『第67回オールスター競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:8月16日

 今年は平塚競輪場で夢の競演。ナイターシリーズで開催されている大阪・関西万博協賛「第67回オールスター競輪(GI)」は、8月15日に3日目が行われた。「女子オールスター競輪」の決勝は、地元の佐藤水菜が圧巻の逃走劇で制覇。3連勝の完全Vで優勝賞金310万円(副賞含む)を手にして、パリ五輪からの強行日程のなかでも力を見せつけた。また、一次予選2では、オリオン賞を制した郡司浩平が地元で連勝。脇本雄太、太田海也も白星を挙げた。シリーズもいよいよ後半に突入。8月16日の4日目には、2走のポイント上位9人による「シャイニングスター賞」が行われる。V戦線の行方を占う意味でも見逃せない。
 シリーズ開催中の毎日、オールスターオリジナルうちわを先着300人に配布。豪華な景品が当たる未確定車券抽選会、イルミネーション、オリジナルクラフトビールの販売、選手会神奈川支部ブース、ウィンディくんふわふわ、「KEIRIN 4D」体験、HPCJCブースなどがあります。また、8月16日のシリーズ4日目には、「トータルテンボス」のお笑いステージ、「アニソンシンガーの亜咲花」のライブ、「名輪会」のトークショー・予想会なども予定されています。平塚競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

女子オールスター競輪決勝出場選手特別紹介
女子オールスター競輪決勝出場選手特別紹介
女子決勝1番車、佐藤水菜選手
女子決勝1番車、佐藤水菜選手
女子決勝2番車、児玉碧衣選手
女子決勝2番車、児玉碧衣選手
女子決勝3番車、日野未来選手
女子決勝3番車、日野未来選手
女子決勝4番車、石井寛子選手
女子決勝4番車、石井寛子選手
女子決勝5番車、久米詩選手
女子決勝5番車、久米詩選手
女子決勝6番車、坂口楓華選手
女子決勝6番車、坂口楓華選手
女子決勝7番車、太田りゆ選手
女子決勝7番車、太田りゆ選手
女子オールスター競輪表彰式
女子オールスター競輪表彰式

ガールズ決勝戦 レース経過

 やや見合ったスタートから石井寛子が出て前受け。7番車の太田りゆ、6番車の坂口楓華が後方を嫌って道中で上がっていき、太田は2番手に入る。太田を入れた久米詩が3番手で、以下は児玉碧衣、佐藤水菜、日野未来。どこにも入れなかった坂口は最後方に下がる。
 赤板を過ぎて太田、佐藤がやや前との車間を空けて仕掛けのタイミングを窺うも、隊列には変化がないまま打鐘を迎えて誘導員は退避。まだスローに流れる2センターで意を決した坂口が仕掛けて戦端が開かれる。これに反応して太田も4コーナーでスパート。坂口には、佐藤、日野で切り替えて続いてきていて、太田と坂口の車体が合った最終ホームで佐藤が一気に外を踏み込む。佐藤のダッシュに日野はやや離れ気味で、坂口を合わせ切った太田が佐藤を追う。日野も3番手で立て直し、その後ろは2コーナー過ぎに坂口を交わして久米、児玉となるが、佐藤のスピード前に仕掛けられる選手はいない。直線に入ると、逃げる佐藤と、差を詰めてきた太田の一騎打ちとなるが、後ろの状況を確認した佐藤は渾身の踏み直しで追撃を許さなかった。1車身半差で太田が2着、3着にも日野がそのまま流れ込んだ。



<2R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 京都コンビが前団に構える。赤板過ぎに窓場千加頼(写真)が伊藤颯馬を突っ張り、伊藤が3番手に下げたタイミングで7番手から根田空史が仕掛ける。打鐘3コーナーで根田が勢い良く飛び出して、南関勢の主導権。窓場は車間の空いた4番手。伊藤が6番手の一本棒で最終周回へ。1センターから伊藤がまくりを打ち、詰める勢いで窓場も踏み込む。番手で車間を取っていた岩本俊介を乗り越えた窓場が、根田の逃げをまくり切って1着。
 「先輩(山田久)がいい車番をもっていたんで、好きな位置が取れるし、脚を使ってでも前々に行くのがいいかなと。(突っ張るかは)伊藤君の切り方次第だったんですけど、前々に攻められて、行くところでしっかり仕掛けられた。詰まったところで思い切って仕掛けました。京都の先輩とワンツーが決められてうれしいですし、援護があると信じて走れました。支部合宿で京都の後輩のために山田(久)先輩とメニューを考えて、一緒に練習してきた。これで自分たちの結果が出れば、後輩たちの指針になると思う」
 外の伊藤をさばきつつ窓場を追った山田久徳は、加速にわずかに遅れたが直線で差を詰めて2着。
 「(別線の)押さえ方次第で、1回突っ張ってもいいかなと思ってたんで、(窓場は)いい感じでレースを進めてくれた。(窓場は)直前の合宿で強いのをわかってたし、必死で付いていくだけでした。合宿ではもっと強かったですよ」

