『第1回オールガールズクラシック(GI)レポート』 2日目編

配信日:10月4日

 ガールズケイリンの歴史に新たな1ページを刻むのは。松戸競輪場で開催されている「第1回オールガールズクラシック(GI)」は、10月3日に2日目が行われた。新設GIのファイナルをかけて、準決では迫力のレースが展開された。1着同着もあり、太田りゆ、佐藤水菜、久米詩、児玉碧衣の4人が白星を挙げて優出した。3日間のナイターシリーズもいよいよ大詰め、10月4日の最終日にはトップ7によるオールガールズクラシック決勝の号砲が鳴らされる。また、前半ではガールズケイリンの3つの決勝も行われる。
 シリーズ最終日も、様々なイベントでみなさまのご来場お待ちしております。「hitomi」のスペシャルライブ、麻雀プロ競輪部によるトークショー(二階堂瑠美、亜樹姉妹、滝沢和典と脇本雄太選手)、「もも肉フェス」、鈴木誠さん、坂本勉さんによるレース予想会、佐々木元さん、荘司ゆうさんによるBMXショーなどが予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<7R>

村田奈穂選手
村田奈穂選手
 先頭の板根茜弥がペースを落として、打鐘で2番手の鈴木奈央が上昇して押さえて出る。杉浦菜留もワンテンポ置いてじわりと上昇。そこを村田奈穂(写真)が、一気にカマして最終周回へ。スピードに乗せた村田は、2番手以下をちぎり風を切る。村田に合わせて踏み込んだ杉浦が、離れた2番手から追いかける。飯田風音のまくりは3番手の鈴木の横まで。直線をセーフティーリードを保って迎えた村田が押し切って1着。
 「ちょうどいい感じで(杉浦が)目標になったので、このまま行こうと。いい感じでスピードに乗ってくれました。出切ってからはガムシャラに踏んでました。普通の時の競走と全然違うので、動くレースをしようと必死でした。(GIで)いつもの開催とは違ってみんなが動く人だから、雰囲気が違って緊張しますね」
 後続の追撃を許さず、村田を1車身まで詰めた杉浦菜留が2着。
 「ジャンくらいでそのまま行って前に出たかったけど、飯田さんをフタしたかった。とどまってから(最終)ホームくらいで出切れたらと。そうしたら村田さんがすごいいい勢いで行った。(村田が)遠かったけど、ひたすら全力で追いかけました。昨日(初日)と比べて今日は風が強かったですね。7番手にいても風を感じていた。他人任せのレースが最近多かったので、自分から動きたいというのもあった」

<8R>

野本怜菜選手
野本怜菜選手
 4番手の増田夕華が、太田瑛美に合わせて赤板2コーナーから動く。しかしながら、前受けの加瀬加奈子は、増田を出させずにペースを上げて逃げる。今度は、最終ホーム手前から小林優香が反撃に出る。2番手の野本怜菜(写真)は、小林優香にかぶる前の1センター過ぎにまくりを打つ。一度は野本に続いた小林が、その上をまくる。あおりがあって2センターで小林と接触した佐伯智恵が落車。まくり切った野本が1着。
 「昨日(初日)も加瀬さんは突っ張っていたので、前々に動くにはこの位置(加瀬の後ろの2番手)しかないと。そのあとは絶対に誰かが来ると思ったんで、昨日の分も先に仕掛けました。アクシデントがあったので素直には喜べないけど、自分の理想の展開にはもっていけました。初めてGIで1着が取れたんで、明日も気持ちの面で負けないように」
 野本に合わされながらも小林優香は、再び最終バックからその上をアタックしたが落車のアクシデントもあって2着。
 「後方になったら、しっかりと仕掛ければいいと思ってました。野本さんとタイミングが合ったけど、そこは落ち着いてと。落車があって残念ですし、(自分は)前後輪がハウスして止まってしまった」

<9R>

荒牧聖未選手
荒牧聖未選手
 前受けの荒牧聖未(写真)は打鐘で踏み上げるが、廣木まこのスピードが良く2番手に下げる。いったんペースが落ち着いて、2センターで最後方の吉岡詩織が巻き返す。荒牧は持ち前のダッシュで2番手から踏み込んで、吉岡を合わせる。両者の叩き合いは、荒牧に軍配。3コーナー過ぎから吉岡が後退して、荒牧が後続を退けて押し切った。
 「前から力を出し切ろうと思っていました。誰も出さないつもりだったんですけど、廣木さんのスピードが良かったので行かれてしまった。そのあとは落ち着いていけました。GIを獲るために仕上げてきたつもりなんですけど、(初日で)上がれなくてお客さんにも迷惑を掛けてしまった。昨日(初日)は本当に悔しかったです。けど、しっかり集中して、力を出し切れました」
 荒牧の後ろで高橋梨香と併走していた青木美保は、最終ホームで荒牧の動きに反応して追走。2着に流れ込んだ。
 「自分で動こうとしたタイミングで廣木さんが動いたので、それに乗っていく感じになりました。(最終バックから3コーナーまで)踏むところがないなって感じで届かなかったですね。(初手の位置が)後ろになったので動かないとなって思っていたんですけど、動けて良かったです。(状態自体は)悪くないと思います」

