『小倉競輪第1回小倉濱田翁カップ(GIII)レポート』 初日編

配信日:3月29日

 競輪発祥70周年記念「第1回小倉濱田翁カップ」(GIII)が3月29日に開幕した。ドームの高速バンクを舞台に、スピードレースが繰り広げられた。メインの特選は吉田敏洋がまくり追い込みで快勝。ガールズケイリンは山原さくら、児玉碧衣の2人が白星スタートを切った。
 2日目の30日は場内イベントが盛りだくさん。和田アキ子さんのものまねで人気急上昇中のMr.シャチホコによるものまねライブ、コンドル新聞社武田社長のレース解説会、橋本悠督公開予想会などが予定されています。ぜひ本場でお楽しみください。

<1R>

 後ろ攻めの谷口明正が上昇して赤板で誘導員の後ろに収まる。取鳥雄吾は前受けから中団に車を下げた真船圭一郎にフタをする。取鳥は外併走の状態から打鐘で一気に飛び出すとすかさず巻き返しにきた真船を最終ホームで合わせ切る。軽快に駆けてバックを通過。絶好展開を迎えた大川龍二が差し切り、オープニングレースを制した。
 「初手の並びからよかったし、取鳥君がうまく駆けてくれた。本当に感謝、感謝ですね。いい感じで駆けてくれたので、あとは援護したときにしゃくられたりとかしないように気を付けていた。前回の落車の影響はないですね。直前も先輩方にバイクで引っ張ってもらったりとかをしてもらった。いつも小倉は初日の成績が悪いけど、今回は初日からいいスタートを切れてよかったです」
 取鳥雄吾は別線を封じる逃げで2着に粘った。
 「朝が苦手なので、直前まで、気持ちが弱っていた。でも、しっかりとレースを作れたし、真船さんが仕掛けてきたのも見えていた。真船さんがスピードを上げたら合わせられる余裕もあったし、1レースで逃げて2着に残れているなら準決に繋がります」


<2R>

小林大介選手
小林大介選手
 樫山恭柄にフタされた島川将貴の仕掛けが遅れると、前受けの金子幸央が最終ホーム手前まで誘導員を使って主導権。番手の小林大介(写真)が展開有利に抜け出した。
 「展開が向きましたね。やっぱり自力選手(島川)があれじゃダメですよね。金子は先行しても強かった。(シリーズを勝ち上がるうえで)ほんとに初日が大切ですから。残り1周で2人で決まるなって思いました。調子自体は前回よりも全然いい」
 金子幸央が2着に粘って関東ワンツーが決まった。
 「ラッキーでした。誰も切りに来なかったし、展開が向きました。鐘前くらいから逃げようと思って、あと1周になったらもう行っちゃおうって。かかった感じはしたし、脚の感じはいい。練習みたいな感じで逃げられたし、いい刺激も入りました」


<3R>

田中晴基選手
田中晴基選手
 打鐘で飛び出した水谷将司に対し、林大悟が反撃に出るが、3番手から田中晴基(写真)も合わせて踏み上げる。最終ホームで林が強引に叩いて逃げる。松尾信太郎は口が空き、林の後位にはまった田中が鋭く追い込んだ。
 「一緒に出て突っ張ろうと思ったんですけどね。林君が強くて出られてしまったけど、はまってラッキーでした。誰か追い上げてきたら出るつもりだったけど、来なかったんで。小倉は流れが向きます。状態もいいと思います」
 田中マークの川崎健次が続いて南関ワンツー決着。逃げた林大悟は3着で勝ち上がりを逃した。
 「甘かったです。ワンテンポ、ツーテンポくらい仕掛けが遅かったです。田中さんも踏んでいましたからね。なんとか出切ったけど、いっぱいでした」


<4R>

 原口昌平の上昇に対し、赤板ホームでサッと下げた中西大は打鐘前から一気のカマシ。番手の村田雅一は別線の巻き返しをけん制しながら中西をとらえた。
 「ファンの方が応援してくれてうれしかったですね。まだ脚と気持ちに余裕がないし、勝ち上がりが2着権利でシビアなのもあって、それで最後はワンテンポ早く踏んでしまった。でも踏んだら車が出てくれたので、悪くはないですね」
 差された中西大だが、まずまずの手ごたえはつかんだようだ。
 「セッティングとかを修正して前回に比べるとすこぶるいいですね。ただスカスカしていて踏み直しが効かないですね。修正するならそこ。差されてしまったのは申しわけないけど、レース自体は上出来だと思う」


