『第66回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:8月21日

 西武園競輪場を舞台に開催された「第66回オールスター競輪(GI)」は、8月20日に最終日が行われた。決勝は、4車で結束した関東勢が主導権。清水裕友に合わせて番手からまくった眞杉匠が押し切ってGI初制覇。タイトルホルダーの仲間入りを果たし、優勝賞金5900万円(副賞含む)を獲得。年末に立川で行われる「KEIRINグランプリ2023(GP)」の出場権も手にした。

決勝出場選手特別紹介
決勝出場選手特別紹介

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると平原康多と古性優作が飛び出したが、内枠の平原が誘導員を追う。初手は、吉田拓矢-眞杉匠-平原康多-武藤龍生の長い関東勢が前団を占め、以下は古性優作、清水裕友-山田庸平、犬伏湧也-松本貴治の並び。
 青板バックから吉田が誘導員との車間を空けて後方を警戒。4コーナーで犬伏が上昇するも、それをみて吉田が赤板から誘導員を交わして先行態勢に入る。吉田は超ハイペースで飛ばしてタテ長の隊形となるも、ジャンの4コーナーで5番手の清水が反撃を開始。清水に合わせて、1センターから眞杉が番手まくりを敢行。眞杉後位は平原と清水が絡んで熾烈な併走となり、眞杉との車間が徐々に空いていく。4コーナーを先頭で回った眞杉のスピードは鈍ることなく、そのまま後続を振り切ってのVでGI初制覇。関東勢の後ろから2センターで中のコースを突いて古性が追撃するも2着まで。3着には古性に捌かれながら立て直して外を伸びた武藤が入った。







<1R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 3番手の吉本卓仁が切って出て、そこを後方の島川将貴をけん制していた山田雄大が押さえて出る。すかさず島川が巻き返して主導権を奪取。最終ホーム過ぎに中四国の3車が出切る。4番手に収まった山田は、バックからまくってじわじわと前団に詰め寄る。が、番手絶好の渡部哲男(写真)が、抜かりなく追い込んで1着。
 「(山田の)けん制が予想外だったけど、(島川は)3車なんで先行したいっていう感じだった。それで(島川は)なんらかの形で先行はするんだろうと。8番(山田)に迫られたんで、踏ませてもらいました。(今シリーズは)最近の流れの悪さが顕著に出た。こればっかりは自分ではどうにもならないんでね」
 思惑通りに4番手を確保した山田雄大は、まくり届かずも2着。GI初出場で地元の今シリーズは、4走目にして初連対を果たした。
 「踏み合うよりは位置を取って、どこかに入れればいいかなって。切った時に(別線を)待ちの状態でした。脚がいっぱいで(まくりは)全然出なかった。良く(2着に)粘れたかなと。昨日(5日目)も同じような展開だったんで、引いてさばければいい着があったんじゃないかなっていうのがあった。(初GIは)学ぶことも多くていい経験ができた」

<3R>

北井佑季選手
北井佑季選手
 赤板過ぎに雨谷一樹、谷口遼平と切ったところを、北井佑季(写真)が仕掛ける。打鐘で北井が主導権を握る、谷口が4番手に下げて立て直す。6番手の雨谷は最終バックからまくるが不発。谷口は3コーナー過ぎに外に持ち出して追い込むが、先行策の北井が後続を振り切った。
 「今日(最終日)は比較的、脚をそんなに使わず、(別線が)出させてくれたのかなと。結果的に和田(健太郎)さん、伏見(俊昭)さんの援護があってゴールまでもちました。自分(の持ち味)は思い切りの良さなんで、戦法の幅がどうこうではなくて、その上の脚をつけられるように。ここ来る前の富山記念では決勝2着でいい成績だったと思うけど、GIにくれば初日に7着になってしまう。(GIは)レベルが違う」
 間合いを詰めて番手から追い込んだ和田健太郎が2着。
 「(北井は)余裕をもって引いて構えて、すかさず行ってくれた。(レースとしては)完ぺきだったんじゃないですか。初日(連係した時)はオーバーペースだったけど、今日(最終日)は7、8割でいった感じですかね。僕はキツかったけど、(2走目に落車はしたが)離れずにレースができたんでなんとかなりました」

<6R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 根田空史は5番手の中野慎詞にフタをしてから、再度踏み上げて赤板2コーナー手前で先頭に立つ。後方から中野も踏み上げるが、根田も緩めず打鐘を通過する。浮いた中野は8番手に戻り、一本棒の隊列。ハイペースで逃げる根田に付けた深谷知広(写真)は、空けた車間を詰める勢いで最終2コーナーで番手まくりに出る。抜群の加速で先頭に立った深谷が、そのまま押し切って最終日にしてシリーズ初勝利を挙げた。
 「(根田に)スイッチが入って、力強かったですね。ジャンからフカしていたし、自分の技量不足もあるけど。後ろはメンバー的にもスピードある選手がいたんで、思い切って(最終)バックから出させてもらった。気持ちとしては、先行選手に残ってもらいたいのはあるんですけど。(ラインでの)ワンツースリーの次に、いい結果だった。(今シリーズは)1走目からかみ合ってない部分が多かった。それで自信をもって前でっていうのが言えなかった」
 深谷、松坂洋平を追った太田竜馬が直線で外を伸びるが、松坂が2着をキープして南関ワンツー。
 「前の2人のおかげですね。根田君がブンブン行ったんで、自分もそこまでとは思ってなくて口が空いちゃった。(深谷の番手まくりのスピードも)えげつなかったです。離れないで、迷惑を掛けないで良かった」

