『被災地支援競輪武雄競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:11月12日
 平成28年熊本地震被災地支援競輪、開設66周年記念「大楠賞争奪戦」が今日からオッズパーク武雄競輪場で開幕した。一次予選では三槻智清が津村洸次郎の3番手から突き抜け、10Rでは別線勝負だった山田英明、荒井崇博でワンツーと初日は地元勢が大活躍。明日は二次予選6個レースに、優秀の「飛龍賞」では浅井康太、平原康多が早くも激突する。
 明日も引き続き井上茂徳氏、佐々木昭彦氏、伊藤豊明氏による予想ステージ(イベントステージでは3R、11~12R発売中、特観席では4R、9R発売中)や競輪選手ふれあいコーナー&競輪グッズ販売、日替わりでメニューが変わるB級グルメコーナーなど様々なイベントが予定されています。明日もぜひオッズパーク武雄競輪場へご来場ください。
<1R>
村上直久選手
村上直久選手
 川口公太朗が打鐘過ぎに強引に叩くと鳥生知八が離れて、前受けの村上直久(写真)は3番手に収まる。先行態勢の川口がペースを落とした最終ホーム手前で、一ノ瀬匠の巻き返しに合わせるように村上が仕掛ける。川口をとらえるとグングン加速して、後続のもつれをしり目に余裕を持って押し切った。
 「前受けになってしまったので、(川口に)斬られて、そこを一ノ瀬君に行かれたら7番手になってしまう。それだけは避けたかった。一ノ瀬君が来ると思ってホームでは仕掛けていきました。追加だけど脚は大丈夫。(前回の)防府(記念)の時よりいいかもしれません」
 一ノ瀬をブロックしている間に村上を見失った佐藤龍二は、苦肉の策で小林信晴をすくって川口後位を奪取。ゴール寸前で川口を交わし、4車身離れた2着に入った。
 「(スタートけん制で誘導を追い掛け)あれでもう脚がいっぱいになった。(連結を外して)本当は外から追い上げたかったけど、キツかったので内をしゃくりました。なんとか(村上と)ワンツーでよかったです」
 結果的にひとりで来た村上を追いかけた川口公太朗だったが、その車間は詰まらず3着キープがいっぱい。
 「とにかくキツかったです。(ホームでは)緩め過ぎたなって自分でもわかったんですけど、気づいた時にはもう横に黄色の服(5番車の村上)が見えて…。体は大丈夫なんですが、脚がないです」

<2R>
 高久保雄介の上昇に合わせて中団から動いた篠原龍馬を飯田憲司が突っ張って積極策に出る。いったんは後方で様子をうかがっていた高久保は、中団まで追い上げて外併走。飯田の抵抗で苦しい流れに陥った高久保だったが、最終1センターから踏み出しまくりでねじ伏せる。高久保に付けた宮越大が計ったように差し切り久々の白星を飾った。
 「(1着)取れるとは思わなかったんで、1着が取れて素直にうれしいです。キツいところでいろいろ考えながら、(高久保が)ダメだったら切り込みも考えていた。でも、高久保が強かった」
 併走をこらえて反撃に出た高久保雄介が、持ち前のパワーを発揮してまくりで2着。
 「後ろ攻めの時点で何か嫌な予感はしていた。(4番手併走になって)ずっと回しながらで、へばりつきながら行くしかないと。あまり得意ではない展開で何とか凌げているし、脚の状態は悪くない」
 高久保ライン3番手の光岡義洋は置かれて、最終2コーナーで宮越の後ろに切り替えた福島武士が3着で一次予選をクリア。
 「想定はしていた展開だったが、高久保が突っ張られてもう一度行くと思い切り替えた。最後は外踏めそうだったが、キツかった」

<3R>
松岡孔明選手
松岡孔明選手
 堀内昇の上昇に合わせて赤板ホームから先に動いた松岡孔明(写真)は打鐘過ぎに堀内を受けて理想どおりの中団を確保。バックからまくり上げると鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「あの位置が取れたらいいと思ってました。篠原君にホームで来られたらキツいなと思ったけど来なかったんで。力まず踏めたし、車の出は悪くなかった。(兵藤一也に)持って来られても耐えられるかなというのはありました。実戦から空いてたのでよかったです」
 ホームから内をすくって坂本晃輝を飛ばし、まくる松岡の3場手に続いた篠原忍が直線外を伸びて2着に食い込んだ。
 「すいませんとしか言えないですね。(ホームで)内に行くつもりはなかったけど、あそこで行かれたら届いても僕だけ。脚はいいんだけど、昔だったらホームで行ってましたね。(松岡の)まくりで前を抜けてるから悪くはないと思う」
 松岡マークの大竹慎吾は3着に。
 「もうちょっと(シューズの)サンの向きがね。今は平原(康多)の向きを参考にしてるんだけど、それが出ればもうちょい溜めができる。ホームでも口が空きかけたし」

