『熊本競輪開設72周年記念in久留米(GIII)レポート』 最終日編

配信日:10月4日

 久留米競輪場で代替開催された開設72周年記念熊本競輪「火の国杯争奪戦(GIII)」は、10月4日に最終日が行われた。決勝は、4車の北日本勢を叩いた深谷知広が主導権。番手の郡司浩平が追い込んでV。4月の川崎以来、通算15回目のGIII制覇で、前回の共同通信社杯からのグレード連覇を遂げた。また、121期による「競輪ルーキーシリーズ2022プラス」は、逃げた山口多聞に付けた室井蓮太朗が、直線で抜け出して一発勝負を制した。

決勝戦 レース経過

 けん制のスタートから郡司浩平が出て、深谷知広-郡司の南関勢が前団に構える。単騎の松岡辰泰。松浦悠士-村上博幸、小松崎大地-守澤太志-佐々木雄一-高橋陽介で周回を重ねる。
 青板3コーナーから6番手の小松崎が上昇を始める。深谷は誘導を残したまま下げ、誘導との車間が空いた北日本の4車が出る。松浦ラインが続いて、7番手に松岡が切り替える。8番手で立て直した深谷は、赤板2コーナー手前で外を踏み込む。小松崎も誘導を交わしてペースを上げるが、打鐘を通過して4コーナーで深谷が叩いて主導権を奪う。郡司もきっちりと続いて最終周回。
 小松崎は3番手に飛び付いて、9番手に置かれた松岡が1コーナーで仕掛けるも一息。今度は7番手の松浦が、2コーナー手前からまくりを打つ。小松崎は動けず、松浦が好スピードで南関勢に迫る。が、番手で逃げる深谷との車間を空けた郡司が、松浦を阻んで直線を迎える。松浦マークから中割りの村上をわずかに退けた郡司が優勝。村上が2着で、深谷が3着に逃げ残った。


郡司浩平選手
郡司浩平選手

 連日超抜のレースを見せていた深谷知広に任せて臨んだ決勝。スタートけん制が入って南関勢が前受け。別線の上昇を受けて8番手に下げる。ここまでは大方の予想通りにレースが進む。あとは、深谷がどこから仕掛けるかだけ。郡司浩平(写真)がこうレースを振り返る。
 「深谷さんありきのレースでした。深谷さん中心のレースになると思っていました。下げても立て直して行くことはわかってたけど、ここで行くのかってところですかさず行ってくれました。スピードが違ったし、出切っちゃうだろうなと。距離が長くて、後半は失速するんじゃないかと頭の中で計算したけど、この強い風の中でいつも以上に最後まで踏んでいた」
 深谷は赤板2コーナーから一気にカマす。とてつもないスピードで主導権を奪い取り、最終ホームでは2車で出切る。果たして別線の巻き返しはあるのかと疑問に思ってしまうほどのスピード感。その中でも、松浦悠士が7番手からまくり上げる。深谷と車間を切って反撃に備えた郡司は、2センターで松浦をブロック。松浦の勢いは止まるが、今度は内から村上博幸が中割りを狙う。4コーナーを過ぎても一瞬たりとも気が抜けなかった。
 「小松崎(大地)さんは3番手に飛び付くのに相当脚を使っているし、二の足では来られない。松浦君だけ見て、(最終)3コーナーで止まると思ったし、そこまでは引っ張りたかった。2車で難しいところはあったんですけど、まくりにかぶるのだけはダメ。ブロックして、内は我慢でした。村上さんはさすがというか。当たられた時にかなり重くて。深谷さんをかばいながらだったけど、スピードをころされて、かばう余裕がなかった」
 なんとか村上の強襲をしのいだ郡司が、共同通信社杯に続いてグレードレースを連覇した。初日特選、決勝と連係した深谷の存在は、郡司にとって、いや、南関地区全体にとってとてつもなく大きい。これからも幾度となく連係する両者は、また1つお互いの信頼を積み重ねた。
 「逆の並びなら、自分はあのレースはできない。だから、後ろでできる援護をしたかったし、今回はそれができた。深谷さんは本当に最後まで踏めていたし、ゴール前まで2人で並んで勝負ができた。それが良かったですね。こういうレースを増やしていきたい」
 今年もGIは残すところあと2つ。年末へ向けて、緊張感が高まってきた。
 「共同通信社杯の勢いのまま獲れたってことは、次につながると思う。大きい1勝ですね。もちろんグランプリに向けてってところもあるんですけど、次は寬仁親王牌。前橋でドームってこともあるし、いつもと展開も変わってくる。そこに対応できるように。この先のGIを目標にやっていきます」
 共同通信社杯を制する前とは、明らかに空気が違う。3度目のGIタイトル奪取、そして…。いろいろな夢が、現実味を帯びてきた。

