『武雄競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:5月30日
 武雄競輪場開設65周年記念「大楠賞争奪戦」が幕を開けた。上位陣はこのあと高松宮記念杯が控えており、今節はG1を見据えた大事なシリーズ。初日のオープニングレースから生憎の雨模様となったが、これを吹き飛ばすかのような熱いレースが繰り広げられた。
 なお本場ではたくさんのイベント、ファンサービスが予定されております。まずは明日も先着プレゼント、子ども来場者にお菓子プレゼントを実施。また、4日間を通して「安くて美味しいB級グルメ」「高配当ゲットのチャンス!? 予想ステージ」など。さらに明日の31日は「手裏剣戦隊ニンニンジャーショー」「江頭2:50爆笑ライブ」などが予定されております。こちらもどうぞお楽しみに!
<1R>
中川貴徳選手
中川貴徳選手
 後ろ攻めの坂木田雄介が赤板で中団の金子哲大に蓋をすると、金子は車を下げ、すかさず打鐘でカマして主導権。そのまま金子はペースで逃げると別線を圧倒。最後は番手の中川貴徳(写真)が絶好の展開をモノにした。
 「とにかく今日は前後のおかげ。身体が重くて余裕もなかったし、結構ヤバかった。朝イチも影響したかも。今日は本当に恵まれました」
 このレースの主役は金子哲大だった。
 「後ろ攻めしか考えてなかったので、あの形になったので蓋をされたら落ち着いて引いて巻き返そうと。今回からシューズを新しくしたけど、練習で1回しか使ってなかったので、本気でモガいてみたら掛かりが微妙だった。もう少し掛かって欲しかったですね。ただ、雨は影響なかったし、身体は問題ないと思います」

<2R>
 打鐘過ぎに伊原克彦が川津悠揮を強引に叩いて前に出る。連結を外してしまった三谷政史が追い上げて前団がもつれたところを八谷誠賢が一気のカマシ。最後まで力強く踏み切って人気に応えた。
 「打鐘から前で何が起こっているのか全然分からなかった。前が見えたホームのところで体が自然に反応しました。前がゴチャついて力を出し切れる展開になりました」
 地元の三槻智清は好追走から直線で迫ったが、僅かに届かなかった。
 「最近はすんなり番手を回ってくるレースがなかったし、追い込み方を忘れてました。でも、やっぱり八谷さんは強い。調子がいいからポイントを逃さないですね。勝ち上がれて良かったです」

<3R>
渡邊秀明選手
渡邊秀明選手
 大方の予想通り先行型の小岩哲也が逃げるなか、小原太樹が中団まくりを決めて快勝した。
 「今日は篠塚(光一)さんが前を取ったので、これは(後ろの)小岩さんが逃げる展開になるなと。それだったら、篠塚さんの突っ張りを警戒して、重注覚悟で先に切れば中団が取れるかと。あとはそこから思い切りいくだけだったので。踏み出した感じは良かったし、調子は良いです。あと3日あるんで疲れを残さないようにケアします」
 渡邊秀明(写真)は阪本正和にからまれながらも、懸命の追走で2着を確保した。
 「やっぱり(ブロックが)来たかと。今日は前が強かったね。小原君は好きなように駆けさせると強いんですよ。だから今日も好きに走ってもらって。俺は離れたね。4回転(のギア)が欲しい(笑)。最近は弟子のことしか聞かれないんで、何とか自分もと思って必死ですよ」
 小岩哲也はまくられながらも3着で二次予選に進出。
 「思ったより駆けた感じは悪くなかったですね。あとは駆け方の問題でしょう」
 篠塚に惰性をもらい、四宮哲郎が直線伸びて4着。初日をクリアした。
 「突っ張る作戦もあったけど、勢い良く来てしまったんで。何で篠塚君はあそこ(小原の3番手)で粘るのかなと思ってたけど、最後にコースが空いてくれてよかった」

<4R>
松尾信太郎選手
松尾信太郎選手
 初手で中団に構えていた飯塚隼人が赤板で先に切ると、山口智弘がその上を叩いて主導権を狙う展開に。しかし、志村龍己がホーム線を目掛け、スピード良くカマして主導権を握った。すると、今度は飯塚が2角まくりで応戦するが阿部康雄のブロックで失速。関東両者でのゴール前勝負になるかと思われたが、飯塚に惰性をもらった松尾信太郎(写真)が直線鋭く突き抜けて白星スタートを飾った。
 「飯塚君が良いスピードで行ってくれたので勢いをもらえました。(中2日で)疲れが残ってる感じあったし、正直重かった。そのなかで1着を取れたのは大きいですね」
 このレース首位候補の1人だった志村龍己だが、直線で力尽きて一次予選敗退に終わる。
 「もっとタテ脚をつけるために、今日は思い切って行こうと決めていた。(行くべきところで)しっかり行けたし、身体の感じも悪くなかったけど。気持ちを切り替えて2日目から頑張ります」

