって思ったんですけど。(状態は)一時期よりは良くなってはきているので」
 最終2センターでは三好恵一郎が落車。そのあおりもあって原田研太朗はまくり届かず2着まで。
 「(最終2コーナーで)ちょっと見ちゃいましたね。流れで行ければ良かったんですけど。バックを入れてから行った感じになったんで。三好君のけん制で浮いちゃいましたね。(フレームを)戻します。前回の最終日にアタリは出たんですけど、試したくて別のフレームを持ってきていたんで使ったんですけど(戻す)」


<6R>

 打鍾で蕗澤鴻太郎を切った小林史也ラインに、広島勢、北日本勢まで続いて、蕗澤は7番手まで車を下げ切る。5番手の箱田は後ろの蕗澤を警戒するあまり、前と大きく車間が空いてしまう。先頭とかなり離れた位置に置かれた蕗澤だったが、最終2コーナー過ぎから仕掛けると、みるみるうちに前との差を詰めていく。蕗澤が先まくりの才迫開を直線でとらえ、さらに外から長島大介が差し切った。
 「(前が)遠かったですね。僕は終始余裕があったんですけど、蕗澤の組み立てミスですよね。あれじゃ上の人相手じゃ話にならないんで、これからしっかり反省してきます。差せるかは分からなかったんですけど、余裕はあったんで踏み込んでみました。タイムも出てるし悪くないと思います。高知は印象良いんで走りやすい。しっかりクールダウンして、また蕗澤と良い連係がしたいんでしっかり反省して次に生かしたい」
 豪快にまくった蕗澤鴻太郎だが、組み立てには課題を残した。
 「前を取って、スピードに乗らせて切らせたところを行こうと思ってました。でも、小林さんが切るのが遅くて、全引きした形です。もうちょい手前で行ければ良いんですけど、見ちゃいました。感触は良かったんで、仕掛けるタイミングをもうちょい早めたい」


<7R>

 打鍾過ぎ3コーナーで門田凌が切ってペースを上げる。志田龍星が力ずくで叩くと、門田は番手に飛び付いて隊列がもつれる。8番手の小原丈一郎は、もつれたタイミングを逃さずに最終1コーナーからまくり上げる。志田をまくり切った小原がそのまま力強く押し切った。
 「初手の並びは予想外でした。志田君が前を取らないんだって。でも、隊列が短くなった所で行けたんで。あそこで構えてしまったらチャンスがなくなると思ったので。流れで行こうと思っていましたけど。まずは出切らないとって。スピードは良かったですね。最後もしっかり踏めたので、前回よりも走れているのかなって思います」
 門田に絡まれた志智俊夫だが、2コーナーで踏み勝って番手を死守。北日本勢には上を行かれてしまったが、直線で外を伸びて2着に入った。
 「後ろからはないなって感じで、あとは流れで任せていました。前に(門田と)併走になったときは自分が遅れてしまったので、そうなったらしっかり勝たないといけないなって思っていました。ゴール前は自分も失速してしまって4着くらいかなって思ったんですけど。自分がまくりに対応できれば良かったんですけど、後ろから行かれてしまって。うまくいかなかったですね」


<8R>

 前受けした町田太我は、磯島成介の上昇を受けてすんなりと7番手まで車を下げ切る。出切った磯島が流していると、中団から大矢崇弘が仕掛けて最終ホームで叩いて出る。町田は1コーナーから一気に仕掛けると、あっという間に前団を一蹴。力の違いを見せつけて押し切った。
 「展開は予想通りで、前から引いて(仕掛ける)って考えてました。踏み出しは良かったと思う。詰まったところで行けたんでタイミングも良かった。後ろが離れてるのも分かったけど、追い上げて来てくれてる感じもあったんで。練習の感じはイマイチだったけど展開に恵まれたと思う。修正点はないです」
 町田の踏み出しに口が空いた山中貴雄だったが、懸命に追いかけてリカバリー。なんとか2着はキープした。
 「町田のやりたいレースをやってくれた。前も結構踏んでたと思うけど、あそこで行けるのはすごい。踏み出したのも分かったけど、きつかった。離れたと思ったけど、吉松(直人)さんもいるし追いつけて良かった。調子は何とも言えないけど、町田が強かった。ダッシュに付いて行けるかどうかが若い子に付くときは重要になってくる。離れても追いつけるようにやっていきたい」


<9R>

佐々木悠葵選手
佐々木悠葵選手
 初手で3番手の佐々木悠葵(写真)が打鍾で切って、その上を林慶次郎が押さえる。林を4コーナーで叩いた山崎駿哉の主導権。林が3番手から2コーナーでまくるが、今村麟太郎も番手まくりで応戦する。両者でもがき合うさらに上を、佐々木が一気にまくって快勝した。
 「前か前中団からって思っていました。(林の動きを)見ずに仕掛けたんで。見てから行った方が車の出は良かったのかなって思います。そこは反省点ですね。でもラインで決まったので良かったです。ちょっと9車の感覚が鈍っている感じがしたので修正したい」
 恩田淳平は松川高大の激しいけん制を受けたが、しっかりと対応して2着に続いた。
 「位置を取ってから仕掛けると思っていたので、あんな感じかなって。松川さんが巧いのは知っていたんで。今までのレースを見ていても持ってくるだろうなって思っていたので。うまく避けられて良かったです。雨が凄すぎてきつかったですけど。佐々木君とは初めて(の連係)でしたけど、やっぱりトルクが違うので。なんとかっていう感じですね」


