『高知競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:4月2日
 高知競輪場で開設75周年記念「よさこい賞争覇戦(GIII)」が、4月3日にスタートする。全日本選抜を制して、すでに年末のグランプリを決めている脇本雄太をはじめ、古性優作、眞杉匠、清水裕友、犬伏湧也とS級S班5人が参戦する豪華メンバーだ。さらには新田祐大、松井宏佑、山崎賢人、森田優弥、取鳥雄吾、伊藤颯馬、阿部将大らG戦線を沸かせる機動タイプがそろい、激戦必至の4日間だ。4月2日の前検日は、翌日からの激戦に備えて、選手それぞれが入念な調整を行った。
 記念シリーズは開催中の毎日、先着200人様に来場者プレゼント、レース予想会、選手会高知支部ブースなどが予定されています。また、4月3日のシリーズ初日には、アコーディオン奏者「坂野志麻」のステージなどもあります。高知競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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治田知也選手
治田知也選手
 1月京王閣FIIから、3場所連続の完全Vを達成して特進した治田知也(写真)が、1レース1番車で登場する。特進を決めた2月静岡FIIの後、1カ月以上空いて挑んだ前回の3月松戸FIは、3日間バックを取る積極性を見せて、2日目には逃げ切りでS級初勝利も挙げた。
 「特進する前に、アップ中にぎっくり腰になっちゃって、無理やり走ってたんです。それで特進できたのは良かったんですけど、ぎっくりをやった箇所が肉離れになっちゃったんで、静岡から1カ月くらいは休んでいました。前回は、しっかり自力を出せたんで、そこは良かったです。7車立てだったし、A級との違いはあまりわからなかったけど、今回は記念で、9車立てなんで、勉強の意味も込めて力を出し切りたい。焦らずに主導権を取っていけたらと思います。師匠(加瀬加奈子)のような先行ができれば」
 治田をマークする寺沼拓摩は、前回の2月伊東FIからおよそ1カ月の欠場。久しぶりのレースとなる。
 「伊東が終わった後に、結膜炎になっちゃって。結構、酷くて、熱まで出ちゃったんで欠場していました。練習自体は10日ぐらいはしっかりやれました。いつも通りのメニューはこなせましたね。走ってみてにはなるけど、たぶん大丈夫だとは思います。(治田と)初連係なんで、まずは付いていくことに集中したいです」


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 2月の全日本選抜こそ振るわなかった岡崎智哉だが、大垣GIIIは準決まで駒を進めて、前回の3月松戸FIは、昨年12月小倉FI以来の決勝進出。調子自体は上がってきている。
 「練習の感覚は上がってきています。ただ、そこじゃないなっていうのがあるんですよね。練習の感じは良いのに、競走では良くないことがあるんで、そこをどう埋めるかですね。練習の感じで言ったら、もっと成績も上がってきてもおかしくないんで。中3日ですけど、前回が終わった次の日から練習メニューはこなしてきました。そんなに調子は変わってないと思います」
 星野洋輝は、番手回りが増えて自力の決まり手が減少中。初日も、伊東翔貴に前を任せることになった。
 「自力とか、自分が前で動く番組の時が難しいですね。誰か目標がいてくれれば良いけど、自分でやる時はちょっともう厳しいです。(伊東)翔貴さんとは、何回か一緒になってて、自分が前の時もあったけど、そんな感じなんで今回は自分が後ろで。地元が雪で、今回は室内練習中心にやってきた。外であまり乗れなかったので、走ってみてです」


