佐世保競輪場で開催された開設75周年記念「九十九島賞争奪戦(GIII)」は、12月7日に最終日が行われた。地元の九州勢からは4人が勝ち上がった決勝は、犬伏湧也が打鐘から主導権。犬伏の番手を回った松浦悠士が、直線で抜け出して優勝。7月1日にS級S班に返り咲いてからは初優勝。昨年12月玉野で行われた広島記念以来、通算23回目のGIII制覇を遂げた。
決勝戦 レース経過
スタートは内枠3車と松浦悠士が飛び出したが、佐々木龍が誘導員の後ろを占めて、坂井洋-佐々木が前を固める。中団が、北津留翼-荒井崇博-上野優太-角令央奈の九州勢。犬伏湧也-松浦の中四国勢が後攻めで、単騎の稲川翔が最後方。
青板ホーム手前で犬伏が上昇し、北津留の横で止まってフタをする。北津留は引かず3番手の併走が赤板過ぎまで続き、坂井が誘導員との車間を空けて後方を警戒する。すると北津留は内を突くも、坂井の内で詰まる。このタイミングで仕掛けた犬伏が2コーナー過ぎに先頭に立ち、稲川が中四国勢を追って3番手、引いた坂井は4番手に入る。6番手となった北津留は打鐘3コーナーから仕掛けようとするも、犬伏もペースを上げる。北津留は4番手の外併走までがいっぱいで、2コーナーで後退。切り替えた荒井は自らタテに踏み込んだものの、坂井に合わされて3コーナーで外に浮く。犬伏の先行に乗った松浦は、3コーナー過ぎにタテに踏んで4コーナーを先頭で通過。そのまま後続の追撃を振り切って今年初の記念制覇を達成した。バックを3番手で回った稲川だったが、3コーナーで坂井をけん制したところを、切り替えてきた佐々木に内を突かれる。佐々木が2着で、バック最後方から、佐々木の動きに続く形となった角が3着と大波乱の結末に。

松浦悠士選手
「今節はラインのおかげだった」
落車禍でまだまだ完ぺきではないコンディション。松浦悠士(写真)は、こう言って骨身に染みるようにシリーズを振り返った。初日特選は、中四国勢が大挙4人が顔をそろえた。初日は中国、四国に分かれて、清水裕友とのタッグ。その後は松本貴治との連係から二次予選をクリアして、昼田達哉との準決では薄氷を踏む思いの3着同着。ツキもあっての優出だった。
「(周回中の)並びはすごく良かった。僕たちが後ろで、九州勢が前になると思っていた。あの並びになったら、九州にフタをしてという感じだった」
4車で結束した地元、九州勢が3番手以降を占めて周回中の隊列が整った。7番手の犬伏湧也は、青板手前から早くも上昇を始めて3番手の北津留翼に併せ込む。北津留も引かずに、そのまま3番手で併走。赤板1センターで坂井洋が、上がると誘われるように北津留がインを進出するが抜けきれない。そのタイミングを逃すことなく、犬伏は2コーナー手前から踏み込んだ。
「(犬伏は)もうちょっと引きつけてからドンって行っても良かった。けど、フタをするタイミングも良かったし、叩くタイミングも上手でした。(犬伏の掛かりは)すごかった」
犬伏が主導権を握って、松浦も危なげなく続く。しかしながら、真後ろには中四国コンビに照準を絞るように無傷で勝ち上がった稲川翔がいた。懸命に巻き返した北津留だったが中団で力尽きる。最終2コーナーで自力に転じた荒井崇博に合わせて、坂井もまくる。坂井のまくりが稲川の横まで迫ったところで、松浦は前に踏み込んだ。コースを突いた佐々木龍が詰め寄るも、松浦を脅かすことはなかった。
「前の3日間の僕のデキが悪かった。その分早めに踏んでしまったのが悔いが残ります。踏み切れたけど、後ろから食われる感じもあって、自信があってのゴールではなかったです。今日(決勝)は詰まる前に踏んじゃった」
平原康多の引退で7月1日にS級S班に復帰した松浦だったが、たび重なる落車に襲われ万全とはいうにはほど遠かった。それでもラインの力と自身のコンディショニングでGIII優勝までたどり着いた。
「(セッティングは)同期の三浦翔大君がずっと付き合ってくれた。結局、(最終日に)車輪自体を換えた。ただ、この車輪は来年以降使えなくなるので、そこは試行錯誤は必要ですね」
自身のデキを逆算してのV獲り。約1年ぶりのGIII優勝にホッとしたように一息つく松浦だが、このあとは伊東記念、さらにはリニューアルされた地元、広島での記念が待っている。
