『第53回オールスター競輪(GI)レポート』 4日目編
 
配信日:9月4日


 2着権利の狭き門・準決勝4番勝負が大会4日目のメイン。いわき平競輪場で開催されている「第53回オールスター競輪」はいよいよ佳境に入った。山崎芳仁がバンクレコードを叩き出すなど、昨日までとは打って変わって高速バンクに変身した走路は1レースから激闘の連続。最高峰の戦いにふさわしいレースが展開された。
 明日(5日)はついに決勝戦。蝶野正洋さんによるトークショーや、「スピーチーズ」によるライブなど、華やかな催し物でレースを盛り上げます。ぜひ本場にお越しいただき、ライブで熱戦を体感してください。


<5R>
五十嵐力選手
五十嵐力選手
   五十嵐力(写真)が前団のもつれを後方からまくり切り快勝。
  「とにかくバンクが重かった。でもバックが幾分流れる感じがしたので、踏めば進むかなと。自分だけ脚に余裕があったからスンナリまくれたんでしょう」
  村本大輔は五十嵐に迫ったが、惜しくも二着に。
  「踏み出しも問題ないし、追走も楽だった。最後は差したかなって半信半疑だった。まあ、二人で決められたし結果には納得です」
  柴崎淳は佐々木則幸に合わせて先行態勢に入ったが…。
  「(佐々木が)一車だとは気が付かず、がっちり踏みすぎた。流れるところはあったけど、脚を使っていたし四角ではもう一杯だった」


<6R>
園田匠選手
園田匠選手
   九州勢が上位を独占。園田匠(写真)がマッチレースを制して今シリーズ初勝利。
  「吉本君が良いレースをしてくれましたね。余裕を持って交わしに行ったんですが、内から合志さんがものすごい勢いで迫って来たので大慌て。油断した訳じゃないんですけどね。何とか1着を獲れて良かった」
  駆けた吉本卓仁も最高の結果に笑顔を見せる。
  「風が強かったんでキツかったけど、今日はどちらにしても先行で勝負するつもりでした。レースは自分の形に持ち込めたし、後ろの状況も完璧に把握できていた。石橋君が内に差し込んでいるのまで見えていたし、ペースに持ち込めましたね。九州の三人で決まったので最高です」


<7R>
東口善朋選手
東口善朋選手
   東口善朋(写真)が三番手から強襲!前のタイトルホルダー二人をゴボウ抜きして強烈に存在感をアピールした。
  「こうやって展開が向いた時にはしっかりものにしないと。今回は仕上げてきたつもりだし、実際、レース中にも余裕があったので、良い感じで踏めました。佐藤君や渡邉晴智さんを抜けたのは大きな自信になるし、これからにつながる1着だと思います」
  佐藤友和は狙い通りの先行勝負。ようやく鬱憤を晴らした。
  「脇本君みたいに逃げ切ることはできませんでしたね(笑)。でも、昨日の夕方にセッティングが決まった感じだったし、今日は主導権を取る競走を初めから狙っていました。前二走が何もできていなかったので、このまま終わるのは嫌だった。長い距離を踏んで着に残れたので満足です」


<8R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
神山拓弥選手
神山拓弥選手
   海老根恵太(写真)がここ一番で『驚速』を見せ付けた。上がり10秒7の三角まくりで、逃げた永井清史ら前団を飲み込み、「初めて4回転ギアを使い、前と車間をしっかりと空けてタイミングを取った。道中は極力ムダ脚を使わないように気をつけた」。
  石毛克幸は2着入線で初のG1優参だ。海老根に完璧マークから大外を踏み切り、3着の村上博幸に僅差で伸び勝った。
 「ゴールした瞬間に、何とか2着と実感があった。海老根君のスピードが凄くて、こっちは両脇をしっかり締めたよ。付いていくのでやっと。ここ一番で力を出し切れる海老根君はやっぱり強い!」
  神山拓弥(写真)は格下感を味わった。例によって前々勝負。前田拓也をドカして永井の三番手キープも報われず、「飯嶋(則之)さんと車番が悪くて、中団キープか前々への作戦。永井さんが凄い掛かりで、海老根さんは凄いスピード。メダリストにGP王者はさすが強い。俺はヤングGP王者? 全然、脚が違います」。


