『被災地支援競輪久留米競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:6月25日
 久留米競輪場で平成28年熊本地震被災地支援・開設67周年記念「第22回中野カップレース(G3)」が、25日に幕を開けた。初日は1次予選から見ごたえのバトルが展開され、スーパールーキーの吉田拓矢も逃げ切りで人気に応えた。また、メーンの特選3個レースでは、1着同着もあり、岡部芳幸、坂本貴史、村上義弘、新田祐大の4人が勝ち星を挙げて好スタートを切った。26日の2日目には初日特選を勝ち上がった9選手により、優秀「キラリ久留米くるっぱ賞」がメーンで行われる。
 本場では開催中の毎日、日替わりプレゼント(地元のお菓子などを先着500人)。100人にクオカードが当たるG3ラッキー9車券を、毎日先着1000人に配布。久留米ラーメン、やきとりなどの久留米・九州のうまいもんグルメコーナーなど、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。また、26日の2日目には、孤高のカルト芸人「永野」、「馬鹿よ貴方は」による爆笑ライブ、「動物戦隊ジュウオウジャー」ショー、「新人選手紹介」なども予定されています。ぜひ、久留米競輪場へ足をお運びください。
<1R>
 新鋭の小川真太郎が打鐘手前から先行策。真船圭一郎をすくって中団をキープした筒井裕哉が最終バックからのまくりを決めると、付けた伊藤正樹が差し切ってオープニングレースを制した。
 「筒井君は粘るかもって言ってたけど、真船君に出られてしまったのでね。それでも中団まで行ってくれたから。今日は前のおかげ。自分はなにもしてないですよ(笑)。でも周りは見えていたかな」
 筒井裕哉は中団まくりで小川真を粉砕し、格上の威厳を示した。
 「(内を進出して)3番手に入れたけど、そこじゃ格好悪いので、中団まで下げてまくっていきました。(伊藤に)楽に抜かれてしまいましたね。でも、ひと回りも違う子(小川真)を相手に頑張ったでしょ(笑)」

<2R>
竹村勇祐選手
竹村勇祐選手
 竹村勇祐(写真)、中野彰人の順で前に出ると、今度は加賀山淳が赤板の2コーナーで踏み上げ主導権を奪う。突っ張り気味に踏んだ中野が番手で粘り、前団はもつれる。6番手で戦況を見極めていた竹村が、最終1センターからスパートしてまくりで別線を粉砕した。
 「これで今期4勝目です。でも、こんな良い展開になるとは思わなかったですね。前がモガき合う感じだったので、タイミングを取って仕掛けました。踏んだ瞬間にいけると思いましたね。あれで勝てなきゃA級でも勝てないですよ(笑)。最高の展開でした」
 2着に有坂直樹が続き、北日本でワンツー決着。有坂は検車場に引き揚げて来ると、息を整えながら白い歯を見せる。
 「バンクも重いし、他も全体的に重い。そしてキツかったですね。良い展開ではありました。これから(ハンドル)ポストを替えます」
 神田紘輔は、加賀山の番手を取り切った中野を直線で交わし3着に入る。
 「(中野が)番手を取り切るのに時間がかかったので。引けないところだったし、早く取り切ってくれと。焦りました」

<3R>
黒田淳選手
黒田淳選手
 突っ張り気味に踏んだ野口大誠だったが、藤井栄二が強引に叩きに来ると兵庫コンビを受けて3番手。落ち着いて九州勢後位の6番手を確保した黒田淳(写真)は、まくった野口ラインを追いかけて最終3コーナーからその上を踏み上げる。前団のスピードをもらっての得意パターンのまくりで、黒田が白星を奪取した。
 「(野口は)脚を使っての3番だったから、僕の方が余裕がありましたね。あれで(野口が)まくりに行って、僕は4番手だったんで(柳谷崇と)2人で4着まで入れるかと。初日だし僕のなかでは重かった。それでもあれが決まりだしたら、もっと良くなってくると思う。ここまで戻してからが勝負ですね」
 「(三宅)達也さんが今回は黒田の調子がいいって言ってたんで」と、流れ込んだ柳谷崇が、黒田を称えて納得の顔で振り返る。
 「やっぱり強いし、相性がいいです。今日は(別線が)モガき合いになるっていう読みだったんだけど、黒田が落ち着いていました」
 最終2コーナー手前から先まくり敢行の野口大誠は、岡山コンビに飲み込まれて3着。
 「ちょっと車間をミスったっす。変な距離になってしまった。それでもちゃんと動けているし、レース勘自体は鈍ってないと思います」

<4R>
 徳永哲人が切った上を、長尾拳太が叩いて主導権。7番手まで下げた村上直久は、最終ホームから反撃を開始。バックで前団をとらえると、村上の番手から望月永悟が鋭く追い込んだ。
 「村上君はちょっとタイミングが悪かったかも。それでも行ってくれたので。最近はやっと前を抜けるようになってきた。でも欲を言えば、もっと余裕を持ちたい。さらに良くなるように頑張ります」
 ロングまくりで望月とワンツーの村上直久は、例によって静かに口を開く。
 「緩んでいたので、あのタイミングで仕掛けました。2着に残れたし、体の感じも悪くないと思います。また明日も頑張りたい」

