『高知競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:4月4日

 高知競輪場開設75周年記念「よさこい賞争覇戦(GIII)」は4月4日に2日目に実施された。波乱が続いた一次予選から一転して二次予選は順当に実力者が勝ち上がっていった。古性優作がまくり届かず3着に終わった最終レースを除けば、犬伏湧也をはじめとするS班勢や新旧ナショナルチームメンバーの初日特選組が次々に1着を奪っていった。5日は大会3日目で、決勝メンバーを決める準決が実施される。
 記念シリーズは開催中の毎日、先着200人様に来場者プレゼント、レース予想会、選手会高知支部ブースなどが予定されています。また、5日には、U字工事お笑いライブ、ご当地グルメ販売などもあります。高知競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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山崎賢人選手
山崎賢人選手
 貴志修己が、打鐘過ぎに山崎賢人(写真)を切る。続いて仕掛けた中嶋宣成は、2センターで先頭に出て先行態勢に。山崎は、7番手で前と間合いを取って構える。4番手の貴志は、山崎の仕掛けが来る前に2コーナーから先まくり。が、これを武田豊樹がブロックして、貴志の勢いは3コーナーでストップ。バックから車間を詰めて行った山崎は、隊列が重なった上を猛スピードでまくり上げる。あっという間にまくり切った山崎は、4コーナーでは先頭に立ち、そのまま後ろを引き離してゴールした。
 「カマシはなしで、スピードが上がったところを行こうと思ってました。(仕掛けが)ちょっと遅すぎて、(内容は)良くなかったです。僕だけ脚を使ってなかったんで、スピードに関しては問題ないです。バンクも、思っていたよりも感覚が良い。クセも感じてないです」
 踏み出しをしのいだ小川勇介は、最後は2車身離されながらも食らい付いて2着をキープ。
 「他のラインは、自分達を後方に置く作戦でしょうし、詰まったところで行くのが良いと思ってました。(展開が)向いたかなって感じはあるけど、(山崎は)すごいスピードだった。相性が良いですし、強いんで、後輪にだけ集中してました。状態は良いと思うけど、(山崎)賢人が強すぎて分からないですね」


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松井宏佑選手
松井宏佑選手
 打鐘で6番手から甲斐俊祐が動き出すと、新田祐大も合わせて動く。新田が、松井宏佑(写真)を切った上を押さえて、甲斐が先制する。松井は7番手で最終周回に入る。新田が、前との車間を詰めてバックからまくると、甲斐の余力を見極めた佐藤幸治も、番手から出て応戦。新田は佐藤に合わされて2センターで失速してしまう。北日本勢を追って、3コーナーから一気に加速していった松井は、新田と佐藤の上をあっさりとのみ込んで、先頭でゴール線を駆け抜けた。
 「スタートは前か、中団からで、他のラインの動きを見ながらでした。粘るか、下げるかでしたけど、結果的に下げました。(新田が)結構車間を空けているのが見えたんですけど、自分は行ける所から一発を狙っていて。ペダルはいい感じで回せましたし、昨日(初日)よりも感じは良かったですね。ただ、まだ満足はしていないので、もう少しセッティングを煮詰めてもっと良くしたいです」
 近藤保が、懸命に松井を追いかけて南関ワンツー。
 「自分の状態がそこまで良くないので、離れないようにだけ集中していました。松井君しか見てなくて、前の状況は分からなかったですね。松井君が仕掛けて、乗り切って(4コーナーを)下るだけだったのでとりあえず良かったです。腰をやって一本欠場していたので、今回は不安しかなかったんですけど、流れだけがいい感じです」


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清水裕友選手
清水裕友選手
 上杉嘉槻が、打鐘で取鳥雄吾を切って、寺沼拓摩が近畿勢に続く。東京勢の後ろに野田源一が追い上げるが、単騎の坂本亮馬は動きを見せず、取鳥は6番手に置かれる。最後方の坂本は、最終1コーナーでインをすくって、清水裕友(写真)の内に並ぶ。取鳥は、1センターから踏み上げて、先まくりの寺沼の上をまくる。清水は、坂本に踏み勝って取鳥をピタリと追走。ゴール前も踏み直した取鳥を、清水が寸前でとらえた。
 「ジャン過ぎに(坂本)亮馬さんが見えなかったから、後ろにいてくれるのかなと思ったら、1コーナーで影が見えた。バッティングする前に、(取鳥)雄吾が仕掛けてくれて良かったです。出た時には(ラインの)3人で決まったなと思ったけど、抜けるかは怪しかった。やっと抜いた感じですね。(呼吸器系は)なんかきついですね。気にし過ぎかもしれないけど、今まで気にしたことがないところなんで、気になる。初日はかなり前に使っていたフレームを使っていたけど、重かったし、かなり時代遅れな感じだったんで、今日(2日目)は変えました」
 取鳥雄吾は、地元の田尾駿介まで連れ込む完璧なレース運びを見せたが、同級生で練習仲間の清水に差されて若干悔しそう。
 「風がすごいですね。結構きついなと思った。源さん(野田源一)の動きを見ながらだったんですけど、(坂本)亮馬さんが内に来てるのが分かって、そこで詰めながらだった。踏み出しは苦しかったけど、バックで伸びてくれた。まくりだったし、今日(2日目)こそはと思ったけど、抜かれましたね。脚は日に日に上がっている感じです」


