『別府競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:6月7日

 ナイター開催の別府競輪開設75周年記念「オランダ王国友好杯(GIII)」は6月6日に2日目が行なわれた。二次予選は主力陣は概ね順当に勝ち上がっていき、S班の岩本俊介、新山響平はそろって1着。10レースではもつれる展開を凌いで、地元エースの阿部将大、山崎賢人がワンツーを決めた。7日はシリーズ佳境の3日目。準決3個レースでファイナリスト9名が決まる。
 記念開催中は毎日、先着ファンサービスとして300人にうちわ・オリジナルクッキーをプレゼント。各回、先着200人に未確定車券抽選会、競輪レジェンド展望会・トークショーなどが予定されています。さらに7日には、バーテンダーアーティスト増田タカノリのカクテルパフォーマンス、三重野文緒の書道パフォーマンスをはじめイベントが盛りだくさん。大分支部新人選手トークショーも行なわれる予定です。別府競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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菅田壱道選手
菅田壱道選手
 正攻法に構えていた酒井雄多が赤板手前から誘導員との車間を空け始め、後ろ攻めから上昇してきた一丸尚伍ラインを見送りながら中団の位置まで車を下げる。橋本優己は酒井の外に追い上げる形から叩きに動いたが、気配を察知した一丸が合わせて踏み込み主導権を渡さない。器用さもある酒井が皿屋豊を捌きながら最終ホーム手前からカマシを狙ったが、一丸のカカリが良くて、思うように車が伸びていかない。皿屋をどかして単独で黒田淳の後ろで脚をためていた菅田壱道(写真)が最終2センターから車を外に持ち出すと、直線で一気に抜け出した。
 「ちょっとイレギュラーもあって難しかったですね。(打鐘前で)酒井君が遅れていると思って(橋本は)入ろうとしたと思うんですけど。あれだと皿屋さんがきついですよね。一丸君も出させない感じでしたし、地元の気合を感じました。自分は終始余裕があったので、皿屋さんをどかしてコースを確保して。酒井君を見届けてから踏ませてもらいました。4番手の位置から直線だけで抜けているので問題ないですね」
 一丸が後ろ攻めから押さえてほぼ2周駆け。番手で絶好展開かに思われた小岩大介だったが、直線で菅田に伸び負けての2着。それでも地元の気合と集中力で日増しに良化している印象だ。
 「(一丸が)強かったですね。酒井君を合わせていましたし。自分の横まできたら一発で飛ばそうと思っていたんですけど、横まで来なかったので。(初手は)前はきついと思ったので、中団を取りに行く中で後ろも想定していました。(状態としては)ほんのちょっと良くなっているかもしれないですね。気を張っているせいなのか、(痛みが)和らいでいる気がします。でも走っていて脚が落ちているなっていうのは感じていますね」


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小林弘和選手
小林弘和選手
 格清洋介、甲斐俊祐の順番で押さえた上を池野健太が打鐘で叩いて先頭に躍り出る。正攻法に構えていた坂井洋は手早く引いて態勢を整えると、自慢のダッシュを生かしてカマシを敢行。叩かれてしまった池野が佐藤康紀の内で粘る形となって隊列が短くなると、最終バックから地元の意地で甲斐がまくりを発動。坂井をリードしていた佐藤友和が懸命にブロックしたが、甲斐を追走していた小林弘和(写真)が直線で大外を突き抜けて高配当を演出した。
 「追走していて余裕はありましたね。甲斐君がまだ踏んでいたので、自分は外を踏みました。このメンバーで1着を取れたのは自信になりますね。準決勝もとにかく離れないように頑張るだけです」
 直線でシャープな決め脚を披露して2着に強襲したのはベテランの村上博幸だ。目標の池野が後退してくると、最終2センターからすかさず車を外に持ち出して、冷静に佐藤と甲斐の間を踏み込んで準決勝進出を決めた。
 「池野が迷っている感じでしたし、自分は脚を余していたので、被る前に外を踏むのも考えましたね。何とかコースを入っていけたんですけど、人の力を使っていなかったので、スピード差はありましたね。余裕はあったので悪くはないと思います」


