『第67回オールスター競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:8月15日

 今年は平塚競輪場で夢の競演。ナイターシリーズで開催されている大阪・関西万博協賛「第67回オールスター競輪(GI)」は、8月14日に2日目が行われた。メインの「オリオン賞レース」は、郡司浩平がまくりで制して地元で幸先のいいスタートを切った。また、「女子オールスター競輪」の予選2では、初日にドリームを勝った佐藤水菜が、連勝のゴールで決勝にコマを進めた。8月15日のシリーズ3日目は、残りの一次予選2と「女子オールスター競輪」では予選2走のポイント上位7人による決勝で優勝が争われる。
 シリーズ開催中の毎日、オールスターオリジナルうちわを先着300人に配布。豪華な景品が当たる未確定車券抽選会、イルミネーション、オリジナルクラフトビールの販売、選手会神奈川支部ブース、ウィンディくんふわふわ、「KEIRIN 4D」体験、HPCJなどがあります。また、8月15日のシリーズ3日目には、「ちゃんぴおんず」のお笑いステージ、「マーク・パンサー」のDJパフォーマンス、「オリンピック金メダリストの野村忠宏」のスペシャルトークショー、ボートレーサースペシャルトークショーなども予定されています。平塚競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

『オリオン賞出場選手特別紹介』
『オリオン賞出場選手特別紹介』
『オリオン賞表彰式』
『オリオン賞表彰式』

オリオン賞 レース経過

 号砲が鳴ると郡司浩平が最内枠を生かして誘導員を追う。道中は、郡司浩平-守澤太志、山口拳矢-浅井康太、平原康多、北津留翼、窓場千加頼、太田海也-犬伏湧也の並び。
 青板周回のバックから太田がゆっくりと上昇すると、山口が太田の動きに合わせて上昇。赤板過ぎに太田が先頭に立つが、山口が太田後位に飛び付いて、内に山口、外に犬伏での激しい番手の取り合いとなる。太田は一旦ペースを落としてから、打鐘4コーナー付近から踏み上げていくが、最終ホーム付近から5番手の郡司が一気にスパート。2コーナーで郡司が太田を捕らえ、前の波を乗り越えてバックでは守澤まで出切ると、その後も郡司のスピードは鈍らない。直線でも後続の追撃を振り切ってオリオン賞を制した。2着は守澤でラインでのワンツーが決まった。この後ろに続いていた単騎の平原が3着。

<1R>

石井寛子選手
石井寛子選手
 周回中、7番手になった石井寛子(写真)は、赤板で動いて太田りゆが空けたスペースに入り、前受けの日野未来の後ろの2番手。打鐘手前で荒川ひかりが3番手に追い上げて、太田は4番手でタイミングを取る。ペースは上がらず最後方から上昇した坂口楓華が、最終ホーム手前で4番手になる。1コーナーから太田が仕掛けて、坂口、先頭の日野も踏み上げて一気にペースが上がる。太田が前団に迫るが、2コーナー過ぎから2番手の石井がまくる。合わされた太田は外に浮いて、1走目のドリーム7着から石井が巻き返して1着。
 「昨日(初日)の反省を生かして、外併走になってもレースにならないなって思ったので、後方になるなっていうのは考えていた。(位置を取るためには)1回は動く必要があるなって思っていました。(2日目は)120点満点です。本当に日野さんの後ろにはハマれるとは思っていなくて、(追い上げていった時に)一番前に行かないといけないかなって。(まくりは)内にかぶるかなって思って、太田さんは見えていなかったんですけど、行って良かったです」
 4番手から仕掛けた坂口楓華は、冷静にまくった石井後位に付け直して2着に流れ込んだ。
 「初速がいいころと比べたら、まだまだって感じで準備不足だなって。(自分のいまの力は)まだまだ大したことないので、上位の選手に追いつけるように。いまの自分の状態のなかで、最大限に走ろうと思いました。まだあきらめていなかった。チャンスはあると思った」

