『別府競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月9日

 ナイター開催で行なわれてきた別府競輪開設75周年記念「オランダ王国友好杯(GIII)」は6月8日に最終日を迎えた。好メンバーによって争われた決勝は新山響平が得意の突っ張り先行で別線を完封。番手を回った守澤太志がゴール前で抜け出して、この大会2年ぶり3回目の優勝を飾った。なお、守澤のGIII優勝はその23年当所記念以来で、通算5回目となる。
 また、9レースではレインボーカップ・A級ファイナルが実施された。こちらもライン4車の北勢が終始レースを支配し、番手から踏み込んだ小原丈一郎が勝利した。1着の小原、2着の橋本智昭、3着の川口雄太は6月9日付でS級2班に特別昇級する。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると、外枠から阿部将大が勢い良く飛び出して正攻法の位置を確保する。阿部は北勢を前に入れ、新山響平-守澤太志、阿部-瀬戸晋作、寺崎浩平-村田雅一-村上博幸、深谷知広-岩本俊介となって周回を重ねる。
 後方となった深谷が青板3コーナーから上昇すると、誘導との車間を切って備えていた新山は突っ張る。出られなかった南関コンビは降りられる場所を探すような動きも見せたが結局、元の8番手に戻っていく。主導権を握った新山は後ろの動きを警戒しながらペースで踏んでいき、打鐘3コーナーから深谷が内を突いて5番手まで上がってくる。一連の動きを見ながら新山が流していく中、最終ホームあたりで寺崎が外併走からスパート。新山もダッシュ良く踏み上げ、2コーナーでは上がってきた寺崎に合わせて阿部も3番手先まくりに出る。だが、新山のスピードの前に阿部も寺崎も進みが一息で、3コーナーで守澤のブロックを受けると車が外に流れてしまう。すかさず村田が内に降りて北コンビを追う態勢で最後の直線へ。新山が末良く粘るが、ゴール寸前で守澤が差し切った。

守澤太志選手
守澤太志選手

 二度あることは三度ある。71周年、73周年大会の覇者でもある守澤太志(写真)が三度目の『オランダ王国友好杯』制覇を達成した。
 「本当に毎日、本線で、毎日4コーナーをハコ(先行の番手)で回ってきて。前で頑張ってくれた選手のおかげです」
 開口一番、感謝とともに今年も守澤の笑顔が弾けた。
 「(良い頃に比べたら)脚力も落ちていますし、決勝に乗ることも難しくなってきているんですけど。ラインに感謝ですね。FIでも優勝できないのに、まさかこんなところで優勝できるなんて。響平に感謝です。(別府記念は3回出場してすべて優勝しているが)あと20回ぐらい呼んで欲しいです(笑)」
 号砲とともに地元の阿部将大が真っ先に飛び出したが、道中で守澤が九州勢の前に追い上げる形となって新山響平を迎え入れる。S班の新山が代名詞とも言える突っ張り先行で別線を完封してみせた。
 「やっぱりあれが(新山)響平のスタイルですし、スタイル通りかなって。今日(決勝)に関して言えば、内をしゃくってくる選手も少なかったですし、(最終)3コーナーで持っていっても大丈夫かなって思っていたんで。止まってくれて良かったです」
 何度も対戦してきている相手選手のクセは把握済み。ライン2車であっても別線に隙を見せることなく、後方からまくってきた寺崎浩平と、真後ろの位置からまくってきた阿部を最小限の動きでスピードを鈍らせると、直線で外を踏み込んできた村田雅一の位置も把握しながらシャープに抜け出した。
 「まだ納得できる、自信を持てるデキではないんですけど。優勝できたことはいいきっかけにもなりますし、モチベーションにもつながってくると思うので。後半戦に向けて頑張っていきたい。こういう(決勝の)舞台で響平とワンツーが決まったことも良かったと思うので」 
 次走は岸和田で行われる高松宮記念杯(GI)。前記の23年12月の別府記念以来となる5度目のGIII優勝を手にしたが、ここでは決して満足はしない。勢いそのままに昨年のオールスター以来となるGI決勝を目指して岸和田に乗り込む。

 正攻法の構えからレースを運べた新山響平は赤板過ぎに深谷知広を突っ張ると、別線の動きを確認しながらペースをコントロール。最終ホーム過ぎまでうまく流しつつ、最終1センターから全開スパート。別線のまくりをすべて封じて2着に粘り込んだ。
 「前に入れたので、あの位置だと一回突っ張ってみてでしたね。あとはほかのラインがどう来るかでしたけど、みんな位置にこだわってくれたし、落ち着いてペースで踏めたと思います。最後は抜かれましたけど、自分の競走はできたのかなと。(今シリーズは)全部、展開にこだわって走れたかなと思いますね。明日、一日休んで、(10日以降は)調整はせずに目いっぱい追い込んで宮杯(高松宮記念杯)を迎えたいですね」

