『第62回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:8月18日

 夢の競演の5日間。名古屋競輪場で開催された「第62回オールスター競輪(GI)」は、8月18日に最終日が行われた。決勝は、4車でまとまった北日本ラインの番手を回った新田祐大が、平原康多との踏み合いに勝って2度目のオールスター制覇。昨年2月の全日本選抜以来、通算7度目のGI優勝(4日制以上)で優勝賞金4400万円(副賞含む)を手にし、年末の「KEIRINグランプリ2019(GP)」の出場権を獲得した。

決勝戦出場選手特別紹介
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VS選手会スポーツオールスター キックダーツ対決
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決勝戦 レース経過

 スタートを取った新田祐大が菅田壱道を正攻法に迎え入れ、周回は菅田-新田-渡邉一成-佐藤慎太郎-平原康多-諸橋愛-中川誠一郎-郡司浩平-中村浩士の並び。
 青板の2コーナーから郡司が上昇すると、合わせて菅田も中バンクに上がって郡司にフタをさせない。ホーム目がけて郡司が踏み込むが合わせた菅田がホーム過ぎに先行態勢に。郡司が後方に下げると菅田は打鐘前からピッチを上げる。中団、5番手の平原は車間を詰めた勢いで2コーナーからまくり。バックから合わせて出る新田に対し車輪半分前に出たが、新田はコーナーで盛り返して4コーナーで再び前へ。直線でも他を寄せ付けず、昨年2月全日本選抜以来となる自身7度目のGI(4日制以上開催)優勝を飾る。北日本ライン4番手から内を踏んだ佐藤慎太郎が2着。平原マークから外を回した諸橋が3着に食い込んだ。

<1R>

神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 高橋和也が打鐘主導権。高橋、神山雄一郎(写真)に単騎の成清貴之まで続いて出切る。巻き返した山本伸一が中団で休むことなく襲い掛かると、3番手の成清も合わせてまくる。しかしながら、両者のまくりは神山の横まで。番手の神山が直線で抜け出した。
 「(高橋)和也が掛かってた。成清も3番手にいたけど、うずいたんじゃない(笑)。まくってきたからね。和也が踏み直したんで、自分が止めるまでもなかった。しっかり調整をした甲斐があって、最終日でも自分の力を出せた。連日、応援をしてもらってたし、お客さんに見えないところでもきっちりやらないと。見えるところでは、誰でもやるんで。それで結果を出さないと」
 山本ラインの3番手から内を踏んだ内藤宣彦が、2着に追い込んだ。
 「流れ込んだだけ、たまたまですね。(コースは)あそこしかなかった。(最近は)調子は悪くないんだけど、流れに乗れてなかった」

<7R>

大森慶一選手
大森慶一選手
 8番手に下げて態勢を整えた新山響平が、打鐘の3コーナーから仕掛ける。合わせて山田久徳も動くが、新山が外を豪快に踏んで主導権を奪う。続いた大森慶一(写真)は、出切って新山との車間を空ける。直線で差を詰めると計ったように交わして、一次予選でGI初勝利を挙げた今シリーズで白星を重ねた。
 「昨日の(準決でラインの3番手を回った)新田(祐大)でアタリがつきました(笑)。(新山)響平が強かったし、自分はちょっとでも車間を切ってと思ってた。なんとかワンツー。(GIを2勝は)デキすぎですね。自信にはなります。ただ、ヨコのさばきっていうのがまだですね。突っ込めるようにはなったけど。もっと勉強をしないと」
 北日本勢には行かれたものの、小川真太郎は山田を合わせて3番手に飛び付いて3着に入った。
 「山田(久)さんだけは出させないようにと思った。そのあとは大森さんが車間を切ってたんで、自分はキツかったです。(今シリーズから使った新車は)自転車が流れるんでいいです。練習の感じはずっと悪くなかったんで、あとは気持ちっていうところもあったと思います」

<8R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 後ろ攻めから上昇した中本匠栄は中団の岩本俊介にフタをして打鐘前から先頭に立つが、すかさず岩本が襲いかかって合わせて踏み上げる中本を1センターで叩き切る。単騎の深谷知広(写真)は最終ホーム9番手から仕掛けると、2センターで前団をとらえてひとり旅。最終日を白星で締めくくった。
 「展開も向きましたけど、しっかりと自分の踏み方もできた。1回でも地元で1着を取れて良かったです。来週には(競技の)トラックカップがありますし、オリンピックの選考もあるので、このあとも気が抜けない。もしかしたら次に日本の競輪を走るのは、来年のオールスターかもしれない。少し日本の競輪から離れますけど、しっかりと戦っていきたい」
 深谷さえ来なければ上位独占だった南関トリオ。2着の松谷秀幸は逃げた岩本の走りを褒めちぎった。
 「めちゃくちゃ強いですよ。あんなに無理やり行って3着に残ってますからね。強すぎます。こっちは付いていて、いっぱいでした」

