『第79回日本選手権競輪(GI)レポート』 4日目編

配信日:5月2日

 名古屋競輪場で開催されている輪界でもっとも権威のあるタイトル「第79回日本選手権競輪(GI)」は、5月2日に4日目が行われた。初日、2日目の特選を勝ち上がった9人による「ゴールデンレーサー賞」は、単騎の古性優作が俊敏な立ち回りから追い込んで、直線で抜け出した。また、二次予選では、太田海也、松井宏佑が1着で準決に進んだ。6日間のシリーズもいよいよ勝負どころ、5月3日のシリーズ5日目には、ファイナルのキップを巡り、準決の3個レースで熾烈なバトルが展開される。
 日本選手権シリーズは、開催中の毎日、来場者先着入場プレゼント、予想会ステージ、太ももカフェ(選手会愛知支部)、名古屋めしキッチンカーの出店、未確定車券抽選会などが予定されています。また、5月3日のシリーズ5日目には、「千原せいじ」、「大木こだま ひびき」のお笑いステージ、レスリングの五輪金メダリストの登坂絵莉さんのトークショー、ボートレーサーによるトークショー、ガールズケイリンの酒井亜樹選手のトークショーなどなどもあります。名古屋競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

ゴールデンレーサー賞 レース経過

 単騎が4人という超細切れのレースは号砲で古性優作と郡司浩平が出るが、1番車の古性が正攻法の位置を確保。古性、郡司-小原太樹、眞杉匠-吉田拓矢-平原康多、浅井康太、菅田壱道、松浦悠士で並びは落ち着いて周回を重ねる。
 青板バックを過ぎて郡司が前との車間を切って波を作りけん制を始めると、浅井、菅田がするすると内を上がってきて神奈川コンビの後ろに収まる。赤板周回に入り、なおも後ろの動きを警戒する郡司に対し、眞杉が1コーナーでスパート。2コーナーで眞杉が先頭に立ち、吉田も続くが、2車を出させて平原を捌いた古性が3番手を奪い取る。平原は4番手に下がり、5番手には2コーナーでさらに内をすくった浅井。最終ホームは一本棒で通過し、2コーナーで浅井がまた平原の内を突いて古性の後ろまで上がる。ほぼ同時に6番手から郡司がまくり発進。好スピードで迫る郡司を引き付けた吉田はタテには踏まず2センターで郡司を止めにいく。吉田、郡司は外に車が流れ、空いた内コースを突いた古性、浅井が直線入り口で眞杉を捕らえて抜け出す。ゴール前での浅井の追撃も退けた古性が先頭でゴール。


<5R>

大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 周回中、7番手になった阿部将大が上昇。小原佑太が阿部を突っ張って、そのまま主導権。後方に戻った阿部は、打鐘から再度、仕掛ける。小原も落ち着いてペースを上げて逃げる。最終ホームで大槻寛徳(写真)が、阿部を張って阻む。浮いた吉本卓仁は、2コーナー手前から自力に転じるが、まくり切るまでには至らず。阿部が外にいて、山賀雅仁は動けない。大槻が番手からチャンスをモノにした。
 「(小原は別線の)どっちが後ろでも、1回は突っ張るっていう感じでした。(阿部を突っ張る)一番、いい流れでした。(もう一度仕掛けた阿部は)ブロックすれば止まると。その勢いで車間を空けた。あれで(阿部が)山賀のところに降りればいいなって。(吉本も)出がいい感じじゃなかったので、ギリギリまで引きつけてでした。GIの1着は本当にうれしいですね。昨日(2走目)ヘボいレースをしちゃったんで、情けなかった。脚の感じはめちゃくちゃいいんですけど、ああいう時ですよね」
 小原ライン3番手の芦澤辰弘が、北日本勢の間を踏んで2着。ラインに感謝して、汗をぬぐう。
 「スタートから展開まで全部、小原君が仕上げてくれた。この並びでは初連係だけど、初めてとは思えないくらい呼吸が合いました。大槻さんは仕事人ですし、それに小原君の先行力でラインは強力だった。これで最終日までいられる。そこを目標にしていたんで、一次予選はダメだったけど着をまとめられた」