<2R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 5番手で石井貴子と併走になった児玉碧衣は、赤板手前で1車下げてから上昇して4番手に入り、久米詩が続く。佐藤水菜(写真)は、6番手のポジションで打鐘を迎える。2センターで2番手の柳原真緒に3番手の小林優香が接触して2人が落車。アクシデントを避けた児玉が最終ホームで先頭に立ち、後ろは河内桜雪と久米で重なる。4番手の佐藤は、2コーナー手前でスパート。逃げる児玉をあっさりとらえて、石井は付いていけない。まくりで後続を9車身ちぎった佐藤が連勝のゴール。
 「児玉さんが上がってきたんで、あとは前の動きを見てでした。(落車を避けたあとに、前の久米の)内に行ってもいいかなと思ったけど、危ないんで。(最終1コーナーで)久米さんがハスってたし、そこのタイミングも見送って、レースのタイミングを見切って仕掛けました。セッティングを変えて、昨日(初日)はサドルが高くて乗れてなかったんですけど、戻したら乗り心地は良かったです。(セッティングの上積みは)これ以上は難しいと思うし、現状は一番いいです」
 まくった佐藤には離された児玉碧衣だが、後位を踏み勝った久米には交わされることなく2着に逃げ粘った。
 「サトミナ(佐藤)の後ろを狙ってるつもりもなかったし、どうあれサトミナの後ろで仕掛けを待つことも考えてなかったです。前に出て、ペースで踏むかどうするか悩んだけど、サトミナ相手にどうこうしてもと。(最終)1センターから踏み上げたんですけど、(佐藤の)スピードが全然違いましたね。本当は詰める勢いで出たかったけど、緩めてから徐々に上げる不得意な踏み方ではあった。自分のやれるレースはできました。初日はなにもできずに終わったけど、今日(2日目)はしっかり仕掛けて2着だった」

<3R>

伊藤旭選手
伊藤旭選手
 赤板1コーナーで小川真太郎が先頭に立つが、空いた内を伊藤旭(写真)、さらに渡邉一成も踏む。もつれたところを外から押さえた森田優弥が主導権。4番手に渡邉が入るが、山崎芳仁は連結を外す。5、6番手が中四国勢になり、伊藤が7番手でレースは流れる。別線を警戒しながら森田がペースを握り、最終周回へ。森田のペースを見極めて、伊藤は1コーナーからまくり上げる。伊藤の加速に小岩大介が離れて、森田の逃げを3コーナーでとらえた伊藤が後続を離して1着。
 「(最終)ホームで詰まった感じがあって、(森田が)流している感じもあったんで森田さんが掛かる前にと思って(仕掛けて)行きました。ずっと調子が悪かったんで、ここで1着を取れたこの機会にまた頑張りたい。(調子が悪かったのは)夏風邪とかで、それをしっかりと治して練習もできた」
 最終2コーナーで小川が、伊藤のまくりを目標に追いかける。小川マークの柏野智典は、直線で中のコースを見つけて2着に伸びた。
 「最初の並びとして最悪でしたけど、ジャン前の2コーナーで(小川が)しっかりと反応してくれた。(伊藤のまくりに小岩が遅れて)ラッキーな面はあったけど。(小川は)あれで(伊藤より)先に仕掛けてくれたら100点だった。(小川は)仕掛ける脚もあったと思うんで。(自分は)年齢的なものか体力が落ちたなっていうのもあったんですけど、同期とかにも相談してトレーニングとかを見直した。2カ月くらい前からいいなっていうのがあったんで、結果が出てホッとしている」

<4R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 前受けの小原佑太は、皿屋豊を突っ張って出させない。今度は打鐘で坂井洋が仕掛ける。が、そこも小原がペースを上げて、主導権をキープする。3番手は松本貴治(写真)が確保して、香川雄介が遅れた4番手に坂井が降りるが香川が盛り返す。坂井は5番手で最終ホームを通過する。脚をためた松本は、2コーナー手前でまくりを打つ。香川は置いていかれ、坂井がバック手前からまくる。1人で北日本勢をのみ込んだ松本に坂井が迫るが、松本が押し切った。
 「小原君がいいペースで踏んでいったんですけど、(最終)1コーナーでちょっと緩んだのでかぶる前にと思って仕掛けました。(外に車を持ち出してからは)いい感じでした。まあ、でも脚を使っていなかったので。(今回に向けては)練習や調整はいつも通りだったんですけど、アップの最中にシューズのサンの位置を調整していい感じになりました」
 浮いた坂井洋は、同県の神山拓弥のアシストもあって5番手からの立て直し。一度、脚を使わされながらも、まくりのスピードは上々だった。
 「(皿屋ラインに)あそこで付いていかないと、小原君が2車だけ出させて自分たちを見ながら行かれたらまずいと思った。(皿屋が)突っ張られたあとすかさず行ったんですけど、小原君のダッシュが良かった。自分も(打鐘)3コーナーで登りになったんで待ってだった。そのあとも(神山が)迎え入れてくれる感じだったので、ラインで決まるようにと思っていったんですけど…」

