『松山競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月5日

 松山競輪場で大阪・関西万博協賛・開設75周年記念「金亀杯争覇戦(GIII)」が、12月5日にスタートした。初日のメイン、特選では、自力に転じた深谷知広がまくってS級S班の意地を見せた。また、一次予選では、外田心斗が地元記念のオープニングを制して、真鍋智寛も勝ち星を挙げて地元ファンの声援に応えた。12月6日のシリーズ2日目には、初日特選を制した深谷も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 記念シリーズは開催中の毎日、300人様に先着プレゼント。ゲスト解説に山田裕仁さん、坂本勉さんを招いてのレース展望会、地元選手会によるお楽しみイベントなどが予定されています。松山競輪場では、様々なイベントでみなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 外田心斗に併せ込んだ下井竜が、再度、踏み込んで赤板1コーナーで出る。そこを外田が仕掛けると、吉田智哉が遅れ気味に追いかける。下井は番手に飛び付いて、主導権を握った外田の後ろは打鐘過ぎに下井と吉田で重なる。簗田一輝が4番手の外まで追い上げて、外田の先行策で最終周回へ。外田が2コーナーからペースアップして、簗田もまくりを打つ。吉田が番手を守るが、バック過ぎに下井が落車。簗田のまくりは吉田の横までで、外田が逃げ切って1着。地元記念で幸先いいスタートを切った。
 「地元記念で1着スタートは初めてなんで、素直にうれしいですね。プレッシャーが半端じゃなかった。吉田さんを連れ込めなかったんで、最高の結果とは言えないですけど。簗田さんは中団、中団を回るのがうまい選手なので、バッティングしたら勝負だなと思った。けど、ラインを生かすためには、内で詰まるよりは叩いた方がいいなと。(下井が番手に飛び付いて)ビックリしました。(最終)ホームで気づいて、そのまま駆けると1コーナーの入り口で吉田さんが飛んじゃうんで、2コーナーから踏み上げたんですけど、残念です」
 前団の隊列が短くなったところをまくった簗田一輝だったが、外田の逃げをとらえ切れずも、直線でもう一度踏み込んで2着。
 「(下井が)まさか飛び付くとは思わなかった。外田君が出切ったのを見て追い上げたんですけど、結果的には余計な動きだった。下井さんは引くと思ってたんで。併走になって脚がたまらなくて、(仕掛けたのは)自分のタイミングでもなかった」


<2R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 八谷誠賢との中団併走から赤板2コーナー手前で踏んだ日高裕太が、打鐘手前で先頭に立つ。前受けの畑段嵐士は、日高のペースを見極めて番手で粘る。2センターから巻き返した八谷は中団まで。番手はあっさり畑段が取り切り、最終ホームを迎える。日高が逃げるが、畑段は2コーナーで番手から出る。近畿ライン3車が出切り、その後ろに鈴木裕。番手の稲垣裕之(写真)が、余裕をもって畑段を交わした。
 「(畑段は)本当にいい判断だったと思いますし、展開に応じて、脚も使わずだった。自分は6月に股関節の大きな手術をして、8月に復帰をした。先月くらいから練習の感じが良くなってきて、痛みも取れていい練習ができるようになってきた。手術前よりも良くなってきているんで、もっと良くなると信じて強度をかけた練習をしていきたい」
 ラインでの上位独占をメイクした畑段嵐士だったが、2着にはこう振り返る。
 「前々にいって最低、中団くらいにはいようかと。そしたら日高君が緩めたんで、(番手で粘って)ああなりました。今日(初日)は思ったより(走れたかな)っていう感じです。ただ、(稲垣に)ガッツリ抜かれているし、年齢差的にも押し切りたかった。(追い込んだ練習で)まだ体がキツいので、しっかりケアしてと思います」


<3R>

 誘導を残したまま下げた小池千啓が、赤板2コーナー過ぎに7番手から仕掛ける。佐伯亮輔を切った堀内俊介は、すんなり関東勢を出させて4番手を確保する。小池が楽に主導権を握り、一本棒の隊列で最終ホームを通過する。逃げる小池の掛かりも良く、堀内は動かず、バックで7番手の佐伯がまくるも一息。番手で間合いを取った志村太賀が、絶好の展開をモノにして1着。
 「前か、中団から。堀内君が切った上をいければベストかなと思ってた。佐伯君だと、突っ張られるかもしれないんで。なんで、周回中にいい並びだなと思った。バンクが重めだったし、車間も切れて、(別線は)仕掛けも来なかった。堀内君の仕掛けがどうかなと思ったけど、あのタイミングだと仕事をする場所がないと思って、踏ませてもらった。初日はいつも良くないんですけど、流れが良かったですね」
 関東3番手の石川雅望が流れ込んで、ラインでのワンツー決着。近況は初日の成績が散々だっただけに、胸をなでおろす。
 「(小池が)仕掛け終わるまでは、ピッタリ付いていくことを意識してました。(最終)バックで(堀内の仕掛けが)来ると思ったんですけど、そこも(志村)太賀さんに全部お任せなんで。最近はずっと調子が良くて、言い訳ですけど展開が厳しくて結果につながらなかった。これで変わってくれればって思います」


