『第79回日本選手権競輪(GI)レポート』 前検日編

配信日:4月28日

 輪界でもっとも権威のあるタイトル、日本選手権がゴールデンウイークに開催される。名古屋競輪場を舞台に「第79回日本選手権競輪(GI)」が、4月29日に幕を開ける。2月の全日本選抜を制して史上初のグランプリスラムを遂げた脇本雄太をはじめ、S級S班9人がそろい踏み。輪界のトップを決めるにふさわしい162人が、全国の各地区から名古屋に集結した。前検日の4月28日は、6日間のロングランシリーズに向けて、高速バンクの名古屋バンクの感触を確かめるなど、選手それぞれが入念な調整を行った。
 日本選手権シリーズは、開催中の毎日、来場者先着入場プレゼント、予想会ステージ、太ももカフェ(選手会愛知支部)、名古屋めしキッチンカーの出店、未確定車券抽選会などが予定されています。また、4月29日の初日には、JRAジョッキーの坂井瑠星騎手のトークショー、佐藤水菜選手・梅川風子選手のトークショーなども行われます。名古屋競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 嘉永泰斗(写真)は、前回の武雄記念を7216着。決勝では打鐘前から主導権を握り、敢然と風を切ってレースを支配。地元の山田庸平の優勝に大きく貢献した。
 「(前回は)久々にやりたいレースができた。状態面も良かった。(そのあとは)ここに向けてしっかりとやってこられた。(朝一番のレースだけど)それも大丈夫だと思います」
 佐世保FIを優勝して地元記念に弾みをつけたはずの山田英明だったが、その武雄記念は腰痛で欠場を余儀なくされた。続く玉野FIも欠場して、今シリーズは3週間以上空いての実戦。
 「(武雄の)地元記念は走りたかったんですけど、腰に痛みがでたので欠場しました。次の玉野はその前からから家事都合で欠場を出していた。腰のケアをしながら練習もしてきました。やれることはやってきましたけど、ダービー(日本選手権)なので、みんな仕上げてくるのでしっかり戦いたい」

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鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 V奪取した2月の小松島ミッドナイトGIIIから勝ち星を量産していた鈴木竜士(写真)だが、前回の川崎記念は9624着。未勝利に終わり、シリーズを通しての動きもピリッとしなかった。
 「(前回もそうだけど)調子は変わらず、ずっと戦える状態ではあります。ここ(日本選手権)が出られるって決まってから、ここに向けてやってきました。(近況、高いレベルで安定しているのは)なによりも怪我をしていないことが一番だと思います。川崎はちょっと(練習の)疲れが残っていたので、あんまり良くなかった。でも、そのあとの5日間でやりたいことはできた」
 前回の川崎記念を3821着。最終日は同県の後輩、五十嵐綾の積極策を利して番手まくりで勝ち切った高橋晋也が、責任感をもってこう口を開く。
 「前回の最終日は五十嵐君が行ってくれて、気持ちをくみつつ、残せたら良かったんですけどね。(同地区に若手が出てきて)自分もしっかりしたレースをしないとって思います。世代交代みたいな感じになっているけど、負けないようにしたい。最近は上向きでしたし、(予備から繰り上がりだが)ここに向けて仕上げてきた」

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伊藤旭選手
伊藤旭選手
 ここ4場所は勝ち星のない伊藤旭(写真)だが、防府FI、函館FIと直近の2場所は決勝にコマを進めている。野口裕史が率いる南関勢を相手に、一次予選での組み立てが注目される。
 「(近況を振り返って)全体的にまだまだかなと。全体的な底上げをしていかないと。今回もしっかりと勝ち上がらないと意味がない。(前回のあとは)練習もケアもしてきたけど、あとは1走してみてですね。ここは記念も走らせてもらっているし、苦手ではないと思います」
 直近はGIIIの前橋も含めて、4場所連続で優出中。佐々木豪は、その前の不振を乗り越えて大一番を迎える。
 「今年の前半は苦しかったですけど、3月の玉野記念あたりから兆しがみえてきました。そのあとは決勝にも乗れていますし、直前に練習した時の数値も良かったので楽しみですね。自分はニュートラルのスピード域が高い方だと思うので、早いタイムがでる名古屋バンクは好きですね」