<3R>

佐々木悠葵選手
佐々木悠葵選手
 赤板2コーナー手前で北津留翼が佐々木眞也を押さえるが、佐々木悠葵(写真)は迷わずその上を出る。打鐘3コーナーで出た佐々木悠が先行態勢も、河端朋之の巻き返しが早い。ダッシュを利かせた河端が主導権を奪い、佐々木悠は3番手で最終ホームを通過する。5番手になった北津留は、車間が空いてなかなか詰らない。3番手から3コーナー過ぎに踏み込んだ佐々木悠が、直線で抜け出して一次予選を連勝。
 「思っていた展開と違ったけど、諸橋さんといい感じでワンツーが決まって良かった。(出てからは)先行するつもりで態勢に入ろうかと思っていた時に、(河端が)横に来ていた。番手に粘ろうかと思っていたら、(河端が)すごいダッシュだった。(結果的に3番手になって)詰まったんで力まずに行った。今回はフォームを大事にしている。練習でもあんまり力まずにって思っています。1、2年前になんであんなに(フォームが)グチャグチャになるのって松浦(悠士)さんに言われたんで、そういうところを意識している」
 最終ホーム付近で佐々木悠にわずかに遅れた諸橋愛だったが、2コーナーでは抜かりなく追いついて関東ワンツー。
 「勝負どころで北津留より先に自分たちが押さえたかったけど、(佐々木悠が)うまく3番手にスイッチしてくれた。(中四国勢が叩いた)あのあとに(佐々木悠は)番手に飛び付こうとしていたんで、さすがだなと。それで僕も離れてしまった。それにしても(佐々木悠は最終)2センターくらいからの踏み直しが強かった。自分は(1走目は)緊張やら不安やらで硬くなっていた。今日(2走目)は気持ちの面では楽だったので、やれるかなっていう感じでした」

<4R>

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 青野将大が赤板1センターで先頭に立ち、そこに8番手から藤井侑吾がカマシで襲い掛かる。打鐘3コーナーで藤井が主導権を奪い、3番手の青野は大きく車間が空く。最終ホーム手前で5番手から犬伏湧也(写真)が仕掛ける。犬伏の踏み出しに岩津裕介は遅れて、1人だけスピードの違う犬伏がバック過ぎにまくり切る。2着以下をちぎって、犬伏が余裕をもってゴールを駆け抜けた。
 「突っ張れれば突っ張ってと思ったんですけど、青野さんがいい勢いできた。藤井さんは来ると思っていたので、あそこは慌てずにでした。青野さんと藤井さんの車間が空いていたので、そこを目がけて行きました。藤井さんもどんどん掛かっていくと思ったので、(最終)バックでとらえられるイメージでと。昨日(オリオン賞)が不甲斐ないレースだったので1着を取れて良かったです」
 遅れながらも犬伏のまくりを懸命に追った岩津裕介は、5車身差ながらも2着をキープして人気の2人での決着になった。
 「(犬伏は最終)2コーナーぐらいから行くのかなって思っていたんですけど、犬伏君は(打鐘)4コーナーぐらいからうずうずしていた。もともと2周踏めるんで、1周くらいっていう感じですかね。離れたんですけど、もともとの脚力差があるので。2着に入れたのでマイナスにはとららえずにいきたい」