<6R>

中井太祐選手
中井太祐選手
 杉森輝大が切って、赤板2コーナー過ぎに片岡迪之が押さえて先頭に立つ。しかしながら、山田諒がすかさず巻き返して、片岡との踏み合いを制して最終ホーム過ぎに出切る。山形一気が2コーナー過ぎにまくり、それに乗った杉森は2センターから外を踏み込む。山形をけん制してコースを確保した中井太祐(写真)が、山田の番手から追い込んで1着。
 「山形さんがまくってきたけど、止まりそうだった。大きい動きをしないように。ちょっと山田君が沈んでしまったんですけど。(前々回の奈良で落車して)左の鎖骨とろっ骨を骨折した。前回は流れに乗れなかったんですけど、今回は2走して落ち着いて走れているのかなって。一次予選が3番手で、2走目が自力。(3走目の)今日は番手だったんですけど。そういう立場になっているので、対応していきながら課題をつぶしていきたい」
 外に杉森もいてコースのなかった神田紘輔は、直線で中のコースを選択した。
 「今日(4日目)は調子が良かったです。昨日(3日目)セッティングを煮詰めて良くなりました。ここに来る前にいろいろ試したんですけど、GIでやってみるかどうかっていうのもあった。昨日、終わってから時間があったので、サドルまわりをいじりました。ちょっと中井君が戻ってきた時にバックを踏んでしまった。バックを踏んでしまうっていうのは、突っ込むのが早いっていうことだと思う。もう少し落ち着いて周りが見えれば、もっと伸びたかなと」

<7R>

中本匠栄選手
中本匠栄選手
 赤板1センターで志田龍星が先頭に立ち、そこを3車ラインの九州勢が押さえて出る。北津留翼が、打鐘過ぎに出て先行態勢を取る。志田をキメた山田久徳が、4番手を確保して最終周回。後方の道場晃規が1コーナーから仕掛けて、山田が合わせて3コーナーから踏み上げる。しかしながら、逃げる北津留の掛かりがいい。山田は松岡貴久のブロックで不発。中本匠栄(写真)が、番手から差し脚を伸ばして1着。
 「北津留さんが行ってくれて強かった。松岡さんが仕事もやってくれたので、僕だけありがたい展開になりましたね。自分も車間を切るなり、仕事ができれば良かったですね。GIで1着はなかなかできるものではないし、2勝できているのはいいですね」
 3車の九州ラインが上位を独占。1周半を駆けた北津留翼は、別線を完封して2着に残った。
 「相手が動いたところで自分も行ってみて、ゴールに向かって上げて踏んでいければと思っていました。駆けたけど、後ろの状況はわからずで仲間にお任せしていました。雨が降っていたので、まくりは利きにくいとは思っていた。近況は普段練習でバンクを使わないので、変なところで行ってしまったりしていますね」

<8R>

南修二選手
南修二選手
 赤板過ぎに長島大介を町田太我が突っ張る。ペースを落ちたところを見逃さず、藤井侑吾は2コーナー手前から強烈なダッシュでスピードに乗せて駆ける。打鐘手前で飛び出した藤井に、南修二(写真)。藤井のカマシに町田は大きく車間が空いた3番手で最終ホームを迎える。町田は詰まらず、6番手まくりの松岡辰泰も一息。前2人の勝負は、南が抜かりなく差し切って連勝。
 「(藤井の踏み出しが)めっちゃ、キツかった。(藤井は最終)ホームで掛かり切った感じだった。後ろを確認したら離れていた。ただ、自分もそこまでで、だいぶ脚にきていた。自分は今日(3走目)が一番良かった。自転車とクツですね、少し調整できる部分をやった。(前回の落車で)体は大丈夫だったけど、自転車でズレているところがあって、そこは調整した」
 持ち味を存分に発揮した藤井侑吾が、GI初勝利を遂げた2走目に続いてホームの名古屋でアピールした。
 「町田が前を取るなら、後ろ中団が良かった。(一番後ろのラインが)突っ張られるだろうし、そこを見極めて1周半を頑張ってと。(仕掛けたところは)ほぼ全開でいって、(最終)バックで脚が売り切れていました。(ラインが)2車だったんで、カマシの方がやりやすいかなと。(最終)ホームでスピードをつくって、あとはもう南さんに任せてと。(あとの2走が結果出ているので)勝ち上がれなかったのは悔しい。仕上がりも悪くないので、あとは展開だけですね」

<9R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手

 南関勢が前団に構える。松井宏佑(写真)は、山崎賢人を突っ張り出させない。そこを赤板2コーナー手前から中野慎詞が、ダッシュを利かせて踏み込む。打鐘で中野が主導権を握り、山崎芳仁まで出切る。松井は渡部幸訓を弾いて3番手を奪う。立ち遅れた山崎賢は、車間を空いた7番手で最終周回へ。風を切る中野のスピードも良く、松井は3番手で脚をためる。バックでまくった山崎賢だが前が遠い。3コーナー過ぎから松井が踏み込んで、番手の山崎芳も中野との車間を詰めて直線。外を追い込んだ松井が、突き抜けた。
 「(機動タイプ3人は新旧ナショナルチームの対決で)負けないように、立ち向かおうと思っていました。楽しみでもありました。前か後ろだと思ったので、流れでっていう感じでした。(山崎賢が)めちゃくちゃ踏んできたら出させましたけど、1回踏んだら下がった。あとは中野君の動きを見てでした。合わせ切れれば良かったんですけど、出られてしまった。合ったところで勝負しました。山崎(芳)さんも自力があるので、あまり早く行ってもっていうのがあったんで難しかったですけど。ゴール線には届いたんで、脚は悪くないですね。外々を踏めば確定板はあるかなっていう感じだった」
 中野が主導権を握り、番手の山崎芳仁に流れが向いた。しかしながら、渡部をさばいた松井が真後ろにいただけに、難しい判断を迫られての追い込みだったに違いない。
 「中野君が強かったです。(最終)バックで後ろを確認したら(渡部)幸訓じゃなかった。松井君が車間を空けていたので、様子を見ながらでした。松井君を見ながら踏んだんですけど行かれました。(松井が)自分のところに飛び付くかなって思っていたら、飛び付けない感じだった。(最終)ホームまでは余裕がなかったですね」