<4R>

新山将史選手
新山将史選手
 林敬宏、久樹克門の順番で切って出て、7番手になった照井拓成はタイミングを取り打鐘手前で踏み込む。照井は2センターで先頭に立ち主導権を握り、別線を警戒しながらペースを刻んで風を切る。最終ホームを一本棒の隊列で通過して、林が2コーナー手前からまくり、久樹も合わせて出る。しかしながら、照井の掛かりも良く、車間を空けていた新山将史(写真)までは至らず。直線半ばから車間を詰めた新山がきっちり差し切った。
 「いまちょっと地元のバンクが改修していて、岩手の紫波で照井とも(練習で)やっている。それで脚質もわかっているんで、最後までもつだろうと。(前回は)流れもあったし、腰痛もあって欠場させてもらった。今日(初日)は差せているんで、(状態は)悪くないと思います」
 ライン3番手の高橋雅之が北日本勢の間を踏んだが、照井拓成が2着に逃げ粘った。
 「流れ通り、切って、切っての作戦でした。(仕掛けた時に)踏み出しで出られるかなっていうのはあった。ただ、ホームは風があってキツいなっていうのがあったんで、バックで踏み上げていった。(ラインで上位独占で)良かった。前は自在っぽくいってたけど、練習で長い距離をモガいているんで、それをレースで出せるように意識しています」


<5R>

 北日本勢を押さえた林昌幸が、打鐘手前で主導権を握る。4番手が伊東翔貴と徳永哲人で併走になり、埼玉コンビは後方でレースが流れる。最終ホームで一度は4番手を取り切ったかに見えた徳永だったが、結局、併走から2コーナー手前でまくる。薦田将伍のけん制で徳永は不発。山田雄大をさばきながら切り替えた大槻寛徳が、3コーナーから内を進出。薦田がけん制して空いた内を大槻が追い込んで突き抜けた。
 「できれば、(伊東)翔貴の得意な一撃のパターンでと思ってたんで、前が良かったけど取れなかった。嫌な並びになっちゃいましたね。翔貴は、変に中団を取っても、内とか、外を来られると弱いから、8番手の方が良かったかもしれない。自分は、久しぶりに思ったように動けましたね。まくりがいい感じだったら、そのまま付いていけばいいし、止まれば内に行こうと思って付いてた。この前の(前回の)1着よりも、今回の1着の方がいい感じに踏めていました」
 最終バックからは大槻が踏んだコースをなぞるように進んだ吉田勇人は、直線で狭いコースを伸びて2着。
 「山田君が(最終)2コーナーで仕掛けてくれて、大槻さんにさばかれるような感じになっちゃった。それで自分は大槻君の後ろにスイッチした。いいコースを踏んでくれたんで、そのまま付いていった感じでした。うまくスイッチできたのは良かった。ここのところはレースが続いてて、練習ができていないんですけど。その前にしっかり練習していた」


<6R>

橋本瑠偉選手
橋本瑠偉選手
 4番手の佐々木堅次が先に切って、城戸俊潔は落ち着いて打鐘手前で先頭に立ちペースを握る。単騎の伊藤健詞が4番手に続いて、佐々木は2センターで5番手に収まる。城戸がそのままペースを上げて駆けて、橋本瑠偉(写真)は最終ホームで前との車間が空いた7番手。2コーナー過ぎから佐々木がまくるも、柏野智典のけん制で失速。橋本は3コーナーから外を襲い掛かり、まくり追い込みでわずかに城戸をとらえたところがゴール。
 「前を取って(別線が)トントンっていけば、自分が先行でって思ってたんですけど。(佐々木)堅次が先切りするとは思わなかった。それで落ち着いてと。堅次が行かなきゃ、自分が先に(仕掛けて)と思っていた。けど、行ったんで、そのスピードをもらっていった。(最終)4コーナーくらいではまだ踏める余裕があった。(走る前は)状態はあんまりいいとは思わなかったんですけど、1着が取れたんでいいかなと思います」
 1周半を駆けてレースを支配した城戸俊潔は、橋本にこそ屈したが内容の濃いレースで逃げ残った。
 「前が取れたら良かったけど、後ろの作戦も考えていた。(佐々木の先切りで)展開が向いた。後ろが柏野さんなので心強かった。(最終)ホームはキツかったけど、そこを越えればバックが追い風になるんで。最近は(感触が)良くなかったけど、ちょっとずつ良くなっている。(その要因は)練習で外乗りを増やしたりして、自転車を昔良かったのに戻してですね」