<9R>
佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   佐々木雄一(写真)が大金星を挙げた。鈴木謙太郎との連係を決めて1着での決勝進出。G1優参はこれが初めてだ。
  「(鈴木)謙太郎が頑張ってくれたおかげですね。今回はここに向けてという練習は全くやってこなかった。前回の記念で、入れ込んで練習してきたらボロボロだったので、その反省を踏まえての調整だったんですけど、それが良かったみたいですね。初めてだけど、その感慨はあまりない。でも、自然に気持ちは入ってきますね」
  2着は中を割った神山雄一郎(写真)。自転車がグイグイ伸びて、佐々木を捕らえる勢いだった。
  「うーん、でもあそこ(2着)まででしたね。平原はかなり脚を使って位置を取っていたし、苦しかったと思う。2着権利ということもあって、最後はシビアに踏ませてもらった。初日は正直言って不安なデキだったけど、日に日に体調は上がってきている。今日も準決勝という良い緊張感で、体に刺激が入りました。それにしても3着で決勝に乗れないのは厳しいね」
  鈴木謙太郎は明日に備えて自転車を整備しながら「今日は緊張よりも、平原さんや小嶋さんと対戦できるというワクワク感の方が強かった。本気のSS班と対戦できるいい機会ですからね。小嶋さんのカマシが見えてからはとにかく全開で踏んだので、後ろのことは良く分からなかった。佐々木さんが決勝に乗ってくれてよかった」と激戦を振り返る。


<10R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
浅井康太選手
浅井康太選手
   上がり10秒5のバンクレコードで山崎芳仁(写真)が異次元のスピードを見せつけた。まるで前の選手が止まっているかのような錯覚に陥るほど。観戦していた選手からも思わずため息が漏れたが、引き上げてきた山崎本人は息も切らさず涼しい顔だ。
  「今日はとにかく勝つことにこだわってレースをしました。お客さんも僕らしい競走を見たいだろうし、しっかり構えて仕掛けた。踏み上げていく感じも良かったし、コーナーで自転車が寝ていたのでタイムは出ているなと思いましたね。駆けているのも深谷君だしね。体調は初日から問題ないし、入れ込みすぎずに調整してきたのが成功したみたい。優勝を狙って頑張りますよ」
  山崎に続いた佐藤慎太郎は3年近く見放されていたG1決勝進出を決めて「素直に嬉しい」と笑顔を見せる。
  「山崎を抜ける感じはなかったけど、あとコンマ2秒ぐらいタイムが上がっても付いては行けますね。昔は簡単に決勝に乗ってたけど、怪我もしたし、もう乗れないんじゃないかと弱気になることもあった。最高の舞台、しかも地元で山崎とワンツーを決めて決勝に乗れて最高の気分です」
  深谷の番手を回った浅井康太(写真)は「特に作戦はありませんでした。深谷に全て任せていましたからね。(山崎は)とても止められない勢いで来たし、あの展開では仕方ない」とレースを振り返る。


<11R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
   吉田敏洋(写真)が一人旅を演じた。慣れないはずの単騎戦だったが、最終ホームで猛ダッシュのカマシから、長い直線に失速せず「今日はホント、直線が長く感じましたよ。愛知の先輩達に『どうすれば?』と作戦を聞いた。先手ラインに乗っかってからカマす、とみんなの意見と俺の意見がピッタリと同じ。これしかないと信じた。前のレースで深谷知広が負けて、こっちは妙なプレッシャーが消えたのも良かった」。
  大塚健一郎(写真)は全日本選抜に続きG1連続優参を決めた。
  「今回は(松岡)貴久のおかげ。あいつが前々に攻めてくれたから自分に展開が向いた。2センターでは内が空くか、空かないか半信半疑だったけど一瞬ピタっと空いたように見えたので躊躇なく内へ踏んだ。堪えて堪えての結果だし、嬉しい。あと少しだけでもセッティングが出れば準決以上の動きができる」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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