『久留米競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月30日

 久留米競輪場で開催された、開設70周年記念「第25回中野カップレース」は6月30日に最終日が行われた。激戦を勝ち抜いた9選手よって争われた決勝は、主導権を握った杉森輝大の後ろから、平原康多が番手まくりでV。昨年5月京王閣以来の記念優勝を飾った。また、6レースで行われた「S級ブロックセブン」は、まくった吉本卓仁を交わした黒田淳が先頭でゴールを駆け抜けた。

決勝戦 レース経過

 号砲で中川誠一郎が出て、山崎賢人-中川の九州勢が前受け。それぞれ単騎の三谷竜生、松浦悠士が続き、杉森輝大-平原康多-木暮安由-神山拓弥の関東勢が5番手以下を占める。最後尾に櫻井正孝で周回。
 赤板ホーム入り口から杉森が動き出す。赤板と同時に誘導は退避し、そのまま前団を押さえた杉森の主導権。山崎は下げるが、三谷、松浦の切り替えはなく6番手。杉森はこの後続の動きを見ながら打鐘からペースアップ。一方の山崎はまだ動かず、3角から三谷が内をすくってくる。山崎が仕掛けたのは最終ホーム入り口で、タイミングが合った三谷が中川を制して山崎を追う。しかし、1角で3番手の木暮の好ブロックを受けて山崎は大きく外に飛ぶ。このまま三谷もろとも後退。代わって2角6番手から中川がまくりに転じると、平原は迷わずバック番手まくりに出る。合わされた中川は不発で、平原が力強く押し切ってV。2着も木暮で関東作戦が決まった。中川追走から切り替えた松浦が3着。


平原康多選手
平原康多選手

 これまでに何度も久留米競輪場でグレードレースを走ってきた平原康多(写真)だが、落車や失格、昨年の今大会は準Vと、なかなか当所での優勝に縁がなかった。しかし、今年の決勝戦は関東勢が4車で結束。番手を務めた平原に、勝利の女神は微笑んだ。
 「久留米は落車とか、2着の記憶が強かったんですけど、毎年(記念は3年連続)呼ばれ続けてやっと。諦めないで良かったです。いろいろやってきたけど、前回(宮杯)で方向性が見えたので、自信をもってここに来れました」
 杉森輝大を先頭に、赤板から関東勢がレースを支配。最終ホームから仕掛けてきた山崎賢人を、ライン3番手の木暮安由がドンピシャのタイミングで仕留めると、平原がバックからまくり出した。
 「山崎は杉森とスピードが合っている感じがしたし、三谷も一緒に吹っ飛んでいったのが見えました。あとは、中川(誠一郎)さんが絶対来ると思ったんで、中川さんを見てから踏みました。松浦(悠士)もいるから、そんなに甘くはないって思ってましたけど。関東から優勝者が出るように踏んだら、たまたま抜かれなかった感じです」
 記念優勝は、昨年5月の京王閣以来。その時も、関東勢は5車でまとまり、番手から踏み込んでチャンスをモノにした。
 「京王閣では吉澤(純平)が前で頑張ってくれて、今回は同級生の杉森が前でやってくれて。優勝はうれしいですけど、関東勢で最高のレースができたことがなによりですね。こういうのは、上手くいかないことの方が多いですから。各々がしっかり仕事を果たせました。関東の若い選手の刺激になれば良いですね」
 今期最終戦でつかんだ今年初V。年末の大舞台を目指し、後半戦も全力で戦い抜く。

 山崎を一発で止めた木暮安由が2着に続き、関東ワンツーが決まった。
 「こうやって関東で着にからめて、優勝者が出て良かったです。自分は、3番手の仕事ができたと思います。でも、バック踏んだ時に平原さんが前に踏んで、ちょっと口が空いてしまいましたね。あれがなければ、もう少しおもしろかったと思う」

 中川の仕掛けに乗って、直線で伸びた松浦悠士が3着に入った。
 「(山崎)賢人は、もっと早く仕掛けると思ったんですけどね。読みが違いました。その後は、中川さんがまくってくれればおもしろかったんですけど…。ああなった時点で、前をしゃくるかどうするべきだったかは難しい判断でしたね」

 最終2コーナー手前から自ら仕掛けた中川誠一郎は、5着でゴールした。
 「(三谷に)しゃくられちゃって、ヤバいと思いました。2コーナーから行けると思ったけど、力尽きました。雨でずっと滑っていて危なかったです」

 山崎賢人は、木暮の強烈なブロックに屈した。
 「もってこられて、滑ってしまいました。行けるかなって思った時に来たんで。あれで結構、スピードが落ちちゃいましたね。でも、今シリーズは最近で一番良かったんで、次はもっと良くなると思います」

 山崎の番手に入った三谷竜生だったが、山崎と共倒れの結果に。
 「山崎が行っちゃえば、おもしろかったですね。もうちょっと行ってくれれば、自分でバックくらいから行けたんですけど。でも、動けているんで良くなっていると思います」





次回のグレードレースは、7月4日~7日まで小松島競輪場において、小松島競輪開設69周年記念「阿波おどり杯争覇戦(GIII)」が開催されます。
S級S班から清水裕友、村上義弘、武田豊樹、地元から太田竜馬、小倉竜二、阿竹智史、小川真太郎らが、どんな戦いを繰り広げるのか期待したいところ。
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