<5R>

平原康多選手
平原康多選手
 イエローラインをオーバーしながら赤板過ぎに窪木一茂が先頭に立ち、森田優弥が3番手。窪木の蛇行のあおりを受けた取鳥雄吾は、橋本強との連結が外れて9番手に陥る。6番手の志田龍星が、2コーナー過ぎから踏み込んで主導権を握る。志田が3番手以下を離して駆けて、森田が3番手に追い上げて最終周回へ。森田が中近勢との車間を徐々に詰めて追い込む。森田マークの平原康多(写真)は、直線で三谷将太と森田の間を踏んで突き抜けた。
 「自分の感覚だと、(森田は)追いついてそのままの勢いでまくった方が、自分も森田を残しやすかった。森田が着を取りにいくタイミングでいった。(最終ホーム過ぎは)流してたと思うし、あそこで行っちゃった方が堅かったかなと思う。自分は余裕があったし、森田がイマイチ伸びてなかったんでコースを見極めてでした。前回が終わってから煮詰めたものが(成果として)出ていると思う」
 カマした志田龍星を利した三谷将太は、3番手から詰める森田をけん制して追い込んで2着。志田の頑張りを称えて、こう振り返る。
 「(志田は)ワンテンポ休んだのが失敗だった。休まず行った方がスピードに乗るんでもったいなかった。(最終)ホームで詰まって、車間を空けられなかった。森田が内に来てくれればと思って誘い込んだけど、来なかったですね。あれだけ距離が空いてたら、後ろからの方が伸びる。志田が頑張ってくれたけど、申し訳ないです。先行選手が頑張ってくれているおかげ。自分は(初日に)1日休みで寝たきりで過ごして、腰が良くなった」

<6R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 赤板過ぎに押さえに来た纐纈洸翔を郡司浩平(写真)が突っ張って様子をうかがう。外に浮いた纐纈が再度踏んで先頭に立つが、皿屋豊は離れる。追い上げた皿屋を目標に、赤板2コーナー過ぎから小原佑太が仕掛ける。打鐘4コーナーで小原佑が叩きり、大槻寛徳、遅れ気味に永澤剛が続く。纐纈は4番手で最終ホームを通過して、皿屋をさばいた郡司がその後ろ。1コーナーでアクションを起こしかけた郡司だったが、仕掛けたのは2コーナー。追い込む大槻をゴール寸前でとらえた郡司が地元で連勝。
 「(纐纈が)そんなに思い切り切る感じじゃなかったんで、(1回突っ張って)すかさず小原(佑太)が来たらって思った。そしたら来てなかった。そのあとに小原(佑)が来たのもわかったんで、ズルズルは引けなかった。(皿屋豊をさばいてからは)タイミングで行こうと思ってたけど苦しまぎれだった。最終ホームで自分が仕掛けたいタイミングで纐纈と合って脚をロスした。それで1回立て直しての判断でした。(2走して)自力は出せているんで、次につながるレースはできていると思います」
 小原佑がスピードに乗せて風を切る。番手の大槻寛徳が直線で追い込むが、8分の1輪差で郡司に屈した。
 「(周回中は)理想の並びになったんで良かったです。(小原佑は)もうちょっと早めに行けばスッと出られたと思う。(ラインで)決まったと思ったんですけどね。(小原佑は)こんなに掛かるのかっていうくらい、めちゃくちゃ掛かっていた。車間を見誤って抜けないかもしれないって感じだった。脚の感触は日によって違って、1走目はヤバいかなっていうのがあったけど、今日は良かった」

<7R>

松本秀之介選手
松本秀之介選手
 松本秀之介(写真)は誘導を残して下げて、松本貴治が先頭に立つ。そこを山口拳矢が押さえて、さらに吉田拓矢が出る。吉田がペースを落として、松本秀はタイミング良くカマして最終ホーム過ぎに主導権を奪って駆ける。3番手に吉田が飛び付き、後ろで松本貴と吉澤純平が併走。松本秀の掛かりが良く、バックを迎えても別線は動けない。8番手の山口のまくり追い込みは前が遠い。吉田は2センター過ぎから踏み込むが、松本秀が逃げ切った。
 「できれば逃げたかったので、スタートでできるだけ前の方が取れればって思ってました。前が取れれば早めに引いて、自分の順番が回ってくるように。吉田さんが切ってくれた。内がゴチャついていたのもあって、そのうちに出切れればって。出切ってからはもつペースでと。初日(1走目)と比べたら軽かったですね」
 半車輪まで詰めた中本匠栄が2着に入り、熊本ワンツー。まだ本調子にはないものの、復調の手ごたえは感じている。
 「なにがなんでも先行っていうタイプがいなかったので、松本(秀)君にチャンスは回ってくるかなって。(松本秀の仕掛けは)あそこしかないっていうタイミングだった。前ももつれてくれて、展開も向いてくれました。松本(秀)君が良かったですね。自分はダービー(日本選手権)で落車してから物足りなさはまだあるんですけど、少しずつ良くなっている」