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深谷知広選手
深谷知広選手
 1番車の守澤太志がS取りに動き、深谷知広(写真)を迎え入れる。後ろ攻めとなった治田知也が赤板付近から上昇していったが、深谷が突っ張って出させない。落ち着いてペースに入れた深谷は打鐘からは絶妙なピッチでレースを支配する。中団に構えていた市橋司優人が最終バック付近からまくりを狙ったが、最終2センターで自転車が外に流れていってしまう。最後の直線に入って力強く踏み直した深谷が守澤と1着同着で別線を完封してみせた。
 「(治田が押さえにくるのが)遅かったので突っ張りました。昨日(初日の治田)のレースを見ていて強かったので、主導権を取らせないほうが無難かなって。そこからはしっかりペース配分をしてゴールまで持つように。悪くはないと思いますけど、感じは(昨日と)変わらないですね。抜かれたかと思ったんですけど同着だったので」
 余裕を持って深谷をリードしながら空けていた車間を詰める勢いで抜け出しを狙った守澤太志は、思っていた以上に深谷に踏み直されて差し切るまではいたらなかった。
 「レースは深谷君に任せていました。突っ張ってくれて、そこからはペースで。さすが深谷君だなって思いました。自分は何もしていないので。余裕はあったので、抜けるかなって思っていたんですけど。深谷君の踏み直しというか最後の伸びがすごかったですね。同期で1着同着なので一番いい結果じゃないですかね」


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村田雅一選手
村田雅一選手
 正攻法に構えていた寺崎浩平が赤板手前から誘導員との車間を空け始め、後ろ攻めから上昇してきた中川聖大が押さえたところを4車ラインの菊池岳仁が叩いて出る。手早く引いて態勢を整えていた寺崎が菊池の隙を突いて打鐘付近から反撃開始。ライン3番手回りの今岡徹二は離れてしまったが、最終ホームで後ろの状況を確認しながら寺崎がレースを支配すると、番手絶好の村田雅一(写真)が菊池を張りながら直線で抜け出した。
 「(初手は)中団からが理想で、前になりましたけど思ったよりいい展開になりましたね。寺崎君が(タイミングを)逃さずにいってくれたし、踏み出しだけ集中していました。スピードが違っていましたし、まくっては来れないだろうなというカカリでしたね。先行なので抜けた感じです。昨日(初日)はフワフワした感じがして。久々のナイターというのもあると思うんですけど、今日は体も馴染んできていい感じです」
 寺崎浩平は同期でもあり、同じ早期卒業生の菊池を意識してか、後方でまくりに構えることなくロングスパートを敢行。攻めの仕掛けで準決勝の切符を手にした。
 「今日(2日目)はしっかり先行しようと思っていました。菊池君も微妙なピッチでしたし、いくのかいかないのか分からなかったですけど、ジャンではしっかり仕掛けようと決めていたので。バンクも重くなかったですし、風も切れたので良かったです。昨日からサドルだけいじって、チェーンの張りも修正したんですけど悪くないですね」


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阿部将大選手
阿部将大選手
 号砲とともに自らS取りに動いた山崎賢人が赤板手前から上昇してきた仲野結音を突っ張ってから一旦ペースを落とすと、坂本周輝が隙を逃さず全開ダッシュで叩き出る。叩かれた山崎は3番手の位置で態勢を整えようとしていたが、最終ホームからすかさず仲野が反撃に出る。内からは隅田洋介が潜り込んできていて挟まれる状況となってしまった山崎であったが、慌てることなく進路を確保すると、最終2コーナー付近から一気にスパート。踏み出しに一瞬、離れかけてしまった阿部将大(写真)も、しっかりと付け直すとゴール寸前で捕らえた。
 「(山崎が突っ張って)結構、ペースが上がったので、これないと思ったんですけど。でも(態勢を整えて最終2コーナーから)すかさずいってくれたので。やっぱり初速の1歩、2歩で離れてしまったんで。まだ(ダッシュが)足りないですね。シンプルに賢人さんのダッシュがすごかったです。(山崎が最終2)センターでニュートラルに入れたんで、一人でテンパっていました。あれだけ脚を使ったのにゴール前も踏み直していたので強かったです。やっぱりGIで戦う自力選手は違うなって思いました」
 別線の包囲網に苦しめられて思い通りにはレースを運べなかった山崎賢人だが、自慢のスピードで窮地を脱して2着に入線した。
 「今日(2日目)は突っ張りでした。でも(仲野を突っ張ったあと坂本に)いかれてしまって良くないですね。出られてからすぐに行ける感じはあったんですけど、後ろの状況がわからなくて…。(感触的には)昨日よりもいい感じだったんですけど、もっときれいな形で頑張りたかった。疲れが抜けてくればもう少し良くなると思います」


