『第14回大阪・関西万博協賛競輪in小倉(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月11日

 小倉競輪場で開催された「第19回吉岡稔真カップ争奪戦GIIIは、8月11日に最終日が行われた。地元勢が3名勝ち上がった決勝戦は、林慶次郎が正攻法から主導権を握る。番手まくりに出た林大悟の後ろから柳詰正宏が優勝。16年10月の千葉記念以来、2度目のGIII決勝で、初のGIII優勝を果たした。

決勝戦 レース経過

 スタートで一気に飛び出した上野優太が誘導員を追い、林慶次郎-林大悟-柳詰正宏-上野が前受けとなるが、林慶の番手を主張した櫻井正孝が初手から林大と併走する。6番手が原田研太朗-嶋津拓弥で、阪本和也-小林弘和の西九州勢は後攻め。
 青板周回の3コーナー手前から阪本がゆっくりと上昇を開始し、赤板周回手前のホームストレッチで前へと踏み込むも、誘導員退避と同時に林慶が突っ張る。突っ張られた阪本は6番手に車を下げて、原田は8番手に下がる。先手を握った林慶は打鐘3コーナー手前からペースを上げると、2センター手前で林大が番手を取り切って競り負けた櫻井は5番手に入る。入られた阪本は最終周回のホームストレッチ手前で外から追い上げようとするも後退し、小林が切り替える。ペース良く駆ける林慶との車間を空けた林大が、バックストレッチで前との車間を詰めながら2センターでタテに踏むが、2コーナーの下りを使ってスピード良くまくる原田も外から迫る。林大が先頭で4コーナーを回るが、林大の後ろで脚を溜めていた柳詰が直線で鋭く伸びて地元GIIIを制覇。まくりで外から迫った原田は2着まで。3着には地元勢を追走した上野が入った。


柳詰正宏選手
柳詰正宏選手

 柳詰正宏(写真)にとっては走り慣れたホームバンク。林大悟と櫻井正孝の競りを地元3番手で眺めながら、じっと脚を溜めてチャンスを伺った。
 「(優勝は)想像できなかったし、フワフワしている感じで夢を見ているみたいです。感無量ですね。慶次郎はあれ一本でしたし、自分も仕事をすることに集中できていた。競輪人生の全部の運を使ってもいいという想いで、この一戦に全部をかけました」
 赤板で後ろ攻めの阪本和也が上昇すると、正攻法で構えた林慶次郎が突っ張って主導権を譲らない。阪本は中団へと車を下げて、原田研太朗は後方になり、打鐘を通過する。林慶が打鐘の3コーナーからグンっとペースを上げると、外で競っていた櫻井正孝は遅れて林大悟が番手をしっかり守る。林大が車間を切って態勢を整えていたが、最終2コーナーからまくり上げる原田がスピード良く前団に迫ってくると、それを察知した林大はタテに踏み込む。柳詰は林大の外を踏み込むと、直線で鋭く突き抜けた。
 「正直、踏んだ時にあまり車が出なかったんですけど、自分の脚を信じて良かったです。(開催前は)自分が地元の牙城を守るとは思わなかったですけど、林兄弟が乗ってきてくれて、地元勢がもぎとれて、しかも自分が優勝できて信じられないですね」
 2月のFIではここホームバンク小倉でS級初優勝(単発レースを除く)を挙げ、イメージ良く臨んだ今開催。4日間でオール連対を果たし、決勝では最高の結果が待っていた。
 「前半戦はここで優勝できて、後半戦の前に体調を崩してどうなるかなと思いましたけど、こうやって自分がやってきたことが実を結んで幸せです」
 これで、4年ぶりに競輪祭の権利も獲得。今後は更なる飛躍を誓いたいところだろう。
 「GIIIを優勝して、少しは注目されると思うし、これからも一戦一戦気を引き締めて頑張りたいですね」

 後方8番手に置かれた原田研太朗は最終2コーナーから仕掛けると、勢い良く前団に迫る。柳詰のけん制を受けながらも外を踏み込んで2着に食い込んだ。
 「想定していた展開だった。4コーナーで仕掛けていこうと思ったら、阪本君も前に踏んでいったのでバックを入れてしまった。林大悟君も脚を削られていたと思うし、溜めていた2人が1着と2着だったんだと思う。最後まで踏めている感じはあったし、4コーナーからは何とか届いた。嶋津(拓弥)さんが付いてくれたのもあるし、そのおかげです。今後はFI戦が続くけど、取りこぼししないように。競輪祭の権利も取れたので良かったです」

 地元3車の後ろを固めた上野優太は4コーナーから内に進路を取って3着。ゴール後に落車したが、晴れやかな表情でインタビューに応じた。
 「緊張感のあるレースでした。絶対離れられないなって思っていた。連日状態は良くなかったのでどうかなって思っていたけど、ハンドルを上げて良い感じになりました。柳詰さんは外を踏むだろうし、内しかないなって思っていた。あとは大悟と飛んでくる人との勝負かなと。(競輪祭の権利が取れたが)もう緊張しますね。GI自体初めてなので、小倉競輪祭と来年の熊本の全日本選抜に向けて頑張っていきたい。4日間通しては自力選手に恵まれました」





次回のグレードレースは函館競輪「第68回オールスター競輪」が8月12日~17日の日程で実施されます。

大会名に相応しく、S級S班8名をはじめ、全国各地からS班に引けを取らない強豪、売り出し中の若手自力型が多数参戦。6日間の長丁場で熾烈なスピードバトルが繰り広げられます。真夏の頂点に立ち、優勝賞金6500万円(副賞を含む)を手にするのは、果たして誰でしょうか?

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