<5R>

三谷将太選手
三谷将太選手
 山崎賢人が渡邉雄太を突っ張って緩めたところを見逃さず、藤井侑吾がカマして赤板2コーナー過ぎに出る。藤井はそのまま中バンクに上がり加速して駆ける。中近勢に単騎の大槻寛徳が続いて、4番手に入った山崎は前との車間が空いた4番手。詰める勢いで最終2コーナー過ぎに山崎がまくり、三谷将太(写真)が3コーナーでブロック。空いたインを大槻が突くが、三谷は返す刀で大槻のコースを締めて追い込んだ。
 「藤井君が仕掛けたところから、とにかく強かった。藤井君のおかげです。自分の仕事はできたと思います」
 三谷に張られた山崎のスピードが鈍り、山田庸平が直線で狭いコースを伸びた。
 「藤井君の掛かりが良かったんですけど、(山崎)賢人は自在性を出してくれてた。(山崎が)突っ張って位置を取ってくれたんで、内容的には良かったと思います。自分は1回待ってから内に行って、そこの踏みごたえは良かったんですけど、道中がキツかった。自分の調子とかよりも、藤井君の掛かりのせいだと思う」

<6R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 近畿コンビが押さえて出ると、3番手は取鳥雄吾と吉田拓矢の併走。そのまま打鐘を迎えて、インに閉じ込められた取鳥は、内が空いた隙を突いて主導権を奪う。取鳥、岩津裕介(写真)に、佐々木眞也で最終ホームを通過。石塚輪太郎をさばいて4番手を取り切った吉田は動けず、取鳥が軽快に駆ける。番手で後続を引きつけた岩津が追い込んで1着。
 「(取鳥にフタをして)あれで吉田君がどう動くかでした。(取鳥が内から行って主導権を握ったのは)いい判断でした。体調はいいと思います。ただ、この展開なら(取鳥)雄吾とワンツーを決めたかったんで悔しい。吉田君がさすがだなって。(16年に優勝しているのもあって)なんかオールスターだけは、相性がいい感じがしますよね。今回は調子もいいです」
 取鳥にインを行かれて思惑通りには運ばなかった吉田拓矢は、4番手からの追い込み勝負を反省する。
 「(取鳥との併走で)こうなるのは想定内だった。あとは自分のもつ距離からと。(取鳥を内に封じ込めて)いい展開だなと思ったら、内から行かれた。そのあとが情けなかったですね。仕掛けるのも遅くなって自分だけになってしまった。(初日を休んでこれで1走目で)ゆるみすぎている感じがあって、それが判断ミスにもつながった。ただ、道中は余裕があった」

<7R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 四国勢が松井宏佑(写真)を押さえて、その上を山田諒が赤板2コーナーで出て先頭に立つ。6番手になった松井は、打鐘3コーナーから反撃に出る。松井ライン3車が出切ったところで最終周回。単騎の井上昌己が、4番手に続く。島川将貴が内に詰まり、自力に転じた佐々木豪がまくりで迫る。松井も懸命に合わせて、佐々木は佐藤慎太郎の横まで。佐藤が2センターで佐々木をもっていって直線。後続が詰め寄るが、松井が押し切って2走連続での逃げ切り勝ち。
 「いいレースができたと思います。でも、ちょっと出切れそうなところで流し過ぎてしまったので、そこは甘かったですね。後ろを見て佐々木君が来ていたので、(最終)バックからはガムシャラに踏みました。(2走目の)今日の方が余裕はありました」
 松井に付けた佐藤慎太郎は、まくった佐々木をどかしにかかるが、佐々木にわずかに出られてなかなかさばけない。直線でようやく踏み場を確保して2着に入った。
 「松井君がペースに入れているところで、佐々木君に来られたのでキツかったですね。援護というよりも自分の着を確保する感じの動きになりました。体で当たりたかったんですけど、タイミングがズレました。(最終4コーナー回ってからは)全然進んでいない」