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村上博幸選手
村上博幸選手
 前々回の松阪FIでは昨年12月以来となる優勝。決勝では絶好の展開をモノにした村上博幸(写真)は、前回の玉野FIが533着。10年に日本選手権で初タイトルを獲得している村上の仕上がりはどうか。
 「(近況は)脚的に変わらずいい感じだけど、やっぱり展開に左右されるなって。(前回は)振り返ってもいいイメージがない。(上がりタイムで)10秒台が出ていたんで、あれが限界かなと。(前回のあとは)次の日から休まず練習をしてました。脚的にはずっといいんで、細かく考えるよりもできることをやってっていう感じですね」
 前々回のウィナーズカップは、途中欠場。前回の青森FIを556着と一息の小原佑太だが、GIの今シリーズに向けては上昇ムードだ。
 「伊東のウィナーズカップの前に、ウエートトレーニングで背中を痛めてしまった。背中の筋肉が張ってしまっていて、脚に余裕はあるのにうまく力が入らず良くなかったですね。次の青森も全然、良くなかったですけど、完全にダービー(日本選手権)を見据えてやった練習のハードワークだった。ここに向けては調整もできましたし、背中の張りも取れたのでしっかり頑張りたい」

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松本貴治選手
松本貴治選手
 2月の全日本選抜の最終日に落車に見舞われた松本貴治(写真)だが、復帰したウィナーズカップでは3度の確定板入り。続く前々回の平塚FIでは太田海也の先行策を利してV奪取。前回の函館FIでも優出と、落車の影響はなさそうに見える。
 「(状態は)いつもと変わらない。(GIに向けてとか)自分はあんまりそういうのはない。(名古屋は)軽くてスピードが出るって聞いています。(去年の日本選手権は)失格して帰っているんで、最終日までいられるように」
 石塚輪太郎は、前回の別府FIを711着。決勝では昨年6月以来の優勝を田中大我、福永大智の3番手から手にした。ラインに感謝しながら、こう振り返る。
 「前回の優勝はラインの力に助けられましたし、前で頑張ってくれた後輩のおかげです。自力での優勝ではなかったですけど、いい流れでGIにこられた。前回が終わってからは入れ込み過ぎず、(練習を)いつも通りにやってきました」

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纐纈洸翔選手
纐纈洸翔選手
 纐纈洸翔(写真)にとっては、昨年8月以来の通算2回目のGIがホームバンクの名古屋。しかしながら、平塚FIでの落車から、3週間以上空いた。
 「(落車の怪我は)擦過傷くらいで、骨は大丈夫だった。(落車のあとは)1週間くらいは歩くくらいで、自転車にはまたがらなかった。平塚と比べたら全然、良くない。でも、ここに来たからには気持ちで頑張りたい」
 昨年の日本選手権がGI初出場だった佐々木眞也は、その一次予選でGI初勝利。今シリーズは、地元、川崎記念で優出を果たしてリズムも良好だ。
 「(川崎の)地元記念が終わってからは、ここに向けてしっかりと練習とケアをしてきました。ダービー(日本選手権)は去年初めて走らせてもらって、1走目に1着を取ることができました。でも、ダービーはGIのなかでも最高峰の舞台ですし、結果を残したい気持ちは強い」

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取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 前回の青森FIでは、6番手からのまくりでねじ伏せてV奪取。直近の3場所で5勝の固め打ちと乗れているものの、取鳥雄吾(写真)は慎重にコメントする。
 「たまたまいいのかなと。自分ではむちゃくちゃいいっていう感じではない。できることを精いっぱいやっている。(前回のあとは)いつも通りやって、ケアをしながらでした。あとは走ってみてですね」
 今シリーズが通算3度目のGIになる道場晃規。過去の2回はともに勝ち上がりを逸しているだけに、まずは一次予選に集中だろう。
 「調子は徐々に上がってきていると思います。ダービー(日本選手権)を走るのは初めてですね。6日制のGIは、去年の平塚オールスターに出ている。名古屋を走るのは久しぶりですけど、走りやすいイメージなので頑張りたい」

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村田雅一選手
村田雅一選手
 2月の全日本選抜でビッグ初優出を遂げた村田雅一(写真)は、3月のウィナーズカップでビッグ連続の決勝進出。デビュー20年目でキャリアハイを更新している。
 「まさかこんなことになるとは。(この成績は)自分が一番驚いています。(好調の要因は)一番は怪我が1年くらいないことですね。トレーニングがしっかりとできているのが大きい。(名古屋は)スピードバンクなので、重いよりかは得意ですね」
 前々回の小倉FIで優勝。前回の防府FIを優出と悪くなさそうな中本匠栄だが、その後に豊橋FIを欠場。コンディションはどうか。
 「豊橋は腰痛が出てしまったので休みました。でも、ここまでは時間があったので、練習もしっかりとして体のケアもしてきました。GIなので判断ミスをしないように。GIなので甘さがでたら勝ち上がれないと思うので、しっかりと道中で判断しながら戦っていきたい」

