『熊本地震復興競輪 開設66周年記念熊本競輪 「火の国杯争奪戦」in久留米(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月20日
 熊本地震復興競輪、開設66周年記念熊本競輪「火の国杯争奪戦」in久留米が本日20日から熱戦の火ぶたが切られた。終盤は予想外の展開となるレースが多かったが、見応えある白熱のバトルを展開。初日特選は竹内雄作、金子貴志、脇本雄太がそれぞれ勝利し、明日の優秀「火の鳥賞」へ駒を進めました。
 なお、久留米の本場ではたくさんのイベント、ファンサービスが予定されております。まずは開催を通して先着入場に各種景品が当たる抽選券配布(先着200名様)、未確定車券抽選会(6R発売中)、熊本競輪情報協会武田一康会長による全レース解説(1R前)、専門解説者による予想会(21日は佐々木昭彦氏、山口幸二氏/22,23日は中野浩一氏、内林久徳氏、山口幸二氏)が。また、21日(金)はスピーチーズライブ(8R後)、火の鳥賞出場選手紹介(5R)、火の鳥賞表彰式(12R)が行われます。こちらもどうぞお楽しみに。
<1R>
小川祐司選手
小川祐司選手
 オープニングレースを制したのは人気を集めた関東ライン。前受けとなった鈴木竜士が赤板で吉田茂生を突っ張ると、そこから一旦番手に入ったが、鈴木はすぐに前に踏んで主導権。すると、吉田は鈴木の番手で粘る形となったが、江連和洋が外併走を耐えると最後はゴール寸前で差し切って1着を手にした。
 「作戦は前々だったけど、スタートで前を取らされましたね。でも、そこから突っ張ってくれたし、気持ちが伝わってきましたね。まくりだったら抜けないけど、これで107期(茨栃)3人(吉田拓矢、鈴木、山岸佳太)を抜きました(笑)」
 鈴木竜士は長い距離を踏んだものの、2着に踏み止まった。
 「小川さんが動いて、吉田さんが斬った所を行こうかと思ってたけど、先に吉田さんが動いてきたので。出させたら小川さんに行かれるので、出させる訳にはいかなかった。そこからは内に小川さんがいたのが見えた。ホームの向かい風がキツかったですね。末がない」
 小川祐司(写真)は内に詰まる展開となったが、中団4番手に車を下げると、直線で外を踏んで3着に入る。
 「吉田君が斬った瞬間に行こうと思ってたけど、吉田君が突っ張ったので。外の5番(内田英介)を退かせなかったですね。フレームを戻して楽だったし、良く伸びたけど、体の反応が今ひとつでした」

<2R>
 正攻法に構えた高橋和也は打鐘で叩きに来た阿部力也を受けて3番手に収まると、吉原友彦の反撃に合わせて2センターから先にスパート。すると、岩本和也は踏み出しで遅れてしまい、吉原が番手にはまって絶好の展開に。しかし、岩本は追い上げて最終バックで再度ドッキングに成功。続いた若松孝之まで流れ込み、中部3車で確定板を独占した。
 「後ろが付け辛いタイミングで仕掛けてしまって申し訳ない」とレースを振り返るのは高橋和也
 「最終バックも余裕がなくて追い上げてきているのは分からなかった。ゴールしたら後ろに岩本さん達がいたので安心しました。調子は良いので、今回はしっかりと良いところを見せられるように」
 2着に続いた岩本和也はホッと胸をなでおろす。
 「本当はしっかり付いていかないといけないんですけどね。タイミングが合わなかった。もう1巡あると思ったら高橋君が行ってしまって。(9月)平塚の初日にも同じような感じになって、落車してしまっているからヤバいと思って。でも、若松君は自力を考えてたのに3番手を回ってくれたし、何とかリカバリーできて良かったです」
 阿部力也は車を引いて外が空くと、バックからスパート。しかし、前は遠く4着まで。
 「追い上げに乗っていく形でいけるかなって思ったんですけどね。全く車が出なかった。(3.85から92へ)ギアを上げてみたけどいまいちかな」

