『施設整備等協賛競輪in松山(GIII)レポート』 初日編

配信日:8月8日

 松山競輪場で開催の「道後温泉杯争覇戦(GIII)」が8月8日から始まった。注目の特選レースは新田祐大がラインで確定板独占に導くまくりで勝利を収めて圧倒的人気に応えた。また、一次予選では吉田智哉と真鍋智寛がワンツーを決めるなど地元勢も数多く勝ち上がった。9日は準決進出を懸けて二次予選7個レースが実施される。
 GIIIシリーズ開催中は、けいりんサンサンフェスタとして毎日、先着300名様に来場者プレゼントがあるほか、地元選手会によるお楽しみイベントも予定されています。猛暑が続くなかですが、松山競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 スタートで稲吉悠大が出て初手は九州勢が前受け。中団は高橋広大が取り、四国勢は後ろ攻めになった。赤板前に上昇した塩崎隼秀は1コーナーで誘導を外して先頭へ。そこを寺沼拓摩が押さえて打鐘を迎える。後ろまで下げた松川高大が中団に追い上げると塩崎と併走に。ペースで駆けた寺沼の後ろから高橋が1着をつかんだ。
 「9車なんで7車とは違うし、すかさず仕掛ければどこでもチャンスはあるかなと。塩崎君も後ろからそのまま駆けるというよりは、一回、間があると思った。出れば松川が何かしてくれると思ったし、(寺沼)拓摩が作ったいい流れでした。真後ろに松川がいたのも分かったし、冷静に走れたと思います。前回が終わってからシューズのサンの向きを変えて余裕はありますね」
 寺沼拓摩は約2カ月ぶりの実戦になったが、長い距離を踏んで逃げ粘り、好感触をつかんだ。
 「初手で中団を取れたらと思っていましたけど、塩崎(隼秀)さんが取るかなと思ったのでそこは想定外でした。(中団で)併走しているのは分かったので、カマシだけ気をつけていました。残るかな、というポイントから踏んで、2着に残れているし悪くないかなと思います。体調を崩したり、練習中の落車で復帰するのが長引いたんですけど、緊張はそこまでしなかったし、出し切れたかなと思います」

<2R>

川津悠揮選手
川津悠揮選手
 赤板で勢い良く出た矢野昌彦を伊藤裕貴が打鐘で叩いて先行態勢に入る。木村佑来は前受けから7番手まで引き最終ホーム過ぎからスパート。鋭い踏み出しでバック前には先行した中部勢をとらえ、最後は追走した川津悠揮(写真)が差した。
 「(木村)佑来がホーム過ぎから仕掛けてくれて。(踏み出しは)苦しかったです。(まくりに行く時は)スピードが違って大丈夫と。強かったですね。練習の感じは良くなかったが、この1着で気分が上がって良くなれば」
 木村佑来は想定とは違う展開になっても抜群のスピードを見せ、近況の勢いのを感じさせた。
 「本当は突っ張るつもりが、矢野さんに来られて見誤った。中途半端でしたね。あそこで引いて中団併走になるかもとか思っていたけど、(伊藤が)行ってくれたので、自分の行けるところからと。車間が詰まっていく勢いのまま行きました。踏み出しは悪くないし、脚の感じも悪くないけど、組み立てを修正したい」

<3R>

池野健太選手
池野健太選手
 1番車の池野健太(写真)は田中晴基とのスタート争いを制して正攻法に構える。畝木努が赤板過ぎに誘導を切り、菊池竣太朗が打鐘で押さえてからペースを落とすと、池野が最終ホームで叩いて主導権を奪う。叩かれた菊池は池野の後ろでイン粘り。松村友和をさばいて、番手を確保したが、逃げた池野はそのまま力強く押し切った。
 「前を取れたら引いて構えるか、早めに行くか、でした。菊池君の戦法的にも距離は長いかなと思ったし、カマシにいったんですけどね。腰痛が出て車の出があまり良くなかったです。座ってからの感触も良くなくて。よく逃げ切れたなという感じです。収穫としては長めに踏んで、今の感覚をつかめたことぐらいですかね。セッティングを調整したら変わる感じもあるし、体もケアしたいですね」
 菊池竣太朗は今期から1年ぶりにS級復帰。前に前にと強気に攻めるスタイルで池野の番手を奪って2着をキープした。
 「どこの位置でも畝木さんを出させるつもりはなかったし、池野さんが来て飛び付けないスピードなら4番手で、スピードが合ったら飛び付くか突っ張るかでした。恐る恐るの感じでガツガツやろうとは思わず、(松村友和が)外だったし自然に勝たせてもらった感じです。まだ本調子とは程遠いし、先頭の時はなるべくケガをしないように走ろうと。前回から先頭で風を切って結果も良かったし今はそういうレースをしていきたいですね」

