『武雄競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:4月9日
 開設75周年記念たけお競輪「大楠賞争奪戦(GIII)」が4月10日に開幕する。今シリーズは、新山響平、眞杉匠、岩本俊介のS班勢に、寺崎浩平、太田海也、新田祐大、坂井洋ら各地の強豪が参戦。迎え撃つ九州勢も山田庸平が軸の地元勢と、嘉永泰斗らが総力を合わせて大会Vを目指す。好メンバーによって争われる熱い4日間の戦いからは目が離せない。
 記念シリーズは開催中の毎日、先着車券購入者(500円以上)100名様に各種プレゼント、岐阜競輪コラボ未確定車券抽選会、井上茂徳さん、佐々木昭彦さん、小橋正義さん、中野龍浩さんによる予想ステージなどが予定されています。また、4月10日のシリーズ初日には、2024年JRAリーディングトレーナーの矢作芳人調教師と闘将・佐々木昭彦さんのスペシャルトークショー、先着来場者100名様へ佐賀のりプレゼントもございます。武雄競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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石原颯選手
石原颯選手
 石原颯(写真)は、前回のウィナーズカップで大敗続き。初日特選スタートだった有利を生かせず、リズムに乗り切れなかった。直前は、普段とは違うメンバーとの練習で、体に刺激を注入した。
 「(ウィナーズカップは)自分のやりたいレースをやらせてもらえない感じで、もうちょっと頑張りたかったです。体の動きもそこまで良くなかったかな。直前は、高松に広島の選手が練習に来ていた。吉本哲郎さんや、黒瀬(浩太郎)君とか、西田優大君が来てて、ボコボコにされた。それもあって感じは良くないけど、初日に1着を取れれば良くなると思う。武雄では毎回決勝に乗れているので、今回も頑張りたいです」
 阿部大樹は、前回の前橋GIIIで久しぶりの決勝進出。GIメンバー不在の開催とはいえ、ひとまず結果が出て安堵の表情を浮かべる。
 「前回は久々に決勝に乗れましたけど、体が自然に動いてくれた感じはありました。元々前橋が相性いいというのもあるんですけどね。昨年は腰を痛めて、半年間は全然練習もできなかったんですけど、ここに来てようやく良くなってきましたね。ただ、武雄自体がそこまで成績が良くないので、何とか勝ち上がれるように」


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 道場晃規は、3月大垣FIで準V。5番手からまくって、ラインの大槻寛徳とのワンツーだった。その前回の調子を維持できているならば、今節も楽しみな存在だ。
 「(前回は)初日に7着をやっちゃったけど、調子は良かったし、いい結果が出て良かった。感じ良く踏めてました。1日休んで、あとは普通に練習してきました。武雄は初めてですけど、直線が長いのは知ってます。そういうバンクは得意な方です」
 地元の橋本宇宙が、グレードレースに初登場。12月に特進して、直後は苦しんだが、前回の3月防府FIは敗者戦で連勝。勢いに乗って、地元記念に参戦する。
 「まだ予選で勝ててないんですけど、一般なら勝てるようになってきた。何も変えてないし、変わったのは気持ちだけですね。あとは、9車がどうかってところです。まだ緊張はしてないし、勝ち上がらないと緊張はしないと思う。一次予選をクリアできるように頑張るだけです。まずは一戦一戦の気持ちで、一次予選をクリアしたい」


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黒瀬浩太郎選手
黒瀬浩太郎選手
 12月奈良で特進し、今期からS級初挑戦の黒瀬浩太郎(写真)は、3月四日市GIIIで準決勝進出。最終日はまくりで1着と、初めてのグレードレースで存在感を放った。
 「(S級)初戦の岸和田は良い走りができなかったんですけど、それ以降はある程度戦えていると思います。単純に、競走に慣れました。(四日市は)結果的にはかなり良かったと思います。高松に合宿に行って、かなり良い練習ができました。直線が長いバンクはあまり好きじゃないけど、ダッシュを生かした走りをしたいです」
 阿部拓真は、3月大垣GIIIで決勝に進出したものの、その後のFI戦を2場所欠場。FI戦での優勝や、記念での優出もある得意バンクで、もう一度流れを取り戻したい。
 「大垣が終わった2日後にマイコプラズマ肺炎になった。一週間くらい練習できなくて、かなりきつかったですね。筋力が落ちてしまったんで、影響がないことはないと思うんで、一走してみてですね。武雄に関しては、結果が出ているんで良いイメージしかないです。不安もあるけど、なんとか持っている力を出し切りたい」


