『開設75周年記念久留米競輪(GIII)レポート』 2日目編

配信日:6月23日

 令和6年能登半島地震復興支援競輪・大阪・関西万博協賛・開設75周年記念「第30回中野カップレース(GIII)」は、6月23日に2日目が行われた。二次予選では、久留米のホープ後藤大輝が先行策で小川勇介と福岡ワンツー。吉本卓仁、北津留翼、園田匠らも準決に進んだ。シリーズ3日目の6月24日には、決勝進出をかけて準決で激しいバトルが展開される。
 記念シリーズは開催中の毎日、中野浩一さんをはじめ豪華メンバーによるレース展望・トークショー、先着来場者プレゼント、未確定車券抽選会が行われます。また、6月24日の3日目は、「平田崇昭・競輪小僧・江藤みき」の爆笑トリオレース予想会なども予定されています。久留米競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 赤板で3番手から先に切りに出た嘉永泰斗(写真)だったが、久田裕也に突っ張られる。友定祐己が久田に遅れを取り、嘉永はいったん久田の番手に降りる。隊列がもつれたところを小松崎大地が仕掛けて、打鐘過ぎに先頭へ。出切った小松崎が流し気味でいると、嘉永は2センターから前を叩きに動く。坂本健太郎は、友定にからまれて踏み出しに遅れる。小松崎を叩き切った嘉永の主導権。1人になりながらも力強く駆けた嘉永の後ろは、小松崎と追い上げた坂本でもつれもあって車間が空く。嘉永は、まくりで迫る久田を1車輪差で退けて逃げ切った。
 「先に切って、脚を使わずに位置を取って、行けるところから行こうと思ってました。(久田が突っ張ったのは)意外でした。久田君の番手が取れたんで、そこから仕掛けようと。ジャン過ぎにゴチャゴチャしたんで、もう行こうと思った。(感触は)良いと思います。しっかりこの距離を踏んで、逃げ切れているので。今回からシューズを換えました。良い感じだと思う」
 突っ張ってから北日本勢を受けた久田裕也は、嘉永の仕掛けに反応して打鐘4コーナーで追い上げる。坂本と、小松崎でからんだ上を仕掛けて2着に入った。
 「普通に後ろ攻めのラインが切ってくるなら、セオリー通りに引いて一発と思ったんですけど、(嘉永が)先切りしてきたんで突っ張った。次に来る人を出させて、中団を取ろうかなと。そしたらゴチャ付いた。フレームを換えたから俊敏に動けたと思うんで、良かったです。前のフレームは、流れてスピードは出るんですけど、実戦じゃ使い切れなかった。こっちのフレームの方が、流れに対応できる」


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森田優弥選手
森田優弥選手
 赤板過ぎに切った米嶋恵介を、新村穣が2コーナー過ぎに押さえる。山崎賢人が新村の上を打鐘3コーナーで叩いて主導権を奪う。九州3番手の良永浩一が離れて、新村が3番手にハマるが、追い上げて切り込んだ森田優弥(写真)が、内から新村をさばいて最終ホームで3番手を奪い取る。森田は、間髪入れずに2コーナー手前から仕掛ける。北津留翼が反応できないほどのスピードでまくった森田が、連勝を決めた。
 「(打鐘から最終ホームにかけて)前の波がすごかったので、ああいう形になりました。自分より強い相手に、前を取っての勝負になったのでしょうがないですね。良永さんが離れていたので、北津留さんに付いて行こうと思ったんですけど、(コースが空いているのが)視界に入ったので、とっさの判断でした。山崎さんが掛かっていたので、北津留さんにけん制されないように上を行かないといけないと思って。上半身の使い方を意識して、昨日(初日)よりも良くなりました」
 宿口陽一は、森田のトリッキーな動きに遅れを取り、新村とからんで連結を外してしまう。山崎を交わした北津留翼が2着だった。
 「(周回中の想定は)前中団か、後ろ中団だったんですけど。(山崎)賢人君が、自分のターンで行ってくれればって思っていました。(踏み出しは)ビリビリでヤバいかなって思ったんですけど、なんとか追いつけた。流してくれなかったら追いつけなかったですね。森田君が、けん制の難しいところで来てしまった。自分に余裕があれば、車間を空けて、森田君は仕掛けづらくなったと思うんですけど。でも、見たら一人だったので(山崎に森田の後ろに)入ってもらってっていう感じでした。自力を出していないのでなんとも言えないですけど、もう少し(上積みが)欲しいなっていうのはありますね」