<7R>

 埼京勢が切って出て3番手に入った真鍋智寛だが、中野雄喜に合わせて赤板2コーナーから踏み上げる。中野が主導権を握り、中近勢を受けた真鍋が4番手をキープする。最終ホームでは前団との車間を空けていた真鍋は、詰める勢いで2コーナー手前からまくりを打つ。川口公太朗が大きく外にけん制するも、乗り越えた真鍋が後続をちぎって快勝。
 「前が取れたら突っ張りが理想でした。(別線が)来ないのかなと思って、緩めたところで下りを使って来られてしまった。自分的にはタイミングが悪くて、めちゃくちゃいいところで(土屋壮登に)行かれてしまって突っ張れなかった。フタされるのがいやで、とにかく前に出てと思った。けど、先に出られてしまった。ヤバいと思ったけど、4番手に入れた。バックが追い風だったので、それを使ってうまく加速できた」
 真鍋の加速に遅れ気味になった山形一気は、川口ともつれながらもしのいで2着に入った。
 「想定してた展開とは全然違ったし、(真鍋は)ちょっと慌てているかなって感じはあった。でも、仕掛けてからは強かったですね。自分は川口君のブロックで内に差し込んでしまった。そこはミスです。内に差すってことは、なにかがズレてるんだと思う」


<8R>

宮崎大空選手
宮崎大空選手
 中四国勢が、前団に構える。町田太我が宮崎大空(写真)を突っ張り、そのまま先行策を取る。浮いた宮崎だったが、ラインのアシストもあり赤板2コーナーで4番手に収まる。町田は落ち着いてペースを落として、6番手が坂本周輝になっての一本棒で打鐘を通過。町田が徐々にペースアップして逃げて、別線には厳しい流れかに思われた。が、最終2コーナー過ぎから宮崎が、仕掛ける。渡部哲男のけん制を受けながらも前団に迫った宮崎が、ゴール前でまくり切って1着。
 「(町田に)突っ張られて、内を押し込んで前中団(4番手)が欲しいなって。4番手を取ってからずっと軽くて、回していたんで1周くらい休めた。(まくりに)行って合わせられても、5着くらいまでにはと思ってた。そしたら行き切れた。松川(高大)さんから強かったって言われて、うれしかった。調子もいいですね」
 宮崎マークから直線で外を踏んだ松川高大は、1輪差まで詰めて2着。
 「(町田は)突っ張りかなっていうのがあったので、そこからどうするかでした。あれで後ろまで下がったら厳しいんで、中団を確保してでした。まくり追い込みかなと思ったけど、(宮崎は)行ったら強かったですね。(宮崎を)抜くくらいまではいきたかった。前日の追加の疲れがありますね」


<9R>

 赤板過ぎに金子哲大が突っ張り、高橋晋也は6番手に下げる。ペースを落とした金子を見極めた高橋は、打鐘過ぎから再スパート。合わせて金子も踏み上げるが、最終ホーム手前で叩き切った高橋が主導権奪取。3番手の栗田貴徳は上野優太にさばかれる。市橋司優人が4番手。2センターで市橋も踏むが、逃げる高橋が二の足で後続を振り切った。
 「いつもよりは早めに仕掛けようと思ったんですけど、ジャンの登りで仕掛けちゃったし、それだと後ろは苦しい。そこは修正しないといけないですね。芦澤(大輔)さんに当たっちゃって、ちょっと失速した。それで3番手は飛び付きやすくなったと思うんで申し訳ない。(最終)ホームで出切ったんで、バックは誰も来ないだろうと思ってペースに入れた。自分のなかでは踏み返せている感覚はなかったんですけど、山崎さんから逃げ切れたんで悪くないです」
 直線で猛追の山崎芳仁が、ゴール線で高橋に並んだものの交わせず。
 「(高橋は)突っ張られたら、立て直して行けるところからだなと。(高橋)晋也君が強いんで、どこで行くかだけでしたね。出切って、(最終)1コーナー過ぎに後ろを確認したら、栗田君じゃなかった。これは車間を切らないとと思った。差せれば良かったんですけど、踏み返されました」