<3R>
中本匠栄選手
中本匠栄選手
 熊本が地元の中本匠栄(写真)が1着となり、波乱の決着となった。レースは目標の魚屋周成が上手く中団3番手を取ると、後ろの中本は最内のコースを踏んで鋭く突き抜けた。
 「今日はとりあえず前を切って、(敵が)来たタイミングで出させるか出させないか。(箱田優樹が)来たのが早かったし、あそこは(出させても)仕方ない。あのタイミングだと2コーナーまくりは厳しいから、あとは1番のまくりに合わせて反応してくれればと。そうしたら後ろから来たのに合わせて踏んでくれたので、僕は内を。中を割ろうと思って踏んだらコースが空いたので助かりました」
 明田春喜は番手絶好も、中本に内をすくわれ2着に。
 「決まったと思ったんで、あとは前を残すだけだったので。内から来ているのが分からなかった。箱田君が頑張ってくれました」
 近畿勢は後方に置かれたが、中野彰人が2コーナーから自力に転じ3着に食い込む。
 「番手に付かせてもらってるのですぐには行けないけど、どこでその切り替えができるか難しかった。極力待って、待ってから。伊藤信が4番(吉田裕全)にからまれてたので(行かせてもらった)。体の反応は良かったです」

<4R>
五日市誠選手
五日市誠選手
 齋藤宗徳が後ろ攻めから押さえて打鐘で先頭に立つと、高木翔がすかさず反撃に出て主導権を奪う。高木が懸命に逃げるなか、2センターで坂本健太郎が迫ってきたが、最後は五日市誠(写真)が番手から追い込んで勝利した。
 「高木君はとりあえず出切ってくれれば何とかなると思ってたので。無理に行く感じではなかったし、僕は何もしなくてよかったね(笑)。『カマしたい』と言ってたし、その通りやってくれました。(3番手の)中澤央治さんが作戦を考えてくれて、僕だけ何もしてないです(笑)。最後踏むのが早いかと思ったけど、高木君は強いから大丈夫でした」
 坂本の後ろから、紫原政文が外を伸びて2着。
 「外を伸びたね。僕もしっかり練習してるので。フレームが良い感じで車が伸びるね」
 高木翔が3着となり、ホームバンク坂本健太郎は4着でかろうじて二次予選進出。
 「スッとまくれると思ったけどキツかった。久しぶりのレースってこともあって、体がフワフワしてた。普通なら楽にまくれたと思うけど、今の脚では厳しいかな。行きたい所で脚が折り合ってなかった」

<5R>
工藤文彦選手
工藤文彦選手
 正攻法に構えた吉川誠が、打鐘で押さえにきた真船圭一郎を突っ張る素振りを見せる。すると、五十嵐力番手の大森慶一をさばくと、真船の後ろに吉川がはまる形に。援軍を失った真船は追い上げを待ってペースを落とすと、吉川が前に踏んで一気にスパート。最終バックを通過し、五十嵐が車間を空けて援護すると大勢は決したかと思われた。しかし、後方で脚をタメていた工藤文彦(写真)が2コーナーからスパートすると、みるみるうちに車間を詰め、2センターで吉川を抜き去った。
 「今日は本当に展開が向きました。初手で中団を取れたのも大きいし、前がゴチャ付いてくれたので。吉川さんは前を取ったときは突っ張りもあると知ってたから、ああなったので前を見ようと思って。本当なら打鐘過ぎに行くところがあったから、行ければよかったけど。ラッキーパンチはたまに出るけど、今日出たので、もう当分出ないと思います(笑)」
 真船圭一郎は厳しい展開を凌いで2着に入るも、予想外の展開を悔やむ。
 「突っ張られるのは想定外でしたね。1回踏んだらやめたので大丈夫かなって思ったらまた踏まれて…。上手く走れなかったし、結局は最後も良い位置に入れただけなので」
 五十嵐力は絶好の展開も、後ろから飲み込まれギリギリの4着通過。
 「(工藤が)1車なのは分かったけど、自分に余裕がなかったですね。最後は脚にもきてました。頑張ってくれたのに申し訳ない」

<6R>
片折亮太選手
片折亮太選手
 好調の片折亮太(写真)が逃げ切って期待に応えた。中団からレースを進めた片折は、一ノ瀬匠の動きに合わせて先に上昇し、山形一気を叩いて主導権を握る。すると、山形が番手に飛び付いた。片折はマイペースに持ち込むと、最後も力強く押し切った。
 「一ノ瀬君が強いのは知っているし、ペース駆けが上手いので、あそこは勝負と思ってました。押さえにくるのが遅かったですし。出切ってからはペースではずっと踏めていたし、ベタ流しというよりは、最後まで持つぐらいのペースで駆けました」
 齊藤努は番手を死守し、さらにまくってきた坂本晃輝を止める好プレーで2着を確保した。
 「1番(山形)が来るのは分かってたので。競られて気持ちが入りましたね。片折君もペースで駆けてくれた分、やりやすかった。(旧籍の)熊本開催なので、いつもより追い込んできたから少し体は重かったけど、1走したので明日はもっと良くなる」
 山形一気は最終バックで競り負け後退。5着に沈む。
 「ホントは片折君が上がってきたところで突っ張るぐらいじゃないといけないけど、自分にはそこまでの脚はない。前受けの時点で中団狙いかイン粘りを考えていた。1コーナーで決めたかったけどダメでした」

