『第52回オールスター競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:9月23日


 松山競輪場で開催された初めてのGI「第52回 オールスター競輪」は武田豊樹の優勝で幕を下ろした。レースは平原康多が先手を奪うと、最終3コーナーから武田が番手まくり。神山雄一郎らの追撃を振り切って、今年の日本選手権競輪に続き通算二度目のGIタイトルを奪取した。


決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると石丸寛之と稲村成浩が飛び出すが、稲村が制して誘導の後位を占める。間もなく海老根恵太を迎え入れると、以下もすんなり隊列が落ち着き、石丸-合志正臣、永井清史-村上博幸、平原康多-武田豊樹-神山雄一郎となり淡々と周回を重ねた。
 赤板で平原が上昇の気配を見せると、永井が先に動いて誘導を外すが、打鐘で平原が一気に押さえた。永井は四番手となるも、前との車間が空き、三角で追い上げた石丸が関東勢の後位へ入り込む。先頭に立った平原は2センターから徐々にペースを上げ、四角から一気に先行態勢に出る。中団を占めた石丸も前との車間が空き、永井は大きく立ち遅れて六番手、海老根は八番手に置かれてラスト一周を迎えた。バックでは石丸、永井が懸命に前との差を詰めるが、絶好態勢となった武田が三角から番手まくりを放つ。そのまま直線勝負に持ち越され、武田が追走の神山を振り切ってGI二度目のVを飾った。石丸は神山に迫るも一息届かず。
ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式



<1R>
廣川貞治選手
廣川貞治選手
   逃げる伊原克彦の番手で中川誠一郎が粘る。モツれたところを横田努がまくると、続いた廣川貞治(写真)が鋭く突き抜けた。
 「中川が粘ったら、引いて行けるところからまくれと横田には言ってあった。だから、コメントも中近からにしてたんです。上手く決まって良かったですよ。今回は6着6着で自信を喪失しそうになってたけど、これで気分良く帰れる。いい後輩を持ちました」
 まくった横田努は「後ろに廣川さんも付いてますからね。久々に気持ちよかった」とレースを振り返る。
 逃げた伊原克彦は悔しさを隠せない。
 「中川さんが粘ると思わず、焦りました。逃げ切らんといかんですよね。余裕がなかったです」


<2R>
望月永悟選手
望月永悟選手
   2レースは桐山敬太郎が果敢に風を切ると、番手絶好の望月永悟(写真)が直線で抜け出した。
 「桐山がずっと逃げそうな気配だったし、今日はとにかく追走しようと。最後に幸田(光博)さんがしゃくってきて内外を警戒しなければと焦ったけど、せっかく桐山が頑張ってくれたわけだし、しぶとくこらえました」
 2着の幸田光博は「コースが空いたから内へ。ただ、この展開だったら2着は仕方がない」とサバサバしている。


<3R>
岩見潤選手
岩見潤選手
   松岡健介が先行し、番手の岩見潤(写真)が絶好の展開をモノにした。
 「松岡が落ち着いて駆けてたし、僕も余裕があった。今回は調子良く入ったのに初日で失敗してしまった。それでも気持ちを切らさず走れました」
 逃げた松岡健介は惜しくも2着に敗れた。
 「すんなり駆けられる展開になりましたね。抜かれたのはショックだけど、まだタテでいけそうですね」


<4R>
山口富生選手
山口富生選手
   4レースは山田裕仁のまくりに乗った山口富生(写真)が直線追い込んで1着をさらった。
 「山田(裕仁)さんにとって絶好の展開だったし、行けると思ったんですけどね。自分は直線で車も伸びたし、コースさえ取れば行けると思っていました」
 突っ張り先行に打って出た渡邉一成が2着に逃げ粘る。
 「想定していた展開と違ったけど、突っ張ってからはそのまま落ち着いて駆けられました。だけど踏んだ感じが悪かった。それにバンクもすごく重く感じたし、よく2着に残れたなという感じですよ」


<5R>
三宅達也選手
三宅達也選手
   5レースは柴崎淳が先行したが、後方八番手からまくりを打った三宅達也(写真)が出色のスピードで前団を飲み込んだ。
 「打鐘から柴崎が全開だったでしょう。あれを受けて二角からまくったけど、本当は木暮(安由)が仕掛けると思っていたんです。だけど動く気配が無かったから自分で踏みました。今日は流れたし、スピードも良かった。2センターでも上を踏んだから、乗り越えられると思っていました」
 2着には柴崎マークの一丸安貴が入線する。
 「もっと(三宅を)持っていければ止められたのにね。でも三宅が上すぎたから止められなかった。柴崎が後ろを気にしながら目一杯駆けてくれたし、絶対に3着までに残してやらないといけなかった」


<6R>
三宅伸選手
三宅伸選手
   前受けの坂本亮馬が吉田敏洋を突っ張って先行。番手で絶好になった三宅伸(写真)がシリーズ初勝利を挙げた。
 「(坂本は)若いんだから駆けんといかん。あれをしとけば次に生きてくるんだから。まくり一本やりは石丸(寛之)くんだけでいい(笑)。感じは戻ってきてるので、来年ノーマルのパンツになったら頑張りますよ」
 逃げた坂本亮馬も考えていることは同じだった。
 「たまには見せとかないとナメられますからね。今回の目標は準決勝だったけど、展開が向けば決勝にも行けると思う。僕は一発屋で本命のときに飛んでた。今回は負け戦だけど本命でもいい着が取れた。次も応えられるように練習せんといかんですね」
 立て直して三番手から伸びた吉田敏洋が2着に入ったが「突っ張りはまさかって感じでした。三番手に入ったけど、8番(五十嵐力)の対応に遅れて失敗。自分だけみたいなレースになってしまった」と表情は浮かない。