「(落車の怪我も)良くはなっているんですけど、本当に少しずつです。思っているようには、上がってこない。自力でやる脚力は、まだまだですね。でも、開催中に(状態を)いいところまでもってこられたのは良かった。今回は追加で来て、自転車の不安はなくなった。広島記念に向けて、400バンクで結果が出たのは良かったです」
連覇、そして5度目の広島記念制覇に向けて、足がかりをつかむV奪取。師走になって遅すぎた軌道修正でも、松浦にとっては大きな優勝になろう。
坂井マークの佐々木龍が、最終3コーナーで俊敏に稲川のインに潜り込む。松浦後位に入って直線勝負も2着まで。
「犬伏君がああいう形で(九州勢に)フタをしてくれて、地元勢を後方に置く形になった。結果、良かったと思います。(坂井は)頼もしいですね。(打鐘過ぎからは)自分はキツくて、車間が空いちゃった。ああいうところは隙を与えちゃいけないし反省です。イナショーさん(稲川)がちょうど(最終)コーナーの入り口で振った。決勝だし、内が空いたら入っていこうと思ってた。そこの反応は良かった。(松浦をとらえ切れなかったのは)脚の違いだと思う。そこが優勝に届かない部分ですね」
角令央奈は、九州ラインの4番手。前の3人が外に浮いたものの、角は佐々木のコースをなぞるように3着に入った。
「佐々木君がつくったコースに付いていけた。(九州勢では)僕が脚を一番使っていなかった。欲を言えば2着まで行きたかった。佐々木君の内もあったし、外でもいいなと思ったけど、稲川さんとからんで失速しましたね」






青板ホーム手前で犬伏が上昇し、北津留の横で止まってフタをする。北津留は引かず3番手の併走が赤板過ぎまで続き、坂井が誘導員との車間を空けて後方を警戒する。すると北津留は内を突くも、坂井の内で詰まる。このタイミングで仕掛けた犬伏が2コーナー過ぎに先頭に立ち、稲川が中四国勢を追って3番手、引いた坂井は4番手に入る。6番手となった北津留は打鐘3コーナーから仕掛けようとするも、犬伏もペースを上げる。北津留は4番手の外併走までがいっぱいで、2コーナーで後退。切り替えた荒井は自らタテに踏み込んだものの、坂井に合わされて3コーナーで外に浮く。犬伏の先行に乗った松浦は、3コーナー過ぎにタテに踏んで4コーナーを先頭で通過。そのまま後続の追撃を振り切って今年初の記念制覇を達成した。バックを3番手で回った稲川だったが、3コーナーで坂井をけん制したところを、切り替えてきた佐々木に内を突かれる。佐々木が2着で、バック最後方から、佐々木の動きに続く形となった角が3着と大波乱の結末に。

松浦悠士選手
落車禍でまだまだ完ぺきではないコンディション。松浦悠士(写真)は、こう言って骨身に染みるようにシリーズを振り返った。初日特選は、中四国勢が大挙4人が顔をそろえた。初日は中国、四国に分かれて、清水裕友とのタッグ。その後は松本貴治との連係から二次予選をクリアして、昼田達哉との準決では薄氷を踏む思いの3着同着。ツキもあっての優出だった。
「(周回中の)並びはすごく良かった。僕たちが後ろで、九州勢が前になると思っていた。あの並びになったら、九州にフタをしてという感じだった」
4車で結束した地元、九州勢が3番手以降を占めて周回中の隊列が整った。7番手の犬伏湧也は、青板手前から早くも上昇を始めて3番手の北津留翼に併せ込む。北津留も引かずに、そのまま3番手で併走。赤板1センターで坂井洋が、上がると誘われるように北津留がインを進出するが抜けきれない。そのタイミングを逃すことなく、犬伏は2コーナー手前から踏み込んだ。
「(犬伏は)もうちょっと引きつけてからドンって行っても良かった。けど、フタをするタイミングも良かったし、叩くタイミングも上手でした。(犬伏の掛かりは)すごかった」
犬伏が主導権を握って、松浦も危なげなく続く。しかしながら、真後ろには中四国コンビに照準を絞るように無傷で勝ち上がった稲川翔がいた。懸命に巻き返した北津留だったが中団で力尽きる。最終2コーナーで自力に転じた荒井崇博に合わせて、坂井もまくる。坂井のまくりが稲川の横まで迫ったところで、松浦は前に踏み込んだ。コースを突いた佐々木龍が詰め寄るも、松浦を脅かすことはなかった。