<5R>
 ホーム記念連覇のかかる坂本亮馬に任された津村洸次郎が、打鐘の2センターで大畑裕貴を叩き主導権を握る。坂本は車間を切って別線の仕掛けに備えると、まくってきた佐藤雅春をブロック。返す刀でタテに踏み、ゴール線を1着で通過した。
 「とりあえずですね。津村もプレッシャーがあったと思うし、キツかったと思う。津村には主導権を取ったら残すっていったけど、(残せなかったのは)力不足です。(早めに)行かないと共倒れになってしまうので。それが一番いけないから。(状態は)可もなく、不可もなくですね。番手戦だったので」
 赤板で佐藤の上昇に合わせた松山桂輔だったが、山口泰生が松山の後輪に接触して落車。さらに、最終ホームは8番手に置かれるピンチも、先に仕掛けた佐藤目掛けて踏み上げ2着に入った。
 「津村君は掛かっていなかったですね。佐藤君が仕掛けて、4番(嶋貫高大)が追わなかったので、(自分が追った)。そこらへんも見えていましたね。2センターは佐藤君の間か外か迷いました。脚を使っていなかったので伸びましたね」

<6R>
河村雅章選手
河村雅章選手
 山崎光展を押えた戸田康平が打鐘で主導権を握ると、7番手の河村雅章(写真)が2センターから早めの巻き返し。河村の反撃に気づいた戸田がペース上げると、河村は冷静に山崎が踏み遅れた中団に入ってひと休み。再度、最終2コーナーから踏み上げて、まくりで戸田をとらえた。
 「(戸田に)見つかって、ああヤバいと思った。そしたら空いてたから、山崎君ゴメンって入りました。(戸田が)ホームから全開で行ってたから、キツかった」
 河村に付けた石川裕二が2着に流れ込んで、車単260円の断然に1番人気に応えた。
 「すごい強かったです。自分は(スタートけん制で前を追いかけて)脚が溜まってなかったけど、2着に入れてよかったです。河村さんが回してる感じだったし、外に差し込んでいた。あれで河村さんがダメだったら、内に行かなきゃと思ってたけど。やっぱり河村さんは行っちゃいますよね」

<7R>
 清水裕友と岡崎智哉の踏み合いを、栗田雅也がまくって静岡ワンツー。最後は番手の山内大作が差し切って、久々の1着となった。
 「もう栗田のおかげです。全部やってくれましたね。それに後ろを固めてくれたのも大きかった。自分は脚も使っていなかったし、1着は前後のおかげです」
 前団がもつれたところをまくり切った栗田雅也は、打鐘過ぎの攻防がポイントだったと話す。
 「(中団を譲らなかったことで岡崎が叩きに行って踏み合いになり)中団を明け渡したら自分たちは用ないですからね。そこだけはと。展開が向いたのもあるけど、まくり切れてるんでいいですよ」

<8R>
 谷口遼平が、持ち前の機動力を発揮して白星を飾った。レースは、下沖功児が打鐘の2センターで高木翔を叩き主導権を握る。すかさず前団に襲いかかった谷口は、最終バック前で逃げる下沖をとらえると、そのまま岐阜勢を引き連れて上位を独占した。
 「細切れ戦なので、取れたところから順番が来たら行こうと。外で浮いていたけど、下沖さんの横までいけたので。そこで休んで、最後まで踏めました。(状態は)重たいので、なんとも言えないですけど、出られたので良かったです。でも、(ラインの)3人で決めれたのが、一番よかったですね」
 濱口高彰は打鐘で谷口と口が空くも、しぶとく食らいついて付け直しそのまま続いて2着を確保した。
 「ジャンで(谷口が)少し滑ったので(車間を空けた)。土岐(幹多)君に怒られなくて良かったです(笑)。(その後は別線の動きも)見えていました。でも、谷口君は上手ですね。普通なら2コーナーでいっぱいになるのに。3人で決められて良かったです」

<9R>
吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 打鐘過ぎに切って出た竹山陵太の上を、吉田拓矢(写真)が余裕をもって叩いて最終ホーム手前で主導権を奪取。鈴木誠に地元の梶山裕次郎までラインの3車で出切ると、あとは別線に反撃の隙を与えず逃げ切りで上位独占を完結させた。
 「(竹山が切ったところを)すぐに踏んでいって、出切れる感じだったんでそんなに踏まないでいました。そこから踏み上げていって、外を踏んでいる時はこっち(換えたフレーム)の方が楽ですね。だいぶ変わります。重かったけど、最後も差されないように踏みました」
 吉田の踏み出しには付け切った鈴木誠だったが、最終3コーナーから徐々に吉田との車間が空いて3車身差も2着をキープしてゴール。
 「まいりましたね…。道中ピッタリ付きすぎて接触しそうになった。もうそのあとは、(後ろに)頼む抜かないでくれっていう思いでしたよ(笑)。(ワンツーで)お客さんも喜んでくれたと思うし、よかったです」
 吉田ラインの3番手を選択した地元の梶山裕次郎は、3着で1次予選をクリアしてホッと一息つく。
 「踏み出しで安心したのもつかの間、もう一段(吉田が)すごいスピードで行った。なんとか付いていけてよかったです」

