『佐世保競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:12月19日


 節目の60周年を迎えた佐世保競輪場。開設記念「九十九島賞争奪戦」を制したのは阿部康雄だった。赤板から鈴木謙太郎、深谷知広で主導権争い。バック6番手から空いたVロードを一気。通算6度目の記念優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲で中野彰人が出て、正攻法に構える。中野に山口貴弘が付けて前団、鈴木謙太郎―長塚智広―芦澤大輔―阿部康雄で中団を形成、深谷知広―金子貴志―筒井敦史が後攻めの形で隊列は落ち着く。
 青板周回の3コーナーから深谷が上昇すると、中団の鈴木も合わせて踏み込み、赤板から壮絶な主導権争いに。打鐘で深谷が鈴木を交わしてハナに立ち、金子はしっかり番手をキープ。筒井はこれを追えずに離れると、鈴木がこの3番手に入って立て直しを図る。後方7番手でじっと脚を溜めていた中野は最終2コーナーからまくり発進。良いスピードで前団に迫ってくるが、これを見た長塚が2センターから鈴木を捨てて前に踏み上げる。4コーナーで中野をブロックした長塚が直線で外を追い込みゴールを目指すが、空いたインコースを阿部が強襲。一気にアタマまで突き抜けて優勝を飾った。2着には長塚が入り、深谷の番手から追い込んだ金子が3着となった。


阿部康雄選手
阿部康雄選手
 ラインを立てて選んだ位置は4番手。律儀な男に最高の展開が待っていた。中野彰人のまくりを長塚がブロックすると、芦澤大輔も外へ。ポッカリ空いたインコースを阿部康雄は見逃さなかった。
 「すいません…。コースが空いちゃって。4番手だし、外に持ち出そうと思ったら芦澤がバーンと持って行った。あとはどこまでって感じでした。最後に良いコースが空きましたね」
 今年はここまで優勝ゼロ。しかし、今年最終戦、さらに相性の良い佐世保で最高の結果が待っていた。
 「今回は初日、準決勝と要所、要所で長塚と組めたのが良かった。今年は半ばがダメだったけど、最終戦でいい締めくくりができました。来年からもこの調子でいきたいし、波をなくしたいね」

 直線では絶好の態勢に見えた長塚智広だったが、寸前で優勝の二文字はスルリと手からこぼれ落ちた。
 「優勝かと思ったら黄色(阿部)の人が…。謙太郎も深谷も強かった。金子さんを抜けるなと思ったけどね。詰まってきてたし、当たり方も下手ですね。しょうがないです」

 深谷の番手を回った金子貴志は3着に。
 「深谷には落ち着けと言ったけど、もう熱くなってましたね。長塚は4.00だから口が空くなと思ってたら、メチャメチャ余裕で付いてきてた。後ろが謙太郎だと分かったので、まくらせないようにできるだけ蛇行したけど、2コーナーからの踏み直しで離れるかと思いました。深谷はどんどん強くなってますね。恐ろしい」

 逃げた深谷知広は競輪祭に続いて、力強いレース運びだった。
 「ノープランだけど、行けるところを探して行こうと思ってました。出切れるとは思ってたし、あとはバックで来られないようにすれば何とかなるかなと。ゴチャゴチャになってたし、2センターでは夢を見ましたけどね」

 鈴木謙太郎は3番手で立て直し、直線勝負を狙ったが…。
 「深谷はホームで微妙に行かなかったから2コーナーで来るなと思ってた。合わせようと思えば合わせられたけど、あそこからモガき合ってもね。4番手に入れば深谷も1周半先行だし、4コーナー勝負をしようと思ったら最後はキツかったですね」

 バックからまくった中野彰人も優勝を狙えるスピードだった。
 「脚が溜まってたので、ガツンと踏まずにスーッと行ってしまった。雰囲気に飲まれてしまったかな? 避けずにブロックを受けてしまった。やってもうたって感じですね。もったいない」

 長塚後位を回った芦澤大輔も「脚が余ってたから外を踏むイメージが強かった。(長塚が中野を)止めた中を行こうと思ったら、あとで見たらあんなに上がってたんですね」と4コーナーでの判断ミスを悔やんだ。


ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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