<10R>

太田りゆ選手
太田りゆ選手
 3番手で車間を空けた山原さくらは、打鐘3コーナーから仕掛ける。しかしながら、前にいた尾方真生も山原を出させることなく、そのまま駆けて先行策で最終周回へ。6番手でじっとタイミングをうかがっていた太田りゆ(写真)は、前団の隊列が短くなったところを1センター過ぎに踏み上げる。後ろにいた那須萌美を抜群の加速で置き去りにした太田は、スピードの違いで尾方をとらえて余裕をもってゴールを駆け抜けた。
 「取れた位置から、相手がどう出るかを見て決めようと思いました。山原選手と尾方選手でやり合う予想は考えていたので、やり合っている最中が自分の出番だとタイミングを見ていました。ここまでも押さえ、カマシ、まくり、差しと一通り決まっているし、今日(2日目)はたまたままくりがベストの選択だっただけ。展開によってベストを選びたいです。ゆっくり休めているので、体調はだいぶ良くなってきました」
 初日のティアラカップでは見せ場をつくれなかった尾方真生だったが、準決では山原を制して主導権。2着に粘り込んで決勝にコマを進めた。
 「昨日(初日)モガけなかったので、長い距離踏もうと思っていました。(仕掛けたタイミングは)山原さんの動きより、決めていたところから行きました。しっかり踏み込めたし、力を出し切れました。状態はいつも通り、ちょっといいくらいかな」

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佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 前に構えた奥井迪は、赤板2コーナー過ぎに誘導を降ろして先行態勢を取る。小林莉子が2番手に続いて、外併走の吉村早耶香は後退。6番手に位置した佐藤水菜(写真)は、打鐘4コーナーから早めにスパートする。3番手の日野未来が最終1コーナーから合わせて出て、2番手の小林もまくって出る。3コーナー過ぎには内から逃げる奥井、小林、日野、佐藤が重なり、大外を踏まされた佐藤にとっては苦しい流れ。それでも前の5人をごっそりのみ込んだ佐藤が、機動パワーの違いで1着。
 「モガき合いになっていたので、前に出るまではそこを冷静に踏んだ。自分のまくりで前が3車から4車併走になるっていうのは想定していた。接触しないように、落車がないようと気をつけていました。それが着を落としてしまう要因になるので。体は(初日より)今日の方がいい。このレースは(決勝進出に)2着がマスト。みんなが1着、2着を狙うレースで勝ち切れたのは自信になります」
 吉川美穂は、周回中から佐藤の後ろに照準を絞る。7番手になってもじっと我慢して、佐藤の踏み出しに集中。まくりに付け切って2着に入った。
 「車番を見て、佐藤選手の番手にハマれるならゴール前勝負できればと。違う展開も考えていたけど、そのままの並びで最初は付いていくだけと。あとはゴール前勝負と。佐藤選手がものすごく強いので、ちぎれないようにと考えて走った。踏み出しはキツい部分があったけど、(最終)3、4コーナーで脚に余裕ができた。でも、ゴール前で伸び切らなかった。(前々回、前回の)富山、豊橋に比べて、今日(2日目)の方が調子がいいと思う」

<12R>

久米詩選手
久米詩選手
 先頭の梅川風子が誘導との車間を空けて反撃に備えるが、坂口楓華が叩いて打鐘4コーナーで主導権を奪う。坂口、中野咲を追いかけた児玉碧衣は、最終ホーム手前で次元の違うダッシュで襲い掛かる。梅川の後ろにいた久米詩(写真)は、俊敏に児玉にスイッチする。坂口を最終2コーナーでとらえた児玉を久米が追走して、石井寛子が2人を追いかける。4コーナーで外に持ち出した久米が、児玉にピタリと並んだところがゴール。写真判定の結果は1着が同着。
 「(児玉)碧衣さんだったり(坂口)楓華さんだったり、ジャン過ぎぐらいから仕掛けて来るかなと思っていたので、その流れを落ち着いて見られてたかなと思います。(最終1コーナーで切り替えて児玉を追った)そこに関してはレースの流れに、直感で乗れたかなという感じはありますね。最後、4コーナーからも伸びている感覚もある。最終的には同着だったんですけど、決勝の権利はつかめたっていう確信はあったので、ちょっとホッとしてます」
 前団を射程圏に入れた児玉碧衣は、目の覚めるようなダッシュを披露。最終2コーナーでまくり切って完勝かに思われたが、久米との同着で優出。
 「ジャンからいく予定で車間を空けてたんですけど、楓華がそのまま踏む形になったんで、ホームカマシに切り替えた。楓華が強くて出切るのにちょっと時間が掛かっちゃった感じでしたね。出切るまでに力を使っちゃって、4コーナーで踏み直す脚が残ってなかった。今日(2日目)は(勝ち上がりの)権利のレースだったので、出し切るレースを心掛けてました。本当に出し切れたと思うんですけど、出切るまでに結構、力を使っちゃった。そこはもう修正点かなとは思います」
 周回中に児玉を迎え入れる形になった石井寛子は、複雑な心中をこう吐露する。結果的には児玉の踏み出しに遅れたが、さすがのテクニックでリカバリーした。
 「迷ったんですけど、自分で動きたいとは思っていた。その方が悔いが残らないと思ってた。でも、(児玉)碧衣ちゃんが(周回中に)来ちゃったらちょっと揺らぎますね。(坂口から動いて)そこはもう本当にどうしようって気持ちでいっぱいでした。結局、最終ホームでは(ほぼ)7番手になっちゃった。いつものダメなパターンだなって思った。けど、今日(2日目)は脚の回転が良かったらしく回りました。(児玉に)ちぎれてますよね。マークがヘタクソなのかなって思うので、男子選手と練習したいなと思います」