<4R>
 打鐘で主導権を握った津村洸次郎が、後続を一本棒にして逃げる。番手で車間を空けた牧剛央は、最終3コーナーで伊藤信のまくりを猛ブロック。空いたインから追い込んだ三槻智清が、抜け出して地元で幸先のいいスタートを切った。
 「牧さんが(けん制したあとに)前へ踏むと思ったら、9番(伊藤)に引っ掛かっていたので一度待ったんですけど。それからバックを踏んだら置いていかれると思って(踏んだ)。まずは勝ち上がれて良かったです。前回から間隔が空いていて、そこが少し不安だったけど楽に感じました。なるべく上まで勝ち上がれるように頑張ります」
 最終ホームでは6番手にいた単騎の森下忠夫は、バック過ぎからインを進出。三槻の後ろまで取り付いて2着に流れ込んだ。
 「(コースが空いて)恵まれました。でもホームはエラかったですね。あそこで(伊藤が)仕掛けていたら離れてました。勝ち上がれたし、いい追加になりました(笑)」

<5R>
 谷口遼平をけん制しながら出させた才迫開は、細切れ戦の真っ中団の5番手をキープ。逃げる谷口を射程圏に入れると、最終ホームからロングまくり。朝日勇のけん制を乗り越えて前団を仕留め、ラインの3車で上位を独占した。
 「(別線が)2車だったので、どこか緩めば行こうと考えていた。ギアを下げていい感じですね。吉永(好宏)さんとは相性がいいし、緊張はしたけど気楽に走れた」
 吉永好宏は才迫を4分の3車輪まで詰めたところがゴール。後輩に脱帽して振り返る。
 「参りました。(才迫が)強かった。少し待ってから行くと思ったけど、あそこ(最終ホーム)で持ち出すとは思わなかった」
 才迫ラインを追った佐藤雅春は、最終バック手前からその上をまくり上げるも4着。
 「今日は組み立てが最悪でした。自分から動いて何かアクションを起こさないと持ち味を出せないのに、組み立てが甘かった。でも、勝ち上がれたので何とか頑張りたい」

<6R>
黒木誠一選手
黒木誠一選手
 野中祐志が動いたうえを打鐘過ぎから野口正則が叩いて主導権。人気の黒田淳のまくりは伸びを欠き、野口マークの黒木誠一(写真)が好展開を生かした。
 「よかった。上手いこといった、大成功。後ろ見たら藤田(大輔)君に取られてたからキツいかなと思ったけど。ほぼいい感じ(の展開)だったけど、野口君はかからんかったみたい。僕(の調子)は上がってるのは上がってる。練習も普段どおりだから」
 黒田ライン3番手から鋭く伸びた原誠宏が2着に突っ込んだ。
 「(勝ち上がりの)権利を取らんといかんし、あそこしかないと思った。(黒田が)前々に踏んでくれたし、僕はスピードをもらえたんで。最近にしては一番いい。とりあえずラインで上がれてよかったです」
 思わぬ伸びを欠いた黒田淳だったが何とか4着で二次予選に勝ち上がった。
 「今日は踏み応えがなかった。まくりに行ったときに伸びていく感じがしなかったです。それが脚なのか体調なのかわからないけど、できるだけ修正してみます」

<7R>
 後ろ攻めから山本奨が動くと、その上を志村龍己が叩き、そこをすかさず北野良栄がカマして打鐘先行。志村龍己は3番手に飛び付いて飯田裕次をドカすと、最終2センターからまくり追い込みを決めて混戦を制した。
 「先行するつもりで前々に踏みました。(3番手に飛び付いたのは)脚がないから、ひとつでも前にいなきゃと思って。(打鐘)4コーナーで油断して追い上げられたのが…。それで脚を使ってしまった。もう少し早く行ければ、ラインで決められたと思うんで、そこは残念です」
 8番手からまくり上げた山本奨は惜しくも届かず2着まで。レース後は志村と同様に、ラインで決められず悔しさをにじませる。
 「自分だけになってしまって後ろに申し訳ない。組み立てを失敗しました。ただ、あそこから2着までこられたし、調子は悪くないです」

<8R>
坂本周輝選手
坂本周輝選手
 打鐘前から叩いた城幸弘が軽快に駆けて、人気の北日本勢を後方に置く。中団から先まくりに出た松山桂輔を須賀和彦がブロックするが、察知した松山はブロックした須賀の内に切り込む。これで前団の隊列が短くなると、坂本周輝(写真)が大外をまくって白星発進を決めた。
 「城さんは行くと思った。ホームで行けるところはあったけど、城さんが強いの知っているので少しビビッてしまいました。アップの時は重かったけど、1着取れているし脚はいいと思う。久し振りの勝ち上がりの1着で嬉しい」
 坂本マークの谷津田将吾が2着に流れ込んだ。
 「ホントは後ろ攻めがよかったけど、(スタートで)誰も来ないなら前受けでという作戦。あとは全部お任せ。坂本君が強かった。でも、自分の調子もいい」
 中部勢を追った武田良太は直線で外を回すと3着に突っ込んだ。
 「自分の中ではうまく流れに乗れたし、外も踏めた。腰もよくなってきたので。幸先いいスタートを切れた」