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 青柳靖起は、5年連続で地元記念に出場。ただ、これまでの勝ち上がりは二次予選までしかないのは寂しい。今節は新車を投入。一つでも上のレースを目指して力走する。
 「前回はそんなに良くなかったです。体と自転車が合ってなかった。今回は一年以上待った新車がやっと届いたので、それを使います。メーカーも違うし、セッティングがまだ出ていないけど、練習で乗った感じは良かったです。初日は先行した方が堅いメンバーですけど、勝ちにもこだわりたい。地元記念は勝ち上がることが大事なんで、戦い方は広く考えたい」
 全日本選抜では2勝をマークした杉森輝大だが、その後は勝ち星に恵まれず。着こそまとめているが、物足りなさは拭えない。
 「本調子じゃないけど、なんとかしのいでいるって感じですね。練習の強度を上げられていないんですよね。普通に練習しているだけって感じで、やりたい練習はできていない。武雄自体は走りやすいイメージがあります」


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山田久徳選手
山田久徳選手
 山田久徳(写真)は、直前の高知記念の二次予選で落車。幸いにも骨折などの大ケガはなかったようだが、落車から中4日での出走とあって、状態面が気になるところだ。
 「ケガは右肩と、脚の擦過傷。傷はまだ治ってないですけど、動かしても痛みはないですし、練習もできたので大丈夫かなと。フレームは壊れたので、前に乗っていたやつに変えます。初日は(畑段)嵐士に任せて。自分が番手で、3番手を固めてもらったこともあるし、僕が前でとも思ったんですけど、嵐士が頑張るってことだったんで。信頼して任せます」
 地元期待の坂田康季が登場。昨年A級トップの成績を残して、今期S級に昇格。ここでも、若手らしく積極性を押し出してアピールする。
 「できることはやってきたので、あとは力を出し切るだけかなと。(S級は)自力をしっかり出せた時は、なんとか戦えているんで、今回も力を出し切れたら。いつも通りに練習してきました。しっかり休んで、しっかり練習しての繰り返しですね。9車立ては、8走して7回バックを取れているんで、なんとかなっていると思います。緊張するけど、いつも通り力を出したい」


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 北津留翼は、3月四日市GIIIの初日に落車したが、その後も休まず走り続けている。ただ、感覚としては「なんかイマイチ」と現状を説明する。今回は、新車を投入する予定で、それを起爆剤としたい。
 「新車は、全体的に大きくしました。ずっと良くないし、前のフレームはへたってた感じがあったし、なにか変えないといけないんで。練習では乗ってないんで、指定練習で乗って、逆算してセッティングを出したい。九州の記念なんで、ちょっとでも成績を上げたいですね」
 北津留の番手は、幾度と連係を重ねてきた園田匠。直前の4月佐世保FIでは結果は出なかったが、得意の9車立てならば話は別だろう。
 「前回は競走間隔が空いてしまって、そこまでレース内容も良くなかったですね。今回は追加ですけど、自分は間隔が詰まっている方がいいので。記念開催が立川以来で久々なんですけど、自分は9車の方が好きなので。記念を走りたかったし、楽しみですね」


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大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 大槻寛徳(写真)は、前回の3月大垣FIで今年初優勝。今年は成績こそまとまっていたが、調子がなかなか上がらず苦しんでいただけに、この優勝は嬉しいものだった。
 「このまま落ちていくんだろうなって思うほど、ずっと良くなかった。付いているだけで、余裕がなかったんです。それが、前回は余裕があった。日替わりだったし、特に変えたこともなかったんですけど、決勝の日は良かったんです。バイオリズム的なことだと思うんですけど。そこからいつも通り練習してきました。バンク相性も良いと思うんで、今回は頑張りたい」
 山口多聞は、ウィナーズカップで初めてのビッグレースを経験。結果こそ伴わなかったが、上位陣との力の違いを肌で感じられる貴重な開催だった。
 「初めてのGIIで、レベルの高いところを走らせてもらって、すごい経験になりました。33っていうこともあって、展開がすごい早くて全然対応できなかった。焦りもあったし、落ち着きがなかった。ビッグレースのスピード感にも、慣れていかないと駄目ですね」


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伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 伊藤颯馬(写真)は、追加配分だった高知記念から中2日での参戦。高知は未勝利だったものの、開催を通しての動きは悪くなく、本人も悲観はしていない。
 「調子は悪くなかったんですけど、着が良くなかった。高知は難しいバンクなんで、そこまで気にしていないです。しっかりレースはできていたんで。終わってからしっかり休んだんで、調子は変わってないと思う。武雄には練習で結構来るし、悪いイメージはないです」
 小倉竜二は、3月四日市GIIIの決勝で落車し、休まず走った前回の3月前橋GIIIは準Vの好成績。落車の影響を感じさせない走りを見せた。
 「(前回は)ラッキーしたな程度に感じてます。メンバー的に、トップクラスとは走ってないんで、なんとも言えないかな。フレームを前回から新車にして、悪くなかった。(ドームの)前橋と、外のここで乗ってみて、どんな感じか確かめたい。この時期は暖かくなって体が動く感じがするし、それもあってこの大会は相性が良いんだと思う」


