『松山競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月13日

 松山競輪場で開催された開設73周年記念「金亀杯争覇戦(GIII)」は、3月12日に最終日が行われた。決勝は伊藤颯馬との連係から、最後は自力に転じてまくった山田庸平が優勝。昨年7月の佐世保以来、2度目のGIII制覇を遂げた。また、「第121回生ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)」は、直線で中のコースをシャープに突き抜けた安彦統賀が同期の争いを制した。

決勝戦 レース経過

 渡邉一成がスタートを制して、渡邉-守澤太志の北日本勢が前団に構える。単騎の松本貴治が3番手、郡司浩平-福田知也-松谷秀幸-東龍之介、伊藤颯馬-山田庸平で周回を重ねる。
 8番手の伊藤は青板3コーナー過ぎから動き出して、赤板1コーナーで先頭に立つ。車間を空けながら3番手に収まった渡邉が、早めに巻き返して打鐘で主導権を奪う。3、4番手に九州勢、松本が5番手で、6番手の郡司が2センターから仕掛ける。ペースを上げて逃げる渡邉が先頭で最終ホームを通過するが、郡司のスピードがいい。郡司が渡邉をとらえて、福田らが続く。伊藤が包まれているところを、山田はバック手前から自力に転じて仕掛ける。福田のブロックでスピードが鈍った山田だったが、直線でまくり切って優勝。山田を追った地元の松本が詰め寄るも2着。郡司マークから追い込んだ福田が3着。


山田庸平選手
山田庸平選手

 伊藤颯馬が切って、渡邉一成が中団、郡司浩平のカマシを出させずに伊藤が逃げる。そんな展開をイメージしていた山田庸平(写真)だったが、渡邉が打鍾前に中団から叩いて出たことから、すべてのプランが狂った。
 「車番が悪くて前が取れずに後ろ攻めになった。押さえて、郡司君が来たところを突っ張るかどうかだと思ったら、(渡邉)一成さんが来て、想定と違う展開になりましたね。(伊藤)颯馬は落ち着いて引いてくれたんですけど、郡司君の仕掛けが早かった。颯馬は内に差して、引くのが遅れて立て直せなかった」
 同県4車でラインを組んだ郡司が、早めに巻き返すのはもはや必然。伊藤が内でかぶって、もう山田は切り替えるしかない。自力に転じて最終2コーナーから猛然とまくりを放った。
 「前ももつれていたし、半周まくりなら自分ももってるんで切り替えました。(まくれるか)半信半疑でしたね。最近は自力の時にあまり進んでなかったし、どうかなと思った。でも、福田(知也)さんを乗り越えればチャンスはあると思った。福田さんを乗り越えても、最近は4コーナーからの伸びがなかったから、まだ優勝かどうかはわからなかった。ゴールしたら、押し切ってたって感じです」
 福田の強烈なけん制にも負けず、郡司をまくり切って、昨年7月佐世保記念以来、2度目のGIII制覇。佐世保では、中川誠一郎と井上昌己に前後を守られて初めての記念制覇。そして今回は、シリーズで3度ラインを組んだ伊藤との連係からV。自力で一線級を張る山田は、さらに高い目標を掲げる。
 「1回目(の記念優勝)は先輩に番手を回らせてもらって獲れて、2回目は後輩と連係して獲れた。今度は自分で動いて獲れるようになりたい。この後はウィナーズカップですね。それは1つの目標だし、その後は武雄記念に、ダービーもある。すごいモチベーションになるし、練習にも身が入りますね」
 ここから数カ月、山田にとって気の抜けない戦いが続く。まず、最高のスタートを切ったことは間違いない。

 単騎の松本貴治は、九州勢追走から山田に迫ったが2着まで。2度目の地元記念制覇にはあと一歩届かなかった。
 「(山田)庸平さん次第のレースになっちゃいました。(最終)2センターで後輪がハネた。チャンスだったけど、最後にもうひと伸びできるようになればGIでも戦えると思う。そこですよね。シリーズを通して良かったけど、優勝できていれば一番良かった」