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柳詰正宏選手
柳詰正宏選手
 柳詰正宏(写真)は、2月小倉FIで、3日制以上のS級シリーズ初優勝。今回の初日は、その決勝で前を任せた林慶次郎の番手回りとなり、頼もしい限りだ。
 「優勝できたのは、(林)慶次郎君のおかげだし、信頼して任せるだけですね。自分の調子も少しずつ上がってきています。去年トレーニングを全部変えて、その成果が今年に入ってから出てきた。慶次郎君が作ってくれたチャンスを、モノにできたのはトレーニングのおかげですね。前回は疲れがあったけど、今回は大丈夫だと思います」
 林慶次郎は、初日特選スタートだった前回のウィナーズカップで5399着。初日、2日目は番手回りだったが、準決は気迫の先行策を見せた。
 「2日目までは人の後ろだったし、準決まで行けたのは前のおかげ。準決は持ち味を出せて、結果ダメだったけど、ビッグレースの準決を走れたのは良い経験になりました。ウィナーズカップの前に体調を崩して、練習ができていなかった。今回は、その分もと思ってスピード練習をやってきたし、前回みたいな不安はなく安心して走れます」


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 高知籍でデビューした山本伸一にとって、当所は思い入れの強いバンク。17年以来の当記念決勝進出も、好調な今なら現実味を帯びている。
 「成績はいいところまで来ているけど、物足りないところもありますね。決勝で2着だったり、勝ち切れていないんで。前回が終わってから、2日間くらいはキツく練習してきました。ここは、地元記念のつもりで走ります」
 前々回の大垣GIIIで落車した簗田一輝は、復帰戦の前回の防府FIを237着。優出こそならなかったが、2度の確定板入りで問題なしをアピールした。
 「落車のケガはひどくなくて、打撲と擦過傷くらいだった。前回も、最近の中では着が良かったし、落車の影響も感じなかったです。終わってからは練習と、休養が半々だったんですけど、静岡に韓国競輪の選手が来てて、一緒に練習して刺激になりました。落車で自転車の部品が交換になったんですけど、前回3日間セッティングをいじって、悪い方向にはいってないんで大丈夫です」


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 島川将貴は、スランプから抜け出そうと試行錯誤中。ただ、成績自体はムラがあるものの、本人の口ぶりよりも悪くない。初日は信頼できる援軍がいるだけに、きっかけをつかむ走りをしたい。
 「調子は良くないです。トップスピードに乗り切っていないし、モガき切れていない。原因はわからないんですけど、今は師匠(室井健一)と一緒に練習を見直しています。調整するような段階じゃないんで、練習はしっかりやってきました。高知は街道に似ている感じがして、自分は走りやすい。特殊なバンクだし、ミスしたら終わるけど、走り慣れているので、仕掛けどころもわかってます。後ろは(橋本)強さんと、地元の山本(拳也)さんなんで、積極的にいきたいですね」
 宮崎大空は、前回の防府FI決勝で落車。そこから休まず、中5日での強行軍だが、状態面はどうなのか。
 「ケガ自体は全然大丈夫ですよ。頭を打ったけど、走れないほどじゃないんで。それにマッサージとかに行って、間は治療にほぼ専念したので。走ってみないとわからないけど、初日はハコなんで、どっちにしろ大丈夫。甲斐(俊祐)さんとは連係もあるし、問題ないです」


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阿部将大選手
阿部将大選手
 阿部将大(写真)にとって、高知はドル箱バンク。22年のGIII、昨年の当記念と、グレードレースで連続優勝中だ。相性の良さを生かして、近況の悪い流れを断ち切りたい。
 「ウィナーズカップは、消極的でしたね。そこが最近の課題です。全日本選抜を体調不良で欠場して、そこで間隔が空いてからレース勘が戻ってなかったです。高知は相性の良いバンクなんで、ここをきっかけにしたいですね。(高知記念連覇がかかるが)自分は挑戦者なんで、積極的にいきたいです」
 佐藤幸治は、2月佐世保FIを連勝で勝ち上がって準V。続く3月静岡FIも優出と、成績が上昇中だ。前回の3月小倉FIで連続優出は途切れたが、好調は維持している。
 「最近は自転車と体がフィットしている感じで、良い状態ですね。特に練習を変えたりはしてないんですけど、ウエートトレーニングで重い重量を上げられるようになって、それから良い方向に行っている。前回が終わってからまとまった練習ができたし、井上(昌己)さんとも、良いスピード練習ができました。前回よりも良い状態だと思います」