<7R>
本郷雄三選手
本郷雄三選手
 後ろ攻めの大川龍二が押さえて誘導の後ろが入れ替わると、田中晴基が中団外でフタをしてからカマして主導権。田中は懸命に逃げて行ったが、本郷雄三(写真)がこれを上回るスピードでまくり、1着を手にした。
 「とりあえず行けるところまでと思って仕掛けました。余裕はなかったので無理矢理な感じで。今日は気持ちだけでしたね。中本(匠栄)さんが良い流れを作ってくれたし、僕も続けて良かった。すぐに体が反応できてるし、南関のラインを追い掛けられたので体は良いと思います」
 新田康仁が好プレーを見せた。ブロックに行くも本郷が止まらずと見るや、今度は番手の松尾信太郎を1発で飛ばし、追い込んで2着に入る。
 「今日はまず前に付け切ることに集中して。そこから色々とやることがあるので。行かれてから本郷君にスイッチしてもよかったけど、1車になったので。田中君も出切るまで踏まされたし、キツかったと思います」
 その松尾信太郎は8着に沈み、悔しがる。
 「新田さんが余裕ありましたね。目が合って持って来ると思ったから僕も踏んだけど。向こうが強かった」
 逃げた田中晴基は3着に踏み止まる。
 「ホームが向かい風で苦しかったですね。そこでスピードに乗せられず、掛かりが悪かったですね」

<8R>
山下一輝選手
山下一輝選手
 積極性1番の山下一輝(写真)が強敵撃破に成功した。レースは山下が後ろ攻めから押さえると、池田勇人は7番手まで車を下げる。山下は誘導を下ろして打鐘で先頭に出ると、2センターからペースを上げていく。格上の池田もすかさず反撃に出るが、山下のペースにはまり中団までが精一杯。山下は最後まで力強く踏んで、会心の逃げ切り勝ち。
 「ホームの風がきつかったので(池田が来る前に)先に踏もうと。流さずに踏んで良かったです。前回の最終日からギアを1枚(3.85から92へ)上げて重かったけど、最後まで踏めたので末はしっかりしているのかな。4(着)くらいかなって思ったけど、これで自信になりますね」
 児玉慎一郎は流れ込みの2着。山下の強さに舌を巻く。
 「バックでタレてきたのかなって思って車間を空けたんですけどね。最後はキッチリ踏み直されました(苦笑)。ホンマに強かった」
 愛敬博之は中団確保から、直線で山下、児玉の間を狙ったが3着まで。
 「中団は譲れないと思っていました。最後は余裕あったけど外は踏めなかったし、仕方なく内へ。何とかって感じですね」
 池田勇人は「タイミングもバッチリ合ってしまったし、山下君が強かった。仕方ないですね。相手の方が強かったってこと。これが今の現状なので」と完敗。

<9R>
中井俊亮選手
中井俊亮選手
 中井俊亮(写真)が断然の人気に応えた。中井は前受けから車を下げていくと、泉文人が打鐘過ぎからカマして主導権。ペースは一気に上がったが、中井はすぐに前を追って泉の3番手へ。すると、中井はすかさずまくり出て力の違いを見せ付けた。
 「3番(泉)にフタをされたけど、行ってくれたので助かりました。でもすぐに反応できて前を追えたし、調子も脚も問題ないと思います」
 三谷将太が完璧マークを決めて2着に入る。
 「全部楽だったね。中井君のおかげ。ただ、『(相手が)引かなかったら併走する』と言ってたので、3番(泉)のところはしっかりしないと。車輪を差してただけだったし。余裕があるからだろうけど、あそこは体で受けないと。持って来られたら落車もあるからね」
 泉文人はまくられるも、諦めずに踏んで3着に踏み止まる。
 「まくられたけど、最後交わすつもりだったんで悔しいですね。中井君はすっぽり3番手に入ったんですか。分からなかったし、それだったら仕方ない。押さえたときに中井君は引いてきたので、引き切る前に思い切って出たけど。2車でも打鐘から思い切って行けたので。相手が強かった」