 山田を精いっぱいブロックした福田知也だが、止め切るには至らず。郡司を交わして3着に入ったが、悔しさをにじませる。
 「(ライン)4車いるし、(郡司が)一番良いところで行ってくれた。(山田)庸平が強かった。(最終)3コーナーで引っかかれば止まると思ったけど、内も気になって止まらなかった。勉強というよりも(自分の)脚ですね。脚があれば、4コーナーで踏み勝てた。神奈川から優勝者を出したかったですけどね。あと、もうちょっとでした」





9R ルーキーチャンピオンレース

安彦統賀選手
安彦統賀選手

 周回中に8番手だった後藤大輝が、赤板で真鍋智寛を切る。九州勢に続いた常次勇人が、打鍾前に押さえて出て単騎で先頭へ。2番手に後藤が入り、真鍋は4番手。他の選手の仕掛けはなく、ラインのできた山口多聞は6番手で最終周回を迎える。逃げる常次を追った後藤は、2コーナーから番手まくり。その上をまくりに行った真鍋は合わされて万事休す。3コーナーでは、ガラリと空いた内を4番手から五十嵐綾がすくい、山口マークの安彦統賀(写真)も2センターから内を突っ込んでいく。五十嵐が東矢圭吾を内からさばいて空いたコースを、安彦が一気に突き抜けて大波乱の決着となった。
 「(最終)2コーナーを過ぎて山口君が外を行くか待っていて、内が空いているのが見えていたので、3コーナーを登るよりも、内に行った。脚に余裕はあったし、五十嵐君がこじ開けたのも見えていました。外か、内か、冷静でした。(同期の)周りに比べると、自力を出すほどのスピードはないし、山口君に全部を任せていて、コースが空けば突っ込もうと。養成所から切磋琢磨してきて厳しいトレーニングをしてきたメンバーの中で1着を取れてうれしい。でも、自力で獲った優勝ではなく、ラインのおかげ。自分一人では優勝できなかった」

 俊敏に内のコースを突いた単騎の五十嵐綾だが、東矢とからんだところを安彦に優勝をさらわれた。
 「マジで夢を見ました。勝ったと思った。あれは安彦さんがすごい突っ込みでした。タイムも良かったので。(レースは)前々にいようと思ったけど、(真鍋の)2番手が取れるとは思っていなかった。真鍋さんがまくり切るなら付いていって外でしたけど、まくれなかったら、内を行こうと思っていました。(東矢に)うまく(ヒジを)かけられなかった部分はあるけど、安彦さんがうまかったです」

 常次を受けた後藤大輝は、番手まくりに出て3着。だが、自身でレースを動かした内容ある走りは光った。
 「車番が悪かったので、後ろ攻めで考えてました。ラインができたのは僕たちと(山口)多聞だけで、多聞を逃がしたら面倒くさいんで、彼らよりは前にいたかった。切ったら意外と早く常次君が来て、あれに単騎勢が続いていたら突っ張ったけど、1車だったので出させた。出切ったあとに車輪が見えて、それが東矢さんじゃなかった。夢を見たけど、脚がなかったです。何もせずに終わったわけじゃないし、次につながるレースはできた」





次回のグレードレースは、第7回ウィナーズカップ「オランダ王国友好杯」が3月18日~21日の日程で別府競輪場にて開催されます。
この大会は出場選手の選考基準に1位回数上位30名、ヤンググランプリ出走者などがあるため、若手の自力型が数多く参戦します。SS班が貫録を示すのか、それとも若手が金星をゲットするのか、激しいスピードバトルが繰り広げられます。
また、最終日第9レースにて「ガールズケイリンコレクション別府ステージ」が一発勝負で争われます。ガールズ最強の称号を得るのは果たして誰なのか。こちらも必見です。

3月8日時点の出場予定選手データを分析した、第7回ウィナーズカップGIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
プロスポーツ号外版は"こちら"