<7R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
   菅原晃が先行、中団からまくった稲垣裕之が不発に終わるとその外を佐藤友和が鮮やかに突き抜けた。
 「今回は2日目に失敗したけど、自分なりに調子は良かった。後半2連勝でそれが分かった。このあとはW杯に向けた合宿や地区プロなどで忙しい日が続くけど、頑張っていかないとね」
 続いた岡部芳幸(写真)はホッとした表情を見せる。
 「友和は行けるんだなっていう確信しかなかった。付いていけば2着はあるし、先踏みしてバックだけは踏まないようにと思ってた。今は自分が1着を取ることより、前に離れないようにとかラインのことを考えてるから、この2着は1着に値するね。何とかワンツーでよかった」


<8R>
山口幸二選手
山口幸二選手
   後ろ攻めから動いた小嶋敬二が山賀雅仁を出させずそのまま先行。番手の山口幸二(写真)が絶好の展開を生かした。
 「小嶋はああいうレースをすれば強いし、よく行ってくれた。自分は全日本選抜で落車した影響が長引いて、気持ちが切れそうになったけど、この1着で後半戦も頑張れそうな気がします」
 2着には大塚健一郎マークの小倉竜二が食い込んだ。
 「大塚くんは緩んだところをまくると言ってくれてたし、任せてました。気を遣って外を行ってくれたから、最後は中しか見てなかった。今回はギアが足りんかったので、今日3.79に上げた。その分今日はアタリがあったし、感触はつかめました」
 前を任せた山賀が突っ張られた新田康仁はバックからまくり上げるも不発に。
 「突っ張られるんじゃないかと思ってました。バックからまくったけど、重かったですね。今は何をやってもダメって状態は脱したので、これから良くなってくれればね」


<9R>
浅井康太選手
浅井康太選手
   9レースはラインが4つに分かれる細切れ戦。石橋慎太郎が山崎芳仁の踏み出しに合わせると、その上を叩いた浅井康太(写真)がホームから先行策。浅井は後続を振り切ってそのまま押し切った。
 「石橋(慎太郎)さんが山崎さんを出させなかったのが大きかったですね。もしあのまま出られて先行されては、こっちには勝ち目は無いですから。今日は流れに乗って駆けられたし、レースが読めていた。逃げて上がりタイムが11秒4だったし、悪くはないでしょうね」
 坂上樹大は「昨日の悔しさもあったし、番手の仕事は絶対にしようと。レースに付いていけたし、今日はこんなもの。挽回までとはいかないけど、しっかり食い下がれたし最低限の仕事はできました」とレースを振り返る。
 山崎芳仁は、すぐに立て直したが惜しくも届かず4着まで。
 「(石橋)慎太郎の動きが誤算でした。あそこでガツンと踏んで前に出られれば、今日のバンクならば押し切れると思った」


<10R>
成田和也選手
成田和也選手
   ラインの最も長い南関勢が主導権を奪う。村上義弘の巻き返しを渡邉晴智がブロックすると、空いた内からまくった成田和也(写真)が後続を振り切る。
 「先行はできないけど、伏見(俊昭)さんに任せられたので、前々に踏もうと思ってた。昨日は何もできずただ三番手に付いてたってことが反省点だったし、今日は判断がよかったと思います」
 2着には大外をまくり上げた渡部哲男が入線。シリーズ未勝利に終わったが、連日気持ちの入ったレースでファンをわかせた。
 「キツかった…。3コーナーの山を越えて前に何人いるかなと思ったら一人だったので行けるところまでと思った。ギアをかけて2場所。まだまだだけど、今回は頑張ったと思う。これでオールスターが終わりましたね」
 1勝でシリーズを終えた伏見俊昭は「また仕切り直しですね。どこでどう狂ったのか、バランスが崩れてたのか…。また修正してきます。ちょっとガッカリです」とシリーズを振り返った。


<11R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
石丸寛之選手
石丸寛之選手
   平原の先行に乗った武田豊樹が二度目のGIタイトルを奪取。懸命に追った神山雄一郎(写真)だが及ばず準Vに終わる。
 「厳しいね、あの武田の強さは。まあ、つけ切って、石丸の強襲を耐えたし、車券にも貢献できた。十分です。(これで賞金ランクも大幅にアップするが)まだGPが決まったと思わず気を引き締めて走ります」
 石丸寛之(写真)も上手く四番手を取ったものの、番手まくりの武田が相手では3着までが精一杯だった。
 「中団に入ってからバック踏んだし、平原があんなにフカすとは思わなかったから口が空いた。バックで行ったら合わせられると思ったから、イチかバチかまくり追い込みで。いいとこまで行ったと思うけど、最後は相手が強かった」
 逃げた平原康多は「この三人でGPに乗りたかったので、よかったです。ああいう展開になったら駆けるつもりだったし、あれで残れたら完璧でしたね。イマイチかかりが悪かったけど、出し切りました」と笑顔でレースを振り返る。
 寬仁親王牌に続いて関東勢の優勝を阻止するかが注目された海老根恵太は勝負どころで九番手に置かれて万事休す。
 「永井(清史)が突っ張ると思って付いて行こうと思ってた。石丸さんの位置が欲しかったですね。人をアテにしちゃダメなのに。力不足です」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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