<5R>
 打鐘過ぎに倉野隆太郎が斬った上を相川永伍がタイミング良く叩いて主導権。絶妙のペース配分で逃げ切り、1月大宮記念以来となる久々の勝ち星を挙げた。
 「今日は展開ですね。初手で2番目の位置に入れたのも大きかったです。ダメでも先行しようと思ってました。いい頃に比べて走っている感じはまだまだだけど、少しずつ良くなっている。明日も積極的に走ります」
 相川に続いた内田英介は斜行により失格。5番手から外をしぶとくまくり上げた掛水泰範が2着に繰り上がった。
 「2カ所、緩んでいたところがあったけど仕掛けられなかった。まくっていって前とスピードが合ってしまい、ヤバイと思ったんですが、あまり持って来られなかったので、何とか食らいつけました」

<6R>
高木隆弘選手
高木隆弘選手
 重倉高史が打鐘で押さえて主導権を握ると、中団のもつれを尻目にマイペース。すると最後は松崎貴久が番手から有利に追い込んで1着を手にした。
 「重倉君が作戦通りに行ってくれましたね。打鐘で重倉君は踏まないと出られない展開だったので、最後は(前を残すのは)厳しかったですね。山口(貴弘)君は上手く踏んでたしね。今日は重倉君のおかげ。この1着を大事に明日も頑張ります」
 目標の守澤太志が中団外で飛ばされたが、高木隆弘(写真)が4番手に切り替えて直線で追い込み2着に。復帰戦で嬉しい二次予選進出。
 「守澤君はそのまま逃げてしまう感じだったけどね。そうしたら外に飛んでいなくなってしまったんで。俺もあそこからまくれる脚があればいいんだけど(笑)。体はまだ痛みがあるけど走る分には大丈夫です」
 富山コンビを追った守安政雄が3着に入る。
 「打鐘と(最終)ホームで踏み遅れましたね。ホームは余裕があったけど、何かちょっとおかしいですね。今日展開に恵まれました」
 重倉高史は直線で末を欠いて7着に。
 「誘導のペースが上がったし、1番(守澤)が来てたのが見えたんで流せなかった。あれで脚を使いましたね。でも調子は悪くないので、切り替えて明日頑張ります」

<7R>
 後ろ攻めの田中孝彦が赤板で上昇して前を切ると、久木原洋のラインを受けて中団を確保する。そして、2角から満を持してスパートすると、山形一気らの追撃を振り切って1着。高配当を演出した。
 「作戦通り走れた。後ろがもつれていたのもわかったので、冷静に自分のタイミングで仕掛けられました。これが今年の初勝利(苦笑)。S級点確保もまだ可能性がありそうだし、気を引き締めて明日も頑張りたい」
 山形一気は鐘4角で内に潜り込み、深澤伸介を弾いて田中の後ろをキープ。まくった田中を追いかける形から、自ら外を踏むもタイヤ差及ばず2着となった。
 「アタマまで届いたかと思ったんですけど。雨で重かった分です。ただ自分の調子は良いと思う。また明日ですね」

<8R>
田中晴基選手
田中晴基選手
 工藤文彦が打鐘過ぎから一気にスパート。冷静にこの3番手を確保した田中晴基(写真)が最終2コーナーからひとまくり。ファンの圧倒的な支持にきっちり応えた。
 「(工藤を)追いかけていって、空いていた3番手で少し休めたのが大きかったですね。入れなかったら厳しかったかも。前回の青森で感触はつかめていたので、その感じで走れました。去年のことは忘れて、また1から体を作り直していたんですが、それが完成しつつあると思います」
 和泉田喜一が完璧マークで2着に流れ込み、千葉ワンツー決着となった。
 「緊張しました。ワンツーが決まって本当にうれしい。田中君が落ち着いていたし、強かったですね。きつかったけど付いていけて良かったです」