<5R>

山原さくら選手
山原さくら選手
 山原さくら(写真)がまくり快勝。最終2コーナーで先頭に立った奥井迪との踏み合いを制した。
 「やっぱり緊張しました。だから重いとか、軽いとかは良く分からなかったです。勝ててだいぶホッとしましたよ。今回はいつも使っているホイールだったので、安心して走れました。キツい3コーナーを乗り越えられたし、踏んだ感じは悪くなかったと思います」
 敗れた奥井迪は悔しそうにレースを振り返る。
 「力負けですね。もうちょっと仕掛けるのを待とうかと思ったけど、緩んだところで体が動いちゃいました。自分のレースはできたけど、力負け。(山原の)スピードが違いました。2日目は(児玉)碧衣ちゃんとの対戦だと思うので、毎日が決勝戦みたいですね。でも体が動くってことは悪くないと思う」


<6R>

増茂るるこ選手
増茂るるこ選手
 打鐘から踏み込んで先頭に立った寺井えりかを増茂るるこがホーム過ぎに叩いて出る。そこを児玉碧衣がロングまくりで襲いかかる。2コーナーで増茂を抜き去った児玉がそのまま後続を引き離して圧勝した。
 「キツいところで行ったんで脚はパンパンですね。呼吸は余裕があったけど、脚がキツかった。体調は悪くないと思います。目標が打倒(小林)優香さんなんで、ここでは負けてられません」
 まくられた増茂るるこ(写真)が懸命に児玉を追いかけて2着に踏ん張った。
 「やったほうでしょう。車番サマサマですね。(児玉が)1人で来てくれたんで。(鈴木)奈央ちゃんがずっと横にいて、キツかったです。脚の感じはすごくいいです」
 増茂に合わされて苦しくなった鈴木奈央だが、二の脚を使って3着に食い込んだ。
 「児玉さんを追いかけようと思ったら増茂さんに合わされました。まだまだですね。最後は思いっきりハンドルを投げました。ポイントレースみたいでした。ダッシュ練習が足りてないですね」


<7R>

 前受けから7番手まで下げた工藤文彦が赤板の2コーナーから巻き返す。八谷誠賢をあっさり叩いて主導権を取る。7番手となった小林則之はホームから反撃。これを3コーナーでけん制した中村昌弘が絶好展開をきっちりモノにした。
 「工藤君がいいタイミングで行ってくれた。八谷さんがもっと抵抗すると思ったんですけどね。(工藤が)ジャンから仕掛けているから差せなかったら問題ですよね。落車して体のバランスが悪くなっていたのがよくなり、前回に続いて悪くないかな」
 工藤文彦は長い距離をしっかり踏み切って2着に粘った。
 「自分の距離じゃなかった。先行は疲れますね。でも、あのタイミングでいかなかったら八谷さんは駆けるのがうまいので厳しいと思い行った。突っ張りも考えたけど、そうすると別線にまくられちゃうから。キツかったけど、なんとか勝ち上がれてよかった」


<8R>

 後ろ攻めの河村雅章が早めに上昇して誘導員の後位に入る。赤板手前で7番手から始動した小嶋敬二に合わせて動いた佐々木龍が先に切る。佐々木は小嶋を警戒しながら打鐘でピッチを上げて逃げる。この3番手を取った河村が2コーナーから好回転でまくって快勝した。
 「初手の位置取りは全く想定していなくて最悪だと思った。それならレースを動かそうと思ってかなり早めに動いた。そのおかげであの位置が取れましたね。庄子(信弘)さんが仕掛けてきたのが見えていたので、かぶるのが嫌で先に仕掛けた。(最終)ホームでカマされていたらヤバかったですね。出脚はよかったし、1着も取れているので、練習の成果が出てきたのかなと思う」
 併走状態から佐々木に突っ張られた小嶋敬二は下げて5番手で態勢を立て直す。後方からまくってきた庄子をどかして踏み込んだが、前までは遠かった。
 「よくわからんレースだったな。仕掛けようと思ったらかぶるし。でも、まくった時に飯嶋君が苦しそうだったので、これは2着には届くなと。でも河村君はスピードもよかったし、これは無理だなと」