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伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 後ろ攻めの伊藤颯馬(写真)が、赤板過ぎに切る。3番手から伊藤に合わせて動いた三谷竜生だったが、内の武田亮と、外の佐々木豪との3車併走の真ん中に挟まれて、車を後方まで下げる。伊藤が徐々にペースを上げると、三谷と5番手で併走していた佐々木が、打鐘3コーナーから仕掛ける。だが、田尾駿介はタイミングが合わずに佐々木との連結を外してしまう。1車で叩いた佐々木を、車間が空いて伊藤が追って最終周回。間合いを取った伊藤が、車間を詰めて佐々木を並ぶ間もなく抜き去ってゴールした。
 「(周回中は)後ろ中団か、関東が出れば後ろ攻めになると思ってました。あの並びなら、押さえてから(佐々木)豪さんを出させるつもりはなかったです。(ペースを)踏みながら上げていったら、(佐々木が)ためて一発で(1車で)来てくれてラッキーだった。脚を使ったわりには押し切れてるんで、(状態は)良いと思う」
 園田匠が伊藤に続いた。
 「車番的に後ろ攻めになると思ってた。(伊藤)颯馬は、後ろ攻めのお手本のようなレースでしたね。押さえて、レースを支配してくれた。良いペースで踏んで、来なければ駆けるっていう組み立てだった。高松宮記念杯で2回連係したんですけど、その時よりも仕上がってるんじゃないですかね。かぶってもさばけるし、信頼してました」


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犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 前受けの志田龍星が、赤板過ぎに坂本紘規の上昇を突っ張る。坂本は3番手に入り直し、犬伏湧也(写真)は7番手でタイミングを取る。犬伏は打鐘手前から一気に仕掛けると、怒とうの加速で志田を叩き切る。吉本卓仁は犬伏と車間が空き、志田に振られたものの番手を死守して追いかける。ハイスピードで駆けた犬伏に対して、別線は仕掛けられない。そのまま押し切った犬伏が、圧倒的な力を示した。
 「(スタートで)もっとけん制が入れば、前からでも良かったんですけど。思っていた位置から運べた。あそこで(坂本が志田の上を)行くようなら、その上をすかさず行けるようにって思っていましたけど、突っ張ったんで。落ち着いてスピードが緩んだところで行こうと。踏み過ぎずにしっかり1周半ペースで行けている。(ラインで)ワンツースリーが決まったので、ベストかなって」
 踏み出しに離れた吉本卓仁だったが、何とか追いついて2着を確保。
 「前中団から進める感じで。車番も良かったですし、犬伏君が好きに(1着を)取ってくれればって。(志田が前受けで)逆に良かったですね。志田君が(坂本を)突っ張ったので、犬伏君に展開が向きましたね。行くと思ってはいましたけど、どんどん口が空いていってしまった。志田君を乗り越えたら何とかなると思った。犬伏君も待っていてくれましたね。連日、重いですね。今までとは違った緊張感というか。(坂本)健太郎さんまで(二次予選で)飛んでいたので、緊張しましたし。(初日に負けてしまった田中誠を含めて)久留米3人で飛ぶわけにはいかないんで良かったです」


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小川勇介選手
小川勇介選手
 赤板で、後ろ攻めから菅田壱道が切りに動くが、3番手から合わせて踏んだ小畑勝広が先に切り、菅田を出させない。菅田は後退し、後藤大輝が2コーナーから仕掛けて勢い良く先頭に出切る。7番手となった菅田は、打鐘2センターで南関勢の内をすくって5番手を確保。ペースをつかんだ後藤を、番手の小川勇介(写真)は車間を切って追走。小畑も、菅田も、最終バックを過ぎても仕掛けられない。小川は、2センターから踏み込んで、後藤との車間を詰めた勢いのままに差し切った。
 「前受けはちょっとね。後ろからの方がしっかり駆けられると思った。前から突っ張っても、真後ろが(菅田)壱道になるんで。あとは任せてました。みんな自分たちの3番手が欲しい感じで、展開も向きましたね。(後藤は)普通に強かった。頼もしいですね。疲れが抜けて、(調子が)上がってきている感じがある。(GIがあるので)小倉記念はないんで、ここが地元記念だと思って頑張ります」
 後藤大輝は、強敵を相手にしてもよどみなく先行策。人気の北日本勢を撃破した。
 「このメンバーで、(ラインが)2車っていうのが痛くて。前受けしても、菅田さんに真後ろからまくられたら終わりなんで。後ろから、他が先切りしてくれるなら、行けるところから行こうと。菅田さんが動いて、モガき合いみたいになったし、冷静に、(赤板)2コーナーぐらいから主導権を握れればと。でも、落ち着いては行けなかった。いざ先頭に立ったら、3番手が敵だし、踏みっぱなしでラスト1周みたいな感じだった。最後は意地で頑張りました。このメンバーで(ラインでの)ワンツーは自信になります」