<9R>
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
 赤板前からレースが動き、隊列が入れ替わったのち打鐘から岡崎智哉がカマして主導権を握る。岡崎は落ち着いてペースに入れると、最後は市田佳寿浩(写真)がゴール寸前で差し切った。
 「あれ以上岡崎を残せないね(笑)。コーナーで岡崎はコケそうになったからビックリしたけど、それでも余裕を持って行ってたね。最後に青森(伸也)君が来てたけど、振らなくても大丈夫な感じだったんで。それにしても周回中からお客さんの声援が大きくて嬉しかった」
 その岡崎智哉は懸命に踏み直して2着に粘り込んだ。
 「カマしたときに後輪がスリップしてしまって。コケたくないと思ってケツを下ろしてしまった。あれで脚を使いましたね。言い訳ですけど」
 3番手の上田裕和がキッチリ3着をキープ。ラインで上位を独占した。
 「番組に助けられました。岡崎君は仕掛け所を分かってますね。僕は後ろから来ると思ったんで内を締めて。でも、踏み出しで僕だけタイミングがズレてしまったんで、そこを修正します」

<10R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
 古性優作が切った上を打鐘で井上昌己が叩きハナに立つ。すると、金子貴志が間髪容れずにカマして先制。マークの山内卓也が離れると、井上が番手に一瞬収まるが、堤洋をさばいて巻き返した古性が金子に襲い掛かる。2コーナーで井上が内から盛り返しを図るが金子に合わされ、更に古性もまくれずとみて金子に付き直した。荒井崇博(写真)は金子―古性の3番手へ切り替え、3車の直線勝負に。最後は脚を溜めていた荒井が、地元ファンの声援をパワーに変え直線で鋭く抜け出した。
 「昌己サマサマでしょ。あれだけ行ってくれて。金子さんが1車で来ていたから番手に迎え入れようと思ったけど、まさか古性が来てるとは。昌己が内に行ったしゴメンと思いながら切り替えました」
 金子貴志は裸逃げの苦しい展開だったが、見事な踏み直しを披露して2着を確保した。
 「本当にキツかった。それでもしっかり最後まで踏めましたね。(少し疲れで)だるさもあったけど、思ったより状態は悪くない。疲れが抜けてくればもっと良くなると思いますよ」
 古性優作は俊敏な立ち回りで確定板の3着をキープしたが「もう少し長い距離を踏まないとダメですよね。冷静には走れているし調子も問題ないけど、井上さんを突っ張るくらいの気持ちで駆けないと。後ろに迷惑をかけました」。

<11R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
 後攻めの和田真久留が人気の中部勢を封じて主導権を握る。後方から巻き返した深谷知広は不発。南関コンビの3番手を回った岡部芳幸(写真)が直線一気に追い込んだ。
 「和田がうまく駆けてくれた。深谷が早めに巻き返してくると思って、そこだけ警戒していた。2コーナーで後ろを見たら止まりそうな感じでしたね。自分が一番楽な位置を回れたので。和田の踏み直しがすごくて、最後は抜けないと思った」
 和田の先行を利した望月裕一郎が2着に入った。
 「和田君が頑張ってくれたおかげ。最近は本当に流れがいい。でも、それをきっちりものにできている。若い子と一緒に練習しているし、その成果が出てますね。和田君と一緒に勝ち上がれて良かったです」
 和田真久留はラインを上位独占に導く見事な先行策を披露した。
 「展開が良かったですね。深谷さんを相手に中途半端な走りはできないし、しっかり力を出し切れました。いい感じで駆けられたし、ラインで決められて良かったです」

<12R>
平原康多選手
平原康多選手
 後ろ攻めの永澤剛が赤板で前を押さえると、続いて山田英明、さらに打鐘過ぎで藤木裕が叩いて主導権。前受けの平原康多(写真)が車を下げると、外併走からスパート。平原は一旦は中団3番手に収まったが、すぐにトップスピードに入れると、伊藤保文のブロックをものともせず力でねじ伏せた。
 「8番手になるよりは、外併走の方が楽だと思ったんで。でも、無理矢理行ったんでキツかったですね。怪我明けの前回よりは今回の方が良い感じです」
 後方8番手から伏兵の永澤剛がまくって2着に食い込んだ。
 「(穴を出して)お客さんにごめんなさいって感じです。前がもつれてたので何とか。状態はどうですかね。展開が向いただけで何とも言えないです」
 逃げた藤木裕が3着に粘り込んで優秀「飛龍賞」進出を決めた。
 「自分が持つところから行ったし、駆け易いように駆けられたのにまくられたのは悔しい。今の状況で3着に入れたのはマシだけど、残らないとアカンところなんで」
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