<8R>

和田真久留選手
和田真久留選手
 赤板過ぎに小松崎大地が切って、村田祐樹がそこを押さえる。村田は晝田宗一郎の仕掛けを察知して、さらにペースを上げる。晝田は落ち着いて3番手に入り、眞杉匠は2コーナー過ぎから踏み込む。村田も全開で逃げて、眞杉は最終ホーム手前で3番手の晝田をキメにかかる。が、晝田も内でこらえて、眞杉は外併走から2コーナーでまくって出る。村田をとらえた眞杉に、和田真久留(写真)、切り替えた阿竹智史で直線を迎える。押し切り図る眞杉を和田がきっちり交わした。
 「(村田が)オーバーペースでしたし、構えてもいいかなと自分は思ったけど、眞杉君がガンガン外を踏んで行った。普通なら厳しい展開だと思うけど、外からねじ伏せてるんで、さすが。(眞杉は)すごい選手ですね。(自分は)気持ちも入っているし、他の地元勢もいいレースをしているんで」
 7番手で構えることなく仕掛けた眞杉匠は、流れに順応して3番手の外で小休止。そこからまくりで別線を沈めた。
 「(村田が)すごい掛かってて、叩き切るつもりがキツくて降りちゃった。昨日(1走目)から自転車をいじって、昨日よりも良くなったけど、まだ足りないですね。サドルまわりをいじって、方向性は近づいた感じがするけど、まだマッチしてない」

<9R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 高橋晋也は、前受けから清水裕友を突っ張る。清水が4番手に収まり、7番手に引いた寺崎浩平は赤板2コーナーから仕掛ける。高橋が合わせてペースを上げて、高橋の番手の渡部幸訓が稲川翔を打鐘4コーナーで外に弾く。寺崎が叩き切り、渡部のアシストで高橋が番手に入る。主導権の寺崎の後ろは、高橋、渡部、稲川になる。後方の清水が2コーナーから踏み込む。まくりで前団をのみ込んだ清水だったが、直線半ばの斜行で寺崎の番手から追い込んだ高橋が落車。清水は1位入線も失格。清水に流れ込んだ荒井崇博(写真)が繰り上がって1着。
 「見ての通り、(自分が繰り上がりで清水を)抜けてないんでね。どうしようもない。付いていっただけです。(調子は)どうなんだろうね、とりあえず1着、1着なんで」
 同県の高橋と息の合ったコンビプレーを見せたが、高橋が落車に見舞われただけに2着の渡部幸訓も表情は険しい。
 「(高橋)晋也が突っ張るつもりで踏んでくれたので、スピードが合って稲川君のところを飛ばせた。それで晋也を迎え入れた。あとは(直線で)晋也の邪魔をしないで自分のコースをって。初日からセッティングに違和感があるなかで走った。今日(2走目)の方が上向いている感覚があるけど、現状では物足りないのでいじろうと思っています」

<10R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 南関勢が前団に構える。山岸佳太を突っ張った深谷知広は、そのまま主導権だが山岸もやめることなく両者の踏み合い。深谷は赤板2コーナーで自ら山岸を外に張る。同じタイミングで仕掛けた谷口遼平は、割り込んだ宿口陽一の外まで追い上げてからさらに前団に襲い掛かる。深谷はそれでも主導権を死守して最終周回へ。4番手は、宿口が切り替えてバックを通過する。ギリギリまで引きつけてから追い込んだ和田健太郎(写真)が1着。
 「(深谷は)前を取って突っ張る感じになった。この時点(打鐘)で佐々木(龍)君が(宿口に)削られていたのはわからなかったんですけど、また合流してくれた。谷口君の勢いも良かったんですけど、深谷君が合わせてくれたので強かったですね。前と後ろのおかげですね」
 赤板2コーナー付近で宿口に入られた佐々木龍だったが、最終ホーム手前で再度、和田とドッキング。さすがの深谷も直線半ばで失速気味になり、佐々木が2着。
 「宿口さんに削られて入られてしまった。あのままついていったらヤバいと思った。宿口さんが山岸さんを迎え入れればすぐに追い上げようと思ったんですけど。(山岸が踏み続けていたため)内が空くだろうと思って、そこは冷静に待ちました。深谷さんが残り2周から気持ちが入っていた。1回連係を外してしまったのは申し訳なかったんですけど。(付け直してからは)内から来られないように締めながらでした」

