『開設75周年記念久留米競輪(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月25日

 令和6年能登半島地震復興支援競輪・大阪・関西万博協賛・久留米競輪開設75周年記念「第30回中野カップレース」は6月25日に最終日を迎えた。好メンバーがそろった決勝は予想以上に激しいスピード勝負となったが、伊藤颯馬の番手から発進した嘉永泰斗の後位で脚を溜めていた山崎賢人が九州連係を無駄にせずV。4番手まくりで九州勢を飲み込んだ森田優弥をゴール前で交わして面目を施した。
 なお、山崎の記念優勝は18年11月の取手以来2度目。ナショナルチームに所属していて近年はレースを走る機会が少なかったが、昨年11月競輪祭以来の実戦でいきなり結果を出してみせた。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると菅田壱道が飛び出して、新山響平-菅田-阿部力也の北日本勢が前を固める。中団は松浦悠士-田尾駿介の中四国勢。伊藤颯馬-嘉永泰斗-山崎賢人の九州勢が6番手からで、単騎の森田優弥は車番も悪くて入れる位置もなく最後方。
 赤板を目掛けて伊藤が後方から一気に上昇し、打鐘前に新山を叩いて九州勢と単騎の森田が出切る。伊藤はハイペースで飛ばしていって、隊列は一本棒で最終ホームを通過。ホーム過ぎに松浦が8番手からまくり上げるが、1センター付近から嘉永が番手まくりを放つ。また、九州勢後位に付けていた単騎の森田も2コーナー出口付近からのまくりで勢い良く迫り、2センターで嘉永を捕らえる。4コーナーでは後方で松浦、菅田、田尾が接触し菅田が落車。嘉永の番手まくりに追走し、2センターで松浦を捌きながら車を外に出した山崎が、直線で森田を交わしてV。2着は森田。松浦のまくりに乗った田尾が切り替え追い込んで3着。


山崎賢人選手
山崎賢人選手

 パリ五輪には帯同せず、リザーブとして国内にとどまることなった山崎賢人(写真)。その悔しさを、18年取手記念以来2度目のGIII優勝で晴らした。
 九州を担う若手3人での連係。山崎は、準決と同様にライン3番手の位置で勝機を待った。
 「しっかりラインとして機能しないとなっていうのがあったんで、まずは内を締めてと。(伊藤颯馬が)新山を叩き切ったので、とんでもなくきつかった」
 伊藤が、新山響平を上回るダッシュで主導権を奪ったが、単騎の森田優弥がすんなりと九州勢を追走。間髪入れずにまくり上げ、番手まくりに出た嘉永泰斗をまくり切る。森田には上を行かれた山崎だったが、続いて仕掛けてきた松浦はしっかりとブロック。返す刀で森田の外を、鋭く追い込んだ。慣れない位置でも、冷静さが光った。
 「森田がすかさず来たので、あっと思った。行かれたけど、その後ろはしっかり(止めよう)と思って。ちょっと迷ったところもあったけど、2人でもがき合っていたので(踏んだ)。周りはみんな強い人だったんで、その時、その時で反応して、判断した結果ですね」
 パリ五輪への出場が叶わなくとも、ナショナルチームで積んだ経験は無駄じゃない。ナショナルチームの去就についての明言は避けたが、サマーナイトフェスティバルと、オールスターへの出場は決まっている。競輪では、活気づく九州地区の一員として、地元地区全体を盛り上げていく。
 「(ナショナルチームでは)すごい良い環境で練習をさせてもらっていました。レベルアップできたと思います。今回は、ラインのおかげで勝てた。ラインの先頭で頑張れるように、自力でもっともっと強くならないといけないです。九州で盛り上げていきたいと思っているので。(競輪を)走るからには、優勝を目指したい。今回は(勝ち上がりで)1着を取れていなかったし、まだまだだと思います。自分の力をもっと上げていかないと」
 久留米は、デビュー戦を走った思い出のバンク。世界との戦いを経て、一回りも、二回りも大きくなった山崎が、縁のある地で競輪選手としてのリスタートを切った。

 2着の森田優弥だが、単騎で持ち味の巧さを発揮。番手まくりの嘉永の上を、あっさりとまくったのはインパクト大だった。
 「(伊藤)颯馬が出切ったらラッキーと思って(九州勢に)付いてました。出切れなくても、どこかに降りて勝負だなと。颯馬が自分が思ってたよりも早く踏んで、いろいろと狂ったんですけど、颯馬が強かった。嘉永さんが番手から出て、3番手にいても優勝はないと思って仕掛けました。(まくれたのは)ギリギリでした。すんなりあの位置を回れたし、展開も向いたので」

 最終ホームで8番手となった松浦悠士は、1コーナーから仕掛けて前団に接近。松浦が2センターで失速すると、マークの田尾駿介は内に降りて山崎の後ろへ。そのまま前を追って3着に入った。
 「松浦さんとは初連係でしたし、番手に付けられることなんてそんなにない。良い経験ができました。松浦さんが良いスピードで行ったし、新山を超えた段階で2人で決まったと思ったんですけど。良いブロックをもらっちゃいましたね。僕は最後まで踏めたのが良かったです」







次回のグレードレースは、取手競輪場開設74周年記念「水戸黄門賞」が6月27日~30日の日程で開催されます。
今シリーズは輪界の第一人者・脇本雄太が参戦しますが、迎え撃つ関東勢も眞杉匠、吉田拓矢と戦力は充実しています。前期のGIII最終戦を制すのは果たして誰でしょう?
また、最終日第9レースにてレインボーカップチャレンジファイナルが一発勝負で争われます。こちらも目が離せません。

6月17日時点の出場予定選手データを分析した、取手競輪「水戸黄門賞」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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