 一瞬のチャンスを逃さず中割りを狙った村上博幸だったが、わずか届かずの2着。
 「車番で後ろ攻めになるかなと思っていたんですけど、中団が取れたんで。結果的に余計なことをしてしまったかな。最後は自分で勢いをころす感じにしてしまった。今回は緊張感のあるメンバーで連日走らせてもらえて、自分の中で収穫があった。帰ってからやりたい練習も見つけました」

 圧巻のカマシでレースを支配した深谷知広が3着。
 「どこからでも先行しようと思っていました。それがあのタイミングになりました。今回は疲れはありましたけど、感覚は悪くなかったですね。次は静岡(10月14日からのFI)なんですけど、またトレーニングをして臨みます」





6レース レース経過

 単騎の安彦統賀が赤板から動き出して東矢圭吾を切る。山口多聞は2コーナーから仕掛けると、打鍾で安彦を叩き、隊列を一本棒にして駆けていく。山口と即席ラインを組んだ室井蓮太朗(写真)は、最終2コーナーから大きく前と車間を切ってまくりに備える。室井は4番手から仕掛けた東矢を3コーナーでブロックして、返す刀で踏み込む。東矢を合わせ切った室井が、直線で抜け出して、同期対決の一発勝負を制した。

室井蓮太朗選手
室井蓮太朗選手

 「山口君の好きなところから仕掛けてほしかったし、ジャンくらいから行くと思ってた。強かったですよ。安彦さんが切ると思っていたんで、その通りになった。後ろの動きも全部見えていたし、1回振ったくらいで何もしてない。東矢さんが来たけど、前が掛かっていたんで止まるのはわかっていた。踏むのが早かったかもしれないけど、真鍋(顕汰)さんに来られたら合わせ切れないと思った。山口君があれだけ頑張ってくれたので、何としても1着を取らないとと思って全力で踏みました。全然進んでなくて、ヤバかった。だいぶ脚を削られていましたね。直近の目標は松浦(悠士)さんみたいな選手になること。最終的には小倉(竜二)さんみたいな信頼される追い込みになりたいです」

 東矢は不発となるが、マークの松本秀之慎はまくりの勢いをもらい2着に突っ込んだ。
 「東矢さんのタイミングに任せていたし、1着まで行けなかったのは申し訳ないですね。番手自体が初めてだったんですけど、普段自力でやっているので追走は楽でした。今回は兄(松本秀之介)と一緒の開催で、レースのことについては話してないけどいろいろアドバイスをもらって。地元記念で早く走りたいですね」

 切って3番手を確保した安彦統賀が3着に入った。
 「車番で後ろになるかなと思っていたし、自分で1回動いていきました。山口君が中々来なくて。踏んで来た時に合わせて踏みましたけど、そこで消耗してしまって。かぶってまくりにいけなかったので、内にいけたりできれば良かったですね。ただ自分からレースを動かせられたし、何もせず終わったわけではなかったので内容は悪くなかったかな」



次回のグレードレースは、松阪競輪場開設72周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪」が、10月7日~10日の日程で開催されます。
今シリーズは吉田拓矢、清水裕友、佐藤慎太郎のSS班3名をはじめとして、太田竜馬、三谷竜生、新山響平、諸橋愛ら全国各地から健脚が集結。
地元勢は浅井康太、坂口晃輔らが一丸となって強豪を迎え撃ちます。4日間に渡って繰り広げられる熾烈なV争いは必見です。

9月26日時点の出場予定選手データを分析した、「蒲生氏郷杯王座競輪」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
プロスポーツ号外版は"こちら"