『第79回日本選手権競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:4月30日

 名古屋競輪場で開催されている輪界でもっとも権威のあるタイトル「第79回日本選手権競輪(GI)」は、4月30日に2日目が行われた。メインの特選では、眞杉匠、浅井康太が白星を挙げて好スタートを切った。また、残りの一次予選では、地元地区の皿屋豊が1着でファンの期待に応えた。初日、2日目の特選を勝ち上がり、4日目の「ゴールデンレーサー賞」に進出した9人が決定した。5月1日のシリーズ3日目は、二次予選の5個レースで準決をかけて熾烈なバトルが繰り広げられる。
 日本選手権シリーズは、開催中の毎日、来場者先着入場プレゼント、予想会ステージ、太ももカフェ(選手会愛知支部)、名古屋めしキッチンカーの出店、未確定車券抽選会などが予定されています。名古屋競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

10R特別選抜予選ゴール
10R特別選抜予選ゴール
10R1着、眞杉匠選手
10R1着、眞杉匠選手
11R特別選抜予選ゴール
11R特別選抜予選ゴール
11R1着、浅井康太選手
11R1着、浅井康太選手

<5R>

皿屋豊選手
皿屋豊選手
 5番手にいた皿屋豊(写真)から動いて、赤板1コーナーで勢い良く切って出る。そこを町田太我が、2コーナー過ぎに押さえる。皿屋は3番手を手に入れて打鐘を通過する。6番手の山岸佳太、8番手の北津留翼に動きはなく、そのまま町田の先行でレースは流れる。最終1コーナーで山岸が踏み出して、皿屋は2コーナー手前から発進。桑原大志のけん制を乗り越えて、皿屋が3コーナーでまくり切る。わずかに遅れた西村光太が続いて直線。西村を振り切った皿屋が1着で車単は1番人気で決着。
 「山岸君と中団争いが激しくなるかなと。それで切りに行く時は、(山岸に)突っ張られないように目いっぱいでした。(3番手を取ってからは山岸もそうだし)北津留君にしろ来る可能性があるので、そこだけは注意していた。いいタイミングで行けたかなと。GIで1番人気になることもそんなにないんで、緊張していました。しっかりと出し切れた。距離は踏んでないけど、疲労がたまるような感じで踏み込めている」
 皿屋の加速に最終バック付近ではわずかに車間が空いた西村光太は、半車身差の2着。
 「皿屋さんは一番強いのに迷い気味だった。ただ、それだけ作戦のレパートリーが多かったんだと思います。とにかく強かった。レースも全部やってくれて、自分は桑原さんのブロックだけ気をつけていた。そこを乗り越えられたのは大きい。踏み出しで口が空いたけど、問題はないですね。せっかく地元地区のGIで追い風が吹いていると思うので、(勝ち上がって)イケるところまでいきたい」

<6R>

石原颯選手
石原颯選手
 近畿コンビが前団。誘導との車間を切った南潤は、赤板過ぎに阿部将大を突っ張る。3番手は雨谷一樹が確保して、阿部が5番手になる。7番手の石原颯(写真)は、打鐘で仕掛ける。阿竹智史は遅れ気味で、最終ホームで出切った石原に雨谷が阿竹を張りながら追いかける。石原に雨谷、阿竹で続き、切り替えた山本伸一が3コーナーから踏み上げる。番手に入った雨谷はいっぱいで、石原が逃げ切った。
 「バンクが軽くて、踏んでいる感じも良かったです。(後ろの状況は)余裕がなくてわからなかったですけど。掛かりというより、踏み直しを意識しました」
 遅れて番手を奪われた阿竹智史は、3番手で立て直してゴール寸前で雨谷を交わして2着。結果的には四国ワンツーも、連結を外しただけに反省の弁。
 「カマシにちぎれたんで。いまの若い子は強いんで、タイミングがズレてしまうと今日(一次予選)みたいになってしまう。なんとか追いかけようと思ったんですけど、雨谷君で出てきて追走が難しかったですね。(リカバリーしての2着だったが追走を)しっかりしないとダメなんで」

