『別府競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:6月5日
 別府競輪場で開設75周年記念「オランダ王国友好杯(GIII)」が、6月5日からナイターシリーズで開催される。新山響平、岩本俊介のS級S班2人に菅田壱道、守澤太志、坂井洋、松谷秀幸、深谷知広、皿屋豊、寺崎浩平、窓場千加頼、山崎賢人ら力のある選手がそろった。地元からは昨年の当所記念の覇者、阿部将大をはじめ、小岩大介、一丸尚伍、甲斐俊祐らが強豪を迎える。前検日の6月4日は、翌日からの戦いに備えて、選手それぞれが入念な調整を行った。
 記念開催中は毎日、先着ファンサービスとして300人にうちわ・オリジナルクッキーをプレゼント。各回、先着200人に未確定車券抽選会、競輪レジェンド展望会・トークショーなどが予定されています。別府競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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一丸尚伍選手
一丸尚伍選手
 オープニングレースを飾るのは地元の一丸尚伍(写真)で、自身3度目となる地元GIIIで初の一次予選突破を目指して、自分の力を出し切る構えだ。
 「(1レース1番車に抜てきされるとは)全然、思っていなかったです。前回の高松は発熱してしまったので休みました。休んだあとに練習でしっかり乗れた。(3月玉野記念、5月平塚記念ともに準決まで勝ち上がれているが)展開もあると思うんですけど、その中で積極的には動けているのかなって思っています。(地元GIIIは)3回目ですけど、自分の力を出し切れれば結果はついてくると思う。地元だからと意識せずに、いつも通り頑張りたい」
 一次予選で地元の一丸と連係するのは市橋司優人。今井聡のジカ競り宣言で、すんなりと番手を回ることはかなわなかったが、まずは番手死守を最優先にチャンスをうかがう。
 「(前回の弥彦FIは)あんまり良くなかったですね。落車の影響で体が硬くなってしまっていた。(前回から中5日となるが)練習もしたんですけど、ケアをメインにしてきました。一丸さんとの連係は初めてですね。(今井に)負けないように、できることをしっかりやりたいです」

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 今年の1月からS級に昇格した甲斐俊祐にとっては、もちろん初めての地元記念で気持ちも入っている。徐々にS級のレースにも慣れてきて4月の高知記念では2度の確定板入りを果たすなど、存在感をアピールしている。
 「最初は苦戦気味だったんですけど、初日をクリアできるようにもなってきましたし、徐々に慣れてきていると思います。セッティングを見直したのもあるんですけど、練習方法も変えました。街道練習を増やして良くなってきたと思います。一戦、一戦ですけど、1つでも上のレースを走れるように。体調もいいですし楽しみです」
 日本選手権の4走目に落車している池野健太は、その後の2場所は苦しんでいる印象ながら、来々期のS級1班の点数確保に向けて自らを奮い立たせる。 
 「ダービー(日本選手権)に向けてしっかり練習していたんですけど、結果的にオーバーワークになってしまってその後も良くない。(前々回の)宇都宮も全然ダメでしたし、前回の京王閣も重い感じがしましたね。トレーニングの数値もいいころに比べれば落ちています。直前は少しだけいい感じはしましたし、今回でキッカケをつかめればいいんですけど。細切れ戦になるようですし、何とか組み立てでカバーできるように」 

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 青森の全プロ記念は振るわなかった村上博幸ではあるが、日本選手権の2走目に落車した影響はなさそう。当所は19年にサマーナイトフェスティバルを制した相性のいいバンクで、初日から存在感を示す。
 「(日本選手権で落車した)怪我はたいしたことなかったんですけど、フレームがダメになって新車に換えました。何度か練習では乗っていたので悪くはなかったです。前回の青森はレベルが高かったですね。あのクラスになると脚力の無さを感じますね」
 昨年の10月から2度の長期離脱を余儀なくされている矢野昌彦ではあるが、前々回の平塚記念で復帰してから徐々に上向いている印象。今シリーズはS級点確保へ勝負駆けのシリーズで一次予選突破を目指している。
 「(昨年10月に)痛風で休んで、そのあとはヘルニアが出てしまってまた休まないといけなくなった。平塚記念はレース勘が良くなくってダメでしたけど、前回(高松)は少し良かった。今回は記念なので点数を上げるチャンスだと思っている。別府は2年前の記念以来ですけど、その時は期末の12月でしたけど、S級点の勝負駆けに成功した。今回も結果を出せるように頑張ります」