<9R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 周回中、8番手にいた清水裕友が早めに動き出すが、打鐘では7番手に置かれる。主導権は吉澤純平が握る。4コーナーから清水が仕掛けると、3番手の山崎賢人も踏み込む。前団の隊列が短くなったところを清水がまくりで仕留める。中国コンビを山崎芳仁が追って3車の勝負。ゴール寸前で松浦悠士(写真)が、清水を交わした。
 「前で結構踏み合ってくれたんで、あとは(清水が)三谷(竜生)さんより先に動ければと思ってました。後ろに脚を使わずに山崎(芳)さんがいたんで、(最終)3コーナーは清水君と一緒に降りずに(山崎芳を)けん制してからになりました。(清水とは)連係を重ねるごとに間合いもわかってきた」
 「たまたまですよ、あんだけモガき合いになったんで」と、恵まれを強調する清水裕友だが、シリーズを通して動きの良さが目を引いた。
 「今シリーズは納得のいく動きができた。だんだんいい時の動きができるようになってきた。体が勝手に反応するようになってきたし、力は出し切れたと思います」

<10R>

古性優作選手
古性優作選手
 前受けの脇本雄太は吉田拓矢の上昇に対して誘導を残して車を下げると、打鐘前2コーナーから一気に仕掛ける。吉田が合わせて踏み上げ、杉森輝大も番手でけん制するが、脇本はこれを力でねじ伏せ最終ホーム過ぎに先頭に。続いた古性優作(写真)がゴール寸前で逆転した。
 「去年は高松宮記念杯とダービーで(脇本に)一瞬でちぎれて、今年のダービーは(最終)2センターまで。今回はやっとついていけた。でも、ワンツーじゃないので…。もっと余裕をもって付いていけるように。じゃないと仕事して抜くのは無理だと思う。もっとレベルアップできるように」
 周回中から近畿勢を追走した単騎の柴崎淳は、最終4コーナーから外に持ち出すと2着に食い込んだ。
 「ワッキー(脇本)の掛かりがすごくて、ずっとスカスカしてましたね。脚は余裕あるけど、回転が足りない感じでしたね。今回は決勝に乗ってもおかしくないくらいのデキだった。次の共同通信社杯は地元なので、まずは決勝に乗れるようにしっかりと調整したい」
 僅差の3着に敗れたも脇本雄太は、打鐘から1周半を力強く駆け抜けた。
 「緩んだし、ジャンで行くしかないでしょう。余裕があればもっと上を走ったけど余裕がなかった。バンクが軽くてトップスピードまで一気に上がるけど、その分(スピードが)落ちるのも早かった」

<11R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 前受けの菅田壱道は郡司浩平の上昇を許さず、赤板過ぎから誘導を下ろして主導権を握る。中団を確保した平原康多は最終2コーナーまくり。合わせて出る新田祐大に車輪半分前に出たが、コーナーで新田が盛り返して押し切り。昨年2月全日本選抜以来となる自身7度目のGI(4日制以上)を制した。
 「まだドキドキしていますね。(菅田が前で頑張ると聞き)素直にうれしかったですね。今まで何度もGIの決勝を走ってきましたけど、いままでにない緊張感でした。思った以上に菅田の先行力がすごくて苦しかった。自分としてもあの位置からがギリギリでした。平原さんに先に仕掛けられてしまってワンツースリーを決められなかったのは反省ですが、オリンピックの舞台に向けて力がみなぎってきます」
 北日本4番手を回った佐藤慎太郎(写真)は諸橋愛、渡邉一成が外を回して空いたインコースを突いて2着に食い込んだ。
 「(渡邉)一成は新田がバランスを崩したと思って外に持ち出したんでしょうね。俺はその動きを見て一瞬、外か内を見てから(内に入ったので)どこまでって感じでした。今回から新車にしてスピード競輪に対応できた。踏み出しは重いけど、後半の伸びがいいですね」
 平原康多マークから外を踏んだ諸橋愛が3着に入線した。
 「(平原)康多が行き切ってくれれば俺にもチャンスがあると思った。後ろで康多、頑張れって感じでしたね。(最終)2センターから外は行けないし直線勝負と思った」

次回のグレードレースは、8月24日~27日まで小田原競輪場において、開設70周年記念「北条早雲争奪戦」が開催されます。
S級S班から清水裕友、村上博幸、三谷竜生の3名、郡司浩平、松谷秀幸、渡邉雄太、根田空史、岩本俊介らが、どんな戦いを繰り広げるのか目が離せない開催に。最終日第6レースでS級ブロックセブンが一発勝負で行われる。
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