『施設整備等協賛競輪in松山(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月11日

 松山競輪場で開催された第10回施設整備等協賛競輪「道後温泉杯争覇戦(GIII)」は、8月11日に最終日が行われた。地元地区の四国勢が4車で結束した決勝は、新田祐大が主導権を握った真鍋智寛の番手を奪取。四国勢分断から新田は、番手まくりで優勝。4連勝の完全Vで1月の平以来、今年2回目、通算14度目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 最内枠の福島武士がスタートを出て、真鍋智寛-吉田智哉-福島-原誠宏の四国勢が前団に構える。新田祐大-飯野祐太-宿口潤平、後方に片岡迪之-坂本健太郎で周回を重ねる。
 青板バック付近から8番手の片岡が上昇を始める。誘導との車間を空けた真鍋は、赤板目がけて踏んで片岡を突っ張る。真鍋が主導権をキープするが、赤板過ぎに新田が内を進出して吉田に並ぶ。飯野は付け切れず連結を外す。2コーナーで吉田をさばきに出た新田は、さらに先行態勢の真鍋のインを踏むが、真鍋はペースを上げて駆ける。番手に下げた新田が、再び吉田と併走になり最終周回へ。
 1センター過ぎに外の吉田が後退して、逃げる真鍋の番手を新田が奪取。福島、原の追走。8番手の片岡が2コーナー手前からまくり、新田も番手から出る。3コーナー手前で先頭に立った新田に福島、原で続いて、その後ろにいた飯野が追い込む。片岡は不発。直線で差を詰める福島を半車輪、退けた新田が優勝。2着に福島が入り、3着に原。

新田祐大選手
新田祐大選手

 初日から人気を背負っていた新田祐大(写真)。前に前にと動いて位置を確保する動きと、スピードを生かしたまくり4連発で期待に応える完全優勝を達成。決勝でも赤板過ぎで空いた内を見逃さずに進み、後手を踏まない姿勢を見せた。
 「スタートは位置次第で何でもあると思っていた。ゴチャついている中で、片岡(迪之)君の動きを見過ぎてしまった。真鍋(智寛)君のラインが締まり気味になって難しいレースになりました」
 前に前にと攻めた結果が、真鍋の番手で吉田智哉と位置を争う展開になった。そこからペースを上げない真鍋にプレッシャーをかける動きなど、レースの隅々に新田の駆け引きやテクニックが凝縮されていた。
 「真鍋君がああ(内から自分が来る展開)は、想定していなかったのか、吉田君が(番手を)取られそうになって、そこでも流しているようなら(行く)意欲を見せてと。そうしたら、真鍋君に(先行する)スイッチが入ったかなと。そうなったからには(吉田と)勝負するしかない。結果、地元のところにいったので申し訳なく、動きとしても、後ろの2人に難しくなった」
 逃げる真鍋の番手を奪取したあとは、自慢のスピードを発揮するだけ。最終2コーナーから一気に加速して真鍋をとらえ、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「後ろが誰かはわからなかったけど、2コーナーから全力で行って、(ゴール前は)福島(武士)君とのゴール前勝負に負けたくないと思って踏みました」
 本来ならば、GIのオールスターに出場している選手。今年は全日本選抜の最終日に誘導員の早期追い抜きで3カ月のあっせん停止期間もあった。ここから先は予定されているレースはもちろん、ビッグ戦線で活躍するためにトレーニングを積んでいく。
 「(優勝しても)ここがゴールではないし、オリンピックから強いメンバーが戻ってきて日本の競輪はまた一歩、変わると思う。そこで活躍できるように精進していかないと。次に(ビッグを)出られるとしたら競輪祭。まずは出場権を取ること、そこで活躍できるように頑張りたい」

 地元の真鍋と吉田の連係は、新田の動きによって空中分解。地元の後ろを回っていた福島武士は、冷静に戦況を見ながら新田を追ってゴール前で迫って2着。今回は左鎖骨骨折から久しぶりのレースになったが、軽快な動きを披露した。
 「(真鍋が)前から突っ張って、(新田が)来るとは思っていたので締めていたんですけど、仕方ないです。(最終)2コーナーで吉田が返ってきたら迎え入れるつもりだったんですけど、浮くような感じになってしまった。抜けるかなと思ったんですけど、(新田に)付いて行った時に一瞬バックを踏まされてしまった。やっぱり歴戦の走りでしたし、うまかったです。ただ、今回は新田にも付いていけたし、感覚は悪くなかったですね」

 原誠宏はラインの結束力を見せて、四国4番手を固めてレースに臨んだ。難しい展開にはなったが、前の福島をしっかりと追走して3着。今月末までが選考期間の11月の競輪祭の出場権を獲得して、正規配分でGI初出場がみえた。
 「どこかでは(新田が)来るとは思っていました。僕も空けて油断してしまったし、難しいところでした。吉田が新田と勝負をしてくれて、それで脚を使わせてくれたし、ラインのおかげです。(状態は)徐々に良くなっていますね。(この3着で)正規でGIに出られるのは初めてで、練習にも気合いが入ります」






次回のグレードレースは、大阪・関西万博協賛 第67回オールスター競輪が、8月13日~18日の日程で平塚競輪場においてナイター開催されます。
昨年の覇者・眞杉匠をはじめSS班9名はもとより、ナショナルチームの太田海也、中野慎詞らスピードスターが参戦。優勝争いは熾烈を極めそうです。
また、女子オールスター競輪がファン投票上位14名により3日制で覇を競います。こちらも見逃せません。

8月5日時点の出場予定選手データを分析した、平塚競輪「第67回オールスター競輪」GIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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