<8R>

新山響平選手
新山響平選手
 7番手の阿部将大が早めに上昇を始めて、4番手の新山響平(写真)に併せ込む。阿部は赤板過ぎに外併走から踏み込むが、福永大智が突っ張り阿部を出させない。2コーナーで仕掛けた新山が叩き切り、福永が番手に飛び付く。最終ホーム手前で松谷秀幸とからんだ福永が落車。新山ラインの後ろの4番手には落車を避けた単騎の隅田洋介が続く。アクシデントもあり別線もなかなか仕掛けられず、逃げる新山と松谷の直線勝負は、新山が押し切った。
 「(周回中は)前は無理だろうと思ってたんで、中団はキープしないとなと思ってました。(福永が阿部を突っ張ることも)頭には入れていたので、タイミング良く仕掛けられたと思います。かなり自分の思ったペースで回れましたね。コンディションは初日(1走目)よりも全然いい」
 福永の飛び付きでもつれた新山後位だったが、松谷秀幸の後輪に接触した福永が落車。松谷は新山を交わせずも、2着をキープした。
 「誰かしらは(自分の位置を)狙ってくるなと思ってた。内藤(秀久)さんに前を回してもらっている以上は、負けられないなと。新山君の走りやすいようにってことと、自分は絶対に位置を奪われちゃいけないってことに集中してました。(最終)バックから伸びて行ってたし、日ごろ2周いってる人(新山)の1周半カマシは抜けないですよ」

<9R>

坂井洋選手
坂井洋選手
 赤板過ぎに北井佑季に突っ張られた林大悟は、そのままやめることなく踏み続けるが、園田匠が中団で位置を探して連結が外れる。北井は林の1車を出させて番手に入り、態勢を整える。園田は、6番手から打鐘3コーナーでインを進出。守澤太志を内から弾いて園田が北井後位を奪うも、最終ホーム手前から発進した北井の踏み出しには付いていけない。8番手になった坂井洋(写真)も踏み上げる。1コーナーで先頭に立った北井が後続をちぎり、石塚輪太郎がまくるが、その上をいった坂井のスピードがいい。北井のスピードが鈍り、直線の入り口でまくり切った坂井が1着。
 「車番もいいわけじゃないんで、取れた位置からと。(隊列が)バラバラになって難しかったけど、1回(後方に)収まった。ジャン4(コーナー)くらいで行かないとマズいって、無理くり行った感じです。(まくりは)パコパコしてて、あんまり回せていない感じだった。(1着に来られたのは)展開ですね。(1走目より)今日の方が暑くなかったし、日差しもないんで(体調的にも)良かったです」
 坂井のまくりに食らいついた武藤龍生が、流れ込んで関東コンビでの決着。
 「(赤板過ぎに)園田さんが削ってきていて、それを見ていてヤバいなって思ってました。(別線の)踏み合いもあったんで、坂井君ならどこからでも行けるんじゃないかなって。あとは自分が付いていけるかどうかでした。(あの展開と坂井のスピードから)もう抜きはなかったです。今日(2走目)のあのスピードで、いい感じで体が入ると思います」


<10R>

太田海也選手
太田海也選手
 周回中は3番手にいた太田海也(写真)は、伊藤旭にフタをされると赤板では7番手に下げる。誘導を使った吉田有希が前でペースを握り、太田が2コーナーからスパートする。誘導を降ろして踏み上げる吉田を、太田がスピードの違いで叩いて最終周回。松浦悠士はすんなりも、香川雄介はさばかれて吉田が3番手を奪取する。6番手の伊藤が、2コーナー手前でまくりを打つ。スピード良く迫ったが、松浦に止められる。ゴール線で追い込む松浦に並ばれた太田だったが、僅差で振り返った。
 「1回、全部引いてから前に出るだけだった。ちょっと出切れるかはわからなくて、全力で踏んでいった。出切ってからは叩かれないようにペースに入れるというより、力を出し切ることに集中しました。やっぱり仕事をしてもらってのこの着順なので。一昨日(13日)帰国して、昨日走った。昨日(1走目)よりも今日のほうが疲労は抜けているので、さらに良くなるのかなって思います」
 抜群の間合いで伊藤のまくりを阻んだ松浦悠士は、ハンドル投げも及ばずの2着。
 「(太田と久々の連係で)最初は余裕があったんですけど、出てからはそこまで余裕はなかったですね。余裕があれば1車身空けられたと思うんですけど。昨日(1走目)の伊藤君のまくりを見ていたので、来るとしたら伊藤君かなって思っていた。太田君がいいペースでゴールまで踏み切れる感じだったし、踏み直しが強力でしたね」