 村田雅一は目標の寺崎が最終3コーナーで外に浮かされる苦しい展開となってしまったが、コースを探して強襲したものの、記念初制覇までは届かず3着まで。一瞬の判断の遅れが致命的となってしまった。
 「寺崎君は自分のタイミングではなかったと思うし、いつものスピードではなかったですね。(最終)3コーナーで一回、内に入りかけたんですけど、寺崎君もまだ踏んでいたので躊躇してしまって。後ろに村上(博幸)さんもつけていたし、もっとシビアにいった方が良かったですね。初めて村上さんの前を回らせてもらいましたけど自分はまだまだですね」







レインボーカップA級ファイナル レース経過

小原丈一郎選手
小原丈一郎選手

 号砲とともに大外の橋本智昭が飛び出してS取りに成功し、4車で結束した北日本ラインが正攻法に構える。単騎となった川口雄太が5番手を確保し、その後ろに大西貴晃-稲吉悠大が陣を取る。後ろ攻めとなった河崎正晴が谷口力也を連れて赤板手前から上昇していったが、誘導員との車間を空けて待ち構えていた木村佑来が突っ張って一歩も出させない。打鐘手前から再び河崎が巻き返しを狙ったが気配を察知した木村が全開スパート。余裕を持って車間を空けながら木村をリードしていた小原丈一郎(写真)が最終2コーナー付近から番手まくりを発動してそのままゴール線を駆け抜けた。
 「2周から(木村)佑来がけっこういいペースで踏んでくれたし、自分の判断でいかせてもらいました。躊躇したら、大西さんもタテ脚があるし、いかれてしまったら後ろに申し訳ないので。橋本さんも前回(昨年末の佐世保レインボーカップで2着入線も失格して)悔しい思いをしたと思うし、ゴール前勝負ができて良かったです。昨年ぐらいから自力自在に走ってきたし、S級に戻っても変わらず走って後ろの選手に貢献したいですね」

 北日本ラインの3番手を回っていた橋本智昭は小原の加速に車間が空いてしまったが、懸命に追い掛けてなんとか2着をキープした。
 「(ラインの)3番手周りは初めてだったので、難しかったですね。前の方がいいかなと思っていたし、スタートで脚を使いましたね。人の後ろは慣れていなくて、気合でついていった感じですね。(小原)丈一郎とは佐世保のレインボーカップで連係して失敗していたので、前回の借りは返せたかなと。これで早くS級に上がれますし、色々試したいですね」

 3着に強襲したのは単騎の川口雄太。初手で北日本ラインの後ろを取ることに成功し、うまく先手ラインに乗ってチャンスを窺う。最終2コーナー手前から内へと潜り込み山崎将幸を捌くと、直線で外を目いっぱい踏み込んで、2着の橋本に4分の3車輪差まで迫った。
 「ジャンぐらいから(内に)いこうと思っていたんですけど入るところがなくて。追いついて一車だけしゃくる形になって、本当は(小原)丈一郎のところか最低でも橋本さんのところまではいきたかったんですけど。つっかかってしまって、まだまだ不器用ですし、優勝しか狙っていなかったので悔しいですね。S級でもすることは変わらないですし、引き続き自分のスタイルを極められるように」





富山競輪GIII 第13回大阪・関西万博協賛競輪
次回のグレードレースは富山競輪「第13回大阪・関西万博協賛競輪」が6月12日~15日の日程で実施されます。

高松宮記念杯競輪直前の開催のためトップクラスは少なく、S1中堅クラスによるV争いです。戦歴最上位の柏野智典を軸に結束する三宅達也、町田太我の中国勢をはじめ、各地区ともに戦力のバランスは取れています。高久保雄介、岡崎智哉、谷和也、岸田剛と駒数そろった近畿勢、地元の村田祐樹が率いる中部勢、北日本勢も飯野祐太、佐藤一伸、新山将史、櫻井祐太郎と充実のラインナップ。誰に勝利の女神が微笑むのか、興味津々のシリーズです。

6月2日時点の出場予定選手データを分析した、富山「第13回大阪・関西万博協賛競輪」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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四日市競輪GIII BNR 大阪・関西万博協賛
次回のグレードレースは大阪・関西万博協賛・四日市GIIIナイター「ベイサイドナイトドリーム」が6月12日~15日の日程で実施されます。

3月大会に続いて実施される「ベイサイドナイトドリーム」は高松宮記念杯競輪直前の開催のためビッグネームの名前は見当たりませんが、逆に上位陣は誰にも勝ち上がって優勝のチャンスがありそうで目が離せません。地元の谷口遼平、ヤンググランプリ覇者の纐纈洸翔、売り出し中の栗山和樹と中部の機動型が充実していますが、一筋縄ではいきそうにありません。また、ガールズケイリンが3レース4日制で行われます。こちらもパールカップ出場組が不在で接戦ムードです。

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