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渡部幸訓選手
渡部幸訓選手
 前回のウィナーズカップでは、一次予選で勝ち上がりに失敗した渡部幸訓(写真)だが、2日目からは全て確定板入りし、成績をまとめた。今節はしっかりと勝ち上がりを狙っていきたい。
 「ウィナーズカップは初日に失敗したんですけど、2日目以降はリカバリーできたと思います。1月に落車して、そのダメージがあったんですけど、開催中に今の体に合わせた乗り方に修正できて、良い方向に行ったんだと思います。終わってからもケアを多めにやって、また体の悪いところが見つかったんで、修正してきました。今回はちゃんと初日から(勝ち上がりを)決めたいですね」
 前期の競走得点が100点を切っていた日高裕太だが、直近4カ月の点数は103点オーバー。競走で力を発揮できるようになって上向いてきたが、ポテンシャルを考えれば、まだまだ上がり目だろう。
 「去年の年末から調子が上がってきてますね。前よりも落ち着いてレースが見えています。去年は静岡バンクが使えない時期があったけど、グランプリ前からバンク練習を再開できて、そこから良いですね。でも、今は逃げの決まり手がちょっと減ってる。その分まくりが出てるから良いけど、自分の調子のバロメーターは逃げなので、もっと逃げが付いてきた方が良い。もともと500バンクは好きなので、自信を持って走りたい」


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 田中大我は、高松記念で初の記念決勝進出や、3月四日市GIIIでの準決進出など、グレードレースでも力を発揮できるようになってきた。前回の松戸FIは振るわず、今節は立て直したいところだ。
 「前回は、直前で胃腸炎になっちゃって、練習が全然できていなかったんです。中3日ですけど、前回よりは良いと思います。四日市の時はめちゃくちゃ調子が良かったです。練習量を増やして、それに慣れてきてから成績が上がってきた。高知はA級でしか走っていないし、走ってみてですね」
 山田久徳が、田中の番手を回る。前回のウィナーズカップは未勝利も、番手と自力を使い分けてまずまずの動きを見せた。
 「ウィナーズカップは初日で飛んだけど、その後まとめられたから悪くはなかった。展開も早かったし、後方になると厳しかったですね。終わって1日休んで、(村上)博幸さんとかと練習してきました。追加なんですけど、気持ち早めに連絡を受けたんで、大丈夫です。500バンクは毎回仕掛けどころが難しいんですけど、初日は番手だし、しっかり付いていければ。(田中とは連係が)あります」


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 守澤太志は、前回のウィナーズカップの初日に、節目の通算300勝を達成。ただ、勝ち上がりに関しては2日目に目標に離れて失敗しているだけに、シリーズを通した自己の総評は厳しいものだった。
 「ウィナーズカップは良いところがなかったし、情けない競走ばっかりで反省点しかなかったです。(2月)宇都宮の落車が結構酷くて、ウィナーズカップの1週間前くらいから症状が出ちゃった。今回は、ダメージを回復しようと思って、治療してきました。そんなに良くはなってないけど、その中でどう勝つかを考えたい。高知は、一昨年の全日本選抜で決勝2着だったし、良いイメージです」
 初日のメンバーでは格上の機動型である小松崎大地だが、近況は精彩を欠いている。現状を受け止めて、厳しい表情でこう話す。
 「数字通りで、良くないです。単純に力が足りないなと思いますし、本当にそれだけです。前回が終わって、計画的に練習してきましたし、年齢を言い訳にせずに、厳しめにやってきました。そんなにすぐに成果は出ないと思うけど、やるしかないので」