<11R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 前受けの脇本雄太(写真)は、青板2センター付近から外に持ち出して、上昇した道場晃規をけん制する。赤板過ぎに脇本が突っ張り、道場が7番手に戻っての一本棒。脇本の先行で打鐘を迎える。4番手でタイミングを計った山崎賢人は、最終ホーム手前で踏み込む。脇本もペースを上げて、外に張った浅井康太を乗り越えた山崎が番手に入る。しかしながら、山崎は追いつきざまにまくりを敢行。そこも合わせ切った脇本が逃げ切った。
 「“全ツッパ”のつもりはなかった。道場君の先行意欲だけ見てみてと。腹をくくるつもりもありましたけど。(先行態勢に入ってからは)とりあえず必死に踏んでました。(山崎)賢人君に頭だけは当たられないようにと。“全ツッパ”の気がなかったんで、それに対するペース配分が良くなかったけど、やるべきことはやれたと思う」
 山崎のまくりをけん制したところで脇本の加速に対応しきれなかった浅井康太が、懸命に前の2人を追いかける。空いた車間を詰めて、最後は山崎を交わして2着に入った。
 「(山崎に)しっかり頭で当たったと思うけど、スピードを止め切れなくて離れた。掛かり切っていないなかでの仕事で難しい部分もあったけど、そこから差せているので脚的には大丈夫です。今回でペダリングのいい感触の部分を見つけたので、それを開催中に極めていきたい」

<12R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 周回が落ち着いたところで佐藤水菜(写真)は、5番手のポジション。そのままの隊列で打鐘を通過して、3コーナーから7番手の坂口楓華が動く。2番手で先頭の石井寛子との距離を取っていた太田りゆも仕掛けて、坂口を追った佐藤も踏み込む。最終ホームでは、内から太田、坂口、佐藤の3車が併走になったが、佐藤のスピードが断然。佐藤が出切り、太田が離れた2番手。佐藤のダッシュに付け切れなかった日野未来が3番手に降りて、4番手以降は勝負権がない。4コーナーでは佐藤との車間を太田が詰める。が、直線で再度踏み直した佐藤が、1車身半ちぎってのゴール。3日制のオールスターを完全優勝。パリ五輪から強行日程、昨年末のグランプリ制覇以来のガールズケイリンと数々のハンディを跳ねのけて地元ファンの期待に応えた。
 「(優勝したあとは)人生初の胴上げだったので、すごく貴重な体験ができて幸せだった。たくさんの応援があったからこそ優勝できたんで、すごくうれしいです。(今回は3日制になって)パリオリンピックまでほとんどレースをせずに、ひたすらに練習に集中できたおかげで今回のオールスターもすごくいい結果が出せた。(ナショナルチームの活動で)みなさんに姿を見せられなかった間、自分がどれだけ進化できるかが課題だった。けど、すごくいい形で(ガールズケイリンに)帰ってこられたんじゃないかと思います。(周回中は5番手になり)私自身、位置取りは後方を狙っていた。坂口選手が打鐘過ぎてから1回動いてきた。1周半から1周の間で行けるタイミングで自分から仕掛けようと思っていた。そのタイミングで坂口選手が動いたので、そこをうまく利用して脚を使わずに前に出ること、最後まで一番で駆け抜けることを考えていた。ゴール前は結構、タレてしまったんですけど、前半のリードがあったおかげで最後は逃げ切れました。基本的には自分が1着でゴールするために駆けているので、ゴール前は(誰にも)譲らない気持ちでした」
 結果的には五輪戦士の直線勝負。2着の太田りゆは、佐藤との間合いをこう振り返る。
 「7番車っていうのもあって、スタートは難しかった。優勝を目指すなら前はいらないし後ろも厳しい。中団に自在選手がいたので、そこに入れてもらえればと。ジャンが鳴って見合っていたし、自分も1周半から行ける準備はしていたけど、動きがなかったので待った。そこからは流れに任せてでした。佐藤さんの後ろに入れたけど、追い込みに行くタイミングが良くなかった。終わったあとに、私が追い込みにいったタイミングは250バンクのタイミングだって男子選手に言われました。400バンクなら、もう少し遅くて良かったんだと思います」
 周回中に佐藤の後ろに入った日野未来だったが、最終1センターで前団を乗り越えられず佐藤が離れていく。太田を行かせて3番手に降りて、そのまま3着流れ込んだ。
 「(佐藤の仕掛けに)付け切りたかったんですけど、ちぎれてしまいました。すごいトルクと、すごいスピードでした。(最終)ホームで口が空いてしまって、内からも踏んできていた。でも、最後まであきらめずに、太田さんの後ろにスイッチできればと。3着に残れて良かったです。(佐藤)水菜ちゃんの仕掛けに付いていける脚力をつけたいです。それを目標にして頑張りたい」