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新山響平選手
新山響平選手
 青板バックから動き出した石原颯が、3番手の新山響平(写真)にフタをする。併走の上を仕掛けた梁島邦友が、赤板過ぎに緒方将樹を押さえる。緒方が車を下げると、石原は3番手に追い上げる。これで外が開けた新山は、2コーナーからカマしていく。打鐘2センターで出切った新山の主導権。石原が最終ホームから外に持ち出して迫っていくが、バックで阿部力也が痛烈にブロックして失速。阿部の援護を受けた新山が逃げ切った。
 「(阿部は)スタートが早いので、(前が)取れなかったっていうことは滑ったんだろうなって。積極的な選手が多かったですし、レースが動いてくれた。(駆け出しは)ちょっと強めに踏んだんですけど、ペースで行けるような感じだった。(阿部)力也さんがブロックしていなかったら行かれていたと思う。(石原は)すごいスピードでした。気づいて踏み直したんですけど、踏み直すのが遅かったですね。(最終)4コーナー回ってパカパカだったので、差されたと思ったんですけど。昨日(初日)の方が良かったですね。今日はアップの時からサドルに乗る位置が決まり切らない感じだった。自転車はいじらず、体を修正したい」
 石原のまくりを止めた阿部力也は、新山に微差まで迫って2着。
 「スタートで後輪が滑ってしまって、やってしまったなって。(新山)響平が好きなところから行くだろうと思っていたんですけど、正直余裕はなかったです。誰も来られないだろうって思っていたんですけど、石原君が来たのでビックリしました。油断もしていたんですけど、とっさに体が反応してくれました。スタートでミスって、ここでも失敗するとマズいと思って。最後はいっぱいでしたね」


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取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 赤板過ぎに岩谷拓磨が切る。取鳥雄吾(写真)は、九州勢を追わずに、5番手の藤井侑吾の外で脚を止めてフタをする。岩谷がペースを上げずにいると、取鳥は打鐘目掛けて踏み上げて主導権を握る。藤井は中四国勢の仕掛けを追うが、あおりを受けて外に浮かされる。それでも強引に仕掛けた藤井が前団に迫るが、取鳥と車間を切って備えていた松浦悠士のブロックを受けて、最終3コーナーで後退。車間を詰めた松浦が、直線で取鳥を追い込むが、最後の力を振り絞った取鳥が踏み直し、逃げ切りを決めた。
 「なんとかですね。マツさん(松浦)のおかげですね。(藤井と外併走になったが)ただじゃ引かないだろうなとは思ってた。あのまま岩谷が駆ければ、あの位置で勝負だし、俺が叩きに行けば付いてくるのはわかってた。(松浦が)だいぶゆっくり(差しに)来たんで、それなら俺もワンチャンスあると思った。いつもよりもタレ具合を抑えられたと思う。踏めた感じはあったけど、今日(2日目)でかなり脚を使ったと思う。すんなりの先行で松浦さんに差されなかったのは初めてだけど、たまたまですよ」
 藤井のまくりをさすがの立ち回りで阻んだ松浦悠士だったが、最後は取鳥を交わせず、ファンへの謝罪を口にした。
 「(周回中は)中部の後ろが良いなと。(取鳥が)良いペースだったし、岩谷君が後ろでけん制しているのが見えたけど、(藤井は)それでも来るだろうと。そこは僕が(仕事を)やると決めてたんで、車間を切ったり、けん制したりで、止められて良かった。最後は抜けると思った。お客さんには申し訳ないです」