<7R>

佐藤一伸選手
佐藤一伸選手
 伊藤颯馬、佐藤一伸(写真)の順番で出たところを中近3車が押さえる。打鐘過ぎに佐藤は4番手に入り、伊藤が6番手。志田龍星の先行策だが、伊藤が最終ホーム手前から巻き返す。4番手で佐藤と伊藤がもつれて、2コーナーで佐藤が踏み勝つ。バック手前からまくった佐藤は、山口富生のブロックをこらえて前団を仕留めた。
 「(周回中は)後手を踏まないように、最低限あの位置はと。(伊藤を張ったところは)かぶってはいけないとこで必死でした。止まったと思って、月森(亮輔)君が来るかなと。山崎(芳仁)さんも付いていましたし、外を踏んでどこまでいけるかなと。(山口のけん制は)なんとか乗り越えられた。あとは(最終)4コーナーを踏めれば、真ん中くらいの着はあるかなと。1着を取れていますし、悪くないです」
 中近3番手の椎木尾拓哉は、最終2センターで外を張りながらコースを確保。直線で追い込んで2着に届いた。
 「佐藤君が伸びてきていたので難しかったですね。(山口)富生さんと佐藤君がハウス(接触)していたので、切り替えるしかなかった。外しかなかったです。もうちょっと伸びたかったので修正したい」

<8R>

成田和也選手
成田和也選手
 大槻寛徳がスタートを出て、人気の北日本勢が前団に構える。後方の新村穣も早めに上昇して、中野慎詞に併せ込む。が、赤板過ぎのダッシュ勝負で中野が突っ張り主導権を渡さない。中野がペースを握り打鐘を迎えて、4番手の岡崎智哉が2センターから踏み込む。ダッシュ良く中野が合わせて駆ける。岡崎は不発。3番手が大槻と三谷将太でもつれるが、大槻がキープ。三谷が4番手になり最終バックを通過。逃げる中野の番手で成田和也(写真)が、好展開をモノにした。
 「(中野は)しっかり掛かってくれるし、(別線が)来ても大丈夫かなと。岡崎君(の仕掛け)も予想していたんで、やっぱり来たなって。(中野が)強かったですね。ただ、長い距離をいっているんで、自分が追い込めたかと。(感触は)良かった」
 突っ張り先行で別線に隙を与えなかった中野慎詞は、岡崎の奇襲にも対応して成田とワンツー。
 「(突っ張りは)想定していた作戦だった。その方が一番、自分の力を出し切れるかなと。モガき合っても出さないっていう感じだったので、そこはしっかりと戦えた。後ろが成田さん、大槻さんだったんで、思い切って仕掛ければ自分にもチャンスがあると思った。ゴールまで踏み切れている感覚があって、それは良かった。体の状態はいいし、鉄フレームに慣れて踏み切れているところを見れば問題ないかなと」

<9R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 前団に構えた九州勢は、山崎賢人が根田空史を突っ張り、そのままレースを支配する。根田が7番手に戻り、一本棒で打鐘を迎える。2センターから再度、踏み込んだ根田に合わせて、山崎が踏み上げて駆ける。根田は中団までで後退。山崎が掛かり良く逃げて、4番手の久米康平は3コーナー過ぎに踏み上げる。久米の進みも一息。山田庸平(写真)が、番手から余裕をもって山崎を交わして連勝を伸ばした。
 「(山崎は)ラスト1周前の4コーナーの立ち上げが良かったんで、来られる選手はいないなって思いながら付いていきました。昨日(初日)が休みだったんで、ちょっと反応が重いかなっていう気がしたんですけど、1走したので2走目以降は大丈夫かなって思っています」
 九州3人で上位を独占。山崎賢人は、突っ張り先行から自身も2着に粘り込んだ。
 「ラインで決まったので良かったです。やっぱり立ち遅れないようにって思っていたんで、突っ張りになりました。(前回が終わってから)練習は普通にしていた。1走目は体が動かないことも多かったので、そこは集中していました。(別線が)ジャンでも来なかったので、ペースでいけました」