<4R>

 スタート早い志村太賀が前を取り関東勢の前受け。九州勢が中団から進めると、人気を集めた菅原大也は後ろ攻めになった。菅原が赤板の1コーナーで誘導を外すと、中団が小原唯志と久島尚樹で併走になる。菅原は徐々にペースを上げていき、そのまま先行勝負。バックを目掛けてまくってきた小原は近藤保がしっかりと止め、絶好の展開を生かして菅原をかわした。
 「あれだけ行ってくれたので、(菅原は)きつかったと思う。番手選手としては一番いい展開で余裕をもっていけました。落車が続いていたので思った以上に良くなかったけど、徐々に良くなってはいる」
 別線の中団争いもあったが、菅原大也が先行で2着に粘る。最後はかわされたが長い距離を踏んだことで得られた感触もあったようだ。
 「スタートは後ろになると思った。出切った後に中団のもつれがわかってペースで踏み上げる感じだったけど、逃げ切れていないので力不足。みんな重いというけど、自分は昨日(前検日)より今日の方が良かったです。2周は長かったけど、最後まで踏み切れた」

<5R>

 後ろ攻めの中野雄喜が赤板で上昇するが、末木浩二が突っ張って前に出させない。そこを林慶次郎が叩いて主導権。ライン3車ですんなり出切ると、林の軽快なペースの前に中団に入った末木は仕掛けられない。林は濱田浩司を振り切ってラインで上位独占を決めた。
 「(末木が)4番手狙いかなと思って、突っ張り切るかしっかり見ていました。あそこで仕掛けないと、(先行の)スイッチを入れられたらキツくなるので。内を空けたら入ってくるかなと思って、入ってきたのでよしよしと思いながら。思った以上にホームの向かい風がキツくて、踏み上がらなかったですね。後ろに庇ってもらった感じです。暑さは何ともなくて今日は風ですね。とにかく疲れを取って、2日目以降に臨みたいです」
 地元の濱田浩司が林をぴったりと追走して2着で勝ち上がり。状態面も問題なさそうで2日目以降も注目を集める。
 「林君が全部やってくれましたね。ちょっと長いかなと思ったし、もっと落ち着いて一気に行くと思ったんですけど。後ろも脚を使っていたし、ラインで絶対決めようと。絶対残ってもらわなきゃと思っていましたね。抜ければ良かったですけど。いつもより余裕があるような感じがするし、日に日に良くなっていくと思います」

<6R>

久保田泰弘選手
久保田泰弘選手
 飯野祐太が動いた所を昼田達哉が出て先行態勢へ。横関裕樹は前受けから7番手まで引いた。先頭に立った昼田は4コーナーの下りを使って一気にペースを上げて軽快に風を切る。番手の久保田泰弘(写真)は車間を切って間合いを計りゴール前で抜け出した。
 「昼田君が強かった。久しぶりの1着でよかったですけど、夏の暑さなのか重いです。1着なので、大丈夫だと思いますけど。前回の福井から自転車を変えました。(それが良いかは)わからないです」
 地元の上田学は久保田に続いて2着での勝ち上がりに笑みがこぼれる。
 「踏み出しに離れないように、久保田君が仕事をした時にしゃくられないようにと注意していた。脚が余っていたし、(内を)締めきってからいきました。今日は余裕があったんですけど、脚は日替わりになるので…。最近は疲れていたので、3日ほど完全休養を入れて3日前に調整程度で乗った。それが良かったのかも。感触は良かった」