<10R>

 切った藤井昭吾を松尾勇吾が押さえにいく。九州勢に乗った渡邉雄太は、迷いなく松尾を叩いて最終ホームで主導権を奪う。叩き切ってペースに入れた渡邉は、最終バックから踏み上げてさらに加速し、別線はなすすべなし。番手で絶好展開を迎えた小原太樹がゴール寸前で差し切った。
 「(渡邉は)最後も踏み返しがすごくて、雨で付きづらかったのもあるんで最後は何とか差せた感じですよ。(別線の飛び付きも)頭には入れていたんで、迷惑をかけないようにしのぎたいなと思ってました。でも、踏み出しから良かったし、ホームでは飛び付けないと思った。どんどん掛かっていって、最後も踏み上げてた。最近連係が多いから慣れてるのもあって、ギリギリ差せました。(前回優勝だが)そこを変に意識していつも駄目なんで、一回忘れてまた頑張っていきたい」
 渡邉雄太は別線完封の先行策を披露。格上の力強さを見せつけた。
 「先行基本に、前か、前中団からと思ってました。前を見たら松尾君が突っ張られてて。松尾君が出切る前に仕掛けてるんで、よく考えたら飛び付きもあったなとは思う。2コーナーまでは後ろの仕掛けを警戒しながら、バックでは目一杯踏みました。玉野の初日に油断して、駆けていれば良い着を取れたのにっていうのがあった。そこから、行ける時は駆けちゃおうって気持ちがあります」


<11R>

太田海也選手
太田海也選手
 スタートを出た太田海也(写真)が前受け。野口大誠の上昇を受けて太田は打鍾ですんなりと車を下げるが、番手の筒井敦史は一戸康宏と接触して落車してしまう。野口を西浦仙哉が切り、一戸康宏が最終ホームでカマして逃げる。8番手で態勢を整えた太田は2コーナーから仕掛けると、スピードの違いであっさりとまくり切ってゴール。アクシデントには戸惑ったが、力で別線をねじ伏せた。
 「スタートで後輪が滑って出遅れてしまったんですけど、前を取れたので。(筒井が落車して)本当に一瞬、どうしようって思ったんですけど。4コーナーくらいで切ったラインに付いていって先行態勢に入りたいって思っていたんですけど、一歩出遅れてしまって。あまり経験がないので。自分の中で思い切り踏めなくて感じはわからなかったですね」
 カマした一戸康宏は太田にはまくられはしたものの、懸命に踏み直して2着に粘った。
 「(打鐘で)流れですかさず仕掛けようと思ったところで(筒井に)当たってしまって。切って切ってで行こうと思っていたんですけど。今日は長い距離を踏もうと思って、(落車もあったが)そこは冷静に。太田君のラインにズバって行かれると思ったんですけど2着に残れているので踏めていると思います」


<12R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 北日本勢が前を取り、関東勢が3番手、脇本雄太(写真)は5番手で、犬伏湧也ラインは後ろ攻めとなる。犬伏が打鍾で切るが、脇本はこの動きには続かない。犬伏は脇本を警戒しながらも、打鍾過ぎ4コーナーから一気にペースを上げる。サラ脚で4番手を取った新田祐大が最終バックからまくるが、これを松浦悠士がブロック。松浦は返す刀で前に踏み込む。松浦が抜け出したかに思われたが、2センターから外を踏んだ脇本が爆発的な加速で迫っていく。大外をまくった脇本が突き抜けて豪華メンバーの初日特選を制した。
 「(初手は)取れたところからと思っていたけど、意図してない並びで、理想の形にはならなかった。車間を空けて、行こうかなってタイミングで犬伏君が踏んだんで、タイミングを潰された形でした。そうなってからは自分のタイミングでまくるしかなかった。(感触は)悪くもなく、良くもない。満足できるものではないので、改善できる所はあると思う」
 新田を止めた松浦悠士が2着。脇本には外を行かれたが、さすがの番手技量を見せた。
 「どうあれ、脇本さんラインの後ろからと思ってました。理想は脇本さんが前を取ってくれて、その後ろだったんですけど。今日(初日)に関しては前に踏むつもりは一切なくて、犬伏君が駆けてどこまでまくりを止められるかと思ってた。新田さんを止めたタイミングで詰まったんで、しょうがなく踏んだ感じです。ホームの掛かりが良くて、誰も来れないと思ったけど、2コーナーが爆風でだいぶきつそうだった。(自分は)ダッシュの部分は正直気になるところがある。理想の乗り方は出来ていないですね」
 新田に乗った佐藤慎太郎は、4コーナーから中のコースを踏んで3着。
 「スタートだけは前の方からと決めていたけど、あとは流れの中でと思ってました。松浦のブロックでスピードが緩んで、そこからの対応は難しかった。スピードをころしてから3着まで行ってるので悪くはない。前回と同じくらいの状態ですかね」