『武雄競輪日本名輪会カップ(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月23日

 武雄競輪場を舞台に開催されてきたミッドナイトGIII日本名輪会カップ「オッズパーク杯」が5月22日に3日間シリーズの幕を閉じた。男子決勝は九州勢4人が結束し、最終ホームから番手まくりを放った北津留翼の後位から、地元の山田庸平が直線抜け出して勝利。4月武雄記念に続いて6度目のGIII制覇を成し遂げた。また、ガールズケイリン決勝は最終2コーナーから一気にまくり上げた石井寛子が那須萌美の追撃を振り切って完全Vを飾った。

決勝戦 レース経過

 号砲で山田庸平、北津留翼の順で出る。これで阿部将大-北津留-山田-井上昌己の長い九州勢が前団を占め、単騎の纐纈洸翔が5番手。木村皆斗-大矢崇弘の関東勢が後攻めとなって隊列は落ち着く。
 青板バックあたりから誘導との車間を切っていった阿部は、赤板手前で木村が踏み上げてきたのを確認して一気にスパート。木村も踏み止めることなく九州勢を叩きにいくが、打鐘で番手の外まで上がるところまでがいっぱいで、2センターで北津留に弾かれて1車後退。それでも中団にへばりつく中、最終ホームでは纐纈がまくりにいくアクションを起こす。この動きを見た北津留は引き付けることなく1センターで番手まくり。これで木村は売り切れて下がっていき、纐纈のまくりも伸びず九州勢後位にスイッチするのがやっと。北津留を先頭に、山田、井上、纐纈の態勢で最後の直線へ。直線半ばで踏み出した山田がゴール前で北津留を捕らえて地元のGIIIを連続完全優勝。北津留は粘れず、2着には井上が入った。


山田庸平選手
山田庸平選手

 相手は単騎ながら勢いのある纐纈洸翔と、連勝で勝ち上がった木村皆斗。7車立てと言えど、4車で結束した九州勢に判断ミスは許されなかった。九州の先頭を担った阿部将大が突っ張り先行に出る中、木村皆斗が赤板で仕掛けてきて、叩けないと見るや番手に追い上げて九州ライン分断を狙う。地元GIIIの連続優勝が懸かった大事な一戦で、九州3番手を務めた山田庸平(写真)は集中力を研ぎ澄ましていた。
 「(レース中は)誰かがラインを崩しにくると思ったので、3番手の位置をしっかり守り切ることを一番に考えていました」
 打鐘の2センターで北津留翼が木村を捌くと、山田も大矢崇弘を弾いて北津留後位をしっかりキープ。ハイペースで逃げる阿部が最終ホームを通過すると、北津留が1センターから番手まくりに出る。4コーナーを絶好の位置で迎えた山田が最後の直線で鋭く抜け出して勝利した。これで山田は4月武雄記念に続いて6度目のGIII優勝。
 「(ミッドナイトの時間帯は)日に日に調整でき始めてきたという感じでした。(A級以来のミッドで)初日、2日目は難しかった。(4月の武雄記念に続いての優勝で)本当にラインのおかげで、昨日(2日目)も助けられて、今日も皆が役割をしっかりやってくれて、最高の結果で良かったです」
 およそ10年8カ月ぶりのミッドナイト出走だったが、地元のエースとしてしっかりと牙城を守り、ラインの仲間に感謝を述べた。
 「(改めて連続の地元GIII優勝に対しては)本当に良かったし、今年も賞金が上積みできているので良かった。でもGIでは結果を残せていないので次は高松宮記念杯に向けてやっていきたい。岸和田は相性が良いので、そこに向けて頑張っていきたいです」
 最高の形で地元GIII開催を締めくくったが、山田はまだまだ満足していない。2節後にはGI高松宮記念杯が控えている。目標を高く持ち、今後も努力を積み重ねることだろう。その先にはきっとGI初制覇が見えてくる。

 井上昌己はしっかりと山田を追走して2着。レース後は肩で息をしながら、激戦を振り返った。
 「休むところがなくてきつかった。阿部君が気持ちが入っていたし、ラインでワンツースリーを決められて良かったです。(木村が仕掛けてきたが)山田君もちゃんと対応していた。(最後は)どこまで行っても抜けないね。(3日間振り返って)今日以外は楽だったけど、今日がきつかった。ああいう練習をするしかないですね」