<8R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 スタートを出て前に構えた町田太我は、赤板前から別線の反撃に備えて誘導との車間を切る。北日本コンビを町田が突っ張り先行態勢。郡司浩平(写真)が、周回中と同じく3番手を確保してレースが流れる。果敢に風を切る町田のスピードを計り、郡司が2コーナー手前からまくりを打つ。郡司が町田をとらえて、渡邉雄太が続いて直線へ。両者の勝負は、郡司が押し切って1着。
 「町田君が前を取れば、その後ろからって思っていた。(町田が突っ張る)気配を出していた。椎木尾(拓哉)さんが(自分のラインの)後ろにいたので内を気にしながらでした。西武園ですしワンチャン最終ホームから行こうかなって思ったんですけど、町田君が強かったです。普段、長い距離を行っていますし強いですね。まくり切るのも苦しかったです」
 郡司に迫りゴール線で体を並べた渡邉雄太は、半車輪差の2着。
 「(スタートから)考えていた通りになりました。椎木尾さんが後ろにいたので空けないように。(郡司が)強かったです。自分だったら待っちゃって、あそこで行けなかったと思います。(最後は)ずっと加速していたんで、直線で踏んだんですけど抜けなかった」

<9R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 赤板1コーナー過ぎに飛び出した菊池岳仁が、レースを支配する。4番手を山田久徳(写真)が確保して、一本棒の7番手から、伊藤颯馬が打鐘手前で踏み込む。山田は4コーナーで伊藤を外にけん制して、中団で大きな波ができて最終周回。伊藤は外から再び踏み上げるが、山田が弾いて2コーナー手前からまくる。佐藤慎太郎も止められず、山田が抜け出して1着。
 「(村上)博幸さんが前を取ってくれた。菊池(岳仁)君の先行意欲が高いと思ってたんで、(勝負どころでは)菊池君(ライン)の後ろを取りたいと思ってた。展開に左右されたけど、2人(菊池、伊藤)が踏み合ってくれたんでラッキーでした。FI戦でもいつも中団、中団を心がけているのがいい方向にいきました。今回は調整がうまくいったし、(次の地元の向日町記念も)このまま調子を維持していきたい」
 迷うことなく主導権を握った菊池が駆ける。番手の佐藤慎太郎は、山田のまくりを外に張るも直線で止められない。切り替えて村上に踏み勝ち2着。
 「(菊池)岳仁は先行選手として、いいレースをしてくれた。ああいう走りにこだわりをもっている選手はカッコイイですね。(菊池)本人も言ってたけど、もう1回踏める脚力があればって。(山田には)直線で来られてしまったのもあるけど、地区が違うなかで先行して頑張ってくれた。だから、追い込みの自分たちが課題を残したかなって。(今回はシリーズを通して)すごいいいなっていう感じはなかった」

<11R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 誘導との車間を切った吉田拓矢が、赤板目がけてペースを上げて犬伏湧也の上昇を阻んで主導権は渡さない。5番手に単騎の古性優作、清水裕友が6番手で打鐘を迎える。8番手に戻った犬伏は大きく立ち遅れて、さらに離れて松本貴治が最後方。4コーナーで清水が反撃に出ると、番手の眞杉匠(写真)が最終1センターから合わせてまくる。先頭に立った眞杉の後ろは平原康多と清水でからむ。眞杉の加速に後続は置かれて、直線の入口ではセーフティーリード。眞杉が先頭でゴールを駆け抜けて、3度目のGI決勝で初戴冠を遂げた。
 「本当にラインに感謝しかないですね。正直、1周目(赤板周回)は全然余裕がなくて、(最終)ホームに帰ってきて余裕が出たんで踏ませてもらいました。ちょっと平原さんが付きづらい感じになってしまいました。(番手から出て)行ってからは、後ろを確認する余裕はなくてガムシャラにゴール線まで踏むだけでした。タイトル(を獲りたい)って言ってはいましたけど、実際に獲れるのかなって。これでグランプリは確定しましたけど、しっかりそこで戦えるように。(来年はS級S班で)そこの1年で終わらないように底上げしていかないと」
 番手、3番手が地元勢と清水、山田庸平でもつれて、その後ろの単騎の古性優作は、直線で中のコースをこじ開けて2着。
 「理想は(最終)1コーナーくらいで行きたかったんですけど、清水も隙がなかった。ちょっと緩んだところがあったんでバック(過ぎくらいから)ケツを上げて踏んだけど、全然出なかった。(最後のコースは)あれが精いっぱいでした。難しいですね。あとはVTRを見て、どうやったら優勝できたか考えます。もっとシビアに走らないといけなかったかなとか」
 最終3コーナーで併走していた外の山田をさばいて追い込んだ武藤龍生だったが、古性に弾かれて3着。
 「2周のホームのところで口が空いて脚を使ったけど、平原さんを信頼してよく見て、(平原と清水の)勝負を見てから踏んだ。(吉田)拓矢が頑張ってくれたけど、失格になって悔しい気持ちですね。ラインのおかげで眞杉は優勝できたけど、いつもラインのために頑張っているので、眞杉の優勝はとてもうれしい」

次回のグレードレースは、松戸競輪場開設73周年記念「燦燦ダイヤモンド 滝澤正光杯」GIIIが、8月26日~29日の日程でナイターにて行われます。
今シリーズは古性優作、郡司浩平、新田祐大、平原康多、守澤太志のSS班が5名も参戦。地元勢は当所記念2Vの実績を持つ岩本俊介、和田健太郎らが一丸となって地元Vにまい進します。
燦燦バンクで繰り広げられるスピードバトルは見逃せません。

8月14日時点の出場予定選手データを分析した、松戸競輪「燦燦ダイヤモンド 滝澤正光杯」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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