<9R>

池野健太選手
池野健太選手
 打鐘過ぎに切った池野健太(写真)が北日本勢を受けて絶好の3番手を取る。快調に飛ばす伊東翔貴に対し、車間を詰める勢いで池野がバック前からひとまくり。後続の追撃を力強く振り切った。
 「うれしいですね。3番手をすんなり取れたので。ホームで目いっぱい踏んでいたけど、車間が空きました。ダメでも仕掛けないといけないと思って行きました」
 伊東の逃げをフルに利した鹿内翔が直線で池野に鋭く詰め寄った。
 「(伊東)翔貴のペースはかなりよかったです。本当にありがたいですね。誰かが内に来ると思ったし、3番手まくり(を止めるの)は無理ですね。最後は差したと思ったんですが…。なんとか勝ち上がれたのでよかったです」


<10R>

 正攻法に構えた渡邉一成は菅原裕太の上昇を許さずに赤板の1コーナーで突っ張る。ピッチを緩める渡邉に対し、8番手となった廣田敦士が打鐘の3コーナーから反撃に出る。これをしっかり合わせ切った渡邉の番手で絶好展開を迎えた竹内智彦が鋭く追い込み、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「2周でこなければ突っ張る作戦でした。一気に来たら出させてジャンからカマすかのどちらかでした。ワンツースリーだけど、(渡邉)一成を残せなかった。廣田君もすぐにやめると思ったのにへばりついていたね。このレースで疲れも取れた。本当に一成とは相性がいい」
 突っ張り先行の渡邉一成は別線を完璧に封じたが、末を欠いて3着。勝ち上がりを逃した。
 「2周をしっかりと駆けられているので、自分としてはしっかりとレースができた。4コーナーから差されるのは自分の力不足もあるけど、俺としては番手に求めるものがある。残り2日はいい形でダービーを迎えるためにも色々と試して走りたい」

<11R>

柳詰正宏選手
柳詰正宏選手
 正攻法の北津留翼が赤板で上昇してきた恩田淳平を突っ張る。北川大五郎が打鐘で叩いたうえを大石剣士が一気にカマして主導権。3番手以降は大きく車間が空いたが、5番手の北津留が最終2コーナーから鮮やかにまくって人気に応えた。
 「あそこで突っ張らないと、立ち遅れて後方になってしまうので。これまで地元選手が勝ち上がっていなかったので、緊張しました。セッティングを元に戻して、出脚は変わらないが、急激にタレることがなくなった。このままのセッティングで準決勝もいきます」
 柳詰正宏(写真)が北津留に食い下がってワンツー。地元ワンツーが綺麗に決まった。
 「地元勢はまさかの勝ち上がりゼロだったので、どうしても北津留さんと決めたかった。北津留さんがうまいレースをしてくれました。今回は不安もあったが、やれることはやってきていたし、気合で付いていきましたよ。最後も北津留さんは踏み直しているので、自分が付いてこれるように踏んでくれたんじゃないですか(笑)」


<12R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 赤板過ぎに出た吉澤純平を南潤がすかさず叩いて先行策を取る。吉澤が4番手に収まり、6番手に吉田敏洋(写真)、人気の中川誠一郎が8番手で打鐘、ホームを通過。2コーナーからまくった吉澤は不発に終わったが、そのスピードをもらった吉田が豪快にまくり切った。
 「スタートは後ろになると思っていたし、1回動いて前に出てからと思ってました。タマタマはまっただけ。ここはドームなんで純粋に力を出せる。自分のスピードを出せる様に意識してました」
 即席でタッグを組んだ橋本強が2着に流れ込んだ。
 「強かったです。こういう展開になると思ってました。ただ付いていっただけですね。最後は園田(匠)さんがめちゃめちゃ伸びていたので、思いっきりハンドルを投げました。ワンツーでよかったです」
 人気の中川誠一郎は後方に置かれて凡走した。
 「仕掛けないといけないんですけどね。見ちゃってました。それでも3、4(着)までには届くと思ったんですけどね」