<10R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 赤板1コーナーで古屋琢晶が切って出て、根本哲吏、松山桂輔と、取鳥雄吾(写真)が3つのラインを送り出す。しかしながら、3番手の根本が仕掛けて先頭に立ち、前団の隊列が短くなる。そこを打鐘3コーナーから取鳥が踏み込む。最終ホームを過ぎて人気の中四国3人が出切って、勝負あり。4番手に飛び付いた根本は動けず、取鳥が別線をシャットアウトした。
 「しっかり力を出して、先頭にさえ出られればどうにかなるだろうと思っていた。(根本が仕掛けて)行ってくれて良くなってくれました。(最終)ホームでビジョンを確認して、ライン3人で出られたのがわかった。あとはしっかりとペースをつくって、3人で決められればと。自分の脚がどうこうよりも、走路が軽かった。もう少しアタリが出ればと。今回は不安があったんですけど、今日(初日)のでだいぶそれがなくなった。今回の方が脚は軽いですね」
 地元の橋本強は取鳥を交わせずも、前回の競輪祭よりは感触が良さそうだ。
 「別線の並びを見て、全部、引くか、粘って切らすか、そこは(取鳥)雄吾の判断でした。雄吾は全開で行ってないので、踏み直してくるだろうと。抜きにいったけど無理でした。ハンドル投げも下手でしたね。ただ、前回の競輪祭よりも体がシャキッとしているので、全然、大丈夫だと思います」


<11R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 菊池竣太朗が赤板1コーナーで押さえて出て、そこを土田武志が踏み込む。土田のスピードを計りながら、菊池もペースを上げて打鐘では両者が脚力を消耗。土田が叩き切るが、流れは断然、四国勢。2センターから踏み込んだ佐々木豪が、ラインの2人を連れてあっさりと出切る。切り替えた池田勇人も追走いっぱい。ゴール前で小倉竜二(写真)が差し切った。
 「(佐々木は)ダッシュが良かったんで、そこだけ離れないようにと思ってた。早めに行ってくれたんで、抜く態勢に入れましたね。(佐々木が仕掛けに)行った距離が長かったんで、抜けたと思う」
 流れが向いた地元の佐々木豪だが、どっぷりと構えることはしないでロングまくりを敢行した。
 「理想は、10レースの(取鳥)雄吾君みたいな仕掛けだったけど、前がモガキ合ったんで、しっかり見極めてから行った。ホームが向かい風でキツかったんで、その分バックで回して、踏み直したけど力及ばず。小倉さんが強かった」


<12R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 前受けの犬伏湧也も突っ張り気味に踏むが、松井宏佑が強引に押さえ込んで主導権を握る。4番手に犬伏が入るも、打鐘手前から単騎の浅井康太が追い上げる。三谷将太がインを進出して中団がもつれ、後方から伊藤旭が巻き返す。松井も再度、踏み上げるが、最終1コーナー過ぎに伊藤が叩き切る。松井の余力を確かめた深谷知広(写真)は、2コーナーからまくりに転じる。北津留翼も合わせて番手まくり。スピードの違いで北津留をバックでのみ込んだ深谷が1着。
 「(後ろからになった初手は)ちょっと想定が甘かったですね。松井が前々に頑張ってくれたおかげだと思います。松井も(残り)2周で脚を使っていたので、(伊藤が来た時は)加速が鈍かった。それで自分の判断で外に行きました。(まくりの)出は良かった。今日(初日)のような展開は、(落車明けでも)いまのところ問題ない感じだった。1着も取れてますし、なにもできない感じはなかった」
 自身も振り返っているように、伊藤の頑張りを無にしないためにシビアに番手から出た北津留翼は2着。
 「(松井と犬伏の)踏み合いがすごすぎて、付いていくのに精いっぱいだった。(伊藤)旭君も踏み合っているなかで行ってくれて、自分も口が空いてキツかったです。(深谷が)これでこの上を来るのかっていう感じだった。自分は深谷君にスイッチさせてもらった。切り替えるのが早かったんで、1着を取らないといけなかったけど力不足でした。今回も絶好調ではないけど、(前回の)あん時よりはいいと思います」
 その前にも脚を使っていた松谷秀幸は、深谷の加速に置いていかれて3着がいっぱい。
 「自分は締めながら踏んでいた。内にいったら失格になっちゃうので、外から(追い上げたん)でキツかったです。何回も踏んだりやめたりだったし、そこもキツかった。北津留君も踏んでいって、乗り越えられれば良かったんですけど。しっかりと付いていかないと。前2人が強いんで、感じが悪いとしか言えない。明日(2日目)には良くなるかなと」