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 成田和也は、3月があっ旋しない処置で、全日本選抜から一カ月以上配分が空いた。今年はFI戦で3度の準Vがあるが、1着がない。言うまでもなく、納得はしていない。
 「普段通りに練習していました。(今年は)勝ててないですね。脚があれば1着を取れているだろうし、悔しい。久々のレースになるんで、まずはレース勘を戻していければ」
 野口裕史は、「先行」のコメント。どこであろうと、誰が相手だろうと、競走のスタイルは変わらない。
 「平塚はそれなりに良かったんですけど、終わってからの寒暖差がすごくて少し体調を崩してしまって。練習はできたんですけど、走ってみての所はありますね。武雄は駆けられてるイメージはありますし、悪いイメージはないですけど直線は長いですよね。まずはいつも通り出し切れるように」


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 三谷竜生は、前回の岸和田FIでまさかの準決敗退。別線の二段駆けに、してやられてしまった。ただ、初日特選、最終日の動きに関しては問題なく、今節も楽しみな存在だ。
 「(前回は)体自体は調子が良かった。準決も、まくりにいく時に滑ってしまって、それがなければって感じだったし、まあ、しょうがないですね。次の日から練習して、良い感じだった。ここをしっかり走って、ダービーに向けて頑張りたいです」
 3月京王閣FI、同月静岡FIと連続優出を決めて、調子を上げていた蕗澤鴻太郎。それだけに、二次予選で車体故障に泣いた地元GIIIが悔やまれる。気持ちを切り替えて、その分の悔しさをここにぶつけよう。
 「(前回の3月前橋GIIIは)二次予選で飛んだんで、悔しかったです。練習はそこに向けてやってて、調子も良かったし、気持ちの面できつかった。もう、気持ちは切り替えました。調子は引き続き悪くないと思うんで、頑張りたいですね」


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太田海也選手
太田海也選手
 ナショナル所属の太田海也(写真)は、ウィナーズカップ後に4月平塚FIに出走。連勝で優出し、決勝はラインの松本貴治とのワンツーを決めた。今節は、日本選手権を見据えながら、新車との兼ね合いを探っていく。
 「まだまだ噛み合ってないなって感じはあります。ウィナーズカップの3日目から新車にして、今回もそれを使います。良くなってますけど、改善の余地はあると思っています。自分の感覚との照らし合わせですね。平塚の後は伊豆に戻って、ナショナルチームのトレーニングをしてきました。武雄は、昔失格したバンクなんで、良い思い出に変えられるように、今回は頑張りたい」
 地元の山口敦也は、太田との初連係に緊張の面持ち。
 「前回の調子自体は悪くなかったです。スピード的にも、いつも通りに感じていたし、だいぶ良い方だったと思います。太田君を付けてもらったんで、頑張るしかないですね。自分なりに練習してきたし、調子は大丈夫です」


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眞杉匠選手
眞杉匠選手
 高知記念では走るごとに調子を上げていた眞杉匠(写真)だったが、決勝は見せ場を作れず7着。詰めの甘さを悔やんだが、日本選手権前最後の開催となるだけに、今回は最高の結果を残したい。
 「走っていた感じは日に日に上向いていたんですけど、最終日に凡走してしまった。ここで挽回したいですね。中2日ですけど、一旦帰って練習しました。開催中に良くなっていた感覚で練習できて、感じは良かったです。あとは、自分の走りを修正したい。武雄は何年も走っていないですし、走ってみてですね」
 地元のエースは山田庸平。ウィナーズカップでは、最終日にバンクレコードを更新するなど、動きの良さが際立っていた。直前に欠場となってしまった兄の英明の分まで、地元一丸となって他地区を迎え撃つ。
 「(伊東は)もともと好きなバンクっていうのもあったし、直前も手応えをつかんでいたんで、そういう自信が結果につながったんだと思います。平塚は風邪を引いて休んで、体調の様子を見て備えてきました。ウィナーズカップの前に比べると物足りない感じはあるんですけど、良くも悪くもなく、普通の状態です。自分は一日一日しっかり走っていくタイプですし、目標とかは決めずに。地元の若手も増えているし、そこは楽しみな部分です。(英明と)初日特選から一緒になると思ってたんで、楽しみにしてたんですけど、残念。そこはしょうがないし、また来年ですね」
 今開催の競走得点トップは寺崎浩平だ。ビッグレースでは、昨年の寬仁親王牌から4連続決勝進出中と、初タイトルがすぐそこまで迫っている。
 「良い状態ですし、流れも良くて、力を出し切れていると思います。新車がすごい良いので、今回もそのまま使います。(競走得点トップだが)いつもチャレンジャー精神で走っていますし、そこは変わらずに力を出し切れたら。初日は単騎になるんで難しいんですけど、タイミングを逃さずに仕掛けたいですね」