<11R>

古性優作選手
古性優作選手
 町田太我は福岡勢の2車を出して3番手に入るが、打鐘手前ですかさず鈴木竜士が踏み込んで追い上げる。町田をキメにかかった鈴木は、最終ホーム手前で落車。後方の古性優作(写真)は、アクシデントを避けてからの立て直しを余儀なくされる。接触があった町田が後退して、目標を失った桑原大志が2コーナー手前でまくるが、逃げる後藤大輝が合わせる。そこを古性がまくる。落車を避けたあおりもあり、南修二は付け切れない。古性が4コーナーで先頭に立ち、そのまま楽に押し切った。
 「前が取れたのは予想外だったし、(鈴木が)早めに押さえに来るのも予想外でした。(後藤は)掛かりっぱなしで、すごかったですね。(鈴木が仕掛けて)8番(中田健太)が遅れて、すごい邪魔になった。あれで全部、狂ったけど、後藤君が強かった。(自分は)フォームがヤバいですね。修正はしたんですけど」
 最終4コーナーで桑原をさばいた小川勇介は、後藤の逃げを利して古性に2車身遅れての2着。
 「(後藤とは)いままで連係もあるし、レースも見ている。勝負どころだなと思ったところで行ってくれましたね。後輪に接触があって、バックが入ったけど、壊れてないことだけ確認はした。まくられはしたけど、最後に南さんに踏み勝てたので、収穫はありました」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 後方の太田海也の上昇に合わせて、3番手から山口拳矢が踏み込む。前受けの郡司浩平(写真)は2人を出して態勢を整える。主導権を握った太田の番手で山口が粘り、犬伏湧也と併走になる。郡司は5番手で打鐘を迎えて、単騎の3人は7、8、9番手。番手の決着がつかないまま、太田は徐々にペースを上げていく。郡司は最終ホームで踏み上げる。もつれた番手を乗り越えた郡司が太田の逃げをとらえて、遅れ気味に守澤太志が追走。その後ろにいた平原康多は太田を内に見る形で続く。直線で守澤が詰め寄るも、郡司が地元で勝ち切った。
 「赤板過ぎは悩みました。突っ張り含みっていうのもあったんですけど、ペースが上がったので(山口を)出させた。ただ、単騎の人たちが付いてきたらっていうのはありました。(山口が太田の番手で粘り)外で踏みながら犬伏(湧也)も耐えていたのが見えた。僕がまくりに行ったタイミングで(外の犬伏が)ピラんじゃうのが嫌だったんで迷った。太田も徐々に駆けていく感じで、すかさず叩ける感覚はなかった。ただ、犬伏のあおりがなければイケるなってところはあった。(山口)拳矢が犬伏をキメきれなくて、もう待ってられないなと(思ったんで仕掛けた)。(最終)2コーナーの下りでかなり伸びてくれたんで、あとは最後のゴールまで必死でした。自分の体の動きは問題ない」
 あおりを受けた守澤太志は、冷静に外を回って2着。
 「突っ張るのか引くのかは、郡司君の判断に任せていました。(郡司は太田が)掛かり切る前に行ったと思った。太田君を相手にすごい勇気だなって。自分は(最終)2コーナーで危なかったんで外を回った。(郡司に)追いつけて良かった。(前回の)和歌山から2週間くらいあったけど、状態はキープできていると思います」
 赤板1センター付近で郡司ラインの後ろにスイッチした平原康多が3着。前の2人には詰め寄ることができず、こう振り返った。
 「(スタートは)前を取りたくなかったけど、思い切り出ないと後方になるんで出ました。拳矢が粘るのかはわからなかったけど、郡司の突っ張りがあるんでそこに切り替える形になった。(郡司は)終始、伸びていて、めちゃくちゃ強かった。最後は守澤にペースをうまくハメられた。踏みたい時に(太田)海也が内にいたんで、エアポケットに入れなかった。難しい判断でしたね」