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眞杉匠選手
眞杉匠選手
 打鐘過ぎに田中大我が切って、近畿勢を追った伊藤颯馬は、眞杉匠(写真)にフタをしてから仕掛けて、4コーナー過ぎに先頭へ。眞杉は、伊藤ラインを追うと、間髪入れずに最終ホームで仕掛ける。伊藤もペースを上げて抵抗するが、スピードの違う眞杉が2コーナーで叩き切る。伊藤は4番手に入り直すが、眞杉の掛かりが良く、もう一度仕掛けることはできない。直線に入ってもスピードの落ちなかった眞杉が、渡部幸訓を振り切って1着をつかんだ。
 「作戦はその場で考えようと思っていたし、順番が来たらいくつもりでした。みんな脚を使った所で仕掛けられたと思います。初日がだいぶ良くなかったので、自転車をいじって今日(2日目)は良くなりましたね。しっかりケアをして、準決勝に備えます」
 眞杉に8分の1車輪まで迫った渡部幸訓が2着。
 「自分がスタートを取りにいって、詰まったところからという感じでした。踏み出しだけ集中していて、眞杉はだいぶ余力を残している感じでしたし、差すのは厳しかったですね。連日前の選手がいい仕掛けをしてくれているし、そのおかげですね。自分自身は今年に入って今開催が一番いい感じかなと思います」


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脇本雄太選手
脇本雄太選手
 初手で脇本雄太(写真)が4番手の位置を確保するが、7番手の阿部将大が赤板前に追い上げる。併走を嫌った脇本は、7番手に下げる。その後の隊列の動きはなく、先頭の斉藤樂が、打鐘2センターで自ら誘導を降ろして駆ける。脇本は、最終2コーナーで仕掛けるとグングンと加速。反応した阿部の上を、次元の違うスピードでまくっていく。2センターで先頭に立った脇本が、ぶっちぎりでゴールした。
 「(周回中に)思ったよりも早く追い上げられて、自分が後ろを確認するよりも早く並ばれてしまった。中団が取れたので、一旦切らせたいと思ったけど、ああなったらそういう感じではないんで、引いて立て直そうと。思っていたよりも、前(の斉藤)も冷静だったし、自分も迷いながら走ってた。自分が持つところからと思って仕掛けているけど、タイミングが若干遅い。そこを早められれば」
 山本伸一は脇本に離れて、2センターでは接触もあって落車してしまう。先まくりの阿部将大が、脇本を追いかけるようにして2着。
 「脇本さんが下げてくれればラッキーだなと思って追い上げて、下げてくれたんで、あとは前に任せるような感じだった。脇本さんが来たのが見えて、反応して踏み込んだ。来ないなって思ったらすごいスピードで伸びて行ったんで、やっぱり世界基準のスピードでした。星野(洋輝)君が絶対にブロックに来ると分かってたし、そこを避けながら行けました。先行してないんでなんとも言えないんですけど、動きは冴えてますね」


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犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 堀内俊介が、打鐘で山本浩成を切って、小松崎大地がその上を押さえる。周回中に3番手の犬伏湧也(写真)は、車を7番手に下げ切る。5番手の山本浩が、4コーナーから仕掛けて小松崎を叩くが、犬伏も最終ホームから発進。目の覚めるようなスピードでまくった犬伏が、2コーナーで先頭に立って勝負あり。初日落車の影響を感じさせない力強い走りで、S級S班としての初勝利を決めた。
 「山本(浩)君が仕掛けないなら行こうと思っていたし、そこを目掛けて、しっかり出切るイメージで踏みました。ペース配分も考えながらでしたね。落車で腰を強く打っていて、走ってみないと分からないところはあったんですけど、やっぱり地元地区ですし、強い気持ちを持って走ろうと。今日(2日目)は、強い気持ちを持って走るというのが課題でしたね。S班のデビュー戦が落車というハードな事が起こりましたけど、今日はラインで決められて良かったです。やっぱり自分の1着もですけど、ラインで決めるというのが自分にももっとチャンスが出てくると思うので」
 犬伏の加速に車間が空いた橋本強だったが、必死で追いかけて2センターで追いつく。なんとかラインワンツーを決めて安堵の表情を浮かべた。
 「1コーナーの上りの加速がすごくて、2コーナーの下りまで全開でした。ちょっとでも近道しようと思ったんですけど、目一杯追いかけるだけでした。追い付いて、差すのは今日(2日目)の風では無理ですね。ちょっと体が疲れているのでケアして、自転車も新車なんですけど、煮詰めようかなと思います」


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山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 打鐘過ぎに城戸俊潔が、古性優作を切る。日高裕太は、4コーナーの下りを使い、勢いよくカマして主導権を握る。古性は、一本棒の7番手に置かれて最終周回に入る。日高が快調に飛ばして、番手の山賀雅仁(写真)は、車間を切って援護態勢を取る。山賀が車間を詰めると、2コーナーから先まくりの城戸は失速。その上を古性がまくっていくが、山賀が2センターで渾身のブロック。古性を止めた山賀が、日高を差し切って大金星を挙げた。
 「日高君の掛かりが本当に良かった。城戸君の先まくりが止まったけど、あの感じだとその後ろのラインがもっとすごい勢いで来るパターンになる。自分が古性君をもっていって、空振りした感じだったし、その後に音が聞こえたんで、失格かと思った。審議にもなってなかったんで良かった。連日、運一本です。とにかく日高君が強かった」
 2センターでは4車が落車。日高裕太は、持ち味を全面に出した競走で古性を苦しめ、自身も2着に逃げ粘った。
 「初手的に、一番やりやすい形になった。城戸さんが遅れて切ってくれて、仕掛け所も良くて、良い流れだった。切るところでコーナーの下りを使えて、スピードに乗せてそのまま落とさずに全開だった。2センターでは一杯だったんですけど、気持ちで踏んだ。強い気持ちで臨んだのが、いい結果につながったんだと思います」