<10R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 赤板過ぎに寺崎浩平が出て、その上を松浦悠士が切る。一度は松浦ラインにスイッチした眞杉匠(写真)は、岩本俊介の仕掛けに合わせて打鐘で踏み上げる。2センターで岩本が叩いて、眞杉は和田真久留をさばいて番手に飛び付く。浮いた和田は、最終ホームで平原康多とからんで落車。眞杉は1センター過ぎに番手からまくって出る。平原は車間が空きながらも眞杉を追いかけて、さらにその後ろの佐藤慎太郎も空く。後方からまくった寺崎は勢いがない。5番手から松浦が、3コーナーで追い込むも眞杉は遠い。平原は車間が詰まらず、後続を離したまま眞杉がゴール。
 「(打鐘付近で)1回休んでしまって、仕掛けどころをつくってしまいましたね。コーナーの出口で(岩本に)分が悪いなと。(和田のところには)ああなったんでいきました。(番手に入って仕掛けていって)あそこは見てもしょうがないので行きました。指定練習で良くなかったので、自転車のサドルとハンドルをいじったら、昨日(レースのなかった初日)よりは出たと思う」
 和田ともつれた平原康多は、最終1コーナーでは眞杉に遅れたが懸命に追いかける。眞杉とは詰まらずも、後続にも交わされることなく2着をキープ。
 「眞杉が前々に踏んでくれたおかげです。(和田)真久留があそこまで急激に来るとは思わなかった。あそこで大バックを踏んでいるし、眞杉に付いていけていないのでしのぎぎれていない。苦しかったです。眞杉は強かった。前回のシューズとフレームの組み合わせなら、岩本を越えられていないと思います」
 落車のアクシデントを避けて5番手の松浦悠士は、最終3コーナーから踏み込む。寺崎、岩本との僅差の3着争いを制したのは大きい。
 「スタートの並びはかなり考えましたけど、想定内ではありました。(佐藤)慎太郎さんのところに飛び付こうかと思ったけど、特選ですしタテのイメージで踏んだ。落車を避けてフォームが良くなかったので納得の競走ではないです。落車を避けた時にフォームが定まらなかった。踏めていない分、最後に脚が回復して踏めている感はあります。でも、自分の理想とは遠かった。出し切れていないし、競走中に気をつけていきたい」

<11R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 赤板過ぎに犬伏湧也が突っ張って、深谷知広を出させない。2コーナーまでは踏み込んでいた深谷だが、さすがに後退。佐々木悠葵は、そのタイミングで仕掛ける。坂井洋を連れた佐々木が、4コーナーで叩いて先行策。犬伏が3番手に飛び付き、山口拳矢は5番手で最終ホームを通過する。2コーナー手前で外に持ち出した犬伏は不発。坂井の後ろに清水裕友が切り替えて、山口は仕掛けられない。3コーナー過ぎに浅井康太(写真)が、インを進出。清水が外を踏み、佐々木と坂井の間にできたスペースを浅井が鮮やかに伸び切って1着。
 「スタートを取りにいったけど、全体的にみんな前を取りたい感じだった。それで中団になりました。深谷君が後ろから来たんで、犬伏君も引いて8番手になるよりはってああなったんだと思います。(最後のコースは)空きましたね。あれはマグレでしょう。展開というか、運が良かった。ビビらずに踏んでおこうと思っていたんで、踏んでおいて良かった。ダービー(日本選手権)は勝ち上がりが厳しいので、1走目が勝負だと。2日目からだったので、前の日(前検日の前日)もしっかりと街道で乗っていたので、ゴールまで踏めた感じですね」
 南関勢は、最終バックで後方。深谷の余力を確認した郡司浩平(写真)は、切り替えて内のコースを踏む。浅井を追うように直線で強襲して、半車輪まで浅井に迫った。
 「スタートをミスったのが(深谷に)申し訳ないです。犬伏が突っ張る感じで踏んだので、降りながら(深谷を)迎え入れようとしたんですけど。(コースは)結構、空いた。思ったよりも余裕をもって走れたし、気持ちも入った。(前回の地元の)川崎よりもリラックスして臨めている。このフレームとセッティングが安定しているので、(2走目も)変えないでと思っています。あとは体と気持ちをしっかりと調整して上がっていけるように」
 郡司を懸命に追った小原太樹が3着。GIファイナルの表彰台が2度あるように、大舞台での強さを発揮した。
 「どういう展開であれ、3番手の仕事ができればと。突っ張られ気味になった時には、どこか入れるところを探したんですけど隙がなかった。自分は9番手だったので、どこまで突っ込めるかでした。自分は前に付いていっただけだけど、前に反応できている。(GIの)こういう舞台の方がのびのびと走れるのでいいのかなと」