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岩谷拓磨選手
岩谷拓磨選手
 岩谷拓磨(写真)は目標にしていた日本選手権で結果を出すことができなかったが、続くFIの2場所で3勝と本来のスピードが戻ってきている。
 「ダービー(日本選手権)に向けて仕上げたつもりだったんですけど、練習の成果が遅れて出てきた感じですね。(前回の)岸和田は決勝にも乗れて、いい走りができたと思います。終わってから普通に練習もできたので、悪い感じはしないですね」
 一時期は追い込みに転身していた印象の今村麟太郎であるが、近況は再び自力で奮闘中で、成績も上昇してきている。今期は失格が1度あり、S級点を取るために燃えている。
 「2月の静岡記念で失格しているので、このままじゃまずいんです。あと0.3、0.4点は上げないといけないと思う。記念は点数を上げるチャンス。最近は自分のレーススタイルも確立できてきて、成績も上がっているので頑張りたい」

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 前々回の岐阜FIの初日に落車のアクシデントに見舞われた菊池岳仁は前回の全プロ記念と、次の日に行われた競技大会の方でも振るわなかったが、次回の高松宮記念杯に向けてキッカケをつかみたいところ。
 「怪我自体は擦過傷だけだったんですけど、フレームがダメになってしまった。前回の青森は別のフレームを使ったんですけど、体もズレていたのかマッチしなかったですね。今回は別のフレームと合わせて2台持ってきたので、指定練習で乗ってみて良かったら前回とは別のフレームを使おうと思っています」
 今年に入ってからリズムに乗れていなかった諸橋愛ではあるが、3場所前の日本選手権で2勝を挙げるなど復調の兆しを見せている。
 「昨年の暮れから4月くらいまで思うように練習ができていなかった。点数も落として展開も厳しくなって、大きい着も多くなっているんですけど。最近になって練習もできるようになってきた。体が戻れば点数も戻ってくると思っているんで頑張ります」

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 阿部拓真は追加で参戦した宇都宮記念でオール連対を果たして準優勝と活躍したが、奈良FIを欠場しての今シリーズはどうか。
 「前回の奈良は私生活で首と腰を痛めて休みました。首は急にギックリみたいな感じになってしまった。しっかりモガくような練習はできなかったんですけど、ケアを中心にやれることはやってきました。次の高松宮記念杯につなげられるように」
 日本選手権で2勝を挙げた近藤保は、続く玉野F1の初日に単騎で大逃げを打って2着に粘るなど、成績以上に動けている。
 「調子は変わらず悪くないですね。成績は展開とかもあるので良くない時もありますけど。(一次予選の)内山(雅貴)君とは何度も連係していますし、いつも頑張ってくれる。後方にならなければ、チャンスはあると思います」

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阿部将大選手
阿部将大選手
 地元の阿部将大(写真)は昨年の当所記念の覇者でもあり、エースとして挑む責任のあるシリーズ。今年前半は出遅れてしまったが、ここ最近は確実に良化している。
 「今年の前半は苦しんだんですけど、最近はイメージ通り走れるようになってきましたし、前回の伊東は3日間主導権を取れた。気持ち的にもそうですけど、周りも見えるようになってきました。長い距離を踏んでも、最後の踏み直しもできている。調子が良かったころに戻ってきているなっていうのはありますね。僕は次のGI(高松宮記念杯)に出られないので、ここに焦点を合わせて調整してきました」
 一次予選で地元の阿部に前を任された東矢圭吾は、5月福井FIで自身2度目のS級優勝を達成。前回の全プロ記念の初日にも強敵撃破に成功して白星を挙げるなど、確実にパワーアップしている。
 「4月の川崎記念で落車しましたけど、その後の福井で優勝できましたし、良かったり悪かったりですね。前回の青森(全プロ記念)は悪くなかったんですけど、終わってから体調を崩してしまった。今回はケア中心で調整してきました。阿部さんとは昨年の別府記念でも連係していますし、迷惑を掛けないように頑張りたいですね」

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守澤太志選手
守澤太志選手
 守澤太志(写真)は当所記念の71、73周年の覇者でもあり、当所は直近の2場所で8走して着外は1度だけ。相性いいバンクで今年も輝きを放つ。
 「だいぶ調子が上がってきて、以前よりマシになっているなって感じています。(2月宇都宮の)落車で一気に悪くなってしまった。セッティングは常に微調整しているんですけどね。少しでも上向くようにと思ってやっています」
 酒井雄多はFIながら5場所連続で決勝に進出中と、手応えをつかんでいる。練習メニューを一新してから踏める距離も伸びていて、効果は絶大だ。
 「最近はわりと動けていると思います。3月末に新山(響平)さんがいわき平に合宿にきてくれて、その時に練習メニューを教えてもらって、いい方向に出ていると思います。やっぱり新山さんの練習なので長い距離を踏む練習なんですけど。キツくてまだ完遂できてはいないんですけど、良くはなってきていると思います」