 番手まくりを放った北津留翼は直線で山田と井上に交わされるも3着に入った。検車場に引き揚げてくると清々しい表情でレースを振り返った。
 「阿部君が全力でいってくれたおかげですね。庸平君もスタートを取ってくれましたし。(木村と併走になり)何とか凌いででしたね。阿部君がいってくれたのが台無しになってしまうし、ホームから踏んだ方が安全かなと。最後は庸平君と昌己さんが強かったので抜かれたのは仕方ないです」







ガールズケイリン レース経過

 号砲で内枠の3人は出ず、元砂七夕美が正攻法の位置に収まる。だが、元砂は後方から上がってきた飯田風音を受け、前から飯田、元砂、長澤彩、山口優依、石井寛子、那須萌美、又多風緑で隊列は落ち着いて周回を重ねた。
 赤板で那須が動いて、切り替えた石井、又多が続く。那須が引いた山口の前に入ると、今度は石井がゆっくり動く。ここで打鐘が入り誘導は退避。石井は一旦、3番手の長澤の外まで上がり、追ってきた那須、又多の出方を窺っていく。最終ホームで那須が動きかけるが、これを制した石井が2コーナー入り口からスパート。先頭で流し気味に踏んでいた飯田も合わせて踏み上げるが、ダッシュで上回った石井はバック手前で飯田をまくり切った。後位は石井を追った那須と内で踏ん張る飯田で併走。3番手は外の又多に踏み勝った元砂がキープして直線へ。外並走から那須が差し脚を伸ばすが、追撃を許さず石井がV。2、3着にも那須、元砂が続いた。


石井寛子選手
石井寛子選手

 初手の位置は石井寛子(写真)が5番手。赤板で先に那須萌美が上昇する。打鐘の合図で石井も3番手の外に追い上げる。先頭の飯田風音が最終ホームから徐々にペースを上げるのに対し、石井は2コーナーから一気に仕掛ける。前団をまくり切ると、力強い踏み直しを見せて完全Vを決めた。
 「3週間しっかり練習した成果を出せたと思います。今日(最終日)はめちゃくちゃバッチリでしたね。行こうと思っていたところではなかったんですけど、すんなり体も動いてくれて、新たな発見でしたね。今日勝てなかったらどうしようと思ったんですけど良かったです。ずっと応援してくれているファンの方も喜んでもらえるかなと。(6月にパールカップを控えているが)練習もミッドよりにシフトしていたし、昼の時間にするのも考えて。まずは次の玉野に集中して頑張ります」

 那須萌美は石井を差し切るには至らず。悔しい敗戦となったが、前を向いた。
 「初手が(石井)寛子さんの後ろだったので、これじゃチャンスがないかなと前々にいきました。併走は嫌いじゃないですし、直線も長いので最後は差せるかなと思ったんですけどね。寛子さんの踏み直しがすごかったですね。寛子さんは学校時代から憧れている選手ですし、レースを見て勉強しているんですけど、寛子さんもどんどん強くなっていますし全然追い付けないですね。少しでも追い付けるように頑張りたいですね」

 3着には元砂七夕美が食い込んだ。2センターで上手く那須の後ろに切り替えると、直線外を踏み込んで迫った。
 「同じような自在の寛子さんや、那須さんよりは前にいたいと思っていて、飯田さんがきてくれたくれたので初手は良い位置だなって。(2コーナーくらいからは)内に詰まってしまって、道がなくて最後は空いてくれて良かった。もうちょっと上手く走れれば良かったんですけど。場所が良かっただけに…。(3日間通して)差せてはないけど、以前よりかは差し込めているし、ここから良くなっていけばいいと思います」



全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪が、5月24、25日の2日間の日程で青森競輪場にて開催されます。

グレードはFIIながら、古性優作、新山響平らSS班8名をはじめとして、全国各地からトップレーサーが集結します。ビッグレースに引けを取らない超豪華メンバーによる短期決戦を制すのは、果たして誰でしょうか?

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