『別府競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:12月3日

 別府競輪開設67周年記念「別府八湯ゆけむりカップ」は2日目。優秀の「いで湯賞」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出を争った。「いで湯賞」は単騎の菊地圭尚が9番手まくりで快勝した。地元勢からは大塚健一郎が準決勝に進出。地元勢最後の砦として決勝進出を目指す。
 3日目は佐々木昭彦氏による予想トーク(7R、11R発売中)や新聞記者による予想トーク(6R、8R発売中)が予定されています。開催もいよいよ後半戦。白熱のレースをぜひ本場でお楽しみください。

<6R>

神山拓弥選手
神山拓弥選手
 後ろ攻めの片折亮太の上昇が遅いと見るや、中団の久米康平が打鐘から踏み上げて主導権。片折もすかさず仕掛けたが、久米も突っ張って出させない。片折が不発と見るや天田裕輝が2コーナーから自力に転じる。粘る久米を飲み込むと、続いた神山拓弥(写真)がゴール前でとらえた。
 「差し込んでばっかりでキツかった。天田さんは内ばっかり見てるし、踏んでくれないと浮いちゃうと思ってました。抜けてるんで悪くはないけど、疲れがあるかな」
 まくった天田裕輝は2着で準決勝進出を決めた。
 「(片折は)あのスピードだし、行き切っちゃうと思ったけど、ここは外が伸びないのかもしれないですね。僕は何とかです。片折が膨らんでるところで行ったんでタイミングも悪かった。3人で決まらなかったもは残念だけど、とりあえず明日(準決勝)につながったんで」
 天田のまくりに続く形で鈴木裕が3着に食い込んだ。
 「パーセーブですね。片折がなかなか来ないし、超キツかった。天田がまくったヨシ(その動きに)乗るぞと思ったけど、打鐘で脚を使ってて一杯でしたね」


<7R>

齊藤竜也選手
齊藤竜也選手
 藤井昭吾を打鐘で強引に橋本智昭が叩くが菅田壱道は中団に切り替え、橋本は裸逃げに。打鐘の3コーナーから仕掛けていた田中晴基は一気に加速すると、1センターで橋本を飲み込む。これで番手絶好になった齊藤竜也(写真)が直線で鋭く抜け出した。
 「もうワンテンポ遅く踏んだら田中君を2着に残せたと思うけど…。すかさず行ってくれたので申し訳ない。1着は取れているけど、(田中)晴基のおかげだし自分は付いていくだけの脚でした」
 南関コンビに1コーナーでスイッチした菅田壱道がまくって来た佐伯辰哉を張りながら外を踏んで2着に。
 「藤井君も絶対に主導権を取るつもりで来ると思ったし、先行争いになると思いました。それなら、先に切って内で勝負しようという作戦だったけど、(橋本と)うまく意思の疎通がとれていませんでした。自分も後ろに(佐藤)慎太郎さんが付いていたので悪いけど早めに切り替えさせてもらいました。その後は前々に踏むことはできていましたけどね。ホントは出切ってくれれば番手の仕事をしてラインで決めたかったけど…」
 打鐘過ぎから早めの仕掛けを見せた田中晴基は3着に粘った。
 「全然想定の展開と違っていつの間にか先頭になっていて(笑)。ここからじゃ残れないなと思ったけど、あの距離を踏んで残れているし調子は良い」


<8R>

山中秀将選手
山中秀将選手
 小川祐司が上昇すると津村洸次郎は下げて、誘導後位に小川が収まる。中四国コンビを筒井裕哉が追って、津村は5番手。人気の山中秀将(写真)は一本棒の7番手に置かれても冷静さを失うことなく、じっくりと前団の様子をうかがう。誘導をフルに使った小川が、津村に合わせて打鐘の4コーナーからペース上げて逃げる。津村は不発。最終2コーナーからまくった山中が、スピードの違いで前団をのみ込んだ。
 「津村は絶対にホームでは行くと思っていた。行かなかったら、まくりに構えればいいかなと。初日はいろいろ展開的に慌ててしまって、仕掛けるタイミングがなかった。だから(2日目は)どの位置でもタイミングが来たら仕掛けようと。まくれているんで、(脚の感じは)悪くないです」
 「ホームではもう無理だと思った」との松谷秀幸は、山中秀将を笑顔で迎えて、自身は冷や汗をぬぐう。
 「俺じゃ無理だから。あれは山中じゃなかったら、行けてない。脚が違いますよ」
 小川祐司は予想外の展開にも臆することなく積極的に踏んで、準決進出を果たした。
 「2周半で(押さえに)行ったら、(別線が)切って、切ってでカマせるかなと。そしたら筒井さんも山中君も切ってくれないんで。誘導も残っていたし、来たら踏んでと思っていた。守安(政雄)さんが沈んだけど、なんとか残れたんで価値のある先行ができたかなと思います」