<10R>

太田海也選手
太田海也選手

 青板バックから上昇した寺崎浩平に合わせて、4番手の太田海也(写真)も反応する。赤板過ぎに太田が先に切って出る。前受けの小林泰正が中団に引いて、寺崎は7番手。太田が先行態勢を取ってレースが流れて、寺崎は打鐘3コーナーから反撃に出る。太田がダッシュ良く踏み込んで、太田、寺崎によるスピードバトルが勃発。最終2コーナーで太田が合わせ切り、寺崎が番手に下げると清水裕友は外を回して追い上げる。6番手の小林がまくりを打つ。内の寺崎をキメた清水が、3コーナー過ぎに小林をブロック。そのあおりで雨谷一樹が落車。太田を差し切った清水だが、1位入線も失格。積極策の太田が繰り上がって1着。
 「(寺崎が1車で来たのは)わかっていなかったですね。自分の感触よりも、(清水)裕友さんが仕事をしてくれたおかげです。位置を確保してくれて、追い上げてくれて、自分の力ではないと感じています。(状態は)疲労感はなく、とてもいいと思う。(寺崎との対戦は)GIでの勝ち上がりで、どこかしらであたるメンバーですし、昨日(3日目)から覚悟は決まって戦うつもりでいました」
 最終2コーナーからまくった小林泰正は、清水に張られて失速も直線であきらめることなく踏んで2着に入った。
 「太田君が先に来たのも概ね予想通りでした。三谷(将太)さんが行き切れなかった時にどこに来るかなと思っていて、ワンテンポ遅れて(最終)2コーナーで行った。行き切れると思ったけど、太田君が踏み直していて力不足ですね。行き切れなくて力が足りない。眞杉(匠)とヨシタク(吉田拓矢)にセッティングを見てもらって、初日よりも確実にいい。2日空いたので脚は良くないが、今日(3日目)刺激が入って良くなると思う」

<11R>

古性優作選手
古性優作選手

 青板2センターから7番手の浅井康太、8番手の菅田壱道がインを進出。周回中は4番手にいた眞杉匠が、6番手になって赤板を通過。眞杉が1コーナーで踏み上げる。主導権を握った眞杉に吉田拓矢まで出切るが、古性優作(写真)は飛び付いて平原康多と重なる。打鐘3コーナーで古性が3番手を取り切って、平原、浅井。郡司浩平は、一本棒の6番手で最終周回。2コーナーから浅井が内を押し上げて、郡司が外をまくる。郡司のまくりには内をすくった菅田が続く。逃げる眞杉後位の吉田が、郡司を阻む。が、空いた内をあっさりと古性が突いて直線。追い込んで1着の古性だが、内容には納得がいかない様子。こう振り返った。
 「もうちょっと豪快なレースができたらいいなっていうのがありました。しょうもないレースをしてしまいました。単騎勢も内に行くタイプばっかりだったんで、やりやすいなと。理想はもうちょっと前でスピードが合えば、楽に勝てたかなと。ジャンの2センターで眞杉君が駆けた時に(自分も)引っ張られて脚にきていた。(最終)2コーナーで(仕掛けて)行くことを考えていたけど、整い切れなかった。(4日目は)重かったけど、脚が良くなってくれれば。刺激も入ったんで」
 最終バックでは古性にも半車身近く差し込んでいた浅井康太は、その後、古性のコースを通り2着に入った。
 「しっかりと対応できたというか、あれしかないかなと。ジャン過ぎに古性君が引くのかと思って空けていた。そのあとは(吉田がけん制して)内が空いていた分、古性君に付いていって2着だった。このメンバーで着が取れればいいかなっていうのがあって、感触よりも着をっていう感じでした」
 平原がさばかれて、自身の後ろには古性。逃げた眞杉の番手の吉田拓矢は、郡司のまくりを張ったところを古性、浅井にすくわれて3着。
 「(赤板手前で)単騎勢が内に来たので、眞杉君も(仕掛ける)タイミングが狂わされたと思います。後ろは古性さんっていうのはわかった。眞杉君もいいペースで駆けていたし、自分はできるだけ出ていきたくなかった。(郡司のまくりをけん制して)ちょっと甘かったですね。セッティングを見直したら、すごくいいし余裕もありました」