<9R>
 佐々木吉徳が主導権を握って人気の松坂洋平は7番手に。ホームからまくり上げたが、中団から元砂勇雪もまくって出る。何とか力で元砂を飲み込んだ松坂が1着となったが、後ろの石毛克幸、和泉田喜一が落車してしまい表情は硬い。
 「(仕掛けの)タイミングはあの辺。僕がピシャーッと行ければよかったけど…。合わされたのもあって出が悪かった。ただ3車(併走)のうえを乗り越えたので悪くはない。体調面は前回と変わらないと思う」
 佐々木マークの松澤敬輔が2着に食い込んだ。
 「吉徳が先行してくれたら、あそこまでは頑張ってくれる。あとは自分がどうするかだった。あとは合わせて踏むつもりが、肝心の車が進まなかったですね。体がついてこなかったです」
 目の前の小林卓人が石毛とからんで大きく外に膨らむと、「怖かったけど、前に踏まんと着がないし…」。そのまま前に踏んだ近藤範昌が3着に伸びた。

<10R>
山田英明選手
山田英明選手
 地元の荒井崇博を背にした中川誠一郎が思い切った先行策に出る。荒井がシビアに2コーナー過ぎから番手まくりを放つと、ホームで内をすくって荒井後位に切り替えていた単騎の山田英明(写真)が荒井を逆転した。
 「作戦は何も(考えていなかった)。ホームでカマそうと思ったけど中川さんのスピードがよかったので内に降りた。そうしたら(内が)空いたので1車でも前にって。バックは踏めないので。自分でやると言った以上、とにかく勝ちたかった。1着でよかったです」
 番手まくりを打った荒井崇博だが、「タイトルホルダーがあそこまで行ってくれたのに…。俺のミスは1着を取れなかったこと」。中川の頑張りに応えられず悔しさをにじませる。
 単騎だった東口善朋だが、山田を終始追い掛ける形で3着に入り「飛龍賞」に勝ち上がった。
 「とりあえず中団から攻めていこうと。(流れの中で)山田君が前にいたので、半信半疑だったけど付いていきました。地区プロから中1日で疲れとかも正直あるんですけど、優秀戦に上がれて気持ち的にかなり大きいです」

<11R>
岡村潤選手
岡村潤選手
 前受けから7番手に引いた深谷知広が打鐘前から一気にカマして主導権。すかさず和田真久留がスパートするが、浅井康太の強烈なけん制にあい不発に。そのまま浅井が抜け出し1着かに、和田真から惰性をもらった岡村潤(写真)が大外を伸びて混戦を制した。
 「たまたまです。浅井が(2センターで)もたついたのが大きかった。今回から新フレームで競輪祭用におろしてきて、ギリギリまでセッティングを悩んだけど、これなら競輪祭でも使えそう」
 懸命な援護をみせた浅井康太だったが岡村の強襲に屈した。
 「中団で引かない予定が(深谷が)引いて来たんでアレッと思ってコケそうになった。(けん制の)タイミングは抜群だったし、止まると思ったけど、もうひとつだったね。明日は自力で調子を見たい」
 浅井を追走した澤田義和が3着に流れ込む。
 「勢いよく(和田真が)まくってきたけど、浅井が仕事してくれた。岡村がいたから外には踏めなかった」
 和田真久留は渾身のまくりを放ったが、浅井に止められて惜敗。
 「浅井さんに何回挨拶(けん制)されたか(笑)。キツかった。自転車は出ているし、体調は問題ない。ただ今日は組み立ての問題」

<12R>
平原康多選手
平原康多選手
 川村晃司を叩いた阿竹智史が主導権を握る。中団を確保した平原康多(写真)はバックからまくろうとするが近畿3番手から切り替えた笠松信幸に内をすくわれタイミングが崩れる。それでも強引に外を仕掛けると、阿竹を飲み込みラインワンツースリーを決めた。
 「油断はしてなかったけど、(内の笠松は)気づかなかった。川村さんが外で止まったのは見えたし、自分のタイミングで行こうと思ったら、あれで一気に苦しくなった。それでも3人でワンツースリー決まったので、それが何より。力づくで行ったわりには加速してた。でも寒いから重馬場に感じるのかタイムが出てないですね」
 番手の神山雄一郎がしっかりと平原の動きに続いた。
 「康多は4コーナーからカマして行っちゃうのかと思いました。まくろうとしたところで4番(笠松)が入ってきたからタイミングが狂ったし、俺もちょっとキツかった。でも何とかついて行けたし大丈夫ですね」
 関東3番手を回った佐藤悦夫が3着に流れ込んだ。
 「よかったです。(共同通信社杯の落車から復帰戦だが)そこまでおかしくはなかった。地区プロも走ったしね。(平原は)タイミングが狂ったからどんなかな?と思ったけど、力が違った。平原が強くて助かりました」
 逃げた阿竹智史は「あの作戦は作戦やったし、(平原が)来たら飛びつき。後ろ(中団)が平原と分かったけど仕方ないですね」とレースを振り返った。
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