<9R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 清水裕友の上昇に合わせて踏んだ鈴木竜士はしっかりと中団を確保。打鐘過ぎ4コーナーから仕掛けると、合わせて踏み込む清水を強引に叩いて前に出る。三宅達也のアシストで3番手に入った清水は3コーナーまくり。三宅は内に切り込んで中割りを狙ったが、これを耐えた木暮安由(写真)がゴール前で鈴木をとらえた。
 「初手は中団がいいと言ってたし、竜士君にお任せで。3番手はわからなかったけど、前だけは残そうと思ってました。自分の仕事はできたかな。競輪祭あとで初日は気がたるんでたと思うけど、二次予選でピリッとした。楽しみです」
 逃げた鈴木竜士が2着に粘った。
 「清水君に駆けられたらマズいと思った。車番もいいし中団からカマして行こうと思ってた。見られてたけど、腹くくって行かないとと思いました。(清水に)合ってしまったけど、気持ちで負けないようにと思って踏みました。しっかり先行できて確定板に載れてるので、悪くないですね」
 3着を争ったのは中国コンビ。外を回した清水裕友が3着で準決勝進出を決めたが、「情けない」の言葉を繰り返した。
 「3コーナーで仕掛けたけど、情けない。パッとしないですね。3番手に入っても余裕がなくて、行こうって感じではなかった。情けないってだけです」


<10R>

山田英明選手
山田英明選手
 日野博幸の上昇に続いて打鐘でインを切った山田英明(写真)は小原唯志の上昇を受けて3番手を確保。危なげなく準決勝へ勝ち上がった。
 「レース前に大塚さんに何も言われずに好きなように走れと言われました、普通地元なら先行しろとか言うけど、そういう風に言われて何が何でも(ラインで決める)という気持ちで走りました。先行するつもりで組み立てて、周りの動きをみてしっかりと動けました。後ろを見ないで攻める気持ちで仕掛けられました」
 山田マークの大塚健一郎が2着に続いた。
 「ヒデ(山田)に関しては全て完璧にやってくれました。余裕があったら小岩(大介)にもコースを作って連れ込みたかったけど、自分にそこまでの余裕がなく…。小岩に申し訳ないことをしました」
 佐藤友和を追走した小橋秀幸はゴール前で内を突いて準決への切符をつかんだ。
 「大塚さんや小岩はさばきがうまいから、急に振って来るかもしれないと思って構えていました。それでも自分のタイミングでは踏めていましたね」


<11R>

山内卓也選手
山内卓也選手
 前からの組み立てを余儀なくされた竹内翼は、谷口明正の上昇にサッと下げて赤板の2コーナーから巻き返す。中団で車間を空けた飯野祐太が詰めながら中川誠一郎を弾いて、谷口を叩いた竹内は援護失う。番手に入った谷口は最終バック過ぎから竹内を交わし、山内卓也(写真)が直線で抜け出した。
 「(谷口は)落ち着いてレースをしてくれた。なるべく先行っていう感じで、最悪(別線に)出られたら番手でと。落車がなければよかったんですけど…」
 ゴール寸前に落車した谷口を気遣いながら、山内は振り返る。
 飯野がまくり気味に追い込むと、大槻寛徳は最終4コーナーで内に進路を取り、最後は狭いコースを突いて2着。
 「最後はイチかバチかでした。自分としては当たらないように冷静に走ったつもりなんですけど。ちょっとヒジが(谷口に)当たってしまった。初日は道中からキツかった。それで自転車をいじったら、(2日目は)楽でした。飯野が頑張ってくれたおかげです」
 打鐘の4コーナーで小野俊之にすくわれた渡邊健は、連結を外していったんは小野の後ろで我慢。最終3コーナー過ぎに小野をすくい返して3着に入った。
 「ちょっといろんな意味でタイミングが取れなくて、結果、小野君の後ろに入っちゃった。そのあとはもう1回に内に行こうと。動きとしては良かったですけど、前が頑張ってくれたことに尽きますね」


<12R>

菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 「いで湯賞」を制したのは単騎の菊地圭尚(写真)。「後手踏んじゃって最悪だったけど」と最終ホーム最後方に置かれてしまったが、1センターまくりで鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「組み立て自体はかなり悪かった。前々に踏んでないとと思ったけど気づいたら…。でも踏み合いをしてくれたんで、詰まったところで目をつぶって行きました。最近は流れが来てるのに、そこで踏まずに自分で自分の首を絞めてたところがあったんで。これはかなり次につながると思う」
 1コーナーで坂口晃輔の内に差し込み、仕掛けるタイミングを逸した松岡貴久だったが、先に仕掛けた菊地を追いかける形で外を踏み2着に食い込んだ。
 「失敗しました。悪い癖が出ましたね。自力と言ってたのに、外行けば何てことなかった。習性ですかね。つい(坂口を)入れたくないなって気持ちになっってしまった。出は悪くないです」
 周回中から村上義弘の後ろを回っていた中村浩士が3着に突っ込んだ。
 「あの位置にまずはいて。(村上の気迫を)感じたかったですね。村上さんが古性を守る走りをして、自分はしゃくられないようにと思って踏んでたけど、菊地が行ったんでうわっと思った。でも、いい走りを味わいましたね」
 竹内雄作を出させず、レースの主導権を握ったのは古性優作だった。
 「難しかった。もうちょっとしっかり逃げられるように頑張ります。初日もああいうレースができればよかった。先行力がないとGIでは厳しいのでしっかり」