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 佐々木豪は一昨年12月の当所記念ファイナリストでもあり、当所にはいいイメージを持っている。前回の全プロ記念は初日に積極策を披露しており、気配は良好だ。
 「前回の青森はいいメンバーでしたけど、その中でいい動きはできたと思います。自力で110点をキープするのはなかなか難しいんですけど、110点まで戻せたのはいいことだと思う。あとは(GIIIで初日)特選に乗れるところまで点数を戻せたら。(別府は)成績もいいですし、悪いイメージはないですね」
 2月の静岡で9連勝を達成して特別昇級を決めた治田知也。予選では苦しんでいる印象ながら、負け戦では白星を挙げており、初日突破を目標に掲げて今シリーズに挑む。
 「7車立てより9車立ての方がペースが早くなると思うんですけど、先頭に立って自分のレースができればチャンスはあると思います。別府はA級で優勝した時以来で2回目ですね。自分は風が強いのとかは気にならないので大丈夫です」

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小岩大介選手
小岩大介選手
 地元の小岩大介(写真)は日本選手権の4走目に落車して、そのあと約1カ月の長期離脱を余儀なくされた。地元記念に向けての仕上がり具合は果たして。
 「落車で左肩鎖関節の靭帯が3本切れて(肩鎖関節脱きゅう)しました。手術をすると復帰に時間がかかってしまうので、手術をせずに早めに復帰できる方を選びました。前半の2週間は乗れなかったんで、後半の2週間だけでまだ完全に戻っている感じはしないんですけど。一戦、一戦、全力で、やれることをやろうと思っています」
 林慶次郎は4月高知記念の初日に落車してから、約2カ月ぶりの実戦となる。当所は相性のいいバンクではあるが、状態面が気になるところ。
 「左の小指を怪我してしまって、握力がかなり落ちました。状態的には及第点かなっていうところですね。こんなに長い間、欠場するのも初めてなので、走ってみてですね。レース勘も心配ですし。フレームも壊れてしまって1個前に使っていたものにします」

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村田雅一選手
村田雅一選手
 今年に入ってからの村田雅一(写真)はひと味違う。豊橋で行われた2月の全日本選抜で初めてGI優出を果たすと、3月のウィナーズカップでも決勝に進出を果たして競走得点もうなぎ登りだ。
 「(ここまで強くなれたのは)環境のおかげですね。ちょうど去年のこれくらいの時期に自分が失格点もあってやばいなっていう時があったんですけど。そのときに南(修二)さんに練習に来いよって声をかけてもらって。去年の秋ぐらいに南さん仕様のフレームに換えて良くなってきました。本当に1年でここまでこれたんで、感謝しかないですね」
 昨年は初めてGIの決勝に勝ち上がったオールスターで準優勝と大ブレイクした窓場千加頼であったが、今年に入ってからは苦戦を強いられている。それでも決して下を向くことはなく、現状打破へフレームチェンジを決断した。
 「(今年に入ってから)もどかしいレースがずっと続いていますね。自分自身でもお客さんも、去年以上の結果をって求められていると思うんですけど、期待に応えられていなくて不甲斐ないですね。やっぱり新しい乗り方だったりとかにも挑戦していかないといけないんですけど、それがうまくかみ合っていない。気持ち的にもレースで攻められていないです。そういう部分を見直していきたい。今回はフレームを換えます。去年の良かったオールスターのころに使っていたフレームです」

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新山響平選手
新山響平選手
 3場所前の日本選手権では先行とまくりで2勝を挙げて決勝に進出した新山響平(写真)。地元で行われた前回の全プロ記念では結果を出せなかったが、悲観した様子はない。次走の高松宮記念杯に向けて大事なシリーズで、初日から持ち味の先行力を発揮する。
 「(4月の)武雄で胃腸炎になった。そのあとのダービー(日本選手権)は良かったんですけど、なかなか疲れが抜けない感じだった。工夫をして疲れが抜けるようにはしているんですけど、少し休んで練習できなかった期間もあるので、取り戻そうと思って追い込んでいるのも。(今回は追加での参戦となるが)高松宮記念杯の前に走りたい気持ちがあって、ちょうどいいタイミングで追加がきたので受けました。別府は結構、走れていると思います。ナイターも嫌いじゃないです」
 今年からS級S班の仲間入りを果たした岩本俊介は自力で戦うレースが減って番手や3番手回りのレースが増えているが、レースの中でしっかりと対応して安定した成績を収めている。
 「前回の全プロ記念は悪くなかったですね。2日目は自分で戦って感じも良かった。ここに向けてはいつも通り練習を積んでこられた。前回と同じか、それより良くなっていればいいなって思ってきました。(今年に入って深谷知広との連係は)かなり多いですし、決まっていると思います。今回も決められるように頑張りたい」 
 寺崎浩平はGIタイトルが手に届くところまできている実力者。別府バンクは初めてとなるが、別府特有の風を切り裂いて強敵撃破を目指す。
 「ダービー(日本選手権)は良くなかったですね。練習というか調整ミスですね。前回の青森は久しぶりにいいレースができましたし、先頭に立って風を切れた。そういう(攻める)戦法を増やしていきたいですね。いまは高松宮記念杯に向けてやっているので、今回はオフなしで、最低限の調整だけできました。別府は初めてですね。風が強いっていうのは知っているので、指定練習で感じをつかめれば」