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岩本俊介選手
岩本俊介選手
 赤板過ぎに溝口葵が誘導員を降ろして先頭に立ち、そのあと東矢圭吾がすかさず叩いて出る。正攻法に構えていた阿部拓真が3番手に追い上げて隊列が短くなると、後方でタイミングを見計らっていた岩本俊介(写真)が一気のカマシを敢行。諸橋愛が踏み出しの加速で車間が空いてしまうほどの迫力でレースを支配すると、ゴール前も力強く踏み直して堂々の逃げ切りを決めた。
 「諸橋さんが1番車だったので、けん制が入らなければ前から2番目がいいなと。思ったより前が踏み合ってくれて、緩んだところで仕掛けられました。前々にいくという気持ちがいい方向に出たのかなと。逃げ切りは久しぶりですし、うれしいですね。初日は深谷(知広)君にしっかり付いていけましたし、今日(2日目)は自力で押し切れているので、自分の理想の形に近づいているのかなとは思います」
 最終2コーナー付近でなんとか岩本につけ直した諸橋は追走いっぱいで伸びを欠き、最終バックからジワジワとまくり上げてきた阿部拓真が2着に強襲した。
 「後ろ攻めが溝口君でしたし、みんながどう踏んでくるか見て組み立てようと思ってました。東矢君は踏まないで出させることはないと思っていたし、ある程度はアタマの中で考えていた展開で、3番手はキメにいこうと。東矢君(と関貴之)の決着を見て。渡邉(豪大)さんが単独だったので、バレる前に関さんを目掛けてしかけました。余裕がない中で踏んだので何とかですね。体はピリッとしていないけど、気持ちで体をカバーしている感じです」


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新山響平選手
新山響平選手
 1番車の松谷秀幸が岩谷拓磨や中島詩音らとのスタート争いを制して新山響平(写真)を迎え入れる。後ろ攻めとなった今村麟太郎が赤板目掛けて勢いよく叩きにきたが、誘導員との車間を空けていた新山が突っ張って四国勢を出させない。そのあと間髪入れず中島が新山を叩いて先頭に出ると、林慶次郎は新山が3番手に引き切る前に一気のカマシを敢行する。林の仕掛けに車間が空いてしまった岩谷だったが、最終バックでは追いつきざまにまくりを発動。それでも新山が最終バック付近から追い掛けながら鋭いまくりでのみ込んだ。
 「(今村が)いい勢いだったので、突っ張れるかはわからなかったですけど。(そのあとの中島は)巻き返しが早かったので、出させてもいいかなと思いました。林君のスピードが良くて対応できなかったんですけど、そのあとは落ち着いて見れました。岩谷君が(林に付け直さず)そのまま行ったので、スピードが良くて合わされそうでしたけどなんとか良かったです。昨日(初日)よりも今日の方が軽かったですね」
 2着に入線したのは今年1月の高松記念以来で新山と連係した松谷秀幸。別線による波状攻撃にも冷静に対応しながら仕掛けた新山にピタリと付け切り一番人気に応えた。
 「1番車だったんで、スタートは緊張しました。岩谷君も早いって聞いていたので。あれ(新山が一個突っ張ったあとほかのラインを出させる可能性)もあると思って頭には入れていましたけど。まくりになったら離れるかもって思ったので、ついていけて良かったです。(新山が)突っ張るときのダッシュがカマシみたいでめちゃくちゃきつかったです」