<10R>
坂本貴史選手
坂本貴史選手
 後ろ攻めの木暮安由が青板バックでレースを動かす。吉本卓仁、藤木裕の順に切っていくと、この上を坂本貴史(写真)が叩いて打鐘先行。8番手に逆戻りとなった木暮が内を突くと、すくわれた吉本が外併走からスパート。しかし、坂本もペースを上げて反撃を許さない。そのままペースに持ち込んだ坂本が、落車のアクシデントをしり目に敢然と風を切って、番手の岡部芳幸と同着で1着を分け合った。
 「展開が向きました。今日は駆けるつもりでいたし、その気持ちが良かったんだと思います。逃げ切れてるし(感じも)良いんじゃないでしょうか。準決勝(進出)が決まって大きいです」
 上機嫌で検車場へ引き揚げてきた岡部芳幸は、笑顔で目標の坂本を賞賛した。
 「この相手だし(坂本が)6番車なんだから、中団取る競走じゃなく先行しなさいって言ってあった。本人もわかっていたみたいで、しっかり行ってくれましたね。ただ俺が弱かった(苦笑)。冷静だったけど脚がなかったです。坂本君が頑張ってくれました」
 前々へ攻めて3番手を確保した木暮安由が、そのまま3着に入線。
 「前々に踏まなきゃと思ってたし、あの展開なら外ではなく、内だなと。それが持ち味ですから。軽く感じたし、(状態は)良くなってると思います」

<11R>
守澤太志選手
守澤太志選手
 古性優作の頑張りを無にすることなく村上義弘が白星で応えた。レースは古性が打鐘でハナに立つと、後続を一本棒にして逃げる。最終バックから単騎の後閑信一が仕掛けるが、村上が空けていた車間を詰めながら後閑のまくりを阻む。3番手を確保した守澤太志も、まくり追い込みで反撃するが、村上が番手から鋭く追い込んで1着。
 「(古性は)なんでもできるので、絶対に後方に置かれないし安心して任せていた。勝負権のない走りはしないので。先行してくれたし、とにかく一緒に勝ち上がりたかった。後閑さんがまくってきて、タテに踏んで合わせたけど、ヨコに動くと後ろの守澤君が内に来られたりもするので。2車で(古性)優作も難しかっただろうと思います」
 守澤が外を踏むと、これを村上がけん制。守澤と連係した佐藤康紀は、村上と逃げる古性の間を伸びて2着。
 「古性も行くと思っていたし、あとは根田(空史)が突っ張るかどうかでしたね。守澤君が良い位置を取ってくれたのがすべて。調子は悪くないです。でも、記念だとメンバーがキツいので、調子が良くても展開が向かないと厳しいですね」
 村上のけん制を受けた守澤太志(写真)だったが、懸命に踏み3着に入る。2日目に行われる、優秀「キラリ久留米くるっぱ賞」にコマを進めた。
 「1回インを斬って、古性か根田の動きを待つっていう作戦でした。理想の組み立てができましたね。脚に関してはなにもしていないので…。イン斬りだけだったら誰でもできますから」

<12R>
松岡貴久選手
松岡貴久選手
 前受けの新田祐大は赤板で押えに来た茨栃の2車に、単騎の石毛克幸まで出させて4番手を松岡貴久と取り合い。先行態勢の鈴木謙太郎はペース落として打鐘を通過。松岡貴との併走から新田は内から1車押し上げて石毛をどかして3番手を確保すると、最終2コーナーからすかさずまくって1着。横の動きにも対応できる自在性を披露した。
 「もう引けなくなってしまったんで勝負しました。成田(和也)さんが付いてたんで、風を切るようなレースをしたかったんですけど。準決、決勝でまた成田さんと連係できると思うんで、その時ですね。(調子は)今日はなんとも言えない。明日は(坂本)貴史とは別だし、貴史も僕と対戦するのを楽しみにしていた。敵だからこそわかることもあるし、なにか感じてくれればと思います」
 一度は成田に弾かれた松岡貴久(写真)だったが、井上昌己のアシストで立て直すと最終2コーナーから踏み上げて新田に流れ込み2着。松岡貴は反省の弁で振り返る。
 「今日はいいところがないです…。成田さんにどかされて(井上)昌己さんが入れてくれた。それで一生懸命踏んだんですけど、自分だけになってしまった」
 単騎の松岡篤哉は最終ホームを最後方の9番手で通過。そこから2コーナーで踏み上げると3着まで届いた。
 「(前の併走で)行きづらい感じだったし、新田君が強かったですね。それでも自分は今回調子がいいです、だから楽しみです」
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