「前の3日間の僕のデキが悪かった。その分早めに踏んでしまったのが悔いが残ります。踏み切れたけど、後ろから食われる感じもあって、自信があってのゴールではなかったです。今日(決勝)は詰まる前に踏んじゃった」
平原康多の引退で7月1日にS級S班に復帰した松浦だったが、たび重なる落車に襲われ万全とはいうにはほど遠かった。それでもラインの力と自身のコンディショニングでGIII優勝までたどり着いた。
「(セッティングは)同期の三浦翔大君がずっと付き合ってくれた。結局、(最終日に)車輪自体を換えた。ただ、この車輪は来年以降使えなくなるので、そこは試行錯誤は必要ですね」
自身のデキを逆算してのV獲り。約1年ぶりのGIII優勝にホッとしたように一息つく松浦だが、このあとは伊東記念、さらにはリニューアルされた地元、広島での記念が待っている。
「(落車の怪我も)良くはなっているんですけど、本当に少しずつです。思っているようには、上がってこない。自力でやる脚力は、まだまだですね。でも、開催中に(状態を)いいところまでもってこられたのは良かった。今回は追加で来て、自転車の不安はなくなった。広島記念に向けて、400バンクで結果が出たのは良かったです」
連覇、そして5度目の広島記念制覇に向けて、足がかりをつかむV奪取。師走になって遅すぎた軌道修正でも、松浦にとっては大きな優勝になろう。
坂井マークの佐々木龍が、最終3コーナーで俊敏に稲川のインに潜り込む。松浦後位に入って直線勝負も2着まで。
「犬伏君がああいう形で(九州勢に)フタをしてくれて、地元勢を後方に置く形になった。結果、良かったと思います。(坂井は)頼もしいですね。(打鐘過ぎからは)自分はキツくて、車間が空いちゃった。ああいうところは隙を与えちゃいけないし反省です。イナショーさん(稲川)がちょうど(最終)コーナーの入り口で振った。決勝だし、内が空いたら入っていこうと思ってた。そこの反応は良かった。(松浦をとらえ切れなかったのは)脚の違いだと思う。そこが優勝に届かない部分ですね」
角令央奈は、九州ラインの4番手。前の3人が外に浮いたものの、角は佐々木のコースをなぞるように3着に入った。
「佐々木君がつくったコースに付いていけた。(九州勢では)僕が脚を一番使っていなかった。欲を言えば2着まで行きたかった。佐々木君の内もあったし、外でもいいなと思ったけど、稲川さんとからんで失速しましたね」






次回のグレードレースは、「椿賞争奪戦」が12月11日~14日、伊東温泉競輪場において開催されます。
岩本俊介、清水裕友、松浦悠士のSS班3名が参戦しますが、主役を務めるのは地元の深谷知広です。今年はグランプリ出場には手が届きませんでしたが、獲得賞金ランキングは第10位で、年間を通して力強い走りを披露しました。また、最終日第9レースにて、レインボーカップ・チャレンジファイナルが一発勝負で争われます。将来有望なヤングレーサーの激突にも注目です。
11月27日時点の出場予定選手データを分析した、伊東温泉競輪「椿賞争奪戦(GIII)」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
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岩本俊介、清水裕友、松浦悠士のSS班3名が参戦しますが、主役を務めるのは地元の深谷知広です。今年はグランプリ出場には手が届きませんでしたが、獲得賞金ランキングは第10位で、年間を通して力強い走りを披露しました。また、最終日第9レースにて、レインボーカップ・チャレンジファイナルが一発勝負で争われます。将来有望なヤングレーサーの激突にも注目です。
11月27日時点の出場予定選手データを分析した、伊東温泉競輪「椿賞争奪戦(GIII)」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
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