<10R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 ここからが初日特選組によるレース明日の優秀「火の鳥賞」へ1番乗りを決めたのは竹内雄作(写真)
 竹内と早坂秀悟の強力機動型が激突する注目カードとなったが、意外にも竹内があっさりと早坂を叩いて主導権を握ると、最後は林巨人を振り切った。
 「スタートで誰も出なかったから前受けと決めてました。早坂さんが流したのが見えたので、もうあそこしかないと思い切り踏みました。上手く切り替える形から行けましたね。
でも、風が強くてキツかった。腰はちょっと不安があるので、しっかりとケアをして明日も頑張ります」
 林巨人は懸命に追い込むが、車間は詰まらず2着。
 「いやもう強いってもんじゃないですよ。前回からフレームを換えて駆け出しはスムーズだけど脚がたまる感じがしなかった。まだまだセッティングを見直さないとダメですね」
 神山雄一郎は中部ラインに切り替え、1車交わして3着に入る。
 「切り替えたのは仕方ないかと…。早坂君が前に踏んでくれたおかげ。僕は何とか伸びましたね。踏んだ感じは良かった」

<11R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 赤板で服部克久が押さえていくと、武田豊樹が分断策に出る。打鐘が入り、もつれたところを8番手から松岡健介が一気の反撃。松岡は番手まくりを放った武田の上を力でねじ伏せると、最後は金子貴志(写真)が抜け出して勝利した。
 「松岡君はすごいスピードで行ってくれましたね。踏み出してから香川君とぶつかってたけど、すごい踏み出しでしたね。前が緩んでなかったのに、無理矢理行ってくれました。僕も踏んだ感じは良かったですね」
 中川誠一郎が自力まくりに転じ、その3番手から香川雄介が中のコースを鋭く伸びて2着に入る。
 「僕は(九州の)4番手だったから作戦は聞いてなかった。(井上)昌己が(中川を)入れた時点で僕はないなと思ったけど、誠一郎が仕掛けてくれたので。なかなかコースが空かなかったけど。いつも最後に脚がいっぱいになってしまうけど、今日は余裕がありましたね」
 その後ろに続いた桑原大志が3着に入る。
 「9番手だったけどね。香川さんのコース取りがさすがでしたね。あの(強力)メンバーだと外は回せないからね。皆が消耗戦だったので。僕は途中の状況が見えたし、もう1加速上がっても行けそうだった。調子は上がっていると思う」
 武田豊樹は攻めのレースをして納得の様子。
 「キツかったね。脚は悪くないけど、最後余裕がなくなりました。向こうは(初手で桑原が香川の後ろにいて)5車でしょう。その辺を考えてたけど、引いてもね。人をアテにするより自分でヤルしかないと。中川君には申し訳ないけど。出るタイミングが遅かったけど、その前に踏む余裕がなかった。でも、あと一歩だったと思うし、1日1日修正して」

<12R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 脇本雄太(写真)が強さを見せ付けた。最終レースは脇本が前受けから車を下げると、打鐘で前を押さえる。すると、合わせて踏んだ山中秀将、永澤剛で内側が大渋滞となり、最終的に山中が突っ張って主導権を握る。脇本は外併走の厳しい展開となったが、これを懸命に堪えると、最終2センターで山中を抜き去って1着を手にした。
 「自分が踏んだタイミングでしゃくられてるし、どうしようもなかったですね。打鐘のとこで出切ったと思ったし。(山中に内から行かれて)タイミングを全て潰されてしまいました。展開を崩されたけど、必死で踏みましたよ。今日はただ踏んだだけ。もっと柔軟に対応できなきゃいけないけど、一つも予想してなかった。ラインでワンツーできなくて悔しいです」
 永澤剛は山中の番手にはまる展開から、直線で追い込んで2着に入る。
 「打鐘で引けなくて。引いたら7番手でしょう。山中君は中団を取りにきてたし。番手に入った時点で脚はいっぱいでした。脇本君が外で飛ばないし強かったですね」
 萩原孝之は連係が乱れて後方に置かれたが、直線で外を鋭く迫って3着に滑り込む。
 「届く感じはあったけど、渡邉(晴智)さんにはぐれたし、内容が良くないですね。打鐘の2センターあたりから危なかったですね」
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