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藤井侑吾選手
藤井侑吾選手
 2月の全日本選抜、3月の名古屋記念と続けて欠場を余儀なくされた藤井侑吾(写真)だけに、地元の日本選手権には気持ちを込める。前回の玉野FIでは、141着と2勝をマークした。
 「地元の大きなレースを2つ休んじゃったので、ここに照準を合わせてやってきました。復帰してからカマシ、突っ張り、押さえ先行ってやって、状態を確かめていました。仕上がっててほしいですね。とりあえず頑張って勝ち上がりたい」
 一次予選で同期の藤井と顔を合わせる晝田宗一郎は、GI合宿で気持ちを高めて大一番を迎える。
 「ここに向けて中国地区の合宿があって、強い人たちと一緒に練習して刺激をもらってきました。結構、キツかったんですけど、いい練習になりました。同期の藤井さんとは久しぶりの対戦ですけど、自分の方が勝っていると思います。苦手意識とかはないですね。ダービー(日本選手権)は去年初めてでて一次予選を突破できたので、今年も勝ち上がれるように頑張りたい」

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太田海也選手
太田海也選手
 前回の武雄記念では決勝にコマを進めたが、見せ場をつくった決勝で太田海也(写真)は落車の憂き目。そこから2週間空いてのローテーションになった。
 「(近況は)記念だったり、FIだったりを走って、自分自身の課題と向き合えるいい機会かなと。(前回のあとは)疲労感がまったくないので、刺激が入ってないのかなと。今日(前検日)、刺激を入れたい。(落車の)怪我があったので、(ナショナルチームの)練習はしたり、しなかったりですね」
 阿部力也は、3場所前の四日市GIIIの決勝で落車。その後、平塚、松阪とFIを2場所走りながら、岸和田でのトレーニングに励んだ。
 「四日市の決勝で落車して、そのあと結構、引きずってしまったんですけど。四日市のあとも次の平塚のあとも、前回の松阪のあともずっと(同期の古性優作を頼って)岸和田で練習してきました。すぐには全部を吸収できないですけど、一つ、一つ自分のものにしていけるようにやっています」

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脇本雄太選手
脇本雄太選手
 脇本雄太(写真)は、前回の川崎記念を3119着。シリーズ初日から新車を投入して、2日目にはバンクレコードを叩き出した。が、日本選手権では自転車を戻す決断をした。
 「(ここ2場所は)自分のやりたいことはやってはいるんですけど、結果につながっていない。前回、新しいフレームにして、ある程度の感触はつかめた。ただ、自分の感触と比べてどうかと言われた時に、イマイチ納得できるところがなかったので(自転車を)今回戻しました。(全日本選抜の優勝ですでにグランプリ出場は決まっていて)精神的な余裕はあるんですが、モチベーションがちょっとずつ下がっている感じがする。そこはしっかりしないといけないなと思っています」
 合宿もこなして今シリーズのためにトレーニングを積んだ新山響平だが、武雄記念2日目を当日欠場のアクシデント。計画通りとはいかなかった。
 「(武雄記念を途中欠場して)ちょっと熱も上がって、少し走れる状態じゃなかった。3、4日くらい練習できずに、そこから慣らすように練習してある程度は戻してきたつもりです。やっぱ乗り始めの時に力が入らなかった。(仕上がりは)ボチボチですね。せっかく合宿とか組んで武雄の前までやっていたので、それがムダになっちゃったかなと」
 高知記念を2123着とまとめた松井宏佑だったが、その後は熊本FIを欠場。3週間空いたゆとりのローテーションでの日本選手権になった。
 「(熊本を欠場して)体も痛いところが出てきて、様子見てって感じでした。結構、背中全体が痛かった。練習はできることやって来たんで、問題ないと思います。(仕上がり具合は)悪くないと思います。(今年ここまでは)全日本選抜とウィナーズカップと決勝に乗れてないんですけど、悪くない感じで走れている。でも、もうちょっとかなっていうのもあるんで、今回しっかり悔いがないように走りたい」