『別府競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月5日
 別府競輪開設66周年記念「別府八湯ゆけむりカップ」が6月2~5日の日程で開催された。決勝戦では復調した武田豊樹に好調維持する三谷竜生、そして記念初優出の新山響平が激しく火花を散らした。優勝は岡村潤。逃げる新山の番手を奪うと、直線鋭く逆転して嬉しい記念初優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲と同時に根本哲吏が勢い良く飛び出してスタートを決める。根本が目標の新山響平を迎え入れ、北日本コンビが前団、中団に岡村潤-中村浩士-江守昇の南関勢、さらに武田豊樹-芦澤大輔の茨城コンビが続き、三谷竜生-池田良が後攻めの並びで隊列は落ち着く。
 青板周回の2コーナーから三谷が上昇。前受けの新山はすんなり車を下げ、三谷が誘導員の後位に入る。8番手まで下げた新山が赤板から踏み上げると、これに合わせて武田も動く。打鐘で先行態勢に入った新山だが、内をすくった岡村がこの後位に飛び付く。新山がホームからペースを上げると、根本はあっさり競り負けて後退。岡村が楽に番手を奪い、中村、江守の順で続く。後方8番手からまくり上げた三谷は武田に合わされて不発。2コーナーから仕掛けた武田も中村の外で苦しくなる。岡村が番手絶好態勢から鋭く追い込んで記念初優勝。最終2センターで内を突いた江守が岡村に迫って2着。中村が3着に入り、南関3車で確定板を独占した。


岡村潤選手
岡村潤選手
 武田豊樹に三谷竜生、そして記念初優出の新山響平が激突した注目のレース。雨中の激戦を制したのは岡村潤(写真)だった。赤板1センターから内に切り込むと、先行態勢に入った新山後位で番手勝負に出る。根本哲吏を飛ばして番手を奪うと、新山のかかりの前に武田、三谷の巻き返しは不発に。岡村が粘る新山をとらえて嬉しい記念初優勝を飾った。
 「今日はイメージしているとおり。新山君が駆けるか、三谷君が駆けるかどっちかだったけど、新山君が駆けたら飛びつこう。それでまくられたら仕方ないと思ってました」
 これが記念初優勝。「泣いちゃうのかと思ったけど、今のところ実感はないですね」とレース後は笑顔を見せていたが、表彰式で先月亡くなった栗原厚司のことを思い出すと、涙をこらえることはできなかった。
 「今回は栗原さんも一緒の開催だった。差せないかと思ったけど、ゴール前で押してくれたのは厚司さんだと思う」
 3年前から青島宗仁と練習をはじめ、昨年からのギア規制に合わせて体重をしぼった。半年前からはナガサワにフレームを換えるなど、全てがかみ合っての記念初優勝だ。
 「南関3人で決まって最高です。自分が前でも頑張ってれば認めてくれると思うので」
 強敵を破っての優勝で、南関地区における岡村の存在感はさらに増した。

 2着に突っ込んだのは江守昇。初日5着で本来なら勝ち上がりに失敗しているところを海老根恵太の欠場で繰り上がり。今シリーズはそのツキを存分に生かした。
 「今日が一番体調がよかった。(中村に)早くコースに入ってくれと思ってた。最後は空いてなかったけど、落車覚悟の突っ込みでなんとか入れてよかった。これで競輪祭にも出られますね」

 外を踏むと決めていた中村浩士は江守に交わされ3着に。悔しさはあるだろうが、ラインで上位独占の結果をなにより喜んだ。
 「潤が行ってたんで中に行くより、外を踏めば江守さんのコースもあると思った。自分のなかでも余裕はあった。連日、苦しかったけど、今日は軽くて。高校の先輩と潤とワンツースリーは本当に嬉しいです」

 人気の武田豊樹はまくり不発に。岡村が番手に飛びついたことで難しいレースになってしまった。
 「もうちょっとだったですね。番手に岡村が入ってるし、(根本が)浮いてるのも見えた。併走で行きづらかったですね。まくり切りたかったけど、自力で一戦走れた。また頑張ります」

 打鐘前先行の新山響平も記念初優出、初優勝へ懸命にモガいたが、あと一歩優勝へは届かなかった。
 「(後ろが)モツれたのはわかったけど、全然ダメでした。今日は前を取って、引いてそこから。もうあんなチャンスないですね。押し切れれば自信になると思ったけどダメでした」

 1コーナーからまくった三谷竜生は飛ばされた根本が邪魔になり大きく外に膨らんだが、「それは関係ないです」とキッパリ。「踏み出した瞬間は行けると思ったけど滑ってしまった」と雨走路でのアクシデントに泣いた。


ゴール
レインボーカップA級ファイナル
飯尾主税選手
飯尾主税選手
 S級特進をかけた一発勝負。レインボーカップA級ファイナルを制したのは飯尾主税(写真)。前を任せた吉川誠が中団4番手を確保すると、4コーナーから空いたインコースを突き抜けた。
 「ラッキーでしたね。今日は近畿勢が行くだろうし、(吉川)マコちゃんが言ったとおりにやってくれた。1着も嬉しいけど、お金が嬉しい(笑)。S級はみんな強いけど、もうちょい頑張りたい。勝てる脚をトレーニングしときます」

 野口正則の頑張りで絶好の展開になった伊藤成紀だったがアクシデントもあって2着。それでも勝負駆けのレースでS級特進を決めた。
 「野口が頑張ってくれたのに、自分がふいにしてしまった。3コーナーでむっちゃすべって、体勢を立て直して踏んだけど、またスライスしてしまった。ちゃんと踏んでれば飯尾さんのコースはなかったのに。野口があれだけ行ってくれたのに申し訳ない。でもこれをふいにせんように(S級でも)頑張ります」

 近畿勢後位を確保して外を踏んだ吉川誠が3着。今期は失格点もあり、油断はできない状況だっただけに、S級特進は大きい。
 「今日はあれしかなかった。絶対先行するのは野口君だし、その後ろを死守と思ってた。最後、自分が外を踏めば飯尾さんのコースができると思ったし、自分も3着でよかった」

 伊藤同様にS級特進へ勝負駆けだった伊早坂駿一は8番手に置かれて、巻き返し届かず。
 「今日は前を取りたかったし、すかさず引いてと思ったらどんどん後ろになって何もできずに終わった。ああなったら絶対ダメな展開だったけど…」

 中田雄喜はこれで今期3度目の特進失敗となってしまった。
 「伊早坂君の動きに乗って行こうと思ってたけど、まだ来ない、まだ来ないと思ってるうちに前が踏んだ。人をアテにしてしまいましたね。俺は特進に縁がないです」


ゴール
↑ページTOPへ