<7R>

芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 後ろ攻めから竹内翼が誘導を切り、中団の橋本瑠偉が打鐘で出て先頭に立つ。橋本のペース配分は抜群で中団に入った竹内は最終2センターから外を踏むも伸びはいまひとつ。橋本を交わした芦澤大輔(写真)が1着スタートを切った。
 「(初手は)取れた位置からでしたけど、ああいう風に早く仕掛けても橋本君なら残れるかなと。来たら止めようという感じでいたし、後ろもしっかり見えていましたね。あとは竹内がどこから来るかだけで、2コーナーで来なかったので2センターからかなと。落ち着いてレースを運べたと思います。しっかり抜かないといけない展開だったし、巧く回せる感じはあるのでこの状態をキープしたいですね」
 橋本瑠偉は打鐘前2コーナーの下りを使ってのロングスパート。2着に逃げ粘り、気配は上々だ。
 「切った上をそのまま叩いて先行かなと思っていたし、後ろから早く来るなら出してとは思っていましたけど、作戦通りですね。ただ、練習不足で踏み上がらなくて、(ゴールまで)もつかなって思いながらでした。出切ってからは芦澤さん頼みでした。風もですけど、暑さでバンクが粘っこい感じはありましたけど条件はみんな同じなので。まあ練習量の割にはモガけていたかなとは思います」

<8R>

 堀僚介が赤板過ぎに出て、大矢崇弘が先手追走の動きを見せるが、日高裕太も中団にこだわり、両者で併走になる。堀がスローペースに落としていると、打鐘で大矢が外併走からスパート。堀を早々に叩き切り、まくってきた日高は岡光良が止める。大矢は末の粘りも強じんで久しぶりの逃げ切りを決めた。
 「すかさずだと長いと思って1回休んでから行こうと思ってためました。(初手で)中団が取れたので、先行もあるかなと。バックから踏み直して、そこから気配を感じなかったので、最後まで頑張った。久しぶりの先行でよくわからなかったですし、半信半疑でした。思ったよりも良かったですね。(体調が)大丈夫ではないと思っていたから。今日の感じだと大丈夫かなと」
 川村晃司は目標の堀が内に包まれてしまったため、最終バック線から外に持ち出し、直線で鋭い伸びを見せた。
 「(堀が)内に詰まった状態になったので、最終バックからは出させてもらった。伸びている方でしたね。感触はいいと思います。最近はセッティングとかシューズとか試していたけど、今日はいい感じだったので明日もこのままいきます」

<9R>

吉田智哉選手
吉田智哉選手
 大石剣士が赤板前に上昇、真鍋智寛の横で止まりプレッシャーをかける。大石は打鐘をめがけて前に出るが、真鍋も下げずに前へと出る。すると3コーナーの接触で松尾勇吾が落車、真鍋は石毛の後ろに入り3番手の位置を確保。好位を確保したが真鍋だが最終ホーム線をめがけてスパート。大石を一気にまくり切ると、真鍋の動きに付け直していた吉田智哉(写真)がかわす。
 「僕からすごい売れていたので、期待に応えられてうれしいです。初手で九州勢の前受けから想定外で、真鍋(智寛)も、もうちょっと落ち着いても良かったかな。ただ、前に前に動こうという気持ちは伝わってきたしうれしかったです。踏み出した時には決まったなと思いましたし、自分は付いていっただけですけど、抜けているので悪くはないと思います。暑いので体調だけ気を付けて、準決勝に上がれるように」
 真鍋智寛は前に前にと攻めたが、競走内容を反省点に挙げる。3月の地元記念は当日欠場になってしまっただけに、初の地元GIII出走で気持ちが前面に出た。
 「前からの組み立てを考えていたんですけど、スタートが取れなくて。誘導も残っていたし引くに引けなくて、無理矢理な感じで松尾(勇吾)さんもコケてしまって申し訳なかった。大石(剣士)さんはめちゃくちゃ強いイメージがあるし、あそこで自分が引いて先にカマされたら厳しくなるなと考えてしまって。ちょっと余裕がない走りをしてしまった。ひと呼吸おいてからは、大石さんのペースも上がりきっていなかったし行けるかなと。結果はワンツースリーですけど内容が良くなかったですね」