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伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 昨年のウィナーズカップでビッグレース初優出を決めた伊藤颯馬(写真)だが、今年は準決勝9着で敗退。大きな着を並べてしまったが、本人の手応え自体は悲観するようなものではなかったようだ。
 「体は悪くなかったけど、成績が良くなかったですね。動けてはいたし、調子が悪かったわけじゃないんで。終わってからも、普通にしっかり練習してきました。もっと総合力を上げていければと思って練習しています。昨日(前検日前日)いきなり追加の連絡をもらったんですけど、あまり気にせずに走りたいです」
 小川勇介は、ウィナーズカップの初日に落車したが、その後も出走して最終日まで走り切った。そこからの中9日は、やはり治療に比重を置いてきた様子。
 「左の股関節と、左肘と、首を打撲した。最終日まで走ったけど、ダメージはあったんで、まずはちゃんとケアをしてきました。でも、いつもの不動會のメンバーで練習して、日に日に良くなってきた。高知は特殊なバンクだけど、相性は良いと思う。(伊藤)颯馬は強いし、集中して。連係実績もあるし、相性も良いですよ」


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取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 取鳥雄吾(写真)は、前回のウィナーズカップは二次予選で敗退したが、3日目、最終日と連勝で締めて次につなげた。今回の初日は、地元勢を連れての自力戦。別線には、力のある村田祐樹がいるだけに、警戒レベルを上げた。
 「ウィナーズカップは、後半は良かったかなと思います。まあ、力は出せたかなと。悪くはなかった。村田君がいるし、厳しい感じの展開になるんじゃないかと思ってます。後方になる可能性があるし、そうなってもしっかり巻き返せれば」
 田尾駿介は、地元記念に気合十分。2月小倉FIでは、23年京王閣GIII以来2度目のS級Vを決めており、前回の豊橋FIでも優出と、昨年の不振からは立ち直っている。
 「去年の10月くらいから体調がすぐれなくて、結果が出ない時期が続いたんですけど、少しずつ体調が戻ってきた。胃の調子が悪かったけど、それが治って、食事量が増えてウエートトレーニングもできるようになったんです。あっ旋が出た段階から、ここを目標にやってきました。課題を持って練習を積めました。(取鳥)雄吾とは相性も良いけど、ダッシュがすごいんで、離れず、後ろのノリさん(佐々木則幸)にも迷惑を掛けないようにしたい」


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犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 犬伏湧也(写真)が、S級S班としての初戦を迎える。立場が変わっても、犬伏らしさは忘れず、豪快な仕掛けを見舞うつもりだ。
 「(S班になることは)チャンスだと思うんで、そのチャンスを生かせるように頑張っていきたい。胸を張って、恥ずかしくない走りをしたいです。まだまだ組み立ての面で力不足だと思いますし、そこをカバーするために、しっかり練習してきました。小松島なんで風が強かったんですけど、良いスピード感で練習できました。高知に悪いイメージはないですし、この先に向けても手応えがあるようにしたい。持ち味を出す競走をしたいです」
 ウィナーズカップを圧巻の走りで制した古性優作が、脇本雄太とのタッグで初日特選に登場する。見据える先はもちろん次節の日本選手権だが、ここで波に乗っていきたいところだ。
 「ウィナーズは寺崎(浩平)君に助けていただいた開催でした。決勝も、寺崎君と、村田(雅一)さんのおかげでなんとか優勝できた。終わってからバンクに入ったけど、よくこんな状態で優勝できたなってくらい弱かったです。ここ数年で一番弱いと思う。次(全日本選手権)に向けてっていう思いは強いんですけど、ピークを持っていけるか不安です」
 ウィナーズカップ準Vの眞杉匠だが、好展開を生かせず、古性にまくりを止められての2着では悔しさの方が大きい。
 「結局、絶好のチャンスを逃したし、それが現状ですね。もっと余裕が欲しいし、調子としても良くなかったのかなと。終わって普通に練習したけど、ウィナーズカップで気付いた細かいところの修正はしてきました。この後に武雄記念が立て続けにあるんですけど、ダービー(日本選手権)に向けてもこの2開催で良い流れを作りたいです」