<10R>

 張野幸聖が赤板の1コーナーで誘導を切り、そこを後藤悠が打鐘前に押さえる。前受けから下げた蕗澤鴻太郎は打鐘からの巻き返し。後藤が合わせて踏むと、蕗澤は中団で空いた5番手の位置に入るが、そのまま内をスルスルと進み3番手の庄子信弘をすくって位置を確保。最終4コーナー前からタテに踏みこむが、後藤の番手から抜け出した荻原尚人が踏み勝って1着をつかんだ。
 「(蕗澤は)意外な動きでしたけど、後藤が早めに踏んで、長いと思ったけど、かかっていた分、降りたんだと思う。後藤が強かった。最後まで踏み切れていたし、強いなと思った。来たら止めようと思ったけどラッキーでした。展開が良かっただけで、自分の感じは悪い。坐骨神経痛みたいなしびれもあるので、しのぎたい」
 蕗澤鴻太郎は内に潜って位置を確保するという意外な競走を披露。力を出し切ることもできなかったようで二次予選以降の修正を誓う。
 「パッとしない感じですね。後藤さんがかかっていて、内が空いて弱気に行ってしまった。脚に余裕はあったが、タイミングが合わなかったですね。練習はできているし、あとは出し切る競走ができれば」

<11R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 橋本優己は初手で前中団の3番手からレースを進め、橋本凌汰、佐藤一伸の順番で動いた所を打鐘過ぎに叩いて主導権を奪取。人気を集めた佐藤は3番手の位置を確保するが、内から小川賢人、外から追い上げてきた池田良とからんでもつれる。中部勢のペースになり、先行した橋本優の番手から吉田敏洋(写真)が勝利を手にした。
 「(橋本優己と)前回から一緒で、前回最終日もしょうもないレースをしていたので終わってから喝を入れて。調子が悪いというより、出し惜しみしているような感じだったので。結果が付いてきたので、いい薬になったんじゃないかなと思います。自分は最終2コーナーで後ろがもつれているのを確認できたので優己を残せるなと。調子は変わらずですけど、その日、その日、一生懸命やるだけなので。ただ、最悪の頃に比べれば付いていく分には問題ないのかなと思います」
 近況は競走得点を大きく下げてしまっていた橋本優己。一次予選は思い切った先行策で粘っており、これが復活のきっかけになるかもしれない。
 「中団から切った所で行こうと思っていました。ホームからもしっかり踏めたと思います。前検日の前日に山口幸二さんに体の使い方をアドバイスもらって、踏んだ感じもしっくりきたし、こんな感じで踏んでいたなと思い出すような感じでした。だいぶ感覚は良かったですね」

<12R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 中井俊亮が赤板過ぎに誘導を切りにいき、そこを菊池岳仁が出るが、片岡迪之が勢い良く叩いて主導権を奪う。新田祐大(写真)は前受けから7番手まで下げるが、打鐘の2センターからロングスパート。先まくりを狙っていた菊池の横も瞬く間に通過。先行した片岡をバック前にのみ込み、そのまま1着でゴール線を駆け抜けた。
 「前だったら、前で仕掛けるポイントで行こうと。(打鐘付近で仕掛けて)あそこが勝負ポイント。仕掛けられてよかったです。顔見せでバックが流れていた。そこで勝負所が来ると。きつかったけど、先頭に出られて、そこからはガムシャラでした。菊池君が行って片岡君が出て行って、そこを無理やり行って(出切るのに)センターからセンターまでかかったので、体に刺激が入った。粘りも悪くなかったですね。(ラインで決まって)それが一番良かったです」
 吉本卓仁は新田祐と初めての連係。抜群の踏み出しにもしっかりと続いてワンツーを決めた。
 「新田君を追いかけるのに集中していたし、ジャンくらいからはメイチでした。自分が先行しているような感じ。新田君はどこでも仕掛けるし、行けるけど、自分がついていかないことには坂本(健太郎)先輩に迷惑をかけるので。選手紹介の時からいい感じでした。昔はこんな感じだったと、感覚が良かった。まだ以前のような感じではないですけど、今回からもともと使っていた自転車に戻したんです」
 坂本健太郎は新田祐ラインの3番手でつけきれたことは収穫だ。初日のこのスピード域を経験したことで明日以降にも注目。
 「新田君がどこで行くか、集中していた。ジャンから4コーナーは何とか踏ん張って乗り越えたら3人で決まる感じだった。新田君の3番手でついていけているし、『よし』でしょう。練習は自分のタイミングで踏むけど、今日は変な緊張感があったし、これ以上にきついのはないと思う」